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  • 生活者は薬局をどう見ているか?カケハシの意識調査に見る「健康拠点」としての可能性

    クラウド型電子薬歴「Musubi」のほか、複数プロダクトを開発・提供する株式会社カケハシが2026年9月に発表した「生活者の薬局活用実態調査」によると、生活者が薬局を訪れる主要な理由は依然として「処方薬の受け取り」である一方、健康相談やOTC医薬品の購入など、処方箋による調剤にとどまらない多角的な目的で薬局を活用する動きが広がっている。将来の地域医療を担う薬学生にとっても、薬局の果たすべき新たな役割を示唆する重要な知見が含まれている。 薬局の利用目的 薬局を利用する目的としては、「病院で出された処方箋のお薬を受け取る・説明を受けるため」が51.0%と過半数を占めて最も多い。一方で、「特に用事(処方箋の受け取りなど)がない限り、薬局に立ち寄る・利用することはない」と回答した人も26.5%存在している。 その他の利用目的としては、「市販薬(OTC医薬品)やサプリメント、健康食品、衛生用品等の購入」が12.5%、「自身の健康維持や、日常のちょっとした不調について相談するため」が11.7%と続いた。さらに「家族の看病や介護における、お薬の飲ませ方や管理について相談するため」が6.1%、「外出時の休憩や、血圧測定などのセルフチェックを行うため」が4.3%となり、処方薬の受け取り以外にも多様な目的で利用されている実態が示された。 クーリングシェルターとしての認知度と今後の利用意向 クーリングシェルターに登録されている「そうごう薬局 天神中央店」 近年、気候変動適応法に基づく「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)」として、冷房設備を備えた薬局が地域に開放されるケースが増加している。今回の調査において、薬局がクーリングシェルターや涼みどころとして利用できることを「認知している」と答えた人は利用経験の有無を合わせて32.7%にとどまり、67.3%の生活者が機能自体を「知らなかった」と回答した。 一方で、存在を知らなかった層のうち52.7%が「今後は利用してみたい」と回答しており、周知が進むことで新たな利用につながる可能性を示している。 薬学生が捉えるべき「これからの薬局像」と課題 今回の調査結果は、薬局が「身近な健康拠点」として活用され始めている兆候を示す一方で、「特に用事がなければ立ち寄らない」と回答した人が26.5%にのぼるという現実も突きつけている。依然として約4人に1人の生活者にとっては「処方箋がないと行きにくい場所」のままであるのが現状だ。 しかし、クーリングシェルターの認知調査が示すように、薬局が持つ機能や利便性を知ることで「利用したい」へと意識が変化する伸びしろは大きい。 将来薬剤師を目指す薬学生には、単に処方箋に基づいた調剤・服薬指導を行うだけでなく、こうした「立ち寄る理由がない」と感じている層に対して、いかに薬局の敷居を下げ、プライマリ・ケアやセルフメディケーションの場として認知・活用してもらうかという視点も求められる。 「生活者の薬局活用実態調査」概要 本調査(インターネットリサーチ)は、2026年6月25日~6月30日、15歳以上の男女1,056名(男性556名・52.7%、女性500名・47.3%)を対象に実施された。年代構成は15〜19歳が12.6%(133名)、20代〜40代が各17.5%(各185名)、50代および60歳以上が各17.4%(各184名)となっている。

  • 2027年度「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」募集開始と説明会開催のお知らせ

    日本学生支援機構(JASSO)による2027年度「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」の募集関連書類が公開された。海外の大学院において修士または博士の学位取得を目指す学生を対象とした制度であり、支援対象は2027年4月から2028年3月の間に留学を開始する者となる。 制度の概要およびオンライン説明会の詳細は以下の通りである。 概要および説明会日程 対象プログラム:2027年度 海外留学支援制度(大学院学位取得型) 支援対象者:2027年4月~2028年3月に支援開始を予定している者 説明会名称:JASSO奨学金セミナー第4回 2027年度「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」に申請予定の皆様 開催日時:2026年9月10日(木) 12:00~12:45 実施方法:Zoomによるオンライン開催 申請にあたっては、募集要項や提出書類の要件を事前によく確認することが不可欠である。支給条件や必要書類の詳細は公式ウェブサイトで公開されているため、申請予定者は早めに準備を進めるとよい。また、制度への理解を深め疑問点を解消する機会として、9月10日開催のオンライン説明会への参加が推奨される。 2027年度 海外留学支援制度(大学院学位取得型)

  • 福岡大学の教員・学生が「高校生のための薬剤師体験 2026」に参加――体験と交流を通じ薬学部の魅力を発信

    福岡大学薬学部の教員と学生が、高校生に向けた体験イベントで薬剤師の魅力や薬学部での学びを伝えた。 福岡大学の教員と学生が参加したのは、8月1日と8月22日に開催された「高校生のための薬剤師体験 2026」(主催:鹿児島生協病院、共催:南日本調剤センター薬局)である。このイベントは、医療に関心を持つ高校生に病院や薬局での現場体験を提供し、進路選択のきっかけとしてもらうことを目的に実施された。 2日間で合計66人の高校生が参加し、福岡大学からは薬学部准教授の小迫知弘氏と4人の薬学生(2年生1人、5年生3人)が参加した。 イベントの主な取り組み 進路相談・意見交換:薬学生が、薬学部での学びや実習内容、大学生活に関する高校生からの質問に答え、親身に相談に乗った。 模擬講義:小迫氏が講師を務め、医療を支える薬剤師の社会的役割や重要性について解説した。 参加した高校生からは、「薬剤師の仕事体験や講義を通して薬学部の魅力と学びの面白さを知ることができ、進路選択の参考になった」「教員や学生、現場の薬剤師など多様な立場の人から話を聞くことができ、幅広い学びを得られた」といった声が上がった。 今回の取り組みは、大学・病院・薬局の強力な協力体制のもと、未来の医療を担う高校生へ薬学の魅力を広く伝える貴重な機会となった。

  • 【薬局四方山話】喉の痛みと漢方

    地球堂薬局 田代健 今回は、漢方のディープな迷宮を数分だけ体験してもらおうと思う。 2024年の薬剤師国家試験に、「風邪をひいて寒気がする」患者に防風通聖散を選ぶことの可否を問う問題が出たので、ここを出発点にしよう。 防風通聖散といえば「やせ薬」の印象があるが、元来は体に蓄積した熱を排出する処方だ(だから国試のように「寒気がある」患者には使えない)。江戸時代の医師・目黒道琢は『餐英館療治雑話(さんえいかんりょうじざつわ)』で「喉の腫痛の患者は、10人に8-9人までは実熱証で、虚証のものは1-2人にすぎない。不注意な医師は咽頭痛を見ると実熱証と早とちりし、防風通聖散や清咽利膈湯(せいいんりかくとう)で患者に害をなすことが少なくない」と書いており、本来は咽頭痛を含む急性の発熱性疾患に用いる。 以下では、OTCで使える喉の漢方薬の構成生薬を整理してみる。先人達が実際にこう考えて生薬を足し引きしたということではなく、彼らの病理モデルや治療戦略の差異が構成生薬にどう反映されるかをつかんでもらいたい。 この写真は川芎、羗活、防風、人参、茯苓、藿香、荊芥、甘草、蝉退、厚朴、陳皮、白彊蚕、甘草を配合した処方だ。読者の皆さんはこれらの生薬をいくつ識別できるだろうか? (i) 『和剤局方』(宋) 『和剤局方』の医学はセルフメディケーションの先駆けでマイルドな処方が多いのだが、「積熱」の章には涼膈散という処方が載っている。一言でまとめると、「発熱し顔が真っ赤に充血し、便秘している状態」を、下剤と苦寒薬と発汗剤の組み合わせで解熱する薬だ。 涼膈散 = 大黄+朴硝(ぼくしょう)+甘草+連翹(れんぎょう)+山梔子(くちなし)+黄芩(おうごん)+薄荷 (ii) 金元(きんげん)学派(宋〜金) 『和剤局方』とは対照的に攻撃的な解熱治療に軸足を置いたのが劉河間(りゅうかかん)で、涼膈散を土台に症状別のアレンジを加え、さらにはそれを全部乗せた防風通聖散を新たに作った。具体的には (+)咽喉痛、涎嗽(えんそう)がある時は桔梗、荊芥(けいがい)を追加(桔梗は喉の痛みの薬) (+)鼻血や吐血がある時は当帰、芍薬、生地黄を追加(四物湯(しもつとう)で血を落ち着かせ乾燥し過ぎを防ぐ) (+)排尿困難や排尿痛(淋)がある時は滑石、茯苓(ぶくりょう)を追加(尿からも熱を排出する) (+)突発性の目眩がある時は川芎、石膏、防風を追加(荊芥と合わせて祛風(きょうふう)する) というトッピング全ての上に (+)麻黄と白朮(びゃくじゅつ)(胃から汗へ水分を運ぶ) を追加し (-)生地黄+茯苓(麻黄と茯苓を併用する処方はほとんど存在しない) で防風通聖散になる。 (iii) 温補学派(明) 金元医学には胃腸への負担が重いという課題があり、胃腸の保護を重視した薛立斎(せつ りつさい)は温補学派の先駆者と呼ばれた。彼が考案したのが清咽利膈湯だ。 清咽利膈湯 = 防風通聖散 -(A) + (B) (A) 取り除いた生薬:川芎+当帰+芍薬+白朮+麻黄+石膏+滑石 発汗や利尿による解熱を止めると同時に、血を補う生薬が不要になるので中止する (B) 追加した生薬:金銀花+牛蒡子+黄連+玄参 体の水分を維持しつつ熱を冷ますことのできる生薬を追加し、乾燥を防ぐ 清咽利膈湯は国内で製品化されていないが、ニキビに使う清上防風湯の構成がよく似ている。 (iv) 温病学派(清) 清の時代には猛暑や海外交易に伴う疫病が相次ぎ、温補学派や『傷寒論』のような温める医学にかわり、温病学という「冷やす医学」が発達した。この医学は、激しい熱性疾患における脱水を警戒し、初期に軽い生薬で治す点が特徴だ。代表的な処方に呉鞠通(ご きくつう)が考案した銀翹散(ぎんぎょうさん)があり、いろいろな商品名でOTC化されている。筆者の薬局でも、これを常備薬にしているお客さんはいる。 銀翹散 = 清咽利膈湯 - (C) + (D) (C) 取り除いた生薬:黄連+黄芩+山梔子→冷やして乾燥する生薬を除去 防風→温めるための生薬を除去 大黄+朴硝→大便から解熱するルートは胃腸まで熱が侵入した段階で使用する 玄参→呉鞠通の三焦弁証ではもっと後の段階で使う生薬 (D) 追加した生薬:淡竹葉+淡豆豉+蘆根→淡竹葉と蘆根は体液を増やしつつ熱を冷ます 銀翹散は「喉の痛み」に加え「熱感などの全身症状」「喉の乾燥感」「便秘がないこと」を確認するのがポイントだ。 (v) 江戸医学 京都の和田東郭は、銀翹散と似た方向性の咽喉痛治療を工夫していた。耳下腺炎の薬・駆風解毒湯に桔梗と石膏を加え、冷やしてうがいしながら飲むと効果的だとし、現在でもOTCをそう指導しながら販売する。ポイントは「喉の炎症だけを取る」点だ。 駆風解毒湯 = 清咽利膈湯 - (E) + (F) (E) 取り除いた生薬:(C)+薄荷+金銀花 薄荷→発汗の必要性はない 金銀花→潤しながら解熱という方針はとらない (F) 追加した生薬:羗活+石膏 羗活→首に薬を効かせたい 石膏→うがいで局所的に強力に解熱したい 漢方薬を使う際の「寒熱」の評価は当然として、便通を含めた「潤燥」の重要性も垣間見てもらえただろうか。完成された「中医理論」に基づき体系的に弁証論治を進める漢方に魅力を感じる人もいるだろうが、筆者は、先人達がさまざまな状況で工夫してきた治療法を目の前の患者にどう生かすかという歴史との対話にこそ醍醐味を感じている。 喉の痛みの漢方の変遷 涼膈散 防風通聖散 清咽利膈湯 銀翹散 駆風解毒湯 出典(出版年) 『和剤局方』(1107以降) 『黄帝素問宣命論方』(1172) 『外科発揮』(1528) 『温病条弁』(1798) 『蕉窓方意解』(1813) 著者 劉河間 薛立斎 呉鞠通 和田東郭 発散薬 麻黄 防風 防風 防風 荊芥 荊芥 荊芥 荊芥 薄荷 薄荷 薄荷 薄荷 牛蒡子 牛蒡子 牛蒡子 羗活 寒涼薬 黄連 黄芩 黄芩 黄芩 山梔子 山梔子 山梔子 連翹 連翹 連翹 連翹 連翹 金銀花 金銀花 石膏 (石膏) 淡竹葉 淡豆豉 蘆根 玄参 補益薬 甘草 甘草 甘草 甘草 甘草 当帰 芍薬 白朮 活血化瘀薬 川芎 瀉利薬 大黄 大黄 大黄 朴硝 芒硝 朴硝 滑石 化痰止咳平喘薬 桔梗 桔梗 桔梗 (桔梗)

  • マツモトキヨシが成田空港第3ターミナルに出店―全ターミナル網羅で加速するグローバル戦略

    株式会社マツキヨココカラ&カンパニーは、2026年8月28日、成田国際空港第3旅客ターミナル内に「マツモトキヨシ 成田国際空港第3ターミナル店」をオープンした。これにより同社は成田空港の第1・第2・第3の全ターミナルへの出店を完了し、インバウンド需要の取り込みおよびグローバル戦略を一段と強力に推進する体制を整えた。 全ターミナル網羅がもたらす戦略的意義 同社は「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」というグループ理念のもと、日本全国47都道府県に3,600超の店舗を構え、海外においてもアジアを中心に105店舗(2026年6月末時点)を展開する巨大ドラッグストアグループである。同社は美と健康の分野でアジアNo.1を目指し、国内外の顧客に対する高品質な商品・サービスの提供とグローバル事業の拡大を核とする事業戦略を掲げている。 同社における成田国際空港への初出店は、2018年7月の「第1ターミナル店(出国手続き後エリア)」にさかのぼる。その後、2019年には第2ターミナル内にフランチャイズ形態を含めた店舗を順次開設し、2023年8月には第2ターミナル店(直営)をオープンさせていた。 今回オープンした「第3ターミナル店」は、同空港における5店舗目の出店となる。主要格安航空会社(LCC)が数多く発着する第3ターミナルの出国手続き後エリアを押さえたことで、成田空港内の主要全ターミナルにおける出店ネットワークが完成した。これにより、同グループが展開する空港関連施設への出店数は合計15店舗に達した。 新店舗「成田国際空港第3ターミナル店」の概要と特徴 新店舗は、成田国際空港第3旅客ターミナルビル本館3階の出国手続き後エリアに位置する。売場面積は約256㎡を確保し、早朝から夜遅くまで運航するLCC便の利用客の利便性を考慮して、営業時間は早朝5時15分から夜22時30分までと幅広く設定されている。 インバウンド回復と「matsukiyo」ブランドの発信力 観光立国としての日本の存在感が高まり、訪日外国人旅行客の更なる増加が見込まれる中、出国直前の購買ニーズに応える「空港内店舗」の重要性は極めて高い。同店ではヘルス&ビューティ商品を中心に、高品質な医薬品や化粧品、免税対応商品のほか、高い評価を得ている自主企画ブランド「matsukiyo」を豊富に取り揃えている。 旅の最後のタッチポイントとなる出国手続き後エリアにおいて、多様化する顧客ニーズに対応した店舗運営を行うことは、訪日外国人の旅の快適性をサポートするだけでなく、自社ブランドの認知度をアジアをはじめとする世界へ向けて高める絶好の機会となる。 今後の展望 同社は、東証プライム市場上場企業として「美と健康の分野でアジアNo.1」の連合体構想を推進している。成田空港における全ターミナル出店の達成は、国内の観光拠点における強固な基盤構築を意味すると同時に、アジアを中心とした海外展開との相乗効果を生み出す重要なステップである。今後も同グループが推進するグローバル店舗網の拡充とブランド戦略の動向に注目したい。

  • シオノギヘルスケアが大賀薬局の体験型イベントに出展―親子で楽しく学ぶ「薬の正しい飲み方」と適正使用への取り組み

    シオノギヘルスケア株式会社が、大賀薬局の主催する夏休みイベント「オーガマンとサマーパーティー」に体験型ブースを出展した。親子で楽しみながら薬の正しい飲み方や知識を深めることを目的とした本取り組みについて紹介する。 親子で健康を学ぶ「オーガマンとサマーパーティー」 2026年7月26日、福岡市の大賀薬局が主催する夏休み特別イベント「オーガマンとサマーパーティー」が開催され、会場には54組・約200人の親子が詰めかけて大盛況となった。 同イベントは、子供たちが薬や健康について楽しく学び、家庭内で健康について話し合うきっかけをつくれるように企画されたものである。当日は、手洗いやうがいをはじめとする薬の正しい使い方を学ぶ体験プログラムや、過剰摂取(オーバードーズ)防止をテーマとした授業、さらには地域企業による健康体験ブースなど、多角的なコンテンツが展開された。 シオノギヘルスケアは、OTC医薬品の適正使用啓発とヘルスリテラシー向上を目指す活動の一環として、このイベントへ参画した。 目の前で変わる実験に驚き!体験型ブースの模様 日常生活に身近な薬であるが、服薬方法を誤ると本来の効果が得られなかったり、安全性に影響が出たりすることがある。そこでシオノギヘルスケアのブースでは、「なぜ薬はコップ1杯程度の水やぬるま湯で飲むのか」や「なぜ特定の飲み物との飲み合わせに注意が必要なのか」という2つの疑問をテーマに、変化を直接確認できる実験が実施された。 参加した子供たちや保護者は、目の前の実験で起こる反応や違いを食い入るように観察し、体験を通じて薬の正しい飲み方や飲み合わせの理由について理解を深めた。 参加者からは「知らなかったことばかりで勉強になった」「今日から家での薬の飲み方に気を付けたい」といった声が聞かれ、単に知識を暗記するだけでなく、普段の服薬習慣を見直して薬を正しく使う意味を考える貴重な機会となった。 子供の頃から「薬について自ら考える力」を育む 薬の服用においては、製品ごとに定められた用法・用量を守り、特別な指示がない限りコップ1杯程度の水またはぬるま湯で飲むことが基本である。特定のジュースやカフェイン飲料などで飲むと、薬の効果が強く出すぎたり弱まったりするリスクが生じるため、飲み合わせには十分な注意が必要となる。 シオノギヘルスケアは、薬を「病気のときだけのもの」ではなく「毎日の健康を支える身近な存在」と位置付けている。幼少期から薬に関する正しい知識に触れ「なぜその飲み方が大切なのか」を理解して自ら考える力を養うことが重要であるという考えのもと、今回の体験型アプローチが採用された。知識を一方的に伝えるのではなく、親子で楽しく実験しながら、日々の生活で薬を正しく使うきっかけとなることを目指している。 シオノギヘルスケアが推進する「市販薬の適正使用活動」 シオノギヘルスケアは「すべての人に、やさしく、正しく、楽しくセルフケアを」というコンセプトのもと、市販薬の適正使用とオーバードーズ対策に向けて多角的な取り組みを展開している。 具体的には、学校や薬剤師会と連携した研修や講演の実施、啓発資材の提供を行う「教育支援」を進めている。また、店頭での空箱設置などによって販売時の確認機会を創出する「適正な医薬品アクセスの確保」にも取り組む。さらに、相談窓口へのスムーズな接続を支援する「ツナグカード」を活用し、「相談導線の整備」を進めている。 シオノギヘルスケアは今後も、学校薬剤師、教育機関、薬局・ドラッグストア、支援団体などとの連携を強化し、市販薬の適正使用の推進と、必要な支援につながる環境づくりに取り組んでいく構えだ。

  • トライアル×スギ薬局の戦略的協業が始動!9月1日「須恵店」「飯塚店」に調剤薬局が初オープン

    株式会社トライアルホールディングスとスギホールディングス株式会社は、2026年1月に基本合意した包括的協業の一環として、同年9月1日より「スーパーセンタートライアル須恵店」および「スーパーセンタートライアル飯塚店」の店内へ、スギ薬局の調剤薬局を初オープンする。 本件は、両社が掲げる「スギ薬局の調剤薬局をテナントとしてトライアル店舗に展開する」という戦略的協業を具現化する初の取り組みである。 協業の目的と狙い 本取り組みは、双方の強みを掛け合わせることで地域住民に新たな価値を提供し、事業シナジーを創出することを目的としている。 スギ薬局が培ってきた「専門的な調剤ノウハウ」と、トライアルの強みである「EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)を支えるローコスト運営およびリテールテック」を融合させ、日常の買い物と健康サポートをトータルで提供する新しい店舗モデルの構築を目指す。 1. 生活動線上における「ワンストップ・ヘルスケア」の実現 食品・日用品のディスカウント販売で生活を支えるトライアルと、調剤機能を持つスギ薬局が一体化することで、日常の買い物と処方箋受取が1カ所で完結する環境を整備する。気軽に行ける「ヘルスケアインフラ」としての機能を強化し、地域全体の健康向上に貢献する。 2. 集客力を生かした顧客接点の拡大と九州でのスピード出店 スギ薬局は、トライアルの高い集客力と広域からの来店頻度を活用し、従来の単独店舗や医療モールとは異なる顧客層へアプローチする。昨年度に九州エリアへ初進出したスギ薬局にとって、本協業は出店戦略を飛躍的に加速させる重要な足がかりとなる。 3. 店舗の多機能化と来店頻度の向上 トライアルは、定期的な処方箋利用を必要とするシニア・ファミリー層の生活動線に入り込むことで、新たな来店サイクルを創出する。価格訴求に加え「健康・医療」の専門サービスを備えた「生活総合サポート拠点」へと進化し、店舗独自の優位性を確立する。 ■ 概要 オープン日 2026年9月1日(火) 対象店舗 スーパーセンタートライアル須恵店 スーパーセンタートライアル飯塚店 協業内容 トライアル店舗内へのスギ薬局(調剤薬局)テナント出店 目指す姿 買い物と医療アクセスが融合した「ワンストップ・ヘルスケア」の構築

  • 空き日程から自分に合う薬局を探す!東京薬科大生がAIと挑んだ『ファーマカレンダー』開発ストーリー

    久芳さん 就職活動を迎える薬学生の多くは、「まずは大手企業から」と有名な薬局ばかりに目を向けがちである。しかし、世の中には知名度が高くなくても、優れた特徴や魅力を持つ中小薬局が数多く存在する。 今回インタビューに応じてくれたた東京薬科大学薬学部5年生の久芳志羽和(くば しゅうわ)さんは、プログラミング未経験でありながら生成AIを駆使し、空き日程から薬局の会社説明会を検索・予約できるWEBツールおよびアプリ『ファーマカレンダー』を独自開発した。就職活動における自身の気づきから生まれたこのプロダクトの全貌と開発の舞台裏、そして将来の薬局経営に向けた情熱について詳しく話を聞いた。 就職活動体験で気づいた「中小薬局の魅力」と「情報の壁」 『ファーマカレンダー』のアイデアは、久芳さん自身の就職活動における気づきと課題意識から生み出された。4年生のCBT終了後、友人に誘われる形で早期に就職活動を開始した久芳さんは、当初「まずは大手企業」というイメージを持って企業を巡っていた。しかし、多様な薬局を見るうちに、地域密着型の中小薬局に非常に大きな魅力があることに気づく。 アプリ開発の出発点 「大手就職活動情報サイトは企業名での検索が基本であり、名前を知らない中小薬局を検索・発見するのは非常に困難でした。中小薬局には素晴らしい魅力があるのに、存在すら知られないまま選択肢から外れてしまうのは非常にもったいないと思いました」と久芳さんは語る。 企業名検索に頼らず、知名度にかかわらず優良な薬局と薬学生が出会える場を作りたいという強い思いが、アプリ開発の出発点となったのである。 「この日、予定が空いているから会社説明会をやっている薬局を探したい」という切実な思いが、『ファーマカレンダー』の核心となるアイデアの着想元である。 既存の就職活動情報サイトで特定の日程に絞って会社説明会を探そうとすると、無数の職種から薬剤師を選択し、何段階ものフィルターをかける必要があり不便を感じていた。そこで『ファーマカレンダー』では、カレンダー上の日付をワンタップするだけで、その日に会社説明会を開催している薬局一覧が表示されるシンプルな設計を採用した。 アプリの使い方と1画面完結デザイン 『ファーマカレンダー』は、1都3県をはじめとする首都圏の東京近郊エリアに所在する中小薬局やドラッグストアを主な掲載対象としている。各企業が開催する会社説明会や体験型インターンシップの日程および開催場所が網羅されており、参加希望者が日程を選んで申し込むと、自動生成された予約メールが企業へ直接送信される。その後、薬局側から確認メールが参加者に届くスムーズな連携機能を備えている。 また、同世代の薬学生に使ってもらうため、最も徹底したのがストレスのない入力設計である。従来の就職サイトでは住所や詳細な個人情報の入力を求められ、登録に手間がかかることが多い。『ファーマカレンダー』では新規登録項目を「名前、電話番号、メールアドレス、大学名、卒業予定年度、パスワード」の最低限に絞り込み、これらをすべてスマートフォンの1画面内に収めた。これにより数分で登録が完了し、直感的にすぐ活用できる操作性を実現している。 生成AIとの対話を通じたプログラミング未経験からの挑戦 驚くべきことに、久芳さんはアプリ開発やプログラミングの専門知識をほぼ持たない状態から制作を開始した。開発を可能にしたのは生成AIの活用である。「就職活動中の後輩のためにこのような媒体を作りたいがどうすればいいか」という根本的な相談からスタートし、AIを相談相手やサポーターとして駆使しながら、プログラミング学習と実装を並行して進めた。 久芳さんは「アプリ単体の画面だけでなく、企業側がGoogleフォームやCSV等で定員や日程を登録できる仕組みや、エラー対応など、実際に機能させるための細かな抜け漏れへの対処に予想以上の時間と試行錯誤を要しました」と振り返る。Macのアプリ開発ソフトを駆使し、Apple Storeの厳密な審査も念入りの準備によって一発で通過させた。 完成後に友人に試用してもらったところ、非常にポジティブな反響が得られた。「日付で検索できるのが想像以上に便利」「合同説明会に出ていないような中小薬局と出会える」といった声が寄せられ、空いている日に素早く探せる快適さを実感する結果となっている。 現状は1都3県の首都圏エリアをメインとし、テストマーケティング的に展開しているが、今後は福岡や大阪など他地域への横展開も視野に入れている。 企業の「強み・特徴」を可視化する新機能構想 5年生として実務実習や自らの就職活動を進める中で、久芳さんは『ファーマカレンダー』のさらなる発展形を描いている。現在は日付からの日程予約が主軸であるが、今後は「多摩地域に特化している」「福利厚生や給与体系に強みがある」といった各中小薬局の特徴や強みを2〜3行で確認できる機能の実装を計画している。 各社の個性がひと目で分かれば、薬学生はより自分に合った企業に出会いやすくなる。薬学生と中小薬局のミスマッチをなくすための橋渡しとしての機能を拡充していく意向である。 久芳さん自身の今後のキャリア アプリ開発という大きなチャレンジを成し遂げた久芳さんであるが、自身の将来像としては薬局経営を真っすぐに見据えている。実務実習での学びはもちろん、就職活動においても「独立や開業ノウハウを学べる場があるか」「経営層や社長と直接対話ができるか」という軸で企業選択を行っている。 薬剤師としての臨床スキルと、プロダクト開発で培った視点を掛け合わせ、将来の薬局経営に生かす考えである。 就職活動は意外と楽しい!早めの行動がおすすめ 最後に、薬学生に向け、久芳さんから温かいメッセージが送られた。 「就職活動は堅苦しく大変なものと思われがちですが、実際にはどこも温かく歓迎してくれます。他校の友人ができたり、自分の視野が広がったりと、実はとても楽しいプロセスです。5年生まで後回しにするのではなく、低学年のうちから先輩に声をかけてイベントや交流会に顔を出してみてほしいですね」と語る。続けて「やりたいことがあってモヤモヤしているなら、一度行動してみることで解像度が格段に上がります。迷ったらまずは動いてみることを強くおすすめしたいです」と締めくくった。 ファーマカレンダー:薬学生専用の就活説明会カレンダー。製薬・調剤薬局・ドラッグストアの合同・個別説明会を検索・申し込みできる。

  • 異業種連携で開く産業の未来——ヒューマノイドロボット活用コンソーシアム「J-HRTI」が目指す「フィジカルAI」の実装と現場革命

    テレオペレーターが専用のインターフェースやセンサーを用いてロボットを動かし、作業動作の元データを収集 将来、医療や薬学の現場での活躍を目指す薬学生にとって、医薬品の安定供給や品質管理の裏側を知ることは極めて重要である。現在、日本の製造業や物流、そして医薬品業界は、深刻な生産年齢人口の減少に伴う「人手不足」という大きな課題に直面している。 この課題に対し、従来の生産ラインや作業環境を大きく変えることなく自動化を実現する切り札として、いま「ヒューマノイドロボット(人型ロボット)」が大きな注目を集めている。このヒューマノイドロボットの産業現場への社会実装を加速させるべく設立されたのが、民間企業主導のコンソーシアム「J-HRTI(Japan Humanoid Robot Training & Implementation)」である。 J-HRTI(ジェイハーティ)とは? J-HRTIは、ヒューマノイドロボットの産業現場への社会実装を目的として、2026年3月26日に設立されたコンソーシアムである。民間企業のみで構成されており、事務局を務めるINSOL-HIGHをはじめ、山善、ディーエムエス、芙蓉総合リース、ツムラなど計5社が参画している。 J-HRTIの目的と「フィジカルAI」の学習データ収集 J-HRTI 関東データファクトリーについて説明するINSOL-HIGH株式会社代表取締役の磯部宗克氏 工場や物流現場でロボットを自律的に動かすには、文字や画像を処理する言語・画像モデルとは異なり、「モノをつかみ、動かす」ための「フィジカルAI(身体性をもつAI)」の学習が不可欠である。 しかし、ロボットに複雑な人間の動作を学習させる(模倣学習)には莫大な動作データが必要であり、専用設備やコストの観点から1社単独で進めるには限界があった。そこでJ-HRTIでは、参画企業が共同でデータ収集・整備を行える拠点として「J-HRTI 関東データファクトリー」(千葉県習志野市)を開所し、2026年8月26日より本格稼働を開始した。 関東データファクトリーの仕組み データファクトリー内では本格稼働時点で35台のヒューマノイドロボットが導入されており(最大40台まで拡充予定)、以下のエリアでデータ処理を行う。 ヒューマノイド・トレーニングゾーン:テレオペレーターが専用のインターフェースやセンサーを用いてロボットを動かし、作業動作の元データを収集する。 アノテーションエリア:専門スタッフが動作映像や関節データに説明情報を付与し、AIが学習できる形に変換する。 テストエリア:参画企業の実環境を再現し、検証や調整を行う。 このようにして蓄積・改善された「国産フィジカルAIデータ」を共有資産として活用し、各業界の現場課題の解決につなげる仕組みを構築している。 異業種が集う参画企業とその役割 J-HRTIの最大の強みは、「ものを移動させる」「蓋を開ける」といった基礎的な動作データを異業種間で共有できる点にある。1社単独で開発するよりも大幅なコスト削減と導入速度の向上を実現すべく、各分野の企業がそれぞれの強みを持ち寄って参画している。 INSOL-HIGH株式会社(コンソーシアム事務局):AI・ロボティクス技術を担い、J-HRTI全体の設計や「データファクトリー」の運営、データ基盤の提供を推進する。 株式会社山善:産業機械・工具の大手商社として、物流・製造現場におけるヒューマノイドロボットや関連機器の導入支援および産業現場への展開ノウハウを提供する。 株式会社ディーエムエス:物流・DM発送代行業界から参画し、封入・仕分け・ピッキングといった手作業(非定型作業)の自動化を目指すとともに、ロボットを活用した物流サービス(DMS-RaaS)の外販も視野に入れている。 芙蓉総合リース株式会社:大手総合リース会社として、コスト面が課題となりやすいヒューマノイドロボットの導入において、リースやシェアリングなど導入しやすい財務・運用モデルの構築を支える。 ツムラの取り組み この異業種コンソーシアムに製薬業界から参画しているのが、ツムラである。 多種多様な生薬を原料とし、製造や品質チェックに高度な技術と人の五感・経験を必要とする漢方製剤の現場において、ツムラは医療用漢方製剤の安定供給責務を果たしながら、以下のような課題解決を目指している。 ツムラが直面する課題と期待する効果 現状・課題 ヒューマノイドロボット導入に期待する効果 需要の拡大と人手不足 漢方薬の需要が高まる一方、生産年齢人口の減少により現場の労働力確保が困難。 省人化と労働生産性の向上 これまで自動化が難しかった複雑な人手作業を代替し、生産ラインの安定稼働を図る。 既設工場のレイアウト制約 既存の製造棟は人の作業を前提として設計されており、大型の固定設備を追加導入するのが難しい。 設備改造を伴わない自動化 人を前提とした既存の生産ラインの配置をそのまま生かし、人からロボットへ置き換えることで最短の工期で自動化を実現する。 開発コストと施工期間 専用の産業用ロボットを一から開発・導入する場合、費用が高額になり、ラインを長期間停止させる必要がある。 汎用ロボットとデータの活用 J-HRTIで生成・共有されるデータを活用することで、開発期間短縮と導入コスト抑制を実現する。 漢方薬製造現場における段階的導入計画 ツムラでは、ロボット導入を以下の3つのステップ(Phase)で進める計画を立てている。 Phase 1(単純繰り返し作業):機械的に位置を決めて繰り返し行う作業。 Phase 2(状態を認識して行う作業):視覚情報によって対象物の状態を認識してから行う作業(資材補給、開梱、容器蓋着脱、梱包、パレデパレ、容器運搬作業)。 Phase 3(視覚・感覚・触感情報で判断して行う作業):五感や熟練の知見を要する作業(確認作業、検査作業、組立・分解作業、秤量作業、ピッキング作業)。 ヒューマノイドロボットの可能性に期待を寄せる株式会社ツムラ執行役員生産本部長の熊谷昇一氏 将来的には、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)の厳格なガイドラインに準拠しながら、確認判定や検査、品種切り替え時の段取り変更など、「状況判断を伴う作業」の自動化を目指している。 さらに二次的効果として、作業するロボットに各種センサーを装着することで、ベテラン作業員が経験や勘で行っていた「音、温度、振動の微少な変化(暗黙知)」を可視化・データ化し、品質管理レベルを一段と向上させることが期待されている。 産業全体の持続可能性を支えるロボティクスの未来 ツムラをはじめとする各社が目指す姿は、伝統的なものづくりや専門現場の知見と、最先端のフィジカルAI技術との融合である。 医薬品の安定供給や品質管理の確保は、将来薬剤師として医療現場に立つ人々にとっても不可欠な基盤である。多様な業界が手を取り合うJ-HRTIの取り組みが、今後の製造・物流・医療現場をどのように支えていくのか、今後の動向に大きな期待が寄せられている。

  • 【薬師のことのは|ほうかご】【日本薬学生連盟 共同企画】焦らなくて大丈夫。薬剤師の基盤づくりと、私らしいキャリアの育て方

    執筆:しほ(薬剤師) この度、日本薬学生連盟様へ講義をする機会を頂戴し、多くのすてきなご質問をいただきました。これをお読みくださっている方にも、少しでも今後のヒントになるような内容がございましたら幸いです。講義をフルでご覧になりたい方は、YouTubeに公開する予定ですのでご確認ください。今回は、その講義の一部をご紹介いたします。 この講義では、学生時代と薬剤師の基盤、プロとして安全性を意識する重要性、キャリアと母親業との両立、認定資格や就職先の選び方などについてお話しました。 まず専門資格について、私は小児薬物療法認定薬剤師を取得しておりますが、実は、年次を重ねるまで、自分が何に興味があるのか明確ではありませんでした。毎日目の前のことで必死で、何かを極めようという余裕もありませんでした。私の場合、後々興味が出たのがこの分野だったというだけで、薬剤師には専門性を高めるための資格がさまざまとあります。 まず皆さんには、薬剤師としての基礎となる業務を知り、幅広い経験からいろいろなことを吸収してほしいと思います。そこからキャリアを積み重ねるにつれ、もっと学びたい分野に出会えた時に、知見を深めるとよいでしょう。今何かに興味があっても、なくても、誰にでも共通して言えることは、まず薬剤師としての基盤を固めること。専門分野がなくても、薬のプロとして幅広い疾患に対応できることは、私たちの大きな強みなのです。 薬学生の皆さんからは、ワークライフバランスについてのご質問も複数ありました。私の場合、子供がいない頃は、「職場の誰かのために」という気持ちが強く、仕事を重視していました。今は子供がいるので、子供に安心を与えられるように「できるだけ丁寧でも効率よく」を意識して仕事を進めます。 皆さんも今後、できるだけ速く効率よく仕事をしたい!と思う場面がたくさんあるでしょう。しかし、最初は「速さより安全性」をぜひ意識してほしいです。皆さんはこれから、患者さんの命を預かることになります。少しの焦りが、1人の命を左右するわけです。職場の忙しい空気に惑わされ、焦ってチェックをないがしろにしてしまった。それで薬を間違えたら、どうなるでしょう。どんなに忙しくても、心は落ち着けて、安全性に目を向けることが第一です。 前回の記事では、インターンシップのことについて紹介しました。今回の受講者の皆さんの中には、資格や勉強に焦点を当てている方が多い印象でした。就職先選びにおいて教育面を重要視する場合、「教育」と一言で言っても、社内の研修が整っているか、現場で先輩から実践的に教えてもらえる環境があるか、研修認定薬剤師の取得に力を入れているかなど、会社によってさまざまです。自分が求めているのはどの「教育」の手厚さか、具体的に想像すると、選択肢が明確になると思います。 皆さんは現代の社会にあふれる情報の多さに道を迷うことや、偶然関わった仕事から派生して、進みたい道が変わることもあるでしょう。今、「こうなりたい!」という具体的な像がなくても、必然的に進むべき道が見えてきますので心配いりません。私もこれから、資格や経験を基に、自分だからこそできることがあれば挑戦していきたいです。仕事を続ける中で道を見つけ、走りながら選択をしていきます。皆さんにもきっと、ぴったりの道が見つかるはずです。 講義後、「仕事で幸せだと思うことは何ですか」とご質問をいただきました。皆さんが幸せと想像されるのはまず、「患者様に感謝された時」ではないですか?実は、個人的に大切にしているのは同僚との関係性です。どんなに過酷でも、周りの方々と支え合える環境であれば、不思議とつらい気持ちにならないものです。 私は新人の頃からありがたいことに、周りの方々に恵まれてきました。仕事内容や環境は過酷な頃もありましたが、だからこそ「同僚の力になりたい」「このお店の、この部署の、役に立ちたい」と思えるのです。そのような出会いや環境そのものに、幸せを感じます。皆さんも働き始めてから、「幸せ」を自分で見つけ、感じてくださいね。薬剤師は、素晴らしいお仕事ですよ。 最後に、このような講義の場を与えてくださった日本薬学生連盟様に、心より感謝申し上げます。学生時代、多くの不安、悩みがあることと思います。私でよろしければ、全国の薬学生の皆さんのお力になれますと幸いです。何でもお気軽にご相談ください。皆さんの今後の輝かしい未来を心より応援いたします。そしていつか、お仕事でご一緒できますことを楽しみにしております。 プロフィール しほ:薬剤師。一児の母。薬学の専門性に加え、英語学習にも挑戦。AI時代だからこそ、自身の「生の声」で伝えることを大切にし、ポッドキャストやブログを通じて健康・育児・学習の記録を多角的・多層的に発信している。【note】https://note.com/kusushi_kotonoha

  • 言葉と文化の壁を超えた医療へ――サノフィが中高生・大学生と挑む「インクルーシブな未来」

    サノフィ株式会社が、医療や製薬といったヘルスケア分野に関心を持つ学生を対象とした夏休み特別授業を開催した。 400万人超の在留時代に問われる「医療コミュニケーションの課題」 同プログラムは、同社のサステナビリティ活動(CSR)の一環として実施され、今回で5回目の開催となった。当日は、通常業務の傍ら自ら有志で集まった従業員やボランティアスタッフなど約60人が、未来のヘルスケア分野を担う中高生・大学生を迎えた。 今年のメインテーマは、「言語マイノリティが直面する医療現場の障壁」である。 出入国在留管理庁の発表によると、2025年末時点の在留外国人数は前年比9.5%増の412万5,395人に達し、初めて400万人を突破した。外国人の増加に伴い、言語や文化の違いによる「医療の分断」をいかに解消し、誰もが平等に安心な治療を受けられる環境を築くかが、現場の緊急課題となっている。 イベントは2026年8月21日の13時30分から15時45分にかけて、サノフィ株式会社の東京オペラシティタワー本社にて「医療の未来を考える 高校生・大学生サマープログラム ― 外国人患者の言葉と文化の課題。患者を支える仕事を学ぼう ―」と題して開催された。 医療への「トラスト・ギャップ(信頼の差)」をどう埋めるか 導入セッションでは、サノフィがグローバルに推し進める取り組み「A Million Conversations(AMC)」が取り上げられた。 AMCは、これまで十分な医療支援が届きにくかったコミュニティとの間に信頼を再構築し、よりインクルーシブな社会を目指すプロジェクトである。過度の緊張や過去の苦い経験によって生じた「信頼の溝」に光を当て、真の解決には当事者一人ひとりの声に注意深く耳を傾けるプロセスが欠かせないと訴えた。 オノマトペの罠と「当たり前」の無意識な押し付け パネルディスカッションでは、医療・通訳・製薬の最前線に立つパネリストらが登壇し、現場での具体的なズレについて議論を交わした。 1. 「ズキズキ」は伝わらない――言葉の壁と過度な配慮 医療×「やさしい日本語」研究会の武田裕子氏は、受付から診察、会計、服薬指導に至る受診のあらゆる過程で外国人が言葉の壁を感じている実態を指摘した。武田氏は、病院での緊張から普段言えるはずの言葉が出てこなくなる状況や、「ズキズキ」「ピリピリ」といった日本語特有のオノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語などの総称)が症状の伝達を難しくしている背景を話し、相手に配慮した「やさしい日本語」を使うことの重要性を説いた。 これに対し、サノフィの外国籍社員も自らの経験を振り返りつつ、日常生活では困らなくても医療の場では言葉の壁を実感すると共感を示した。そのうえで、医療者が良かれと思って行う丁寧すぎる特別な話し方よりも、普段通りの自然な言葉遣いのほうがかえって聞き取りやすく理解しやすい場合があると話し、現場における意識のギャップを明かした。 2. 文化・生活習慣の多様性が生む「誤解」 全国医療通訳者協会NAMIの森田直美氏は、言葉だけでなく文化や習慣の違いが認識の齟齬を引き起こす実例を紹介した。具体例として、1歳6カ月児健診でスプーンを使って食べないことから発達上の問題を疑われかけたものの、詳しく聞き取ると家庭内で手で食べる習慣があった事例を挙げた。森田氏は、医療者側が自分たちの普通や当たり前を全ての患者に当てはめないことが重要であるとし、普段はどのように過ごしているかを一人ひとりに確認する姿勢の大切さを強調した。 3. 多言語対応と「伝わるデザイン」の実践 サノフィで患者向け資材を担当する社員は、主要製品において日本語に加え英語や韓国語、中国語、ポルトガル語などの冊子を用意している取り組みを紹介した。必要とされる全ての言語に対応する難しさにも触れつつも、国籍にかかわらず届けるべき情報は同じであるという考えから、図表を多く取り入れるなど直感的に理解しやすい資材づくりを心がけていると説明した。 「やさしい日本語」の実践と多様なキャリアの提示 後半のプログラムでは、学生たちが主体的に課題解決とキャリア構築について考える時間が設けられた。 相手に寄り添う「やさしい日本語」体験 武田氏とイ・ティンザ・キン氏の指導のもと、実際の診察シーンを想定した「やさしい日本語」への書き換えワークショップが行われた。受講した学生からは、具体的な症状を伝える難しさを感じたという声や、自分が難しいと思う言葉と外国人患者が理解しづらいと感じる言葉には違いがあるという新たな気づきが発表された。 講師陣からは、文章をシンプルにして「です・ます調」で伝えることやジェスチャーを交えるといった工夫に加え、名前を呼びかけたり相手の言語で挨拶したりして緊張を和らげるコミュニケーションの重要性が伝えられた。 病院にとどまらない「医療への貢献」を知る 最後の「ジョブアドベンチャー」では、研究開発、メディカル、マーケティング、営業などの職種で働く社員が各ブースで学生を迎えた。学生たちはブースを順に巡りながら、社員のキャリアの歩みや学生時代の専攻がどのように仕事へ生かされているかについて直接対話を重ねた。 医療現場での勤務という一般的なイメージにとらわれず、製薬企業という立場から社会課題に挑む多様なキャリアパスに触れることで、参加した学生たちにとって未来の選択肢と可能性を広げる機会となった。

  • 京都薬科大学 公開講座開催

    京都薬科大学において、今年度の公開講座が開催される。本講座では、がん治療、地域医療、薬用植物という3つの専門分野から講師を招き、最新の知見や取り組みについての講演が行われる。講演終了後には、参加者が日頃抱いている疑問や気になる点を講師陣に直接質問できる質疑応答の時間も設けられている。 参加には事前申し込みが必要であり、受付は9月15日より開始される。概要およびプログラムの詳細は以下の通りである。 開催概要 開催日時:2026年10月25日(日)13:00~16:00(受付開始 12:30~) 会場:京都薬科大学 本校地 愛学館 A31講義室 駐車場は用意されていないため、公共交通機関を利用して来場する必要がある。 交通アクセスはこちら 参加費:無料 共催:次世代のがんプロフェッショナル養成プラン 申込方法 本講座への参加は事前申込制(先着順等)となっている。 受付期間:9月15日(火)~ 10月21日(水) 申込方法:専用Webフォームより申し込むこと。 京都薬科大学 総務企画課(TEL: 075-595-4600) 講演プログラム 時間 演題・内容 講師 13:05~13:55 光免疫療法:光と免疫による患者にやさしいがん治療 関西医科大学 光免疫医学研究所 教授 花岡 宏史 氏 14:05~14:30 地域で支える医療のしくみ~在宅医療と薬剤師の役割 医療法人平和の森 ピースホームケアクリニック京都 原田 奈津子 氏 14:40~15:05 薬用植物ってどんな植物? 京都薬科大学 薬用植物園 助教 月岡 淳子 氏 15:10~ 講師への質疑応答 16:00 閉会(アンケート回答後に終了)

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