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先輩薬剤師のキャリアに学ぶ! 神奈川県薬剤師会ルーキーメンバー交流会開催レポート

  • ito397
  • 8月19日
  • 読了時間: 9分

公益社団法人神奈川県薬剤師会では、薬学部の学生4年生から薬剤師3年目までの若手人材を対象に、「神奈川県薬剤師会ルーキー制度」を今年4月からスタートしている。ルーキーメンバーに登録すると無料で薬剤師会の会員サービスを利用できたり、催事や研修へ参加することができる。


8月初旬、神奈川県薬剤師会の本部が所在する横浜市内の総合薬事保健センターを会場に、薬剤師会会員とルーキーメンバーの交流会が開催された。

当日は主に首都圏で在学中の学生と神奈川県内で勤務する若手薬剤師16名がルーキーメンバーとして出席。学校薬剤師の公衆衛生研修会を特別に受講したのちに、神奈川県内で活躍している4人の“先輩”薬剤師がそれぞれの職歴を語る「実は知りたい!薬剤師の就職・転職・開局事情」と題したパネルディスカッションに参加した。

今回はパネルディスカッションでそれぞれのキャリアを語ってくれた4名の薬剤師のプレゼンテーションを紹介する。


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根拠ある決意と根拠のない自信を持とう! 

佐藤克哉さん(相模原市・オレンジ薬局鹿沼台店)


薬学部卒業 → 病院薬剤師勤務 → 保険薬局を独立開業


相模原市で2つの薬局を経営する佐藤克哉さんは、病院薬剤師として約5年間勤務した後、薬局の開局を決意しました。右も左もわからず開局した私を支えてくれたのは、人生の節目節目で出会った人々のお陰だと語ります。


転機となった患者さんとの出会い


佐藤克哉さん
佐藤克哉さん

病院薬剤師として働いていた29歳の時、整形外科病棟で出会った一人の高校生が人生を大きく変えたといいます。その高校生はたった1週間の入院でしたが、退院後わざわざ元気な姿を見せに病院まで来てくれました。その時、「この子が元気になった後のことを自分は何も知らない」ということに気づき、考えさせられたそうです。この出来事をきっかけに、患者さんと長期的に生活に寄り添いたいという思いが芽生え、そこから薬局を開業をする決意に至りました。


根拠のない自信が道を拓く


病院勤務の経験はあったものの、薬局経営はまったくの素人。開業初日は、たった4人の患者さんしか来ず、国からの借入金800万円も返済しなければならず、「こんなもの絶対返せない」と不安で仕方がなかったそうです。しかし冬は趣味のスノーボードに欠かさず行きました。不思議と「自分ならできる」という根拠のない自信があったそうです。この「根拠のない自信」が佐藤さんの人生を支える大きな原動力となっています。

また開局後、薬剤師会で出会った一回り年上の経営者や、多くの薬剤師仲間からも多くの学びを得ることができ、仲間の存在が大きな支えになっているともいいます。


趣味から得た教訓


人生のターニングポイントには、いつも人との出会いがありました。小学校で始めたサッカー、高校でのテニス、大学でのバンド活動でも、素晴らしい仲間たちに恵まれ、スノーボードも仕事の不安から逃避する場所でしたが、そこで出会った仲間たちが支えてくれているといいます。ピンチをチャンスと捉え、新しいことに挑戦する姿勢は、こうした経験から培われたものです。

「病院薬剤師時代は患者さんを“点”でしか見ていませんでしたが、薬局経営を通じて、地域住民の生活という“線”で健康を支える喜びを知った」と語る佐藤さん。これからも、さまざまな出会いを大切にしながら、地域医療に貢献していきたいと展望を語ってくれました。



結婚や出産でブランクがあっても、薬剤師としてキャリアを継続したい

石垣美紀さん(横浜市・ホケン薬局)


薬学部卒業 → 病院薬剤師勤務 → 保険薬局を継承、経営者に


横浜市神奈川区でホケン薬局を経営する石垣美紀さんは、実家も横浜で薬局を営んでおり、「生まれも育ちも薬局」という環境で育ちました。両親ともに薬剤師で、ごく自然に薬学の道へと進みます。高校時代に熱中したアルペンスキーを続けたいという思いから、北海道医療大学薬学部へ進学しました。


病院薬剤師としての経験


石垣美紀さん
石垣美紀さん

大学卒業後、石垣さんは病院薬剤師の道を選びます。病床数400床ほどの総合病院に就職。夜間一人での日当直業務や、病棟での薬剤管理指導、院内製剤の調整など、多岐にわたる業務を経験しました。特に印象深いのは、乳がんの患者さん向けに皮膚科の医師から依頼を受けて、腫瘍が皮膚から露出した部分に塗る軟膏を調製したことだといいます。薬剤部で調製した軟膏を病棟に持っていき、患者さんの様子や患部を直接確認しながら、より良い製剤になるよう工夫を重ねました。


薬局経営者への転身


病院勤務に楽しみを見出して働いていた石垣さんでしたが、病院を辞めて薬局を継ぐことを決意します。きっかけは、親戚が経営する薬局を継がないかという話が持ち上がったことです。薬局での勤務経験がなかったため、半年間はさまざまな薬局でアルバイトや派遣薬剤師として働き、経験を積みました。

そして2011年3月、ホケン薬局の経営を引き継ぎました。70年以上前から続くこの薬局は、地域に根差した薬局として、健康サポート薬局や在宅医療にも積極的に取り組んでいます。


薬局で感じる「やりがい」


薬局では、患者さんが日々の生活で抱える悩みや困りごとに寄り添い、サポートできることにやりがいを感じています。特に在宅医療では、元気な頃から薬局に通っていた患者さんの自宅に訪問することで、その方の生活状況を深く理解できます。訪問診療医に患者さんのこれまでの様子や性格、困りごとなどを伝えることで、より質の高い医療連携につながるといいます。

「結婚や出産でブランクがあっても、薬剤師としてキャリアを継続したい」と話す石垣さんの歩みからは、薬剤師を志す女性にとって勇気づけられる部分は多いのではないでしょうか。



薬剤師国家資格は何にでもチャレンジできる最強資格!

藤田大輔さん(横浜市・小机薬局)


工学部卒業 → エンジニア職勤務 → 薬学部に再入学、薬剤師資格取得 → 病院勤務 → 保険薬局に転職


横浜市港北区の小机薬局で管理薬剤師として働く藤田大輔さんは、異色の経歴の持ち主です。大学では土木工学を専攻し、一部上場の大手通信会社に就職してエンジニアとして働いていました。しかし、仕事にやりがいを感じられず、一念発起して薬剤師を目指すことに。26歳で帝京平成大学薬学部に再入学し(ここで「人生のリセットボタン怖くないスキル」を獲得)、30歳で薬剤師の国家資格を取得しました。


研修生からスタートしたキャリア


藤田大輔さん
藤田大輔さん

薬学部卒業後は、横浜市立大学附属市民総合医療センターで研修生として1年間、非常勤職員として1年間を過ごしました。その後、チェーンのドラッグストアで管理薬剤師やエリアマネージャーを経験します。

しかし、「もっと薬剤師として患者さんと向き合いたい」という思いから、自宅近くの個人経営の薬局に転職。精神科の在宅医療に特化した薬局で、引きこもりの患者さんの服薬支援なども、きめ細かく行ってきました。


誰にも真似できない「唯一無二」の薬局経営を


2022年に横浜市港北区に小机薬局を新規開局の際に管理薬剤師として立ち上げに関わり、今に至ります。ここは近隣1km圏内に病院やクリニックがなく、薬局としても「地域唯一」の状態でした。

開業当初は一人薬剤師状態で全ての業務をこなし、当初は定休日だった木曜日も患者さんのために営業時間を拡大しました。ある日、発熱した子供のために薬局を訪れたお母さんから感謝され、「この地域には自分しか頼れる薬剤師がいない」という使命感を強く感じたといいます。


予想外の出来事も楽しむ「心の保険」


2023年には、インフルエンザが猛威を振るう中、なんとアキレス腱を断裂してしまうという不運に見舞われます。松葉杖での業務は困難を極め、このとき初めて薬局を数日間閉めることになりました。しかしその時、薬剤師会を通じて知り合った薬剤師たちが助っ人に駆けつけてくれ、「薬剤師会や人とのつながりが、ピンチを乗り越える力になった」と藤田さんは語ります。

「薬剤師の国家資格は、どんなことにも挑戦できる “心の保険” 」だと藤田さんは考えています。様々なキャリアを経験し、多くの困難を乗り越えてきた藤田さんの言葉には、薬剤師としての生き方のヒントが詰まっています。



スタッフとともに「居心地のいい薬局」を追求!

大山純弥さん(相模原市・のぞみ薬局)


薬学部卒業 → チェーン薬局勤務 → 地域の保険薬局勤務 → 保険薬局を独立開業


相模原市で「のぞみ薬局」を経営する大山純弥さんは、静岡県出身の若手経営者です。北里大学への進学を機に上京し、6年間は「文武両道」をモットーに学業とサッカーに打ち込みました。

新卒で大手チェーン薬局に入社し、薬剤師としての基礎を学びます。その後、東横線・学芸大学駅前で75年の歴史を持つ「ツカハラ薬局」に転職。医薬分業以前から地域に根ざし、町の人々から親しまれる薬局でした。ここで3年間にわたり薬局経営のノウハウを徹底的に学びました。


独立開業に向けて経営を肌で感じて学ぶ


もともと早いうちから自分の薬局を持ちたいと考えていた大山さんは、薬局勤務時代での経験として、個人経営薬局では生の数字を間近で見て取れるっていうところ、実際に自分のアクションを起こせることが強みであり、また大手チェーンの魅力としては店舗数が100店舗あればその数だけ生の数字を参考にできる強みがあるといいます。


遊び心と居心地の良さを形にした薬局


大山純弥さん
大山純弥さん

「薬局は患者さんにとって居心地の良い場所であるべき」という大山さんの思いは、2021年に設立した株式会社cubicと、2022年に開局した「のぞみ薬局」の形で結実しました。

木目調で統一された温かみのある内装や、クラフト紙を使った薬袋、トイレの前にかかったユニークな暖簾など、随所に遊び心と工夫が凝らされています。患者さんからは「温泉に来たみたいだね」と声をかけられることもあり、薬局が単なる調剤の場ではなく、地域の人々にとっての憩いの場になっていることがうかがえます。


挑戦は続く


2024年には、眼科門前の2号店「のぞみ薬局矢部2号店」を開局。本店とは異なる業務に、スタッフと共に試行錯誤を続けています。

またプライベートでは今年5月には第一子が誕生し、仕事と育児の両立という新たな挑戦に直面しています。目まぐるしい日々の中でも、「スタッフのみんなと共に薬局を盛り上げていきたい」と意欲を燃やす大山さん。若き薬剤師経営者として、地域に必要とされる薬局づくりに情熱を注いでいます。



ルーキーメンバー交流会には首都圏で在学中の薬学生と、神奈川県内で勤務する若手薬剤師16名が参加。研修会とパネルディスカッションの後には懇親会も行われ、他大学の学生や薬剤師会幹部、薬局経営者との交流を楽しんだ。
ルーキーメンバー交流会には首都圏で在学中の薬学生と、神奈川県内で勤務する若手薬剤師16名が参加。研修会とパネルディスカッションの後には懇親会も行われ、他大学の学生や薬剤師会幹部、薬局経営者との交流を楽しんだ。

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