AI解析が解き明かす「新時代の就活ランキング」—Z世代の価値観を映す企業評価とは
- toso132
- 2 日前
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従来の就職活動の前提が根本から変わりつつある。株式会社secondz digitalと法政大学キャリアデザイン学部(田中研之輔教授担当クラス)の産学共同プロジェクトにより、AI解析に基づく「AI時代の就活ランキング」が公開された。このランキングは、従来の評価基準である「総合偏差値」に代わり、新しい評価軸「言及割合」と、若年層で自己理解のツールとして人気のMBTIタイプを組み合わせることで、個人の特性に合った企業選びを支援する画期的な試みである。
1. 従来の「総合偏差値」と新しい指標の対比
就職活動における総合偏差値(就職偏差値)とは、企業の入社難易度を客観的な指標で評価し、偏差値で表したものである。これは主に入社難易度、平均年収、知名度、安定性といった企業の「スペック」を総合した指標であった。
しかし、Z世代がワークライフバランスや人間関係・カルチャーといった「いまっぽい価値観」を重視するようになった結果、従来の総合偏差値では見えにくい企業の「風土・相性」を測る指標が求められるようになった。
2. 「言及割合」を算出するAEOエージェントの仕組み
この新しい評価を可能にしたのが、AEO(AI Engine Optimization)エージェントの仕組みである。AEOエージェントは、ChatGPTやGeminiなどの対話型AIが情報を生成・回答するプロセスを分析・評価・最適化するツールを指す。同プロジェクトでは、AEOエージェントが、学生が設定した6つの就活軸に関する質問をAIに投げかけ、回答の中で企業名が推奨された頻度を示す「言及割合」を計測した。これにより、企業情報をAIが「採用の観点」でどのように解釈し、評価しているかを数値として可視化することに成功した。
3. 「AI時代の就活ランキング」総合TOP3
学生が設定した6軸を統合した「総合ランキング」において、高い言及割合を獲得し、AI解析が「いま選ばれる企業」として推奨したTOP3は以下の通りである(2025年11月20日〜30日集計)。
順位 | 社名 | 言及割合 |
1位 | 株式会社リクルートホールディングス | 28.54% |
2位 | 株式会社サイバーエージェント | 23.18% |
3位 | 伊藤忠商事株式会社 | 14.80% |
4. 自己理解のツール「MBTI」
同プロジェクトでは、特にZ世代に人気の高いMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)診断結果とも連動したランキングを公開し、「自己理解×企業選び」を支援している。
MBTIは、人がどのように世界を認識し、意思決定を行うかの心理的な選好を示す指標であり、16種類の性格タイプに分類される。Z世代の間では、MBTIが自身の強みやコミュニケーションスタイルを理解し、「どのような環境が自分に合っているか」を考えるためのツールとして広く活用されている。本ランキングは、このMBTIのタイプ特性と企業の風土の相性をAI解析でマッピングした点が特徴である。
例えば、「直観 × 外向(EN系)」というタイプ群を見てみよう。「EN系」とは、MBTIの4つの指標のうち、「外向(E: Extraversion)」と「直観(N: Intuition)」の特性を持つタイプ(ENFP、ENFJ、ENTP、ENTJ)の総称だ。これらのタイプは、新しいアイデアや変化を積極的に好み、周囲を巻き込むリーダーシップや高いコミュニケーション能力を備えている傾向がある。そのため、自由な発想が尊重される環境や、大規模なプロジェクト、新規事業など変化の大きい組織との相性が良いとされる。
こうした「直観 × 外向(EN系)」の特性を持つ人々に対し、高い創造性やリーダーシップを発揮できる環境をAIがどのように推奨したのか。このランキングは、AIへの質問において、ENFPの「創造性・共感力・巻き込み力」からENTJの「戦略構築・事業推進力」まで、EN系が持つ強みを生かせる企業を具体的に問うた結果である。その結果は以下の通りである(2025年11月19日~30日集計)。
順位 | 社名 | 言及割合 |
1位 | 楽天グループ株式会社 | 56.94% |
2位 | 株式会社リクルートホールディングス | 54.17% |
3位 | 株式会社サイバーエージェント | 39.58% |
5. AIはキャリア選択の「伴走者」となる
法政大学の田中研之輔教授は、「MBTIを活用したマッピングは、性格特性と働き方の相性を考える入り口として、学生にキャリア適合の視点を提供した」とコメントしている。
学生の価値観を反映した「6つの就活軸」と、個人の特性を考慮した「MBTI別ランキング」は、単に「どこに入るか」という総合偏差値的な発想から、「どの環境なら自分が成長できるか」という適合性を軸に企業を選ぶという、AI時代に不可欠な発想を促す。AIが算出した「言及割合」は、学生の自律的なキャリア形成を支援する強力な「解釈のツール」となるだろう。
このランキングと6つの就活軸の詳細、および16タイプすべてのMBTI別ランキングは、secondz digitalの特設ページにて公開されている。

プロジェクト参加学生の声
実際にプロジェクトに参加した学生からは、従来の就職活動では得られなかった情報に対する期待が寄せられている。
●人間関係・カルチャー系の内容は他のサイトでもなかなか調べることができないので、実際の就活でも使いたいと思いました。年齢を過度に尊重する場所はあまり得意ではないので、このような情報が分かるといいなと思いました。
●MBTI診断はいわゆる性格診断ですが、自分がどんな働き方に向いているのかを考えるヒントになるのだと気付きました。外向的か内向的かという基本的な部分でも、合う会社の雰囲気は結構変わるので、企業選びの軸を作る上では意外と役に立つと感じました。
●「飲み会の頻度」や「陰口の少なさ」のような、人間関係に関わるランキングはこれまであまり見たことがなくて、新しい視点だと感じました。このような内部情報は実際に働くうえで気になる部分なので、人間関係を重視したい人にとってはかなり助かると思います。
同プロジェクトは法政大学キャリアデザイン学部(キャリア体験学習(インターン):田中研之輔教授担当クラス)の講義にて実施。
・参加学生数:26人
・期間: 2025年9月〜11月、計3回の講義 テーマ:就活の未来を変える、AI×企業分析 学生たちは従来の就活指標にとらわれず、「自分や友人が本当に知りたい・比較したい企業の条件」を議論し、6軸を決定。
※AEOエージェントによる数値解析・ランキング算出はsecondz digitalが実施。






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