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  • AI時代に問われる「自ら考える力」――P&Gジャパンが学生向けビジネスコンテスト「PGQUEST」を開催

    P&Gジャパン合同会社は2026年10月29日、大学生・大学院生を対象としたビジネスコンテスト「PGQUEST(ピージークエスト)」の参加チーム募集を開始した。同コンテストは、実際のビジネス課題に挑戦する機会を通じて、グローバル企業が培ってきた「思考の型」やビジネスフレームワークを実践的に学ぶプログラムである。 開催期間は2026年12月中旬から2027年2月下旬を予定しており、優勝チームにはシンガポールで各国代表の学生とともにプレゼンテーションに臨む機会が授与される。 生成AI時代における「問いを立てる力」の価値 生成AIの普及に伴い、情報の収集やアイデアの獲得は容易になった。しかし、AIが出力する回答の質はどのような前提や問いを与えるかに大きく左右されるため、提示された課題や情報をうのみにせず、「何が本当に解決すべき課題なのか」を見極める能力が従来以上に重視されている。 同社は約190年にわたる消費財メーカーとしての歴史を通じて、徹底した消費者理解のもと潜在的なニーズを見いだすアプローチを続けてきた。また、多様な背景を持つ人材が協働できるよう、市場や課題に応用可能な再現性の高いビジネスフレームワークを体系化している。 同コンテストでは、このような同社独自の知見をベースに、AI時代におけるビジネスリーダーに求められる「自ら問いを立て、考え、答えを導き出す力」を身につける体験を提供する。 プログラムの特長と得られる学び 参加者は段階的な選考・トレーニングを経て、同社社員による指導やコーチングを受けながらアイデアを精緻化していく。 課題設定トレーニング(2次選考):本質的な課題を見極める「思考の型」を習得する。 プレゼンテーション・トレーニング(2次選考):相手に効果的に伝える手法を学ぶ。 ビジネスフレームワーク学習(ファイナルラウンド):P&Gのマーケティングで用いられる「WHO(誰に)– WHAT(何を)– HOW(どのように)」などの構造化手法を学ぶ。 実践とコーチング(ファイナルラウンド):P&G社員からのフィードバックを通じてビジネスプランを磨き上げる。 経営陣への英語プレゼン(ファイナルラウンド):自ら考案したプランをP&Gジャパン経営陣に対して英語で発表する。 シンガポールラウンド(優勝チーム):海外の学生代表とともにプレゼンテーションを行い、グローバルキャリアを体感する機会を得る。 募集概要および選考スケジュール 応募ページ: https://www.pgcareers.com/jp/ja/pgquest スケジュール一覧 選考フェーズ 日程 実施内容 1次選考 2026年10月29日(木) 募集開始・課題提示 2026年12月16日(水)23:59 応募・課題回答締め切り 2026年12月18日(金) 結果通知・2次選考課題提示 2次選考 2026年12月22日(火)18:00~21:00 説明会・トレーニング(オンライン) 2027年1月12日(火)~14日(木)18:00~21:00 プレゼンテーション(オンライン) 2027年1月15日(金) 結果通知 ファイナル 2027年1月20日(水)18:00~21:00 説明会・トレーニング(オンライン) 2027年2月3日(水)18:00~21:00 中間発表(オンライン) 2027年2月20日(土)12:00~17:00 最終発表・英語プレゼン(対面、東京) 世界大会 2027年3月17日(水)・18日(木) シンガポールラウンド(対面、シンガポール)

  • 市販薬のオーバードーズ対策へ、くすりの適正使用協議会が学習指導要領の改訂を要望

    一般社団法人くすりの適正使用協議会は、文部科学省が実施している「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」に関するパブリック・コメントに対し、医薬品の適正使用に関する教育の一層の充実を求める意見を提出した。近年深刻化している若年層のオーバードーズ(薬物乱用)問題を踏まえ、実態に即した教育体制の早急な見直しが求められている。 背景にある深刻なオーバードーズ問題 現在、小学生を含む若年層の間で、市販薬などを過剰摂取する「オーバードーズ」が社会問題となっている。精神科で治療を受けた10代患者に関する調査では、市販薬を主たる薬物とする患者が急増し、2024年には71.5%に達している。この割合は大麻や覚せい剤などの違法薬物を大きく上回っており、処方薬の乱用や小学生を含む低年齢化も大きな懸念材料となっている。 しかし、現行の学習指導要領における「薬物乱用」の項目では、有機溶剤(シンナー)や覚せい剤などが中心に扱われており、医薬品は対象に含まれていない。同協議会は、この現状が時代の変化を十分に反映していないと指摘している。 協議会が提出した2つの主な要望 同協議会は、児童生徒が発達段階に応じて医薬品の適正使用と乱用防止を学べるよう、次期学習指導要領に対して以下の2点を求めている。 「薬物乱用」に関する内容への明記 小・中・高等学校の学習指導要領における「薬物乱用」の項目に、医薬品の乱用に関する記載を明記すること。医薬品も目的外に不適切に使用すれば健康を損なうという認識を共有する必要がある。 小学校段階からの基礎的な内容の追加 小学校の学習指導要領に、医薬品の役割と正しい使い方に関する基礎的内容を追加すること。 適正使用の理解と「切れ目ない教育」の必要性 単に「医薬品の乱用」を教えるだけでは、子供たちが違法薬物と医薬品を混同し、医薬品を過度に恐れて治療や予防の機会を失うおそれがある。医薬品は本来、正しく使うことで健康な生活や病気の治療・予防を支える重要な存在である。 そのため、用法の遵守や他人に譲渡しないことといった「適正使用の基礎」を乱用防止教育の前に学ぶことが不可欠である。さらに、こうした教育の実施にあたっては、学校薬剤師と教員が連携し、専門的知見を生かした発達段階に応じた実践的な学びにつなげることが重要視されている。 同協議会は、規制や対策の強化にとどまらず、子供たちが医薬品を正しく理解し、自ら適切に判断できる力を育むことこそが根本的な解決につながるとして、次期学習指導要領の改訂に大きな期待を寄せている。

  • 【薬師のことのは|ほうかご】基礎実習って、やる意味あるの?

    皆さんは、薬学部に入学して早々、1~3年生の間に基礎実習を経験することと思います。学校によって時期や名称は異なりますが、化学・生物・物理系の基礎実験を一通り経験しますよね。薬学生とお話をし、「基礎実習をやる意味」について疑問に思われている方々がいらっしゃいましたので、今回はその答えを紐解いていこうと思います。毎日1限目から出席し、やっと授業が終わったと思ったら、夕方は基礎実習。実習が終われば外は真っ暗。他学部の同級生を見てうらやましくなるお気持ちもよく分かります。当時、私も「全然大学生っぽいことしてないな」と、毎日の暗い帰り道で思っていました。なぜ、薬学部では基礎実習が行われるのでしょう。 少し堅苦しい話になるかもしれませんが、まず、文部科学省より策定された『薬学教育モデル・コア・カリキュラム』についてお話をします。医療を取り巻く社会構造の変化が著しいことは、皆さんも身近に感じられていることでしょう。多様な時代の変化に柔軟に対応し、社会のニーズに応える医療人の養成が必須となってきています。そのため、医学・歯学・薬学で共通して求められる資質・能力を整理し、3領域の連携を意識した教育内容へとカリキュラムが改訂されました。つまり、「未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人」が必要とされているわけです。医療や社会が変化しても、自ら考え、多職種と連携して判断できる薬剤師になりましょうということですね。その判断の土台に、「基礎薬学」が必要になってきます。この土台が、医療薬学・衛生薬学・臨床薬学・薬学研究につながります。コアカリにおいても、基礎薬学をこれらの領域の「科学的根幹」としています。その基礎薬学を、実際に使って確かめる場が、皆さんが行っている「基礎実習」です。講義で覚えた知識を、観察・測定・分析などによって目の前の実物と結び付けていくのです。例えば、吸光度やクロマトグラフィーなど、実際に見たり触ったりして、やっと理解が深まることを実感した方も多いのではないでしょうか。さらに、基礎実習では、単に操作をして終わりではありませんよね。得られたデータの意味を考えたり、結果が正しいのか疑ったり、なぜうまくいかなかったのか分析したりしますよね。それが先述しました、自ら考え、根拠をもって柔軟に対応・判断ができる力を養う準備になるわけです。つまり、基礎実習では、単に実験をするのではなく、①講義で学んだ知識を実際の現象と結びつけること②観察・測定・分析などの基本的な技能を身につけること③得られた結果を解釈し、根拠をもって判断する力を養うこと―を意識していただきたいです。知識があるだけの薬剤師ではなく、その知識を使って考え、判断できる薬剤師。変わりゆく時代に置いてきぼりにならない薬剤師を目指したいですね。 とはいえ、国試には関係ないよね?薬剤師になって、この知識は使わないのでは?と思われる方もいるでしょう。ここではっきりとお伝えしたいのは、実習で実際に見たり触ったりしたことは、何年たっても記憶に残るということです。私自身がそうです。卒後何年も覚えています。国試勉強の際にも、実習で得た具体的なイメージが理解や記憶を助けてくれるのです。もし基礎実習を疎かにし、国試の勉強をする際に、問題文を読むだけで吸光度測定の具体的なイメージがつくでしょうか?基礎実習を終えてしまえば、研究室や仕事で同様の実験をできる環境がない限りは、実験をしたくても身近にできる場所はありません。実際に実習をしている期間にはなかなか気が付かないとは思いますが、基礎実習というものは、非常に貴重な場なのです。 もし、1~3年生の方で、基礎実習の時間が億劫な方がいらっしゃいましたら、今その瞬間がかけがえのない時間であり、必ず今後の土台となり自身の助けとなるのだと信じていただければと思います。そして、一緒に実習を乗り越えた班のメンバーやペアとも、強い絆が生まれ、卒業まで助け合える仲間となるでしょう。また、4年生以降で、無事に基礎実習を終えられた皆さん、お疲れ様でした。無意識のうちに基礎実習でやった経験が皆さんの記憶に定着し、今後の勉強で「あれだ!」と思える瞬間があることを楽しみに、実務実習や試験勉強に取り組まれてくださいね。 プロフィール しほ:薬剤師。一児の母。薬学の専門性に加え、英語学習にも挑戦。AI時代だからこそ、自身の「生の声」で伝えることを大切にし、ポッドキャストやブログを通じて健康・育児・学習の記録を多角的・多層的に発信している。【note】https://note.com/kusushi_kotonoha

  • 未病から介護まで地域を支える!ハックドラッグ戸塚店のリニューアルと次世代型店舗の全貌

    島田氏 ウエルシア薬局株式会社は、2026年10月24日に神奈川県横浜市にある「ハックドラッグ戸塚店」をリニューアルオープンさせた。同店は、ウエルシアが2030年に向けて掲げる「地域No.1の健康ステーション」の実現に向け、未病、予防、治療、介護のすべてのライフステージにおいて地域住民に寄り添う大型フラッグシップ店舗として位置づけられている。 執行役員新業態開発本部長の島田諭氏は「今回は約600坪という十分な売場面積を生かし、これらを1店舗に融合させたハイブリッド型店舗としてオープンに至りました。ウエルシアがこれまで取り組んできた要素をすべて詰め込んだ、当社初となるフラッグシップ店舗です」と、その先進的な意義を語っている。 次世代型店舗における「ハイブリッド」とは 同店舗の最大の特徴である「ハイブリッド」とは、これまで個別に展開されることの多かった複数の異なる業態や機能を、一つの店舗内に組み合わせて一体的に展開する出店モデルを指す。 具体的には、食品の品揃えを大幅に強化した「ドラッグ&フード業態」と、専門職による包括的なヘルスケアサービスを提供する「ヘルスケア&ウェルネス業態」の要素を融合させている。これにより、従来のドラッグストアの枠を超えた相乗効果を生み出し、地域の多様な買い物ニーズや健康・生活課題を一つの店舗で包括的に解決することを目指している。 ドラッグ&フードの強化による利便性の向上 公式キャラクター  うえたん 同店は、ドラッグ&フード戦略に基づく食品強化型店舗の59店舗目として展開されている。店内では、イオントップバリュの商品やイオンの仕入れ・物流ノウハウを最大限に活用し、惣菜や弁当、日配品(毎日店舗に配送される賞味期限が比較的短い食品)、冷凍食品などの品揃えが大幅に充実している。 特に日配品においては、牛乳やヨーグルト、ハムといった洋風の冷蔵食品である「洋日配」から、豆腐や納豆、練り物、うどんなどの和風の冷蔵食品である「和日配」まで、日々の食卓に欠かせない商品が幅広く揃えられている。生鮮食品を過剰に追求するのではなく、カット野菜や惣菜といった中食・内食需要に特化したラインナップに絞ることで、生活者が日常的に高い頻度で利用できる環境を整えており、地域のスーパーマーケットとも十分に渡り合える品揃えを実現している。 こうした食品の充実を通じて生活者の来店頻度を高め、ヘルスケアやビューティケア商品、さらには調剤薬局の利用機会の創出につなげていく。 包括的ヘルスケアサービス「Care Capsule」の展開 包括的なヘルスケアサービスを提供する機能として、「Care Capsule(ケアカプセル)」が導入されている。先行して導入されたウエルシア松本渚店(2025年9月リニューアル)などの実績と同様に、従来は分離していた物販エリアと調剤エリアの間にカウンターを設け、薬剤師、管理栄養士、登録販売者などの専門職が一体となって生活者の健康相談に機能的に対応している。 店舗内では、糖化度測定、野菜摂取度測定、体組成測定などの無料の健康測定が提供されている。また、検体測定、認知機能測定、口腔衛生状態測定、視機能測定などの有料の測定・相談サービスも用意されている。さらに、専用スマートフォンアプリに記録された体重や血圧、歩数、毎日の食事内容などの「ライフログデータ」を活用した有料の栄養相談サービスも実施されている。管理栄養士が一人ひとりのデータに基づいて個別のアドバイスを行う仕組みとなっており、ダイエットサポートコース、健康診断対策サポートコース、生活習慣病改善サポートコースなどが用意されている。 さらに「Care Capsule」および店舗全体の大きな強みとなっているのが、店舗の店長に薬剤師が就任している点である。薬剤師が常に店長として店舗業務や管理に携わっているため、一般的なドラッグストアでは薬剤師不在の時間帯に購入が制限されがちな「要指導医薬品」や「第1類医薬品」についても、朝早くから夜遅くの営業時間帯を通じて安心して購入できる体制が整えられている。地域のプライマリケアサービスの一翼を担いながら、住民の健康増進を包括的にサポートしている。 「キャン・ドゥ」の導入による雑貨の拡充 店舗内には、100円ショップ「キャン・ドゥ」の売り場が新設された。ウエルシアの通常商品ではカバーしきれない文具、食器、収納、ホームセンター商品、季節商品などを取り入れることで、生活雑貨の選択肢を大きく広げている。これにより、生活者の来店目的を増やし、さらなる集客力の向上を図っている。 居宅介護支援の相談窓口の設置 2025年7月に1号店として開設されたウエルシア日立本宮店に続き、戸塚店においても専任のケアマネジャーが常駐する「居宅介護支援の相談窓口」の設置が予定されている。この窓口では、薬剤師や管理栄養士と密に連携を取りながら、医療と介護の連携、介護予防、現役世代の介護負担軽減に関する相談に対応し、ケアプラン(介護サービス計画書)の策定などを通じて地域住民の自立した日常生活を総合的にサポートする。 また組織体制として、店長が上司となりその部下にケアマネジャーが入る形をとっているのも特徴である。店舗内に専門職が常駐することで、薬剤師やスタッフなど他の従業員も介護に関する知識を日常的に学ぶことができ、店舗全体に介護の意識や機能が浸透していくという独自の強みを生み出している。 買い物から専門的な医療・健康相談、さらには介護の支援までを1店舗で網羅するハックドラッグ戸塚店は、地域住民のあらゆるライフステージに寄り添う新たな拠点として、今後のドラッグストアのあり方を示す先進的なモデルとなっていくに違いない。 ●ハックドラッグ戸塚店の概要 店舗スタッフ数:47人 登録販売者12人、薬剤師6人、管理栄養士1人、ケアマネジャー1任 営業時間 店舗:8:00〜22:00年中無休 調剤:9:00~19:00 月~金    10:00~19:00土、日、祝休  年末年始等一部変更することがあります。

  • 医療人に必要なのは「共感する心」――城西大学が20年続ける患者・医師参加型薬学教育

    左から青木晴美氏、中島宏昭氏 城西大学薬学部は2026年10月21日、1年生を対象としたフレッシュマンセミナー「患者の気持ち」を実施した。授業は、薬剤師養成課程が6年制へと移行した2006年から20年間にわたり継続している教育プログラムである。当日は、患者による講演や学生のグループディスカッション、医師による講演が盛り込まれた。医療の高度化が進み、多職種連携の重要性が増すなか、薬の専門知識だけでなく、患者の不安や希望に寄り添う人間性を兼ね備えた薬剤師の育成を目指している。 今回の特別授業では、41年間にわたりがんと向き合ってきた青木晴美氏と、昭和医科大学客員教授の中島宏昭氏が講師を務め、患者と医師というそれぞれの立場からこれからの薬剤師に求められる心構えを語った。 言葉にならない思いに寄り添う――患者の体験談 子宮がんや乳がん、肺への転移を経験した青木氏は、治療に伴う身体的苦痛に加え、家族に心配をかけまいと病状を詳しく尋ねられなかった当時の心理を明かした。患者が抱える不安は、必ずしも言葉として医療者に伝えられるわけではない。青木氏の訴えは、患者の発する言葉の背景にある感情や生活にまで目を向ける重要性を学生たちに強く印象づけた。 講演の締めくくりとして青木氏は「患者さんには薬剤師さんの力が必要です」と述べ、専門知識と深い理解力を併せ持つ薬剤師への大きな期待を寄せた。 医師が語る薬剤師への期待と心理的距離 中島氏は、医療現場における薬剤師の主体的な役割について議論を展開した。中島氏は「お願いですから臨床の現場に出てきてください。知識と技術で医師を助け、患者さんを助けてください」と呼びかけ、医師と薬剤師が互いの専門性を生かして最善の治療を模索することが、日本の医療の質を高める鍵であると訴えた。 また、講義中には学生1人を壇上に招き、周囲からの視線を一身に浴びる体験を通じて患者の心理を疑似体験させる一幕もあった。学生が漏らした「怖いです」という一言に対し、中島氏は「これが患者さんの気持ちなんです」と応じた。専門知識を持つ医療者だからこそ、患者との間に生じる心理的距離を自覚し、配慮する姿勢が不可欠であることを示した。 共感と科学的判断力の両立を目指して 講演後には「患者や患者家族の思いに応えるために必要なこと」をテーマに、学生によるグループディスカッションが行われた。学生たちからは、患者とともに悩み考える姿勢を重視する意見や、治療への希望を尊重しつつ効果やリスクを正確に説明する力が必要であるといった声が上がった。さらに、医師と専門的な議論を交わせるだけの知識を習得したいという前向きな姿勢も示された。 共感する心と科学的な判断力をどのように両立させるか。6年間の学びのスタート地点において、1年生たちは目指すべき薬剤師像と身につけるべき能力を具体的に再確認した。 20年続く「患者中心」の教育理念 城西大学では2006年以来、患者本人の生の声を聞き、議論を重ねる教育を重視してきた。正しい薬の知識を備えることは言うまでもないが、それを患者一人ひとりの人生や思いに寄り添って生かす力が求められている。同大学は今後も、専門性と人間性を兼ね備え、患者から深く信頼される薬剤師の育成を続けていく方針だ。

  • 「おもろい」で越えていく医療の未来 ~Healthcare Venture KNOT 2026開催

    10月10日、東京・日本橋にて、医療・介護・福祉の関係者が集い社会的インパクトの創出を目指すイベント「Healthcare Venture KNOT 2026」(ヘルスケアベンチャーノット)が開催された。 今年で9回目を迎える年次の催しで、ベンチャーキャピタルの株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズと医療法人社団おうちの診療所が主催している。 医療介護の従事者をはじめヘルスケアスタートアップ、投資家、企業などが一堂に会し、起業家によるピッチコンテストをメインイベントとして、社会課題について討論するトークセッションも行われ、現場の課題とビジネスの知見を結びつける(結ぶ=KNOT)ことで、未来につながる継続的なコラボレーションの起点となることを目指す。今回のテーマとして「未知を結び、"おもろい"で越えていく」と題されているように、繰り広げられたプレゼンや関係者の発言の中にも、合理性だけではなくウェットな感性やユーモアが生む繋がりが垣間見える空間となっていた。 ここでは2つのトークセッションと起業家ピッチコンテストの模様を紹介する。 “KNOT(結び目)”を強くしながら総力戦で知恵を出し合っていくことの重要性 トークセッション①「どうする?医療現場の今」 トークセッション①「どうする?医療現場の今」では、モデレーターを務めた慶應義塾大学特任教授・ハイズ株式会社創業者の裵英洙氏のもと、4名のパネリストが登壇し、それぞれの現場が直面する喫緊の課題と、それに対する実践的な取り組みを発表し、議論が交わされた。 【登壇者】 鉄村信治 医療法人健和会 奈良東病院 理事長、社会福祉法人大和清寿会 理事長 武久敬洋 平成医療福祉グループ 代表 姫野亜紀裕 医療法人八女発心会 姫野病院 理事長 一岡亮大 株式会社クラシテク 代表取締役 モデレーター:裵英洙 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科/健康マネジメント研究科 特任教授、ハイズ株式会社 創業者・取締役 奈良東病院理事長などの要職を務める鉄村信治氏は、有効求人倍率が全国ワースト2位という奈良県の深刻な介護人材不足を背景に挙げ、中長期的な中核人材を育成するための留学生プログラムに注力していると語った。世界唯一の資格である「介護福祉士」のブランド化や質の担保を図り、将来的に母国やグローバルでリーダーとなる人材を増やすことが重要であると強調した。 続いて、平成医療福祉グループ代表の武久敬洋氏は、地方を中心にスタッフ確保が困難になり、病院経営が立ち行かなくなる危機感を訴えた。スタッフが楽しく働ける環境づくりを目指し、資格者間のヒエラルキーをなくすための全員同デザインの制服着用、「先生」と呼ぶ文化の廃止、チームワーク向上のための2泊3日の合宿など、数々の先進的な取り組みを行っていると紹介した。また、認知症病棟の身体拘束ゼロ化など、現場の理解を事前にじっくり待つのではなく、経営者が強い意志を持って「まずやってみる」ことの重要性を説いた。 医療法人八女発心会理事長の姫野亜紀裕氏は、日本のハイコンテキストな文化において、スタッフの納得感や幸福感、愛社精神を高めることの重要性を指摘。経営者の考えやこれまでの決定プロセスを学習したAIエージェントを導入し、トップの分身として職員と対話させることで、個々の職員に組織の文脈やストーリーが行き届く仕組みを作っていると述べた。また、AIのコストパフォーマンスの良さに着目し、先行投資として積極的に活用している姿勢を示した。 株式会社クラシテク代表取締役の一岡亮大氏は、北海道などの広大な地域における深刻な人手不足や、ベテラン医療事務の不在によるレセプト返戻の増加といった現場の課題を挙げた。その解決策として、熟練の医療事務業務をクラウドやAIで補う仕組みを構築したものの、現場で使われなければ意味がないため、誰もが使い慣れているLINEなどのUIに徹底的に寄せることで、導入のハードルを下げてスムーズな稼働を実現したと語りました。 最後に登壇者5名のクロストークでは、日本の医療・介護全体を見据えた方向性として、外国人人材に選ばれるためのキャリア構築支援や、病院特有の閉鎖的な文化を一般的な社会文化へと開いていく必要性が話し合われた。さらに、病院同士の連携だけでなく、病院にサービスや物品を提供する業者同士がコンソーシアムを組み、営業コストを削減してその分を医療現場へ利益還元する仕組みの提案や、複雑化する制度コストを現場が払い続ける構造への問題提起など、多角的な議論が展開された。人手不足や社会保障費抑制という高い壁に対し、非医療と医療、現場と経営、行政とビジネスといった垣根を越え、「KNOT(結び目)」を強くしながら総力戦で知恵を出し合っていくことの重要性が共有され、セッションは締めくくられた。 『病院の当たり前』を問い直し、未知を結んで“おもろく”越える地域医療の未来 トークセッション②「どうする?地域医療の未来」 トークセッション2では、おうちの診療所中野の石井洋介院長がモデレーターを務め、大学病院経営や行政政策、現場の事務長、スタートアップの視点を持つ4名のパネリストが登壇。人口減少や少子高齢化が進む中、これからの地域医療をどう持続可能にし、再編していくかについて多角的な議論が交わされた。 【登壇者】 吉村健佑 千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター センター長・特任教授、慶應義塾大学医学部 医療サステナビリティセンター 特任教授、千葉県健康福祉部医療整備課 医師確保・地域医療推進室 中村洋心 新潟県 福祉保健部長 荒木庸輔 特定医療法人新生病院 常務理事 和泉大志 株式会社ジェイエムインテグラル 代表取締役 モデレーター:石井 洋介 おうちの診療所中野 院長、株式会社omniheal 代表取締役 冒頭、千葉大学の吉村健佑氏は、医療を考える三要素である「コスト」「アクセス」「質」のバランスを取りながら、労働時間の短縮や医療資源の効率化・集約を進める必要性を指摘。 また、新潟県に出向中で小児科医でもある中村洋心氏は、初期研修医向けに地域の課題解決や組織運営を学ぶ「イノベーター育成臨床研修コース」の取り組みを紹介し、上越地域などにおける病院機能の再編や一体的運営を進めている現状を語った。 特定医療法人新生病院の荒木庸輔氏は、長野県信濃町という高齢化が進む地域において「病院の当たり前を問い直す」実践を行っていると述べ、急性期から高齢者中心の「ケア」を中心としたモデルへとシフトし、事務職も含めたすべての職種がケアする人として役割を再定義していく重要性を強調した。 株式会社ジェイエムインテグラル代表の和泉大志氏は、医師としてのキャリアや遠隔医療・オンライン診療の現場での経験を踏まえ、法的な整備が進む一方で、地方における実際の利活用にはまだ課題があることや、今後はテクノロジーを活用した広域的な医療維持の仕組みが必要であると訴えた。 後半のディスカッションでは、医師の確保やマネジメント、医療機能の集約に対する住民の合意形成の難しさが議論された。単にマクロなデータや効率性を示すだけでは住民の納得を得ることは難しく、オンライン診療の活用などによって地域の医療機能をむしろ拡充・維持できるという見せ方や、見えない医療の質やプロセスを見える化して丁寧に説明していくアプローチが不可欠であると意見が一致した。 最後に登壇者からは、現状維持バイアスを乗り越えて新しい変化を主体的に起こしていくことの重要性や、自分たちの医療やケアに対する信頼と誇りを持つこと、そしてAIやフィジカルテクノロジーなどの進化を見据えつつ、人と人とのつながりを諦めずに地域医療の未来を切り拓いていこうという強い決意が語られ、セッションが締めくくられた。 社会課題にディープダイブした起業家5名による渾身のビジネスプラン発表 そしてメインイベントとなる「Knot Program インパクト起業家ピッチコンテスト」では、今回5名がビジネスプランを発表した。5名とも5カ月にわたる事前プログラムで講義とメンタリングを受け、実際に医療現場でのフィールドワークを経て課題の抽出を行いエントリーに至っている。プレゼンに対しては審査員が5名、多角的な審査項目により厳しくも的確な審査を行った。 【審査員】 片桐大輔 千葉大学アントレプレナーシップセンター 教授 瀬尾 萌 ゆうちょアセットマネジメント株式会社 地域・インパクト投資部 ディレクター 天辰優太 平成医療福祉グループ 副代表 榎並将志 株式会社笑美面 代表取締役社長 黄 春梅 インパクト・キャピタル株式会社 代表取締役 「地域に眠る医療資源を、必要な人へ」 守安 巧(国際医療福祉大学 医学部医学科) 医学部在学中の守安巧氏は、中村哲医師の「目の前の人を救うために医療の手段にとらわれない」姿勢に感銘を受け起業に挑戦。熱中症死者数の増加など、高齢者が地域の医療・介護インフラに接続できていない構造的課題に着目している。 その接続の要である地域包括支援センターの現場が求める「ネクストアクションの可視化」を実現するタスク管理データベースを開発。さらに電話相談の音声自動文字起こし・タスク抽出機能を併せて業務効率化を目指すと発表した。 審査員からは、「20歳とは思えない強い思いがあり、現場を回ってプロダクトを磨き上げる姿勢が素晴らしい」(黄氏)、「熱中症の課題解決に包括支援センターを選ぶアプローチのセンスが良い」(天辰氏)と評価された。 介護現場とテクノロジーの間を埋める実装支援『ラストワンマイル』 臼居 航(筑波大学 理工学群 社会工学類) 筑波大学の臼井航氏は、介護現場と最先端テクノロジーの間に存在するギャップを埋める実装支援「ラストワンマイル」を発表した。多種多様なシステムやDXツールが存在する一方で、現場では依然として紙や手作業による非効率な管理が残っており、職員の負担となっている。そこで同氏は外部のDXチームとして現場に深く入り込み、対話と伴走を通じて業務の自動化や成功体験を創出し、現場の行動変容を促している。 審査員からは、「泥臭く現場に入り込む姿勢と熱意が素晴らしい」等と評価された。 親とのあいだに、もう一人。離れて暮らす親と家族が楽しみながらゆるくつながれる『BabuuTalk』 堀田一希(株式会社BabuuTalk 取締役) 堀田一希氏は、離れて暮らす高齢の親と家族が楽しみながらゆるくつながれるコミュニケーションサービス「BabuuTalk(バブートーク)」を発表した。従来の高齢者監視・見守りツールとは異なり、AI生成の赤ちゃんキャラクター「バブーちゃん」が家族と親の間に入り、関西弁で日常の音声やテキストの問いかけを代行する。親御さんはタブレットを置くだけで操作不要、家族はLINEアプリで簡単に利用でき、適度な距離感で負担の少ないコミュニケーションを実現する。 審査員からは、「めちゃくちゃいい」(榎並氏)、「監視のような冷たさがなく、介護現場の視点に基づいたほっとするアプローチ」(天辰氏)との声が掛けられた。 在宅医療専用のAI記録支援・多職種連携ツール「kowairo」 宗 大貴(株式会社医伝士 代表取締役/医師) 宗大貴氏は、在宅医療におけるAI記録支援および多職種連携ツール「kowairo(コワイロ)」を発表した。在宅医療現場では医学的な正しさ以上に患者の価値観(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)の共有が重要だが、多忙を極める訪問看護師や医師の間では十分な情報連携や記録が後回しになりがちである。同ツールは、日々の訪問時の音声をAIが自動で記録・構造化し、患者の価値観や個別情報をACPデータとして多職種間で共有・蓄積することで、患者の意向に沿った一貫したケアの実現をサポートする。 審査員からは、「患者の希望や価値観を可視化するという本質的な課題に対して非常に意義深いアプローチである」等と評価された。 「シングルマザー・子育て女性の就労課題を解決する在宅医療向けBPO・診療アシスタント人材育成事業」 平井大輝(株式会社CLACK 代表取締役) 平井大輝氏は、シングルマザーや子育て女性の就労課題を解決するため、在宅医療向けBPOおよび診療アシスタント人材を育成・派遣する事業を発表した。貧困家庭で育った自身の原体験から、女性やシングルマザーの貧困問題に強い問題意識を持ち、生成AI時代にホワイトカラーの雇用が揺らぐ中、超高齢社会で人手不足が深刻化する在宅医療・訪問診療領域に着目。現場のクリニックが抱える地域連携や事務・人事の負担を、育成した子育て女性チームによるBPOや現地人材派遣を通じて解消することで、クリニックの経営改善と女性の多様な働き方の両立を目指す。 審査員からは、「医療従事者が苦手とする地域連携や営業の代行はニーズが高く非常に良いアイデア(榎並氏)」等の評価をうけた。 以上5名のプレゼンが行われ、厳正な審査の結果「めちゃくちゃいい」と評された「BabuuTalk」の堀田一希氏が最優秀賞を受賞、参加者投票によるオーディエンス賞も合わせて2冠受賞する結果となった。こうしてつつがなくイベントは閉幕した。 >Healthcare Venture KNOT 公式

  • OpenAI、バイオ開発プラットフォーム「Orchestra Bio」を買収 「Rosalind」との統合で創薬プロセスを加速

    OpenAIはこのほど、バイオ医薬品の開発チームが複雑な開発プロセスを連携して進めるためのプラットフォームを提供する「Orchestra Bio」を買収した。同社のチームと技術は、ライフサイエンス研究向けに開発されたOpenAIのAIモデル・ツール群「Rosalind」に統合される。この統合の狙いは、研究者による新たな創薬標的の発見から、それを実際の治療法へとつなげるための業務管理までを一貫して支援し、新薬をより早く患者へ届けることである。 創薬の現状と「10〜15年」の壁 新薬の開発は極めて複雑で長い道のりをたどる。米国での事例をみると、基礎研究による創薬標的の発見から、非臨床試験・臨床試験を経て規制当局の承認に至るまで、平均でおよそ10〜15年もの歳月を要する。 この長期化の原因は、実験などの科学的なハードルだけではない。創薬・開発の現場では、研究・開発・治験・製造といった社内の多部門や、外部パートナーと連携しながら膨大な開発計画を調整・管理する必要がある。しかし、従来の現場では互いに連携していない別々のシステムに頼ることも少なくなく、情報共有や進捗管理の不効率さが遅延の一因となっていた。現在、AI技術の進化により、こうした専門性の高いタスクや複雑なワークフローの一端をAIが担える大きな転換点を迎えている。 Rosalindと rchestra の統合によるシナジー 今回統合される2つのプラットフォームは、それぞれ異なる得意分野を持っている。 まず「Rosalind」は、ライフサイエンス領域の研究者を直接サポートする基盤である。その核となるモデル「GPT-Rosalind」は、生物学や化学の複雑な課題について科学者が推論を進めるのを支援する役割を担う。さらに「Rosalind Workbench」は、これらのAI機能を実験ツールやバイオデータと結びつけることで、研究者による実験結果の分析や次の実験計画の立案を支えている。 一方の「Orchestra」は、バイオテクノロジー、ソフトウェア、AI分野の専門家が集まり、医薬品開発に関わるチーム全体の連携や進捗調整に特化して構築されたプラットフォームである。両者の統合により、科学的な分析や推論で得られた知見を、開発を進めるための試験設計、意思決定、次の行動へとスムーズにつなげるAIエージェントの構築が進められている。 現場の業務に即したAIエージェントの設計 Orchestra Bioは、人間とAIエージェントが協調して医薬品開発計画を進めるためのプラットフォームである。科学者や開発プロジェクトリーダーは、試験の進捗状況のモニタリングや定期的な管理業務をエージェントに任せることで、業務の指揮や意思決定、遅延につながる前の問題への対処に時間を充てることが可能になる。 医薬品開発計画の一部で生じた問題は、他の多くの工程に波及することがある。例えば、同じ原料や条件で一括製造される治験薬において、成分の含量低下や無菌性の不備といった品質基準から外れる「製造バッチの不良」が発生した場合、それは単なるコストの損失にとどまらない。治験薬そのものが不足して臨床試験の開始や継続がストップし、さらに原薬の手配や品質試験、再製造のライン確保には数か月から半年以上の歳月を要するため、病院での患者登録や治験スケジュール全体に大きなドミノ倒しのような遅延を引き起こすことになる。 OrchestraのAIエージェントは、こうしたトラブルが発生した際に、どの業務やスケジュールに影響が出るかを即座に特定し、関連情報の収集や、複数の対応策の比較を支援する。人間は、その分析結果をもとに的確な次のアクションを迅速に判断できるようになる。 パートナーシップを通じた開発の加速 ライフサイエンス分野でAIの可能性を実現するには、創薬・医薬品開発の最前線にいる組織との緊密な協力が欠かせない。例えばNovo Nordiskとの提携では、強固なガバナンスを維持しながら、同社の事業規模と科学的専門知識を生かし、研究開発と事業展開の迅速化を目指している。また、Modernaとの取り組みにおいては、複雑なデータから得られた知見を実験のワークフローに落とし込む作業をAIが支援しており、研究開発の加速につながる可能性がある。 OpenAIが目指すのは、アイデアの探索、実験の設計、結果の解釈、そして有望な治療法の開発を進めるために必要な業務の調整まで、新薬の創出・開発の全過程でAIが科学者を支える未来である。Orchestra BioとRosalindの統合はそのビジョンの実現に向けた確かな一歩であり、同社は研究者やパートナーと共に、より多くの発見を可能にし、新薬を患者により早く届けることを目指している。

  • 言葉なき家族を救う「薬学」のフロンティア―日本獣医療薬学協議会 代表理事・櫻井浩子さんに聞く、獣医療×薬学の可能性と多職種連携の未来

    (一社)日本薬学生連盟広報部では、一般社団法人日本獣医療薬学協議会で代表理事を務める櫻井浩子さんにお話を伺いました。日本獣医療薬学協議会の活動、獣医療における薬学の役割、動物との向き合い方について語っていただきました。 (取材:東京薬科大学4年 庄司春菜、大阪医科薬科大学5年 塚本有咲、高崎健康福祉大学5年 浅井理沙、金城学院大学3年 柘植風果、金城学院大学3年 渡辺あけみ) なぜ今「獣医療×薬学」なのか? 専門職の垣根を越えたプラットフォーム設立の背景 ―一般社団法人日本獣医療薬学協議会を設立したきっかけを教えてください。 近年、伴侶動物(ペット)は単なる「飼い犬・飼い猫」を超え、家族の一員としての存在感を強めています。それに伴い、獣医療の高度化・細分化が進み、高齢化する動物たちの慢性疾患管理など、薬物療法の重要性が急速に増してきました。しかし、獣医療の現場では、獣医師が診察・診断から調剤、服薬指導までを一手に担うケースが多く、医薬品管理や安全対策に関する負担が非常に大きいのが実情です。 一方で、薬剤師はヒト医療において薬の専門家として活躍しているものの、獣医療や動物用医薬品に関する教育を受ける機会が限られており、連携のハードルが存在していました。 獣医師、愛玩動物看護師、そして薬剤師という異なる専門職が垣根を越えて連携(多職種協働)し、薬物療法の安全性向上や動物福祉(アニマルウェルフェア)の推進に寄与するプラットフォームが必要であると考え、当協議会を設立いたしました。 ―日本獣医療薬学協議会では、どのような活動を行っていますか。 主な活動として、以下の柱を中心に展開しています。 多職種連携の推進・学術活動:獣医師、愛玩動物看護師、薬剤師が集うフォーラムやシンポジウム、セミナーなどを開催し、最新の学術的知見を共有・議論する場をつくっています。 教育・啓発活動:薬剤師向けに、動物の解剖・生理・薬物動態、服薬支援などについて学べるeラーニング講座を提供しています。 認定資格制度の運用:獣医療と薬学をつなぐ専門的な知識・技能を担保するため、認定教育プログラムおよび資格付与の仕組みづくりを進めています。将来的には「認定動物薬剤師」の創設を目指しています。 ―獣医療に関心はあるものの、知識や接点がないと感じている薬学生や薬剤師に向けて、どのようなサポートや学びの場を用意していますか。 当協議会では、「何から学べばよいか分からない」という初心者の方でも無理なく学べるステップを用意しています。基礎的な動物の薬理・薬物動態を学べる入門的なeラーニング講座やセミナー・フォーラムの開催に加え、基礎知識をまとめた書籍の刊行やWebコラムの連載も行っています。 「動物医療」と「薬物療法」の実際 ―人間と動物で薬物動態や使用量がどのように違い、どのように判断していますか。また、薬物治療のデータがない動物への対応はどのように決定していますか。 動物種によって、代謝経路や酵素活性、受容体の分布が大きく異なります。代表例として、猫はグルクロン酸抱合能が極めて低いため、ヒト用の解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンが重篤な中毒を引き起こします。また、犬においてもイベルメクチン感受性(コリー系などのMDR1遺伝子変異)をはじめとする種特有の代謝特性があります。そのため、単純に体重換算(体重あたりの投与量)だけでヒトの薬を流用することは非常に危険です。 基本的には、動物用医薬品として承認されている用量・用法、あるいは獣医学的なエビデンス(獣医学術論文や海外の薬用量ハンドブックなど)に基づいて判断します。データが乏しい動物種やエキゾチックアニマル(犬、猫以外の動物)などへの対応では、系統分類学的に近い動物種での知見や類似化合物の動態、解剖・生理学的特徴を慎重に精査します。そのうえで、リスク・ベネフィットを飼い主様へ十分に説明し、最小有効量からの漸増投与や綿密なモニタリング(血液検査、臨床症状の観察)を行って判断します。 ―動物は会話ができませんが、どのように自覚症状を把握し、QOL(生活の質)の改善につなげていきますか。 動物は言葉を発しない代わりに、姿勢、表情、歩行、食欲、飲水量、排泄状態、そして「日々のちょっとした仕草の変化」を通じて状態を伝えてくれています。QOLの改善において最も重要なパートナーは、動物の日常を最もよく観察している飼い主様です。ペインスコア(痛みの評価基準)やQOL評価スケールを活用しながら、飼い主様からの丁寧な聞き取り(「以前と比べて段差を嫌がらないか」「毛づくろいの頻度はどうか」など)と、身体診察・各種検査数値を総合的に照らし合わせます。単に「病気の数値を治す」だけでなく、「その子が苦痛なく、家族と穏やかに過ごせているか」を共通のゴールとして治療を組み立てます。 ―動物を相手にする仕事において、人間を相手にする仕事とは「ここが違う」、あるいは特に気をつけていることはありますか。 大きく2点あります。 第1に、「患者本人」と「意思決定者・投薬実行者(飼い主様)」が分かれている点です。動物に対するどんなに優れた治療方針も、飼い主様の理解や生活リズム、経済状況、そして「その子に上手に薬を飲ませられるか(投薬の容易さ)」に合致していなければ成立しません。治療の成功には、飼い主様との強固な信頼関係とコミュニケーションが不可欠です。また、場合によっては安楽死という選択肢が提示されることも、人間の医療とは大きく異なる点です。 第2に、動物にとって病院は恐怖や緊張の場になりやすい点です。ストレスを最小限に抑えるためのハンドリング(Fear Freeの理念など)に配慮し、診察時のバイタルサインや検査結果が「緊張や興奮によるもの」なのか「真の異常」なのかを慎重に見極める必要があります。 ―動物実験の規制や条件が厳しくなってきている印象があります。人間の治療に対する研究において動物実験は不可欠とされますが、どこまで実施してよいと考えますか。 現代の医学・薬学研究における動物実験の根幹は、世界共通の倫理原則である「3R(Replacement:代替法の利用、Reduction:使用動物数の削減、Refinement:苦痛の軽減)」の徹底に尽きます。 ヒトや他の動物の生命を救う医薬品の開発において、現在の科学技術では、生体全体の複雑な生体反応・毒性を予測するために動物実験を完全になくすことが難しい場面もあります。 しかし、「目的のために動物をいくら使ってもよい」という時代は過去のものです。実施の許容範囲は、「他に代替手段(iPS細胞、オルガノイド、コンピューターシミュレーションなど)がどうしても存在せず、その研究がもたらす生命・健康への貢献が真に正当化される最小限の範囲」に限られるべきです。 また、実施にあたっては適正な倫理審査委員会の承認を経て、麻酔・鎮痛の適切な処置や安楽死基準の人道的な設定など、動物福祉への配慮が厳密に守られていることが前提条件となります。 ―獣医師が薬剤師に求める役割やスキルは何でしょうか。 動物用医薬品だけでなく、ヒト用医薬品の獣医療現場での適応外使用が増えている中、「高度な薬物動態学・相互作用の知識」と「剤形加工や調剤の専門的知見」です。 例えば、「ヒト用の錠剤が大きすぎて猫に飲ませられない場合の粉砕・分包や懸濁化の可否」「賦形剤に動物にとって有害な物質(キシリトールなど)が含まれていないかの確認」「複数薬の配合変化や併用リスクのチェック」など、薬剤師ならではの視点による提案や疑義照会は、非常に心強い支援となります。 さらに、動物の生理・代謝の特殊性を学ぼうとする柔軟な姿勢と、獣医師や愛玩動物看護師、飼い主様の立場を尊重して対話できる協調性・コミュニケーションスキルを強く求めています。 言葉なき家族の幸せを守る――未来を切りひらく薬学生へのメッセージ ―これから動物の医療に関わりたいと考えている薬学生に対して、まず何をすることを勧めますか。 まずは、ヒトと動物の「生体・生理・代謝の違い」に興味を持つことから始めてみてください。大学の薬学カリキュラムで学ぶ薬理学や生化学、薬物動態学の知識は、動物医療を理解するための強固な土台になります。「この薬はヒトではグルクロン酸抱合されるが、猫ではどうなるのか?」「犬とヒトで消化管構造やpH、通過時間はどう違うのか?」といった視点を持つだけで、動物医療の見え方が大きく変わります。 また、当協議会が開催するセミナーやフォーラムへの参加、関連書籍の購読などを通じて、獣医療現場で今どのような課題が生じているのかを知り、アンテナを広げてみることをおすすめします。 ―獣医療×薬学に関心を抱いている薬学生へ、メッセージをお願いします。 動物医療における薬物療法は、これまで獣医師が診療の合間を縫って担ってきた領域であり、薬の真のスペシャリストである薬剤師の力が最も切望されているフロンティアの一つです。 皆さんが学んでいる薬学の専門知識は、人間の命を救うだけでなく、言葉を話せない動物たちを苦痛から守り、その動物を家族として愛する飼い主様の笑顔と幸せを守る大きな力になります。獣医療と薬学の架け橋となり、多職種と手を取り合って新しい医療の形を切り拓いていく、熱意ある皆さんのチャレンジを心から応援しています。 ・一般社団法人日本獣医療薬学協議会 https://jvpsc.or.jp/ ●獣医療薬学フォーラム2026 ・開催日:2026年11月28日(土)18時~(17時半受付開始) ・開催地:KAITEKI CAFE  東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル1階) ・会費:会員6,000円、非会員8,000円 一般社団法人日本獣医療薬学協議会事務局 〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-14-4 直平ビル2F E-mail:info@jvpsc.or.jp

  • 「薬剤師よ、強くなれ!」日本全国で相互に研鑽しあう薬局グループが集結~マワレフェス2026開催

    10月3日、福岡市天神のライブハウスを会場に、全国各地で地域に密着した経営を行う薬局9社が合同で、それぞれの経営特長や取り組みを共有するイベント「マワレフェス2026in福岡」が開催された。 主催する9社は「マワレ」という名称の人材研修プログラムで連携しており、参画している企業間で相互に人材を出向させ、他社の薬局の現場で学ぶ「在籍型出向」を行っている。 マワレの立ち上げ時は、さど調剤グループ(新潟・佐渡島)、メタルファーマシー(京都・大阪・滋賀)、会喜地域薬局グループ(福島)の3社が運営コアメンバーとして始まり、現在は9社に拡大して活動は全国規模になってきている。マワレフェスも2023年に東京で初開催されてから毎年恒例のイベントとなっており、4回目を迎える今年は初めて福岡で行われることとなった。 イベントには薬局関係者をはじめ、多様な経営スタイルの薬局に関心をもつ薬学生も参加した。プログラムでは9社の経営者についてクイズ形式で解き明かして人物像にせまるエピソードクイズや、マワレにより他社の薬局に出向した社員が体験を語る成果報告会のほか、「マワレミライ会議」と題した参加型ディスカッションでは、「AI時代に選ばれる薬剤師とは?」「会社の垣根を越えてさらにできることは何か?」をテーマに議論が交わされた。 またフェスという名称の通り、プログラムの終盤には薬剤師バンドによる熱いステージが繰り広げられ、閉会後の懇親会も含めて熱気あふれる一日となった。 参加した薬学生からは、「経営者の方々はじめ色々な薬剤師の声を聞けたのは貴重な経験」「参加者全員が薬局業界をより良くしたいという向上心激高でとても楽しい空間だった」といった声をはじめ、マワレの仕組みについても、「他の薬局を知ることで視野を拡げられるほか、異なる経営者や薬剤師の考えを実務に取り入れて業務改善につなげられる可能性を感じた」といった感想が寄せられた。 【マワレフェス参加薬局】 > 会喜地域薬局グループ  > アストリアホールディングス株式会社  > 有限会社郡茂薬局  > さど調剤グループ  > サンカンパニー株式会社  > 株式会社中央薬局  > 株式会社ふぁるめど  > 株式会社メタルファーマシー  > 株式会社メディカルリンク  (50音順)

  • 緊急避妊薬(アフターピル)「ノルレボ®」OTC承認から1年──第一三共ヘルスケア、市販化の歩みやFAQをまとめたブランドサイト新コンテンツを公開

    「ノルレボ®」ブランドサイト(画像イメージ): https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_norlevo/ 第一三共ヘルスケア株式会社は、日本初のOTC緊急避妊薬(要指導医薬品)である「ノルレボ®」がスイッチOTC承認を取得してから1周年を迎えるにあたり、同製品のブランドサイトにて新たな啓発コンテンツの公開を開始した。 今回追加されたのは、「緊急避妊薬『ノルレボ®』とは」および「ヒストリー」の2コンテンツ。あわせて、店頭や問い合わせ窓口に多く寄せられる服用のタイミングや購入方法などの不安・疑問に応える「よくある疑問(FAQ)」をまとめ、正しい知識の普及と適正使用の推進を図っている。 日本初の市販化から1年、取扱薬局は全国約1万8,000カ所に拡大 緊急避妊薬は、避妊の失敗や未実施の性交後に、予期せぬ妊娠を防ぐための緊急的な手段だ。日本では2011年に医療用医薬品「ノルレボ®錠0.75mg」が初めて承認され、その後、約14年の歳月を経て2025年10月にOTC化(処方箋なしでの販売)が承認。2026年2月より全国の薬局店頭での販売がスタートした。 現在、取り扱い店舗は全国で約1万8,000カ所にまで拡大しており、緊急避妊薬へのアクセスや社会的な理解は大きく前進している。一方で、実際の服用のタイミングや効果、中絶薬との違いについての疑問や不安の声は現在も少なくない。 「市民プロジェクト」とともに振り返る市販化までの歩み 公開された「ヒストリー」では、1999年にフランスで承認されて以降、海外でOTC化が進む中、日本国内で慎重な議論が重ねられてきた経過が整理されている。 2020年からは民間の「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」が中心となり、18万筆を超える署名を集めるなど生活者からの要望が高まった。その後、厚生労働省による試行事業などを経て、安全管理や薬剤師研修の実施、店頭での面前服用ルールといった厳格な運用体制のもとで市販化が実現した。 「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」共同代表の染矢明日香氏は、「取り扱いが広がり、自分の身体や妊娠について自ら選択する権利への理解が深まってきたことは大きな前進。今後も必要なすべての人が安心して入手できる環境づくりを進めていきたい」とコメントしている。 知っておきたい「ノルレボ®」の基礎知識とよくある疑問 ブランドサイトでは、緊急避妊薬を必要とする当事者が過度な不安を抱えることなく適切な判断を下せるよう、店頭や問い合わせ窓口へ寄せられる数々の疑問を解説している。 主なものとして、まずノルレボ®がどのような仕組みの薬であり人工妊娠中絶薬と何が異なるのかという根本的な問いや、予期せぬ妊娠を防ぐために性交後どのくらいの時間内に服用すべきかというタイミングに関する不安を取り上げている。 また、日頃から経口避妊薬(ピル)を服用している場合や飲み忘れてしまった際でも併用・服用ができるのかといった日常的な避妊法との兼ね合いについての疑問にも答えている。 さらに、一時的にあらわれる吐き気や頭痛などの副作用症状、特に服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合の具体的な対応方法について解説している。 このほか、店頭で購入する際の本人確認や年齢制限の有無、パートナーや親の同意が必要か否か、研修を受けた薬剤師による対面説明や薬局店頭での面前服用といった具体的な販売ルールに関しても詳しく解説している。 同社の調査によると、18〜49歳の女性の約2割が「予期しない妊娠のリスク」を経験したことがあるという。同社は今後も、女性だけでなくパートナーを含めた社会全体への情報発信を通じて、安心して相談・購入できる環境づくりと啓発活動を続けていくとしている。 実務と倫理を担う未来の薬剤師へ 要指導医薬品として運用されるノルレボ®の販売にあたっては、研修の受講だけでなく、面前服用の徹底、プライバシーに配慮した対応、迅速な医療機関との連携体制など、薬剤師に対して非常に高い倫理観とコミュニケーション能力が求められる。また、緊急避妊薬の作用機序や服用制限だけでなく、普段の経口避妊薬(ピル)との併用方法や飲み忘れ時の対応、服薬後のフォローアップに関する知識を正確に把握しておく必要がある。 これから臨床の現場に立つ薬学生には、単に医薬品を調剤・販売する知識にとどまらず、不安や悩みを抱えて薬局を訪れる購入者に寄り添い、安全かつ適切な医療アクセスを提供する医療者としての役割を深く理解することが期待される。

  • 【同窓生集まれ!】立命館大学~先輩から後輩へのメッセージのコピー

    一歩先に社会に出た先輩たちが、就職活動のポイントや仕事への向き合い方などを伝える「誌上OB訪問」のコーナーです。 今回は立命館大学薬学部卒業生の皆さんです。 桑原 唯さん 2026年卒業 クオール薬局 薬局事業第八本部(関西エリア) 私がクオール薬局に入社を希望した理由は、研修制度や外部認定資格制度など、充実した学びの環境が整っていたからです。しっかりとした研修制度のもとで薬剤師としての基礎を身につけ、継続的に学んでいきたいと考えていました。また、店舗見学や就職活動のイベントを通して、社員の皆さまの温かい雰囲気にも魅力を感じ、入社を決めました。 入社後はOJL研修やフォローアップ研修を通して知識を身につけるとともに、周りの先輩方に温かくご指導いただきながら、患者さまへの服薬フォローを行っています。臨床現場と教科書の知識とでは違いがあり、まだまだ慣れない点が多いですが、面薬局で幅広い処方を見ることができるため常に新しい知識を身につけることができる環境です。ぜひ採用イベントに参加し、実際の雰囲気を感じていただければ嬉しいです。 【学生時代の思い出!】 試験期間に友人とキャンパス内で遅くまで勉強したことは大変でしたが、今では一番の思い出です! 嶋 花凜さん 2026年卒業 ココカラファイン 関西エリア(株式会社マツキヨココカラ&カンパニー) 私は、未病の段階から介護まで、地域の方々に長く寄り添える薬剤師になりたいという思いからココカラファインへの入社を決めました。調剤業務にとどまらず、OTC医薬品の相談などを通じて、地域の方々と深く関われることに魅力を感じたためです。 入社後の研修制度は大変充実しており、基礎から丁寧に学べるため安心して業務に取り組めています。配属先の先輩方も温かく、些細な疑問も相談しやすい環境の中で、日々多くのことを学び成長を実感しています。将来は、患者様はもちろん、ご家族の心にも寄り添える薬剤師を目指します。 就職活動中では、ぜひ店舗見学やイベントに参加し、実際の職場の雰囲気を感じてみてください。当社ならではの社員の温かさを実感できるはずです。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています! 【学生時代の思い出!】 研究室で過ごした時間です。信頼できる先生方や仲間との出会いは、私にとって大切な財産です! 金光沙奈さん 2026年卒 スギ薬局 須磨北店 一人の患者様の未病から終末期まで、医療だけでなく生活にも寄り添いたいと考え、トータルヘルスケア戦略を掲げるスギ薬局に入社しました。入社後は新入社員研修に加え、2年目以降も管理職まで続く研修制度があり、集合研修を通じて同期とのつながりを深められる環境が印象的でした。 現在は先輩に教えてもらいながら、調剤業務(監査・服薬指導等)を行っています。また、リクルーターとして学生さんとのイベントや就職活動のサポートにも携わっています。処方薬だけでなく、市販薬や糖尿病の食事など生活に関する相談もあり、頼っていただけることにやりがいを感じています。今後は在宅業務や認定資格の取得にも挑戦し、経験の幅を広げたいです。スギ薬局には、社員の「やりたい!」を応援してくれる環境があります。ぜひイベントでお会いしましょう! 【学生時代の思い出!】 国試前に自習室で勉強した日々です。同期に励まされ、教授に応援していただいたことも、今では大切な思い出です。 > 立命館大学 薬学部

  • 【薬学ゼミナール】第112回薬剤師国家試験に向けての学修のポイント

    <国試の振り返りと近年の傾向> 薬剤師国家試験(国試)の学修のポイントをお伝えする前に、前回までの国試を振り返って傾向を確認しましょう。 国試の合格基準が相対基準になってからの厚生労働省発表合格ラインを比較すると、第108回は235点で最も高く、第109回は210点と最も低く、その差は25点もあります。第111回は213点(正解が3つで採点された問題1問、採点対象から除外となった問題2問を含む)でした。合格ラインは変動幅が大きく、合格基準は相対基準ですから、合格ラインの情報に左右されず、確実に正答できる問題を増やす学修をしましょう。 薬学ゼミナール自己採点システム(薬ゼミレコード)のデータ(第111回国試集計数:10,965名)による正答率60%以上の問題数は第111回で235題(図1)、第110回で240題、第109回で224題、第108回で266題でした。つまり、多くの受験者が正答できる問題(正答率60%以上の問題)で確実に正答できれば、合格ラインを突破できるということです! 国試の既出問題や模擬試験の問題で学修するときは、早い段階では全体を見直し、国試が近づいてきたら正答率60%以上の問題を繰り返し解いて理解することを意識しましょう。特に、必須問題は正答率80%以上の問題が多いため(図1)、問題集などを利用して繰り返し解くことや類似問題で応用力をつけることが重要です(図2)。 図1 第111回薬剤師国家試験(正答率別問題数) 図2 既出問題の解法(正答率60%以上の問題) <検査値をマスターしよう>  近年の国試では、症例・検査値・処方薬などから腎機能や副作用発現など患者個別の状況を読み解き、処方(変更)提案を行う問題が多く出題されています。「個別最適化薬物治療」への薬剤師の積極的関与が求められていることが背景にあると考えられます。  このような問題を正答するためには、血中尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン(Scr)、GFRなどの数値から腎機能が正常か否かを判断して、提案する薬を選択する必要があります。既出問題に頻出の検査項目については、基準値を覚えて、異常が確認できるようにしましょう(表1)。もちろん、検査値を読み取る力は、薬剤師になってからも職能を発揮するために重要です。 表1 実務実習の経験と繋げて学修する検査値の事例 <出題されやすい医薬品や話題>  国試を受験する現役生が実務実習に参加したときに、臨床で頻用されていた医薬品が国試に出題されやすい傾向があります。実務実習で処方される頻度の高かった医薬品や新しい剤形など実習の経験を思い出しながら、国試の学修を進めましょう。これから実務実習に参加する薬学生の皆さんは、学んだ内容を概念的に整理できるようにしましょう。  また、衛生などを中心に、時事的な話題や流行した感染症なども出題されます。日々のニュースでも新しい情報を入手し、気になったことを調べる習慣をつけましょう。 <忘れずにやって欲しいこと> ①国試のタイムスケジュールを把握:国試は2日間、長時間の集中力が必要になります。模擬試験などを活用して、タイムスケジュールを把握しましょう。全体的な時間配分が把握できていれば、国試当日に焦らず受験することができます。 ②苦手範囲の把握と対策:模擬試験を受験した人は個人カルテ(例示:図3)を見直して、苦手範囲を確認しましょう。特に正答率60%以上の問題は、解説書を参考に周辺知識も見直しましょう。 ③国試当日を意識した準備:国試会場に持参する勉強ツールを準備しましょう。普段使っている参考書を全て会場に運ぶのは難しいかもしれません。国試当日に最終確認すべきポイントを意識して、要点をまとめたノート作りや本の活用をしましょう。 図3 模擬試験(個人カルテ)の活用事例 【チェック】 次の模擬試験に向けての学修のポイントはコチラ    ↓

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