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  • 【くすりの適正使用協議会】「信頼できる情報を届けるためには」医薬品情報の現状と未来

    2025年6月10日、一般社団法人くすりの適正使用協議会は、2025年協議会講演会を開催し、「くすりのしおり」の現状、協議会活動、そして最新の安全対策の動向について報告した。 協議会活動の進捗と「ミルシルプロジェクト」の成果 講演の冒頭で、同協議会理事長の俵木登美子氏より、この1年間の協議会の主要な活動と「くすりのしおり」への患者向け資材の連携状況、今後の展望について報告があった。同協議会は現在、3カ年の中期活動計画の最終年度を迎え、「信頼できる情報を届ける基盤の強化と情報の充実」を目標に掲げている。特に、これまでの活動で構築された「ミルシルプロジェクト」による信頼性の高い基盤を活用し、情報の質と量の充実を図っている。 各委員会の活動報告では、多岐にわたる取り組みが紹介された。薬剤疫学委員会は、明治薬科大学の赤沢学氏の指導の下、国立成育医療研究センターとの共同研究やMDVからのデータ提供による研究を進めている。特に、妊娠中の医薬品使用に関する研究成果は国際的な英文文献誌『Drug Safety』に掲載され、「妊娠中でも安心して必要な情報が伝わる社会へ大きな一歩を踏み出せた」と報告された。くすり教育・啓発委員会では、学校でのくすり教育支援として、出前研修や小学生向けのショート動画の活用が進んでいる。また、20年ぶりに小学生向けモデルスライドが全面改訂され、クイズ形式を取り入れるなど、子供たちの興味を引く工夫が凝らされた。さらに、一般への啓発活動として、患者が服薬後の状況を薬剤師に相談することの重要性を伝えるデジタルサイネージコンテンツや、介護現場での「介護と服薬あるあるマンガ」が作成・公開されている。 くすりのしおりコンコーダンス委員会は、「くすりのしおり」の機能改善として、「やさしい日本語」への変換を推進し、在日外国人の方々にも理解しやすい情報提供を目指している。英語版の作成も70%を超え、さらなる充実が図られている。また、薬剤師の服薬指導におけるフォローアップの実態調査を行い、「くすりのしおり」の活用がフォローアップの質の向上につながることが示唆された。先進医療製品適正使用推進委員会は、バイオ医薬品の適正使用啓発活動として、各種学会でのブース出展や啓発資材の配布を行っている。がんや自己免疫疾患に関する漫画シリーズの改訂や、薬学生向けの講義用教材の2025年版への更新も行われた。特に、患者向けのバイオ医薬品啓発動画が6月11日に公開され、自己注射など複雑な使用方法の理解促進に貢献することが期待される。 動画でわかるバイオ医薬品 「くすりのしおり」の現状と未来の展望 「くすりのしおり」は月間約500万PV(ページビュー)を記録し、その多くは患者や家族が閲覧しているとのことである。「ミルシルプロジェクト」によって、「くすりのしおり」に連携している患者向け資材は着実に増加しており、現在、全掲載しおりの約4分の1に何らかの患者向け資材が紐付けられている。資材の内容は医薬品情報が86%と圧倒的に多く、その他に疾患情報や高額療養費などの関連情報も提供されている。資材の形式はPDFが最も多く、電子カルテへの連携を考慮した形式が推奨されており、ホームページコンテンツや、目薬、吸入剤、自己注射薬などの「使い方」を説明する動画も増え、患者が自宅で確認する際に非常に役立っていると報告された。 特に、昨年6月の調剤報酬改定で加算対象となったRMP資材については、現在84点が「ミルシルサイト」に掲載されており、今後さらに多くのRMP資材を掲載することで、患者・薬剤師双方にとって利便性の高いサイトとなることが期待されている。 薬剤師からは、「吸入剤の指導の際に使い方を印刷して使っている」「メーカーの適切な資材をサイトからプリントアウトできるので便利」といった活用例が紹介された。また、患者へのアンケートでは、20%の患者が患者向け資材のタブをクリックし、そのうち84%が情報が参考になったと回答しており、患者が本当に求めている情報が提供できていることが示唆された。 最後に、今後の展望として、「ミルシルサイトのプラットフォーム」が医療機関や薬局、そして患者にとっての医薬品情報のハブとなることを目指していると述べられた。具体的には、レセコンや電子カルテ、介護システムへのデータ連携をさらに強化し、各社のホームページに個別に情報を取りに行く手間をなくすこと、そして、紙の手帳から電子的な手帳への移行を促進し、オンライン服薬指導など多様な形式での情報提供を可能にすることを目指している。 俵木氏は、「患者に信頼できる情報を届けるために、『くすりのしおり』の充実が重要」と強調し、さらなる情報掲載への協力を呼びかけた。

  • 【大木ヘルスケアHD】2025年秋冬カテゴリー提案会を開催:危機感共有と変革への提言

    松井氏 大木ヘルスケアホールディングス株式会社は、2025年6月17日から18日にかけてTRC東京流通センターで「2025秋冬用カテゴリー提案会」を開催し、2日間で約1,800人が来場した。同社が長年掲げる「新しい売上、新しいお客様を作る」というテーマのもと、今回の提案会は日本の抱える深刻な社会課題への危機感を強く打ち出し、ヘルスケア業界全体での変革を促す内容であった。 日本が抱える課題と危機感の共有 提案会では、日本の未来を左右する最も大きな要因として、人口減少、高齢化、労働力不足が強調された。これらの問題は、マーケットの縮小や税収の減少といった負の影響をもたらすだけでなく、現行の医療保険制度の維持も困難になる可能性が指摘されている。特に、20代から30代の女性人口の減少は、地方自治体のインフラ維持、ひいては地域社会の存続に直結するとの強い危機感が表明された。同社は、これらの課題に対し、業界全体で危機感を共有し、具体的な行動を起こす必要性を強く訴えた。 地域包括ケアシステムの現状と今後の方向性 2003年の健康増進法と2005年に発表された地域包括ケアシステムの考え方にも言及があった。健康増進法は「自分の健康は自分で維持する」という個人の努力義務を、地域包括ケアシステムは「自助」「共助」の精神で地域を支え合うことを目指している。 しかし、「2025年」という目標を掲げながらも、地域包括ケアシステムの具体的な形はまだ不十分であると指摘された。代表取締役社長執行役員の松井秀正氏は「当時の危機感が共有されず、個人や地域が自ら行動を起こすという意識が低かったのではないか」と分析した。 大木ヘルスケアHDは、地域包括ケアを単なるボランティア活動ではなく、「ビジネスとして継続可能な地域インフラ」として構築していくことを提案した。商品を販売する小売業が地域の健康インフラを担う中心的な役割を果たすこと、そして企業の従業員健康維持管理も重要な課題として、地域の中小企業と小売企業が連携して取り組む必要性を示唆した。 地域包括ケアとして健康イベントを実施 地方自治体と企業の連携事例 すでに、地方自治体と小売企業の連携、および企業の従業員健康サポートの取り組みが始まっている。 地方自治体との連携事例としては、アカカベが買い物難民に対応した店舗を展開し、ツルハドラッグやサッポロドラッグストアーが離島や過疎地域で行政と連携し、土地や建物の提供を受けて店舗展開している。また、大木ヘルスケアHDのグループ企業である奈良ドラッグが市役所内に物販スペースを設置するなど、地方自治体が企業と連携し、インフラ維持のために随意契約を進めるケースが増加している。 企業の従業員健康サポート事例としては、大手企業の健康保険組合が従業員の医療費削減プログラムを導入しているほか、サンロードが地域の中小企業と提携し、割引で健康維持サービスを提供している。さらに、サッポロドラッグストアーも約300社、15万人と契約し、デジタルクーポン発行で従業員の健康管理をサポートしているという。これらの事例は、地域の中核を担うドラッグストアが、健康に関する多様な取り組みをすでに開始していることを示している。 「売れる商品」ではなく「やるべきこと」に焦点を当てた提案会 今回の提案会では、一般的な展示会でよくある「最近売れている商品は何か」という問いに対する具体的な商品の紹介は少なく、むしろ、「これからやるべきこと」「トレンド」「方向性」に焦点を当てた内容となっている。これは、大木ヘルスケアHDが「メーカーからの収益モデル」ではなく、「やるべきこと、やりたいこと」を優先しているためである。 大木ヘルスケアHDは、この提案会を通じて、業界全体が危機感を共有し、変革へと向かうきっかけとなることを期待している。アメリカのウォルグリーンを例に挙げ、日本のドラッグストア業界も現状維持では立ち行かなくなる可能性を示唆し、変化の必要性を強調した。 松井氏は「この提案会を『問題解決』や『自己変革』のヒントにしてほしい」と呼びかけた。 大木ヘルスケアHDの提案会が、今後のヘルスケア業界、ひいては地域社会のあり方を考えるうえで、どのような示唆を与えてくれるのか、注目される。 介護食品の売り場展開 「たんぱく迷子」に向けた売り場提案 フェムケアコーナー miguちゃんがsnsで情報発信  https://migu.laughbase.co.jp/   https://x.com/LAUGHBASE_jp   https://www.instagram.com/migu_femcare_official/   男性更年期の理解を深め、フェムケアの普及を図る。 SNSで話題の「風呂キャンセル界隈」は、お風呂を面倒に感じる女性たちのこと。そんな「風呂キャン」を解消するため、手軽に清潔を保てるアイテムを展開

  • 【スタートアップ】薬剤師としての成長と独立への挑戦

    いちょう薬局株式会社 薬局 クスっと 管理薬剤師  氏家大我(うじいえ・たいが) 東京都世田谷区の用賀駅から徒歩8分のところにある「薬局 クスっと」で管理薬剤師を務める氏家大我さん。氏家さんのキャリアは、薬剤師として働く母親の姿に影響を受け、医療の世界を志して薬学部へ進学したことから始まった。 「大学生活は楽しかったですね」と、氏家さんは振り返る。軽音部やスノーボードサークルに所属し、アルバイトにも勤しんだ。忙しいながらも、学業とプライベートのバランスをしっかり保ち、充実した日々を送っていたようだ。 薬剤師としてのキャリアを考えるうえで、大きな転機となったのは大学5年次の実務実習だった。コロナ禍と重なった病院実習は、オンライン対応や患者との接触制限もあり、思うように経験を積めなかったと話す。しかし、薬局実習ではさまざまな患者と接する中で、氏家さんの知的好奇心は大いに刺激された。当初はドラッグストアを視野に入れていたが、自身のライフワークバランスを重視した結果、薬局に絞って就職先を探したという。 氏家さんが就職先を選ぶうえで重視したのは、次の4点だった。独立の実績があること、社風が自由で明るい雰囲気であること、自身が東京出身なので、都内で働けること、そして副業が認められていること―である。 入社後、氏家さんは自ら希望して新卒採用担当という社内副業も兼務することになる。「新しいことに挑戦したいという思いがあったからです」と、その理由を語る氏家さん。現在、薬剤師業務と並行して採用業務を行っており、週に6日ほど働くこともあるが、充実した日々を送っているという。 新卒採用担当として、氏家さんは「学生にミスマッチのない就職をしてほしい」という強い思いを抱いているという。安易に大手企業を選んで早期に転職する友人を多く見てきた経験から、学生には自身の性格や将来の展望に合った会社を慎重に選んでほしいと願っている。採用活動のやりがいについては、学生が入社を決めてくれた時に喜びを感じると語り、特に、来年入社予定の2人の内定者のうち、1人が内定を受諾してくれたことは大きな喜びだったようだ。 一方で、中小企業ゆえの認知度の低さは課題だと感じている。「大手には知名度で劣るため」と、氏家さんは会社の魅力をいかに学生へ伝えるか日々奮闘している。「独立を考えている学生や、大手志向ではない学生、プライベートも充実させたいと考えている人たちに響くような取り組みをしていきたい」と語り、明確なターゲット設定で質の高いマッチングを目指している。最近では、SNSでの動画配信など、会社の露出を増やす努力も続けている。 将来的な目標として、「いずれは自分の夢である独立」を掲げる氏家さん。現在、管理薬剤師として、医薬品の在庫管理や部下のマネジメントなど、薬局運営に必要な知識と経験を積んでいる。自身は「あまり怒れないタイプ」だと認識しているが、遅刻してきた部下への対応をきっかけに、リーダーとしての厳しさも必要だと感じ、改善に努めているという。また、採用業務に携わることで、氏家さんは人を見極める目を養うことにも意欲的だ。特にこれは将来、自身が独立した際に役立つスキルだと捉えている。「薬局 クスっと」の開業にも携わり、薬局の設計段階から関わることができた経験は、将来の独立を考えている氏家さんにとって貴重な学びとなっている。 薬局 クスっと 最後に、独立を考えている学生に向けて、氏家さんはメッセージを送る。「当社では20代で独立された先輩もいます。独立を考えている方は当社に気軽に相談してほしいですね」と呼びかける。「薬局 クスっと」では、独立した先輩薬剤師が週に一度薬局に来ており、「生の声」を聞くことができる環境があるという。独立後の苦労話や、人材確保の難しさなどを直接聞くことで、独立に向けた具体的なリスクマネジメントや独立するまでの道筋が分かると氏家さんは語る。独立後も会社とのつながりが途絶えることなく、相談できる関係性があるのは、同社の大きな強みであり、独立を目指す者にとって非常に恵まれた環境だと言えるだろう。 氏家さんのキャリアパスは、自身の経験と探求心に基づき、常に進化を続けている。 取材後記 独立開業に向け奮闘中の氏家さん。今は薬剤師として成長中ですが、同時に薬剤師の採用についても学んでいます。薬剤師としてのみならず採用・マネジメントと多岐にわたる業務を行っているのには驚かされました。1年後、2年後が非常に楽しみです。(薬学ステップ 寺本)

  • 【日本チェーンドラッグストア協会】新体制でOTC医薬品販売の「安心・安全」を推進

    日本チェーンドラッグストア協会は、2025年6月27日に都内で記者会見を開催した。同協会の塚本厚志会長(株式会社マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役副社長)は、2024年6月から始まった新体制でのこの1年間を「短い」と振り返り、特に前半はOTC医薬品販売制度および厚生労働省の制度部会の動向が極めて重要であったと述べた。 同協会は、これに対し森信副会長(株式会社ドラッグストアモリ代表取締役会長)を委員長とする特別対策委員会を立ち上げた。委員会は度重なる制度部会において、「過度な規制は不要であり、資格者による十分な対応が安心・安全を提供する」との意見を繰り返し表明したという。その結果、2025年5月にまとめられた方針には、同協会の意見が十分に反映されたものとなった。 現在、協会は乱用の恐れのある医薬品に対する販売者側の在り方を「ガイドライン」としてまとめ、業界内に推進していく段階にあると説明。これは「生活者の立場に立った意見」であり、今後それを確実に実施していく段階に入ったと強調した。 同協会の総会にはほぼ全員の理事が参加し、各社が当事者意識を持って業界を盛り上げていこうという意思が表れていると評価。今後も「生活者の役に立つ業界になりたい」との意欲を示した。

  • 【薬局・ドラッグストアで活躍する管理栄養士】薬局・ドラッグストア勤務の栄養士・管理栄養士の専門性の認知を目指して

    札幌保健医療大学大学院教授・管理栄養士(医学博士)川口 美喜子 以前にも本誌に調査内容を投稿しましたが、地域の方々にとって薬局・ドラッグストア勤務する栄養士・管理栄養士の存在や、職能への理解が非常に低い状況です。また企業間と店舗によっても、その差は大きいと感じています。 管理栄養士の配置と専門性による働きに関する制度の問題、薬剤師による理解と協働の推進など多くの課題があります。それぞれの企業が独立しているため、薬局の管理栄養士は接客、商品の理解と販売に向けた教育は共通するものの、管理栄養士が望む専門的職能である栄養相談、在宅訪問栄養支援、商品の開発などについての教育や配置には差が見られます。 今後は、地域の保健サービスによる予防医療、重症化予防を担う薬局・ドラッグストア勤務の栄養士・管理栄養士の専門性の認知と貢献が望まれます。今回は、そのための教育と実践的な活動を展開している大阪市内にあるマルゼン薬局の管理栄養士、飯尾真実さんに報告いただきました。 事例紹介 管理栄養士が切り開く地域貢献 マルゼン薬局 管理栄養士   飯尾真実 マルゼン薬局は調剤だけでなく健康、食事、介護のことを気軽に相談できる場所として、大阪市内に地域密着型の保険薬局を10店舗展開しています。そのうち5店舗は健康サポート薬局として認定されており国内平均の4%を上回る実績です。 また「認定栄養ケア・ステーション」を2軒取得など、訪問介護事業所との業務提携による強みも生かし、薬局で働く管理栄養士として薬局内での栄養相談業務はもちろんのこと、訪問栄養指導や地域イベント・栄養講座など、積極的に地域に繰り出しており、これらの取り組みが、地域の方々にとって「住み慣れた場所でよりよい暮らしをする」ための一助となることを願っています。 さらに、こうした活動を通じて、医療機関だけでなく行政や介護事業者など多職種との連携が不可欠であるとも実感しています。薬局には、調剤報酬において薬剤師の地域での活動を評価する「地域支援体制加算」という制度がありますが、弊社の薬局において「地域ケア会議」への薬剤師の参加が定着したのは、管理栄養士による地域活動が先行し、地域との信頼関係を築いていたからと言っても過言ではありません。地域ケア会議において、管理栄養士は、介護予防や疾病管理の視点から、利用者の生活状況や食習慣を考慮した、栄養に関する専門的なアドバイスを唯一提供できる存在です。 例1)腰椎圧迫骨折により社会的孤立が見られ、コンビニ惣菜中心の食事で塩分過多やエネルギー不足が懸念されていた方に対しては、宅配弁当の利用や、定期的な体重測定で栄養状態を把握することを提案しました。 例2)低栄養で体重減少が見られる方に対しては、1カ月で1kg増量を目標に、1日200~300kcalのエネルギーアップのための工夫として、油脂類の追加や栄養補助食品の活用を具体的に提案しました。 例3)地域イベントでは、フレイル予防の講座で「ランチョンマットシート」を使い、主食・主菜・副菜・乳製品・果物を視覚的に理解できる工夫を行いました。買い物体験も取り入れ、参加者が自分の食事バランスを確認しやすい形式とし、好評を得ています。 このような地域活動が評価され、管理栄養士が地域包括支援センターから講師の依頼を受けるようになり、現在ではフレイル、認知症予防、減塩、災害時の栄養といた多様なテーマで講演を行っています。中には「銭湯」で開催された講座もあり、地域に根ざした取り組みにも進んで参加していますし、地域医療機関の糖尿病外来の栄養指導を担ったり、透析施設の栄養指導も獲得し実践しています。 現在、地域には常駐の管理栄養士が少なく、栄養指導は訪問看護師の役割とされがちですが、管理栄養士は家庭の食事内容を踏まえた指導や、薬剤師と同等の血液データ分析も可能な専門職であると考えています。その役割やスキルが十分に知られていないのは残念であり、今後さらに認知を広げることが求められます。4年間の専門教育を受けた管理栄養士として、地域社会での役割拡大や、介護人材不足への対応が期待されており、私たちは今後も結果を出し続けることで、国の制度や考え方にも良い影響を与えられるような存在を目指していきます。

  • 第25回JAPANドラッグストアショー開催 ドラッグストアの進化と「セルフメディケーション NEXT25」

    東京ビッグサイトで8月8日から10日まで開催される「第25回JAPANドラッグストアショー」は、日本チェーンドラッグストア協会が主催するアジア最大級のドラッグストア関連展示会である。今年のテーマは「地域の皆様に最高の未来をお届けする~セルフメディケーションNEXT25~」で、ドラッグストアの今後の25年間のあり方と新たな役割を提案する。ここでは実行委員長の米原まき氏(エバグリーン廣甚株式会社代表取締役社長)にドラッグストアショーの見所やドラッグストアの役割について聞いた。 ドラッグストアの進化と「セルフメディケーション NEXT25」 ―今年のドラッグストアショーのテーマ「地域の皆様に最高の未来をお届けする~セルフメディケーション NEXT25~」に込められたメッセージは何ですか? 今年のテーマは、日本チェーンドラッグストア協会が設立25周年を迎えたことを記念し、今後25年間のドラッグストアのあり方を示したいという強いメッセージが込められています。当協会の塚本厚志会長が提唱する「未来のドラッグストアを創造する」という言葉にもあるように、ドラッグストアショーは単なる展示会ではなく、セルフメディケーションのさらなる推進を通じて、地域住民の健康と未来に貢献するという強い意志を皆様にご覧いただきたいと考えています。 ―これまでの25年間で、ドラッグストアの役割はどのように変化しましたか? 25年前のドラッグストアには調剤機能がほとんどなく、今とは全く異なる業態でした。しかし、現在では調剤併設型ドラッグストアが当たり前となり、スーパーマーケットやホームセンターといった他業態との垣根も曖昧になっています。特に食料品分野への進出が顕著です。 また、25年前には登録販売者という資格はなく、医薬品販売は薬剤師の対面販売が基本でしたが、16年前に登録販売者制度が導入されたことで、お客様がセルフで商品を選ぶことが可能になりました。これにより、薬剤師と登録販売者が連携し、地域住民への健康提案を行うようになりました。これは、ドラッグストアが単なる物販の場から、地域住民の健康をサポートする拠点へと変化したことを示しています。 食と健康ゾーンに込められた思い ―ドラッグストアショーには、ヘルスケアゾーン、ビューティケアゾーン、フェムケアゾーン、食と健康ゾーン、ホームケアゾーン、ペットケアゾーンを含む、全10のゾーンがありますが、特に注力しているゾーンはどこですか? 今年は特に食と健康ゾーンに力を入れています。このゾーンでは、単に食品を展示するだけでなく、来場者に「気づき」を与え、健康的な食生活への意識を高めてもらうことを目指しています。 2024年のドラッグストアショーの様子 ―なぜ食と健康ゾーンに注力しているのですか? 多くの食品メーカーが、減塩、タンパク質強化、糖質オフといった機能性を持つ健康的な食品を開発していますが、ドラッグストアの店頭ではその健康価値がお客様に伝わりにくいという課題があります。例えば、特定の栄養素を強化した餃子も、見た目だけでは普通の餃子と区別がつきにくいものです。 このゾーンでは、そうしたメーカーの知られざる努力や、商品の持つ健康へのメリットを来場者に直接伝えることで、健康的な食選択を促したいと考えています。ドラッグストアは「薬」だけでなく、「食」の観点からもお客様の健康をサポートする存在であることをアピールしたい、という強い思いが込められています。 ―食と健康ゾーンでは具体的にどのような展示や企画が予定されていますか? このゾーンでは、各メーカーが開発した機能性食品や健康食品が展示され、それらの健康への寄与について詳しく提案されます。 さらに、特別企画として「食と健康アワード」が開催されます。これは、出展されている商品の中から、ドラッグストアショー実行委員とベンダー(卸売業者)が味、機能性、健康面、価格などを総合的に評価し、優れた商品をランキング形式で表彰するものです。 また、ベンダーが複数のメーカーの商品を集めて出展する形式も導入されます。これにより、お客様は多様な商品を比較検討し、その機能性やメリットをより深く理解できるようになります。 「食と健康アワード」 ―食と健康への注力は、ドラッグストアの今後の戦略にどのように影響しますか? 健康意識の高いお客様が増加している現代において、「食」はドラッグストアにとって非常に重要な領域です。ドラッグストアの売上構成比においても、食品が6割を超える企業も出てきており、その重要性は増しています。 ドラッグストアでは、薬剤師と管理栄養士の採用を推進しており、薬の知識と食事の知識を組み合わせることで、より包括的な健康提案ができる体制を強化しています。これは、国民の健康寿命の延伸や社会保障費の増加といった社会課題に対応するため、ドラッグストアが健康づくりのサポーターとして、セルフメディケーションを推進していくうえでの重要な戦略となります。 ―薬学生が食と健康ゾーンを見ることで、どのような学びが得られますか? 薬学生の皆さんには、このゾーンを通じて、薬剤師の役割が医薬品の調剤・販売だけに留まらないことを実感してほしいです。 「食」を通じて地域住民の健康をサポートすることは、これからの薬剤師に求められる重要な能力の一つです。食品の機能性や、お客様への健康的な食生活の提案方法など、薬学の知識を補完する新たな視点や学びを得られるでしょう。 薬剤師の役割と未来へのメッセージ ―ドラッグストアが私たちの生活にますます身近になるにつれて、そこで働く薬剤師の役割も大きく変わってきいくように思います。 これまで薬剤師は主に薬の調剤や販売に特化していましたが、ドラッグストアの進化に伴い、その役割は大きく広がっています。これからは、地域の人々にとって身近な健康の相談相手となることが強く求められています。病院に行くまでもないけれど、体調に不安や悩みがある時に、気軽に立ち寄って相談できる「駆け込み寺」のような存在へと変化しています。 日本の社会保障制度は、高齢化の進展や医療費の増大といった課題を抱えています。このような状況において、医療機関への負担を軽減し、国民が自ら健康を維持・増進するセルフメディケーションの推進が不可欠です。薬剤師が身近な相談相手となることで、早期に健康問題に対処したり、生活習慣の改善を促したりすることが可能になり、これにより、不必要な医療機関の受診を減らし、国民全体の医療費負担を軽減する一助となることが期待されています。 ―これからの薬剤師にどのような知識や能力が求められますか? 単に薬の知識を持っているだけでは不十分です。患者さんが抱える疾患や病気に関する幅広い知識はもちろんのこと、それらの背景にある生活習慣や食生活への深い理解も必要です。 ドラッグストアでは、薬剤師のリテラシー向上に向けた継続的な教育や研修に力を入れています。これは、大学を卒業し国家試験に合格した時点がゴールではなく、そこからが「一人の相談相手」としてのスタートであるという認識に基づいています。患者さんへのカウンセリングを通じて、薬の処方だけでなく、より広範な健康づくりをサポートする能力が求められます。 ―薬学生がドラッグストアショーを訪れる際に、特に注目してほしいポイントは何ですか? 薬学生には、ドラッグストアショーを通じて、薬剤師の専門知識が地域社会でどのように生かされているかを肌で感じてほしいです。ドラッグストア各社のブースでは、現場で働く薬剤師や管理栄養士から直接話を聞き、ドラッグストアが地域に根ざした健康サポート拠点として、いかに多様な機能を持っているかを理解することができます。未来を担う薬学生の皆さんには、ドラッグストアが日本の社会保障を支え、より良い社会を築くうえで重要な役割を果たす場所であることを実感してほしいと思います。 また、8月9日に開催される「薬科大学対抗クイズ大会」では、6つの大学が参加しますので、応援に来ていただけるとうれしいです。 2024年のクイズ大会の様子 ―最後に薬学生に向けて、メッセージをお願いします。 未来の薬剤師となる皆さんには、単に薬の専門家としてだけでなく、日本の社会を支えるキーパーソンとなることを期待しています。健康寿命の延伸が求められる時代において、皆さんの専門性と情熱は、地域の人々の健康を守り、より住みよい社会を築くうえでかけがえのない力となります。 ドラッグストアは、まさにその最前線で社会貢献ができる場所です。ぜひ、その可能性を肌で感じ、これからの日本の未来を共に創っていくという大きな意気込みを持って、薬剤師としての道を進んでください。 ドラッグストアショーは、薬剤師の未来の役割について深く考える貴重な機会を提供します。ぜひ会場に足を運び、自身のキャリアの可能性を探ってみてください。 第25回JAPANドラッグストアショー開催公式サイト https://www.drugstoreshow.jp/

  • あなたの“なりたい”がきっとみつかる-多岐にわたる薬学生の可能性-

    (一社)日本薬学生連盟は6月8日に全国オンラインイベント「あなたの“なりたい”がきっとみつかる-多岐にわたる薬学生の可能性-」を開催しました。このイベントでは、さまざまな分野の第一線で活躍されている薬学部出身の方々に、自身の職種の魅力を語っていただきました。参加した薬学生にとって、視野を広げられる貴重な機会となりました。今回は、本イベントの企画長を務めた曽根駿介さん(東京薬科大学5年生)にお話を伺いました。 (執筆: 広報統括理事 大阪医科薬科大学4年 塚本有咲) ―どのような想いを込めて、企画を行いましたか。 自分自身、これまで進路や将来のキャリアを考えるうえで不安に感じたことは何度もありました。同じように感じている薬学生にとって、少しでも悩みを解消する手助けになり、背中を押すきっかけになるようなイベントを開催したいと思い、企画しました。 また、学生が進路を「なんとなく」で決めてしまうのではなく、その道を選んだ目的や、自分なりに納得できるしっかりとした意味を持ったうえで、その職種を目指してほしいという想いがありました。全ての選択肢を把握するのは難しいとしても、できる限りさまざまな職種の方の話を聞き、情報収集をして検討を行ったうえで決定していってもらいたいと感じます。   ―イベントに携わる中で楽しかったことを教えてください。 企画の準備を進めていくうえで、学生スタッフや講師をはじめとする多くの方と関りを持てたことです。イベントに向けて本気で話し合い、意見交換を行うことで、いろいろな価値観に触れることができました。 また、開催当日には講師陣や運営スタッフが一堂に会し、工夫を凝らしたスライドが表示されました。そして一生懸命準備してきた多くのパーツが揃った際には、イベントがついに完成したことを実感できました。準備だけではなく当日を迎えられたからこそ得られた感覚だと思うので、とてもうれしかったです。 一方で、事前に考えられる限りの準備を行ったつもりでも、不測の事態の発生やタイムスケジュールの予定変更など、その場で瞬時に判断してイベントに反映させる対応力が問われる場面がいくつもありました。その都度、運営スタッフ間の裏側トークで情報共有を行い連携し合った楽しさや、皆で無事課題を乗り越えられた際の達成感は特別なものでした。 そしてなにより、大切な仲間たちと、誰かの役に立つものを作っていく過程に大きなやりがいを感じました。   ―本イベントを通して、自身にどんな学びがありましたか。 講師の選定をはじめ、準備のあらゆる段階で薬学生の進路となる職種について本当に多くのことを調べました。そして当日だけでなくイベントを作る過程においても、薬学を生かす将来の選択肢は多岐にわたるということを知ることができました。 また団体を代表してイベントを開催するということの責任の重さを痛感しました。自身の発言や行動が、個人としての印象だけではなく団体全体のイメージや信頼にも影響する可能性があることを意識し、適度な緊張感をもって取り組むことの重要性を学びました。   ―企画運営において工夫したことはありますか。 共に活動する運営スタッフにも、イベントを通して多くのことを還元したいと思いました。そこで、イベントを作っていく過程の一部始終を知ることができ、運営の一員であることを実感してもらえるような工夫を行いました。 また、各スタッフによって熱量やキャパシティに差があることも考慮しつつ、できるだけ大勢を巻き込んで、皆でイベントを作り上げられるようにしました。 イベント開催に必要なノウハウに加え、企画が形になることの楽しさも伝えられていたらうれしいです。   ―最後に一言お願いします。 今回のイベントは、共に企画を作り上げてくれた運営メンバー、依頼を引き受けてくださった講師の皆様、そして関心をもって来てくださった参加者の皆様、全員の支えがあったからこその成功だったと感じています。 お忙しい中、本イベントに関わってくださり本当にありがとうございました。

  • クオールホールディングスとKDDI ローソン店舗でオンライン服薬指導サービスを開始

    クオールホールディングスとKDDIは、ローソン店舗でオンライン服薬指導サービスを開始した。2025年6月23日にオープンしたローソン高輪ゲートウェイシティ店を皮切りに、一部のローソン店舗でこのサービスが順次展開される。 このサービスは、ローソン店舗内に設けられた「Pontaよろず相談所」のブース内で提供される。KDDIが開発した「次世代リモート接客プラットフォーム」を活用し、クオールのオンライン専門薬局「クオールどこでも薬局」と接続することで、患者は対面せずに服薬指導を受けられる仕組みだ。これにより、オンラインでの服薬指導に新たなアクセスポイントが創出される。 現在、オンライン服薬指導に対応している店舗はローソン高輪ゲートウェイシティ店とローソン千駄木不忍通店で、いずれも9時から17時30分まで利用可能で、年中無休(365日開局)となっている。 このサービスの開始には、日本が抱える複数の社会課題が背景にある。高齢者人口の増加、多様化するライフスタイル、労働人口の減少、そして医療資源の地域偏在といった問題に対し、クオール薬局はこの新サービスを通じて解決を目指す。KDDIのプラットフォームを利用すれば、患者は自身のスマートフォンやパソコンがなくても、ローソン店舗でオンライン服薬指導を受けることができる。これにより、これまでオンラインサービスに抵抗があった患者や、多忙で医療機関への訪問が困難だった患者も、身近な場所で気軽に服薬指導を受けられるようになる。両社は、この取り組みが患者に新たな利便性と体験を提供すると期待を寄せている。 「Pontaよろず相談所」は、ブース内に設置されたリモート接客システムを通じて、オンライン服薬指導のほかにも、オンライン診察、通信、金融、清掃、家事代行など、暮らしに関わるさまざまなサービスについて、ビデオ通話で各分野の専門スタッフに相談できる総合窓口として機能する。

  • 問◆災害派遣医療チーム(DMAT)が最も優先すべき活動はどれか。【国試探検隊】

    問84 災害派遣医療チーム(DMAT)が最も優先すべき活動はどれか。1つ選べ。 ❶ 広域医療搬送対象患者の選出 ❷ 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診療 ❸ 長期的な医療支援 ❹ 一般用医薬品の販売 ❺ 被災地の復興支援            (第110回薬剤師国家試験より) *** 蔵之介です。必須問題からの出題です。1995年1月17日未明に起きた阪神・淡路大震災では、十分な医療を受けられずに死亡した、いわゆる『避けられた災害死』が500名を超えたといわれます。当時、迅速に派遣できる医療チームはなく、初期救急医療体制の遅れや重量物に長時間、挟まれた手足の解放後に起こるクラッシュ症候群(急性腎障害や高カリウム血症による致死性不整脈)などが課題となり、『瓦礫の下の医療』の必要性が叫ばれました。その教訓から、2005年に厚生労働省直轄の「日本DMAT」が発足しました。『災害の急性期に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた災害派遣医療チーム』と定義され、ディザスター(災害)、メディカル(医療)、アシスタンス(派遣)、チームの頭文字からDMAT(ディーマット)と呼ばれます。医師1名、看護師2名、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)1名の計4名で構成され、発災から 48時間以内 の医療活動やトリアージ(治療の優先度を決めること)、広域医療搬送(重症患者を被災地外の病院へ搬送すること)、被災地の病院支援などを行います。そのほか、発災から1週間ほどの急性期に活動する日本医師会災害医療チーム:JMAT(ジェーマット)や精神科医療の支援を行う災害派遣精神医療チーム:DPAT(ディーパット)などもあります【解答は1】。   2011年3月11日の東日本大震災では、医療インフラが津波で壊滅状態となり、カルテやお薬手帳まで流され、服用薬すら分かりません。薬剤師がいれば、色や形状から薬を類推することや代替薬の提案ができますが、当時は薬剤師が帯同されていません。DMATの医師は急性期医療が専門で、慢性疾患や向精神薬には慣れていません。災害医療における薬剤師の必要性が認識され、その後の医療チームには必ず薬剤師を加えるようになりました。宮城県薬剤師会は、キャンピングカーを改造した、ライフライン喪失下でも使えるモバイルファーマシー(災害対策移動薬局車両)を開発。現在、平時における医療過疎地での活用や薬剤師法第22条(薬局以外の調剤を禁ずる)への法的整備などが検討されています。 出題予想 モバイルファーマシーやクラッシュ症候群、薬剤師法第22条(薬局以外の場所で調剤してはならない)など ■解説 蔵之介(アポクリート株式会社)

  • 心不全パンデミックに立ち向かう、薬局薬剤師の新たな挑戦

    一般社団法人日本心不全薬学共創機構 代表理事/薬剤師・博士(薬学) 漆畑俊哉 「昨日まで元気だった患者さんの命を救えたかもしれない」。その悔恨の念が、薬剤師を心疾患ケアの最前線へと駆り立てた。心不全患者は増加の一途をたどり、医療資源の逼迫が懸念される今、薬局薬剤師への期待は高まっている。ここでは、日本心不全薬学共創機構代表理事の漆畑俊哉さんに、心不全・心疾患を取り巻く環境や薬剤師の役割などについて話を聞いた。 ―現在、心疾患を取り巻く環境はどのような状況なのでしょうか? かつて、心不全で亡くなった患者さんを担当した経験が、私が心疾患に深く関わるきっかけとなりました。昨日まで元気に過ごされていた方の心不全の兆候をもし見逃していなければ、このような事態にはならなかったかもしれないという思いが、私の心に深く刻まれています。 近年、心不全をはじめとする心疾患は、患者数が増加の一途を辿っており、死亡原因においても悪性新生物に次ぐ僅差の第2位を占めています。特に心不全は、脳血管疾患に匹敵するほどの死亡者数を記録しています。さらに、心不全患者の再入院率は高く、退院後6カ月以内で27%、1年後には35%に達するという報告もあり (図1) 、2040年頃に予測される医療・福祉分野における深刻な人材不足と相まって、医療資源の逼迫が故に心不全患者への適切な対応が困難になる可能性も懸念されています。2025年には「日本心不全ガイドライン」が改訂され、心不全リスクの新たな危険因子として慢性腎臓病(CKD)が加えられました。また、がん治療の進歩に伴いがんサバイバーが増加していますが、抗がん薬による心筋障害、ひいては心不全のリスクも指摘されており、心疾患患者の増加要因の一つとなる可能性があります。このような状況は、まさに「心不全パンデミック」の到来を予見させるものであり、もはや社会的な課題と言わざるを得ません。 図1 心不全・心疾患を取り巻く環境 ―そのような状況の中で、薬剤師にはどのような役割が期待されているのでしょうか? 薬剤師には、大きく分けて2つの重要な役割が期待されています。1つは、心疾患を発症した患者さんの重症化、再入院を防ぐことです。心不全の再入院は、患者さん側の治療薬の不適切な服用や、塩分・水分制限の不徹底といった要因が課題となっています。薬剤師が、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧な服薬指導や、生活に即した具体的なアドバイス、そして継続的なフォローアップを行うことで、患者さんが治療計画をしっかりと遵守し、重症化、ひいては再入院のリスクを低減させることが期待されます。 もう1つは、心不全の発症そのものを防ぐ予防や、再発防止への関わりです。まだ心不全を発症していない方々が心不全にならないように、薬局が未病の段階から予防やセルフケアの方法を日々の服薬指導に取り入れ、また再発懸念の患者さんにとっても身近で頼りになる存在となることが強く望まれています。 特に循環器内科の専門医からは、「服薬後のモニタリング情報を適宜フィードバックしてほしい。そうすれば、次回の診察に必ず生かせる」という力強い言葉をいただいています。 このような背景を踏まえ、全国に約6万軒存在する医療資源としての薬局と、その中核を担う薬剤師の専門性を最大限に生かすことで、心不全をはじめとする心疾患の発症および増悪を薬学的な介入によって抑制することが可能であると考え、2024年12月、薬学的ケア・フォローアップの充実、そして多職種・多領域との連携を促進するための包括的な活動基盤として、日本心不全薬学共創機構を発足させるに至りました。 ―現状、薬剤師や薬局は心疾患患者さんに対するケアを積極的に行っているのでしょうか? 現状では、薬剤師や薬局が心疾患患者さんに対して積極的にケアを行っているとは必ずしも言い難い状況です。多くの場合、処方箋に基づいて薬剤を調剤し、その服用方法や注意点などを説明するという、いわゆる「薬の説明」に留まっており、患者さんの服薬期間中の状態変化や、薬剤の効果などを継続的に把握し、それに基づいてきめ細やかな対応を行うという体制は十分とは言えません。心不全パンデミックが目前に迫る中、2021年に日本循環器学会が心不全療養指導士の認定制度をスタートさせましたが、その資格を取得している薬剤師の多くは病院勤務であり、薬局における取得はまだ少数に留まっています。また、がんや糖尿病などの疾患に比べ、循環器系の疾患に関する継続的な研修の機会も少ないのが現状です。 ―漆畑さんは心疾患患者に対してどのようなケアをされていますか? 私が実際に行っているケアの一例として、まず、循環器科を受診していない患者さんに対して、足のむくみや息切れ、倦怠感といった症状から心不全の可能性を示唆し、適切な医療機関への受診を勧めることがあります。また、心不全で入院された患者さんに対しては、単に薬の飲み方を説明するだけでなく、運動療法や食事療法といった退院後の生活習慣に関する具体的なアドバイスも行い、主治医と緊密に連携しながら、再入院の予防に努めています。さらに、携帯型心電計を活用し、患者さんの日々の心臓の状態をモニタリングしながら、そのデータに基づいたより個別化された服薬指導に役立てるという試みも積極的に行っています。 社会保障費の増大に大きな影響を与える心不全に対し、薬剤師が、心電図を簡便に計測できる機器や、バイタルデータを継続的に管理できるPHR(Personal Health Record)をはじめとするICT(情報通信技術)を積極的に活用することで、患者さん一人ひとりに合わせた適正な服薬指導や、生活習慣改善のためのきめ細やかなサポートを効率的に実施できると考えます (図2) 。例えば、携帯型心電計を使い、患者さんご自身が自宅などの日常生活空間で簡便に心電図を測定し、そのデータをPHRアプリを通じて、患者さんと薬局側とが共有しケアやフォローに活用するといった具合です。これにより、患者さんのわずかな変化や異常を早期に把握することが可能となり、医師への迅速な情報提供や、よりタイムリーで個別化された服薬指導に役立てるのです。ただし、心電図データを適切に活用するには、医師と連携した薬剤師の専門的なサポートが不可欠です。 図2 ICT(心電図とPHR、その他計測デバイス)による多職種・地域連携のイメージ ―薬剤師のスキルアップが欠かせないですね。 その通りです。薬剤師のスキルアップは、心疾患患者さんへのより質の高いケア提供と、地域医療への貢献を実現するための重要な鍵となります。当機構では、心疾患薬学ケアの構築とフォローアップの実践、人材育成と能力評価、ステークホルダーとの連携とICT基盤の整備、薬局機能の拡充と地域医療支援の統合的展開という4つの柱を中心に活動を展開しています。 具体的には、最新の知識や実践的なスキルを習得するための、eラーニングを含めた勉強会や研修会、専門家によるセミナーなどを開催し、携帯型心電計やPHRなどのICTツールを活用した患者さんの状態把握や服薬アドヒアランス向上を支援する仕組みを構築します。また、基礎から応用、最新動向までを網羅した研修プログラムを提供し薬剤師の専門性を高め、一定の知識やスキルを持つ薬剤師を認定する制度を検討することで質の高いケアの提供を担保します。さらに、製薬企業、医療機器メーカー、教育・研究機関や専門職などと連携し、患者さん中心の包括的な医療・ケアモデルを構築するほか、ICTの積極活用を推進します。そして、地域住民への健康相談やセミナーなどを開催し心疾患予防や生活習慣改善を支援するとともに、在宅医療や看取りへの参画を推進し地域包括ケアシステムの一員として貢献し、活動を通じて得られた成果や課題に基づき心疾患対策や薬局の機能拡充に関する政策提言を行います。 ―最後に薬学生へのメッセージをお願いします。 これからの薬剤師には、単に医師の処方箋に基づいて調剤を行うだけでなく、患者さんの服薬後の状態を継続的に把握し、その情報に基づいてより個別化されたアドバイスや情報提供を行うスキルが不可欠となります。AIなどの先進技術を積極的に活用しながら、患者さんにとって身近で、いつでも頼れる存在となることが強く期待されます。 それぞれの地域で、皆さんが思い描く薬剤師の理想の姿や、社会に貢献できる具体的なアイデアを共有し、共に語り合い、行動することで、現状は必ず変革できると信じています。ぜひ、皆さんが考えていること、感じていることを私たちに教えてください。そして、共に手を取り合い、一歩ずつ前進していきましょう。皆さんの若い力と柔軟な発想こそが、これからの薬剤師の未来を切り拓く原動力となると確信しています。 漆畑俊哉(うるしばた・しゅんすけ) 2006年、東京薬科大学薬学部卒業。2011年、東京薬科大学大学院修了。神奈川県内に展開した地場薬局勤務を経て、2013年になかいまち薬局(神奈川県中井町)を開設。現在、神奈川県西地域において4店舗を展開。2024年12月、薬局における心不全療養の課題に対して一般社団法人日本心不全薬学共創機構を設立し、代表理事に就任。薬剤師・博士(薬学)。株式会社なかいまち薬局代表取締役社長。 X: https://x.com/PhdShun Facebook: https://www.facebook.com/surushibata 日本心不全薬学共創機構の入会申込はサイトより受付  https://jpchf.or.jp/recruit.html 会員向けに地域における心不全療養モデルについての勉強会や薬物療法の中で必要な知識や技能についてさまざまな研修会を開催する予定。 https://jpchf.or.jp/index.html

  • 患者が求める医薬品情報とは?

    2025年6月10日、一般社団法人くすりの適正使用協議会の講演会で、認定NPO法人支えあい医療人権センターCOMLの山口育子理事長が「患者が欲しい医薬品情報とは」と題し、医療現場における患者と情報の課題、そして「くすりのしおり」の活用について講演した。 医療現場における患者と情報の課題 COMLがこれまで対応した7万1,000件以上の電話相談から見えてくるのは、いまだに患者の期待が医師に一極集中している現状である。これは、チーム医療が浸透している医療者側とは対照的に、医師以外の医療職が自身の専門性や役割を患者に十分に伝えられていないためだと山口氏は指摘する。薬剤師についても、「薬のプロ」とは認識されているものの、その具体的な役割が患者には見えにくく、「役割の見える化」が喫緊の課題とされている。 また、説明不足を訴える相談が後を絶たない現状も浮き彫りになった。インフォームドコンセントが「説明すること」と解釈され、医療者からの一方通行な情報提供になりがちである点が原因である。たとえ薬剤師が丁寧に説明しても、患者が一度に多くの専門情報を全て理解し記憶することは困難であり、結果として「聞いていない」と捉えられるケースが多いとのこと。この問題を解決するためには、説明後の「患者の理解確認」が不可欠であり、患者自身に説明内容を言語化してもらうことで、理解度や誤解の有無を把握し、早期の情報共有を図るべきだと提案した。さらに、患者と医療者が情報を共有し、共に考えて決めていく「Shared Decision Making(共有意思決定)」の重要性も強調された。 医療コミュニケーションの課題と国民性 山口氏は、現在の患者が抱える大きな課題として、「理解できていない人が多い」点を挙げている。情報過多の社会において、患者の周囲には情報があふれているにもかかわらず、それを適切に受け止め、理解し、自らの意思決定につなげられる人は少ないのが現状である。特に、わからないことを「わからない」と言えず、理解できていないのに頷いてしまう患者が多いことを指摘し、医療者側からの「確認」の必要性を訴えた。 また、患者と医療者の間に生じる「思いのずれ」も課題である。例えば、医療安全のための患者確認も、その目的が患者に伝わっていない場合、不信感やトラブルに発展することがある。インターネットの普及により、誤った情報をうのみにしたり、それを武器にしたりする患者もいるため、患者側の情報リテラシー向上が喫緊の課題であるとした。薬剤師には、患者に信頼できるサイトを案内するなど、情報リテラシー向上への寄与が求められている。 加えて、医療現場での質問の意図が患者に伝わっていない問題も指摘された。薬局での個人情報記入の際も、その目的が説明されないために、患者が適切に情報提供しないケースがあるという。ルーティンワークであっても、その理由や目的を伝えることで、患者が自身の情報提供の重要性を理解し、適切な連携が促進されると述べた。 これらの課題を克服できない背景には、日本において子供の頃から医療の仕組みや受診の仕方を学ぶ機会がないこと、そして日本人全体が日常的にコミュニケーションが苦手であるという国民性が影響していると山口氏は分析している。医療におけるコミュニケーションは高度なものであり、自己決定や自己主張を苦手とする傾向も、患者が主体的に医療に参加することを阻害していると述べた。 治療スタイルの変化も、患者の孤独感を増幅させている要因である。かつての入院中心の治療から外来治療が主流となり、医療者との関わりが減少したことで、患者は副作用への対処などを孤独な状況で行うことが増えている。だからこそ、薬局の薬剤師の存在が重要であると強調し、薬剤師の役割発揮を長年訴え続けてきたものの、目に見える変化が少ないことにジレンマを感じていると述べた。 医薬分業が進み、処方箋の受け取り率が8割を超えた現在でも、複数の医療機関にかかり、複数の薬局を利用し、複数のお薬手帳を持つ患者が少なくないため、一元管理という薬剤師の重要な役割が果たされていない現状も指摘された。マイナンバーカードによる一元管理も進むと見込まれるが、普及には時間を要することから、患者に対して一元管理の必要性を具体的に説明することの重要性を強調した。 講演の最後に、山口氏は、患者にとって分かりやすい情報提供のために、「くすりのしおり」や「ミルシルサイト」のさらなる充実を強く求めた。現状では、一部の製薬会社で患者向け資材が整備されていないケースがあり、それが患者に「情報提供に後ろ向きな会社」という印象を与えかねないとの懸念を示した。患者の理解促進に不可欠な患者向け資材の掲載率が、現在の約25%から50%、さらには75%へと向上し、患者に前向きな製薬会社が増えることを期待し、講演を締めくくった。

  • 薬学生のプラットフォームを創り、新しい価値を提供

    一般社団法人日本薬学生連盟 2024年度会長 馬越春莉 一般社団法人日本薬学生連盟(APS-Japan)は、「薬学生に新しい価値を」「薬学生のプラットフォームを創る」というミッションを掲げ、世界の薬学生との交流や、病院。企業への訪間、さらには薬物乱用防止などの公衆衛生活動などを通じて、将来への見間を深めている薬学生による薬学生のための団体である。ここでは4月に会長に就任した馬越春莉(東京薬科大学3年)さんにAPS-Japanの活動内容や薬剤師に対する思いなどについて間いた。 ―APS―Japanの概要についてお教えください。 WHO(世界保健機関)やFIP(国際薬剤師連合)と正式にパートナーシップを結ぶIPSF(国際薬学生連盟)に日本で唯一正式加盟している、薬学生による薬学生のための団体です。ミッションとして、「薬学生に新しい価値をJ「薬学生のプラットフォームを創る」を掲げ、さまざまなイベントを実施しています。これらのミッションを達成するために、他大学との交流に加え、他学部や社会人の方との意見交換、国際会議への参加などの機会を提供し、会員の未来への足掛かりにしていただいております。北は北海道、南は九州まで全国の薬学生 が参加しており、2023年2月末時点の会員数は369人です。基本的には薬学部の1年生から6年生までが主体となって活動しているのですが、一部他学部の学生も参加しています。 3大イベントとして、主に1年生の新規会員を迎える「新歓」、秋新歓と呼ばれる「薬学 生ジャンボワー」(薬ジャム)、1年の集大成である「年会」があり、毎年恒例の行事とし、 コロナ禍を除き、対面(新歓は遠方の方に配慮してオンラインを併用)で開催しています。新歓と薬ジャムは東京、名古屋、大阪、九州の主要者卜市で開催しているのですが、年会は1カ所で行うため、全国の薬学生が1年1こ1回対面で会う場となっています。昨年の年会では、『はたらく細胞』の医療監修者である原田知幸先生を講師としてお招きし、医療知識の伝え方について学びました。 また団体内には、6部署、3委員会があり、それぞれのセクションがイベントを企画し、年間を通して開催しています。中でも力を入れているのが、国際渉外部が中心となって取り組んでいる国際イベントヘの参加です。2023年度はインドネシアで開催されたアジア太平洋薬学生シンポジタム(APPS)に日本の代表として私を合め3人が参加しました。APPSはIPSFのアジア支部が年に1度開催する会議で、シンポジタムやワークショップ、ポスターセッションなどを通じて学術的、文化的な交流を深めていきます。 そのほかに、公衆衛生委員会では、献血の呼びかけ、世界糖尿病デーには、啓発活動を行っています。さらに地域連携委員会では、薬膳コーラを作るイベントを開催したり、専門家を講師としてお招きして、医療に関する知識を深めたりしています。各イベントは、薬ジャムと同様に主に東京、大阪、名古屋、九州のほか、オンラインでも多数開催しており、その情報はSNSで発信しています。会員でない方も参加可能なので、興味があれば気軽にのぞいてみてください。 ――APPSに参加されたようですが、どんな経験をしましたか。 昨年7月3日から9日にかけてジョグジャカノレタで開催されたAPPSには、副会長として参加し、期間中は主にRA(RegiOnalAssembly)という総会に出席し、それぞれの団体の活勃や薬学部の現状などについて情報交換しました。また、参加したアジアの学生との観光や会食を通じてインドネシアの国民性や文化について学びました。海外の学生は自分の考えを持っており、たくさんの議論が交わされ、多くの刺激を受けました。 私自身、英語を学びたいという思いがあってAPSJapanに入会したのですが、国際会 議への参加は貴重な経験になりましたね。 ――APS-Japanの魅力について馬越さんの考えをお教えください。 団体として動くことに意味があると思っています。団体があるから普段会えないような専門家に声をかけることもできますし、団体が積み重ねてきたノンハタを先輩に教えていただく、あるいは団体で学んできたことを後輩に教えていくという場をつくれるのが団体としての魅力です。私自身、将来、小児期医療に携わりたいと思っているのですが、以前、弊団体の活動でつながりを持った小児科医の先生にお話を伺う機会があり、そのときに「日本の小児期医療はまだまだ遅れている。最新の知識を得るには海外の論文を読むことが必要になるので、しっかりと英語の勉強をしてはしい」という言葉をいただき、モチベーションが高まりました。 また、薬学生同士だけでなく、さまざまな医療系の学生にもつなぐことができます。それは弊団体が主体的に行うこともありますし、逆に他団体から声をかけていただくこともあります。薬学という枠組みにとらわれるのではなく、海外の方を合め、さまざまな立場の方と交流を深めることで、自分の視野が広がるのだと思います。 ――APS-Japanの会員になるにはどうしたらいいのでしょうか。 ホームページ(https:〃aps,apanoorg/)から登録することが可能です。所定のフォームに自身の情報を記載し、入会費(2,000円)をお支払いいただければレギュラー会員として登録されます(年会費は無料)。レギュラー会員になれば、弊団体からイベント等のお知らせメーノレを受け取ることが可能なりますので、各種イベントにいつでも参加することができます。各オベントの活勃レポートをホームベージに掲斎完していますので、ご関心のある方はご参照ください。 ―― 自分で企画したいことがある場合はどうすればいいのでしょうか。 自分が企画側の立場になりたいと思った場合はスタッフ会員になっていただきます。 スタッフ会員になる手順として、レギュラー会員になったときと同様に所定のフオームに記載していただきます。どの部門・委員会に所属したいのか等を記載し、その後、希望する部門。委員会の責任者と面談したのちに、スタッフ会員として活動していただきます。 ――卒業後はAPS―Japanとのつながりはなくなるのでしようか。 OB・OGとしてイベントに招待して、企画の運営を手伝っていただくことがあります。その中で新たな交流が生まれ、仕事や就職といった将来のことを相談できる場も生まれます。またOBoOGの方は病院薬局、製薬企業のほか、海外でボランティア活動をされている方もいらっしゃいます。仕事への理解を深めるために、OB・OGの方に講演を依頼することもあります。さまざまな領城でご活躍されている方のお話を聞くことで、新たな気づきが生まれているようです。 ――会長としてどんなことをしていきたいですか? 薬学生に対して幣団体の魅力をどう伝えていくかが当面の課題になっています。国際系に強いこと、団体だからこそできることに焦点を当てて、薬学生に広く周知していきたいと思います。 ――馬越さんにとって薬剤師とは ジェネラリストやスペシャリストということがいわれていますが、私自身いろいろな学会に参加して感じたことは、薬全体の知識を持っていることが薬剤師であり、それが医師との違いだと思っています。それに加え、医療の技術が進歩し、小児期医療、周産期医療、がん医療といった専門領域で多くの薬剤師が活躍しています。その意味で薬剤師はジェネラリストでもあり、スペシャリストでもあるのだと思います。今後そういった薬剤師が増えることで、薬剤師の社会的価値は高まっていくのではないかと考えます。 ―― 最後に薬学生にメッセージをお願いします。 何か自分自身がやりたいことによい進してほしいと思っています。例えば、学生だから学会は敷居が高いと思うかもしれませんが、私自身もそのような思いをもちつつ1年生のときに初めて学会に参加しました。学会に参加したことで、自分が分からない部分を理解できたこと、大学での学びが、臨床につながっていることに気づかされました。いろいろなことに挑戦することで、新しい世界や将来の夢が見つかるかもしれせん。それは学生のうちにしかできないことです。高学年になれば、実務実習や就職活動、そして国家試験が控えています。なるべく低学年のうちから行動に移してほしいと思います。 馬越春莉(ばこし・はるり) 2004年生まれ。神奈川県出身。日本薬学生連盟2023年度副会長を経て、2024年度会長を務める。東京薬科大学3年。中学生からバドミントン部で活動し、高校時代は全国大会出場を目指し、マネジャーとして高校総体に出場した。現在はバドミントン部の部長を務めている。趣味は散歩、バドミントン、手芸、学会巡り。「子どもたちを笑顔にしたい」その想いから、既成の概念にとらわれるのではなく、主体的に学び、何事にも挑戦することを常に意識して学生生活を送っている。

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