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- 問◆研究における同意の境界線:「オプトイン」と「オプトアウト」【国試探検隊】
ある薬局で薬歴を用いた後ろ向き調査を行い、学会発表することを計画している。 問324(実務)この薬局で研究のために作成するポスターに記載する内容として必要なのはどれか。2つ選べ。 ❶ 研究目的 ❷ 研究協力の拒否の方法 ❸ 研究に携わっている全員の連絡先 ❹ 倫理審査委員会の委員の氏名 ❺ この研究に要する費用 (第110回薬剤師国家試験より) *** 蔵之介です。薬学実践問題からの出題です。人を対象とした臨床研究には、介入研究である「臨床試験」や医薬品や医療機器の開発を行う「治験」などがあります。研究を行う際には、『個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)』や『人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(医学系指針)』と『ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(ゲノム指針)』を統合した『人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針』を遵守する必要があります。「治験」では、さらに厳格な『医薬品医療機器等法(薬機法)』や『医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)』が適用されます。研究の参加者から同意を取る方法として、オプトイン(opt-in:同意を得てから参加)とオプトアウト(opt-out:参加が前提で、不同意の場合は拒否する必要がある)があります。同意(参加)か、未同意(未参加)か、デフォルト状態が異なります。要配慮個人情報は、オプトインが原則で、オプトアウトでは扱えません。設問は、リード文として、薬歴を用いた後ろ向き調査、患者名はわからないように集計、研究概要を薬局内のポスターに掲示とあります。この研究の概略は、患者への侵襲や介入がなく、人体から取得された試料を用いず、薬局で保有している既存情報を用いて、新たに仮名加工情報を作成することです。「観察研究」に該当するので、オプトアウトが適応できます。研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を通知、またはホームページなどで見やすいように公開し、可能な限り拒否の機会を保障すれば、患者からの同意は必要ありません【正解は1、2】。ただし、「治験」の場合には、研究責任者または研究分担者が、説明事項を記載した文書を用いて適切な説明を行い(GCP省令で、口頭のみの説明は不可)、患者から文書による同意(インフォームド・コンセント)を取る必要があります。 出題予想 インフォームド・アセント、個人情報保護法における死者に関する情報の取り扱い、要配慮個人情報、個人識別符号など ■解説 蔵之介(アポクリート株式会社)
- 【城西国際大学】震災対策教育ビデオドラマを制作し警視庁麹町警察署より感謝状を受賞
作品のワンシーン 城西国際大学の学生と卒業生が協力し、震災対策教育ビデオドラマ『地震博士と!とある家族の防災大作戦』を制作した。この映像は、同大学が警視庁麹町警察署と2024年1月に締結した「麹町パートナーシップ」の一環として制作されたものであり、2025年11月5日に東京紀尾井町キャンパスで完成披露上映会が開催され、制作に携わった学生たちへ麹町警察署署長の占部貴之氏より感謝状が贈られた。 制作背景と目的 キャンパス内での撮影 本作は、メディア学部映像芸術コースの在学生とプロとして活動する卒業生23人が、同大学教授の佐藤克則准氏と助教の中川寛崇氏の指導のもと、2024年より制作を開始した15分間の教育映像である。その目的は、近い将来発生が懸念される大災害に備え、日頃からの防災意識を高めることにある。映像の内容としては、出演者が備蓄に関する問題をクイズ形式で回答し、防災の知識や対策を分かりやすく、親しみやすく伝えるものとなっている。また、監督を務めた中川氏の呼びかけにより、一ノ瀬ありあ氏、井上あきら氏、浅森夕紀子氏、宮田真也氏(水田記念博物館大石化石ギャラリー学芸員)の4人が出演した。 出演者や関係者との集合写真 制作の工夫と期待される効果 中川氏は上映会で、「未来に起こる震災をテーマとし、それに対する危機感を持ってほしいという思いで制作した。この作品を通して、周りの方々とどのように危機を乗り越えるかを若い世代の人々から広めてほしい」と、作品に込めた願いを語った。 また、制作に携わったメディア学部映像芸術コース4年の金子みつみ氏は、制作時の工夫として、特に冒頭の災害シーンの音にこだわった点を挙げ、「リアルさを追求するため、実際の訓練時の音や瓦礫の音など、何種類もの音を組み合わせ、より地震の怖さが伝わるよう追求した」と述べた。 占部氏は、映像の完成度の高さに驚きを示し、管内の大学生が制作したことで地域の共感を得やすく、その効果が期待できるとした。占部氏は、本作を災害対策訓練や啓発活動などで積極的に活用していきたいと述べ、大学との永続的な連携に期待を寄せた。
- 6年制薬学部の危機:全国平均で定員未達
入学定員充足率89.9%の現実 文部科学省の「薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果」は、薬剤師養成を担う高等教育機関の厳しい現実を突きつけている。かつて人気を誇った薬学部だが、その基幹である6年制学科のデータは、全国レベルでの需要の冷え込みを明確に示した。 2025年度の6年制薬学部の入学状況は、危機的な数値を記録した。入学定員11,627人に対し、入学者数は10,560人に留まり、充足率は89.9%となった。これにより、全国の6年制薬学部の合計では定員未達の状態にあることが判明した。実質入試倍率も2.1倍であり、競争が激しい一部の学部を除けば、多くの大学で入学の門戸が広がりすぎている状況を示している。このデータは、受験生が特定の競争力の高い大学に集中する一方で、多くの薬学部が学生確保に苦しんでいる「二極化」の現実を裏付けている。 入学後の試練:卒業率67.7%が示す「出口管理」 薬学教育の厳格さは、入学後の修学状況データに明確に示されている。入学競争が緩和された状況とは裏腹に、大学側は厳格な「出口管理」を徹底している実態がある。2019年度入学生の6年次までのストレート卒業率(6年制学科合計)は67.7%に留まり、入学した学生のうち約3人に1人が規定の年数で卒業できていないことを意味する。この「卒業の厳しさ」は、特に学生確保に苦しむ大学にとって、生き残りのための不可欠な戦略となっている。厳しい進級・卒業基準を維持することで、学力に満たない学生をふるい落とし、教育の質を保証しようとする大学の強い意志の表れである。 競争の軸足は「合格保証」へ:ストレート合格率58.8% この厳しい選抜を経て卒業した学生の成果は、最も厳格な指標である「ストレート合格率」に集約される。2019年度に入学した学生が、6年で卒業し、かつ国家試験に合格できた割合(ストレート合格率)は、58.8%という厳しい数値となった。この数字は、入学時点では約4割の学生が薬剤師になれない現実を意味する。 しかし、この厳格な選抜プロセスこそが、大学が「出口の質」を維持するための武器となっている。卒業率の低さ(67.7%)は、新卒の合格率を高めることを目的とした裏返しであり、その結果、2025年(第110回)国家試験の新卒者における受験者ベースの合格率は85.0%という高い水準を記録している。このことから、薬学部の競争の軸足は、もはや「どう入学させるか」から、「卒業させて国家試験に合格させるか」という出口管理の基準に大きく移行していると言える。 参考: 文部科学省「 薬学部における修学状況等」 2025(令和7)年度調査結果(PDF:192KB)
- 次世代の医療を担う高校生へ、ジョンソン・エンド・ジョンソンが贈る特別な体験
ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーは、医療者を志す高校生に向けた「次世代医療人材シンポジウム」を開催した。このイベントは、未来の医療を担う若者たちが、本物の医療機器に触れる体験や、医療の未来について深く考えるワークショップを通して、医療への情熱をさらに深める一日となった。 高まる医療とヘルスリテラシーの課題 「人生100年時代」を迎えた現代社会において、健康や医療の重要性は増しているが、日本は諸外国に比べてヘルスリテラシーが低いという課題を抱えている。また、医師の数は増えているものの、人口1,000人あたりの医師数は世界水準を大きく下回っており、特に手術を担う外科医の減少は深刻だ。 こうした背景から、同社は、一人ひとりが医療に主体的に関わることを目指すプロジェクト 「My Health, Myself ― 私の健康のために、私ができること。」 の一環として、ヘルスリテラシーの向上と、未来の医療人材育成を目指し、今回のシンポジウム開催に至った。 シンポジウムは、2025年8月11日(月・祝)に、ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュート 東京で、50人の高校生を対象に開催された。 未来の医療とヘルスリテラシー シンポジウムでは、多岐にわたるプログラムが用意された。 まず、ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテックの清水英治チーフ・メディカル・オフィサーが登壇し、超高齢社会における医療課題と、メドテック(医療技術)の役割について講演した。清水氏は、日本のヘルスリテラシーの低さを指摘し、患者が主体的に医療に関わることの重要性を強調。参加した高校生たちに、「皆さんがこの課題に取り組み、豊かな社会を作ることができれば、それは大きな“チャンス”になる」と力強いメッセージを送った。 模擬手術室で「医療のリアル」を体感 参加者は、普段見ることのない実際の医療機器に触れる貴重な機会を得た。腹腔鏡手術のシミュレーターや心臓用カテーテル、さらには人工膝関節手術支援ロボットなどを操作。繊細かつ熟練した技術が必要な医療の世界を肌で感じ、日本の医療技術の高さと医師に求められるスキルの重みを実感した。 未来の医療者像を描く 「My Health, Myself - 想いをかたちに」と題されたワークショップでは、参加者一人ひとりが「ヘルスリテラシーの重要性」「なりたい医療従事者像」「未来の医療に必要なこと」について考え、発表した。「患者さんの意思を尊重し、寄り添える医師になりたい」「AIやロボットをうまく活用しコントロールする力が必要」など、高校生らしい多様な意見が活発に交わされた。 最後に、同社の出浦伊万里ディレクターから、「皆さんの素晴らしいアウトプットに刺激を受けた。将来、皆さんとともに未来の医療に貢献できる日を楽しみにしている」と、未来を担う若者たちへの期待が語られ、シンポジウムは幕を閉じた。
- 訪問介護の現場で深刻化する「薬の困り事」—「飲み忘れ」「服薬拒否」が二大課題に、薬剤師との連携強化が急務
一般社団法人くすりの適正使用協議会が訪問介護員402人を対象に実施したアンケート調査により、高齢者の在宅介護現場における服薬の課題が浮き彫りとなった。回答者の53%が利用者の薬に関する困り事を抱えており、具体的な困りごとのトップは「飲み忘れ」、次いで「服薬拒否」であった。地域包括ケアシステムが推進される現代において、在宅での薬の適正使用を妨げる、看過できない深刻な問題である。 経験年数で異なる「困りごと」の傾向 調査によると、日常業務で利用者の薬について困り事を抱える訪問介護員は半数を超え、「飲み忘れ」「服薬拒否」に続き、「薬の量・数が多い」といった課題が上位を占めた。 特に注目すべきは、訪問介護員の経験年数によって困り事の傾向が異なる点である。経験10年以上のベテラン層では、「飲み忘れ」に気づく割合が69.3%と高く、10年未満の層(57.6%)を上回った。これは、ベテラン介護員が利用者の生活パターンや変化から「飲み忘れ」の兆候を察知する能力が高いことを示唆する。一方、「服薬拒否」は10年未満の層が56.6%と、10年以上の層(39.5%)を大きく上回っており、経験の浅い層が利用者の直接的な「拒否」に直面しやすい実態が浮き彫りとなった。 薬剤師への相談は2割に留まり、解消されない連携不足 薬について困った際の相談相手は、事業所(上司、ケアマネジャー等)や看護師が中心であり、薬の専門家である薬剤師に聞く人は23.5%に留まっている。 さらに、訪問介護員の62.4%が「日常業務で薬剤師とコミュニケーションがとれていない」と感じており、その最大の理由が「コミュニケーションをとる機会がない」(79.3%)であった。この連携不足を解消するためには、「コミュニケーションをとる機会を定期的に設定する」ことが最も多く求められており、多職種連携を円滑にするための恒常的な仕組みづくりが急務である。 「介護と服薬あるあるマンガ」が現場の気づきを促進 同協議会は、この課題解決のため、2020年より 「介護と服薬あるあるマンガ」 をウェブサイトで公開し、現在20本に達している。調査では16.9%の介護員がこのマンガを認知し、40.3%が現場の現状に合致していると回答した。「飲み忘れ」「服薬拒否」といった具体的な問題提起と解説をセットにしたマンガは、介護職が薬に関して「変だな」と思えるアンテナを張るための知識習得ツールとして、一定の役割を果たすと期待されている。現在、マンガには順次ミニクイズも作成されており、知識の定着に活用できる。 専門家も連携強化に期待 本調査結果を受け、マンガの監修者からも連携強化への強い期待が寄せられている。 子供プラス未来の玉井典子氏(薬剤師)は、療養生活を送る高齢者を支えるため、多くの専門職が垣根を超えて連携していく必要性を強調。「忙しい介護職が気軽に薬についての疑問や困ったことなどの解決するツールの一つとして『介護と服薬あるあるマンガ』は有用である」とし、これを通して薬剤師との「つながりのはじまり」になることを願っている。 生活介護サービス株式会社代表取締役の山岸大輔氏(介護福祉士)は、介護士が現場で直面する飲み忘れや服薬拒否といった課題は少なくないとし、「なじみやすい4コマ漫画を通して薬剤師の皆さまと連携を深め、服薬支援の質を高める取り組みを通じて、利用者の安全、より良い暮らしの実現を目指したい」と述べた。 このアンケート結果は、高齢者の生活を支える介護職と薬の専門家である薬剤師との連携強化こそが、在宅介護における医薬品の適正使用を推進する鍵であることを明確に示唆する。同協議会は「介護と服薬あるあるマンガ」のさらなる啓発を通じて、両者のコミュニケーションと連携を促進し、薬の適正使用に貢献していく方針である。
- 【日本家庭薬協会】次世代経営者が描くセルフメディケーションの未来図
原澤氏 日本家庭薬協会未来事業推進委員会は、2025年10月14日に委員会開催300回を記念する決起集会を開催した。決起集会実行委員長の原澤周一郎氏(原沢製薬)は、今回の企画背景について、「祝うこと」ではなく、「家庭薬の未来に危機感を抱き、次の時代につながる集会にしたい」という強い思いがあったと説明した。この思いから、セミナーとパネルディスカッションを主軸とするプログラムが組まれ、国民皆保険制度が直面する構造的な課題に対し、家庭薬の歴史に根差す「自助」の精神を再認識し、次世代が具体的な戦略を示す場となった。 未来事業の歴史に刻まれた「協業」の重要性 森下氏 日本家庭薬協会会長の森下雄司氏(森下仁丹)は挨拶に立ち、自身が約15年近く前、若手会として次世代育成を目的とした活動から「未来事業」に関わってきた経緯を明かした。森下氏は、現在の実行委員が業界に対する危機感を持って企画を立案し活動していることを高く評価したうえで、委員会が300回の歴史の中で、当初想定していた「未来」は変化しているとの認識を示した。 現在の委員会活動は、インバウンド対応、海外販売、協業など、一社単独ではリスクや負担が大きい課題に対し、業界団体として各社が協力し、リスクを制限しながら新しいチャレンジができる場を提供している点に大きな意義があると述べてた。森下氏は、委員会が次世代の経験を積む場としての役割も担っていると強調し、「次の100回に向けて」業界が一丸となり未来に向けて課題に向き合っていく決意を表明した。 藤井氏 続いて、未来事業推進委員会委員長の藤井隆太氏(龍角散)が「家薬の歴史をテーマに」と題して講演した。藤井氏は、委員会の前身が約30年前に存在した「協業委員会」と「国際委員会」の再編・統合により発足した経緯を説明し、当時から共同研究、共同開発、共同配送、共同販売といった先進的な検討が行われていたと回顧した。複数の造り酒屋がブランドを一本化した事例など、他業界の成功モデルを引用しながら、一社では困難な課題を克服するためには、業界内での「協業」が不可欠であることを強調した。アライアンスを組むうえでの原則として、対外的な交渉力の最大化、プロジェクトの出入り自由、そして不必要な情報の非公開を徹底していると説明した。 医療制度の危機を「追い風」とする「自助」の提言 講演後半では、厚生労働省社会保障審議会医療保険部会にも携わる藤井氏の視点から、日本の医療制度が直面する危機的状況について語った。藤井氏は、急激な高齢化による医療費増大と、給付と負担のバランスがアンバランスになっている現状を指摘し、政府の医療費適正化計画にもかかわらず状況は悪化の一途を辿っていると懸念を示した。 藤井氏の見通しでは、今後は大病院への集中と、国民が簡単に今まで通りに受診ができなくなる状況が現実になるとされる。藤井氏は、「病院へ行くのが一番時間がかかり、待ち時間も長い、薬も高くなる」という状況は、国民の受診抑制を招きかねないものの、これを「追い風」として捉え、「患者の行動変容(セルフメディケーション)を促す好機」とすべきであると論じた。 日本の医療制度の根底には、医師を貴重な存在とし、軽い症状は家庭薬などで対応し、それでも治らない場合に医師に頼るという「自助」の精神があったとし、この精神こそが今後の日本の医療を支える鍵になると提言した。 一方で、藤井氏は、医療用で使用される強い薬の安易なOTC化には、誤解による自己判断での使用が増え、事故につながる危険性があるため反対の姿勢を示した。「高いリスクの薬はOTC不可、低いリスクの薬はOTC化を検討」という段階的な導入の必要性を訴え、業界として将来をしっかり設計していくべきだと締めくくった。 パネルディスカッション:家庭薬の多角的価値と次世代戦略 坂上氏 藤井氏の提言を受け、次世代経営層によるパネルディスカッションが行われた。進行役を務めた坂上聡太氏(樋屋製薬)は、年間約45兆円にも上る医療費増加による財政圧迫という課題を挙げ、家庭薬メーカーがどのような役割を担い、貢献できるかを多角的に掘り下げることを促した。 地域社会における貢献:ライフラインと相談体制 パネリストらは、地域社会の高齢化や災害時といった課題に対し、家庭薬が「ライフライン」「応急処置」「相談体制」として多角的に貢献していることを確認した。 柴田氏 柴田穣氏(大幸薬品)は、「正露丸」が上下水道未整備の時代から第一選択薬として重宝されてきた歴史に触れ、災害時を含む緊急時のライフラインとしての役割を強調した。森宏之氏(丹平製薬)は、歯痛薬「今治水」が、災害時や海外出張などすぐに医療にかかれない状況下での応急処置のニーズに応えていると述べた。 大泉梓氏(大和生物研究所)は、直販の「相談薬局」の組織が、コロナ禍において顧客の健康相談を受け付け、不安の解消と自助努力の促進に貢献できた事例を紹介した。堀厚氏(救心製薬)は、医師に簡単にかかれない未来を見据え、家庭薬メーカーは薬だけでなく情報も含めて提供すべきであり、日頃から家庭薬を備えることが最大の防衛策となると結論づけた。 森氏 大泉氏 堀氏 財政への貢献:タイパとQOLという新しい価値 セルフメディケーション推進による医療費適正化への貢献については、新しい切り口が提示された。 柴田氏は、人気のクリニックでの長時間待機を避け、OTC薬で迅速に対応する「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する層へのアプローチが、医療機関の不要な受診抑制に繋がると指摘した。森氏は、高齢化が進む中で、医療の適正化を促すのは責務とし、DXと連携した高齢者への個別医療的な情報提供による「消費者教育」の重要性を強調した。 大泉氏は、海外の事例として、医療費無料だが薬代は原則自己負担というデンマークの仕組みが、「健康であることが経済的」なインセンティブを生み出していることを紹介した。堀氏は、OTC化による医療費削減効果に加え、家庭薬のもう一つの魅力が「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上」を通じた予防効果であると主張した。堀氏は、乗り物酔い止めによる外出促進の例を挙げ、QOL向上による経済効果を今後もっとアピールしていく必要があると力説した。 グローバルでの信頼構築と次世代の決意 グローバル社会における役割について、堀氏は、日本の家庭薬が海外で人気を博しているのは、世界的なセルフケアの重要性の高まりの中で「日本の家庭薬の品質」が注目されている結果であるとし、外国人にも正確な情報を届ける責務があり、情報と品質をセットで提供する姿勢がグローバルでの信頼を築く大前提になると述べた。 最終講として、パネリストらは、委員会の「アイデアベースの議論ができる」強みを生かし、アジア市場への情報発信、新製品開発、そして次世代が主体的に業界の将来を考えていくことの重要性を確認した。森下氏が掲げた「次の100回に向けて」というメッセージを踏まえ、家庭薬が日本の医療の「自助」の精神を担う存在として、業界が一丸となり、未来を切りひらいていく決意を表明した。
- 地域医療の未来を拓く一手:静岡県病院薬剤師会と横浜薬科大学が連携協定を締結
渡邉 学氏(左)と都築 明寿香氏 静岡県の医療体制強化に向け、大きな一歩が踏み出された。静岡県病院薬剤師会(会長:渡邉 学氏)と学校法人都築第一学園 横浜薬科大学(学長:都築 明寿香氏)は、2025年10月23日、薬剤師の養成と地域医療への貢献を目的とした強力な連携協定を締結した。この連携は、特に深刻化する病院薬剤師の不足という喫緊の課題に、両者が組織的かつ継続的に立ち向かうことを意味する。 深刻な「偏在」を是正へ:静岡の病院医療を救う 協定締結の背景には、静岡県が抱える薬剤師の「偏在」問題がある。 県内の薬剤師総数は、人口10万人あたり190.5人(2022年)と全国平均(202.6人)を下回るが、特に病院現場の不足は深刻だ。厚生労働省の「薬剤師偏在指標」(2023年6月公表)によれば、静岡県の病院薬剤師偏在指標は0.66で全国40位に低迷。一方で薬局薬剤師指標は1.01と全国16位であり、このアンバランスが病院医療の質と継続性に影を落としている。 同協定は、この「病院薬剤師の養成と確保」という難題に正面から挑むための戦略的な布石である。 実践的な教育と地域ネットワークの融合 同協定において、両機関は、薬学実務実習をはじめとする薬剤師養成における相互協力を進める。また、医療薬学に関する情報交換を密に行い、地域医療の発展に向けたさまざまな取り組みを組織的かつ継続的に実施する体制を整える。 今後は、両機関が持つ「知見」と「ネットワーク」を最大限に生かし、「静岡県内外で活躍できる優れた薬剤師の育成」と「地域に根ざした医療体制の強化」という大きな目標を実現していく。具体的な取り組みは、今後随時協議を行いながら、実効性のある形で展開される予定だ。 静岡県の地域医療の未来を担う新たな薬剤師の育成拠点として、静岡県病院薬剤師会と横浜薬科大学の協働体制に大きな期待が寄せられる。
- 【東京薬科大学】獣医療における薬学研修プログラムの受講案内を開始
東京薬科大学は2025年10月24日、「獣医療薬学研修」プログラムの受講案内を開始した。本研修は、2025年6月26日付 プレスリリース にて発表されたもので、薬剤師の新たな職能拡大に貢献することを目的としている。 研修プログラムの詳細 プログラム名: 獣医療薬学研修 受講料: 無料 形式: オンデマンド講義動画(全9本)と各回理解度テストで構成される。 主な内容: 獣医薬理学、機能形態学、適正飼養・保定、飼い主対応・ペットロス、投与方法・服薬指導、獣医療関連法規・倫理、チーム獣医療などが含まれる。 修了証: 全プログラムの履修を完了した者には、「獣医療薬学研修」の修了証が発行される。 受講申し込みは、 専用リンク で受け付けており、定員に達し次第、締め切られる。 同プログラムは、薬剤師が獣医療に関する基礎知識を習得し、獣医師や愛玩動物看護師らとの連携を強化することで、チーム獣医療の推進と獣医療の質の向上に貢献することが期待されている。 問い合わせ先 研究に関する問い合わせ: 東京薬科大学 薬学部 生命・医療倫理学研究室 教授 櫻井浩子 電話:042-676-1620 メール: sakurai@toyaku.ac.jp ホームページ : https://pharmavet.jimdosite.com/
- 【ウエルシア薬局】DgSの常識を覆す「ドラッグ&フード戦略」を本格始動!食品強化で売上130%増、イオン連携で全国展開へ
ウエルシア薬局は、将来の成長を牽引する柱として「ドラッグ&フード戦略」を本格始動させ、2025年度中に東日本地域で合計9店舗の食品強化型店舗へのリニューアルを計画している。この戦略は、単なる食品販売の拡大に留まらず、ドラッグストア(DgS)としての既存の強みであるHBC(ヘルス&ビューティケア)や調剤の売場を一切損なうことなく、食品の品揃えを大胆に拡充することで、顧客の来店頻度と購買単価の向上を同時に実現する、革新的なシナジーモデルを確立しようとしている。 競争軸を変える「ドラッグ&フード」の戦略骨子 ウエルシア薬局の新たな成長戦略は、「フード&ドラッグ」ではなく、あえて「ドラッグ&フード」と名付けられている点に独自性がある。これは、ドラッグストア(DgS)としての核となるHBC(ヘルス&ビューティケア)の売場を一切狭めずに、食品部門を強化するという明確な方針に基づくものだ。 この戦略の骨子は、以下の3点に集約される。 ・HBC売場の維持と食品の入れ替え HBCの売場面積を維持したまま、既存の食品売場などを刷新して食品を強化している。これにより、DgSの競争力を保ちつつ、生活必需品の品揃えを充実させている。 ・強力なシナジー(相乗効果)の創出 食品の品揃えを大幅に充実させることで、顧客の来店頻度を大幅に向上させている。その結果、食品目当てに来店した顧客が、ついでにHBC商品も購入するため、HBCの売り上げも連動して大きく伸長するという強力な相乗効果を狙っている。 ・イオングループのアセットを最大限活用 親会社イオンのインフラとノウハウを徹底的に活用することで、効率的な運営を実現している。具体的には、イオンの食品仕入れ、物流(グローバルSCM)、トップバリュ商品、プロセスセンター(PC)などを活用している。特にデリカ(惣菜・弁当)については、店舗での調理をせず、アウトパック(外部調理)での供給を基本とすることで、大規模な厨房設備投資を抑え、オペレーションをシンプルにしている。 食品強化が生む驚異的な実績とDgSならではの提案 青果売場 精肉売場 食品強化型店舗では、顧客が日々買い物を完結できるよう、日配品、青果、惣菜、冷凍食品の販売を大幅に拡充している。品揃えの進化として、冷凍食品(冷食・アイス)の売り場規模を約1.65倍に拡大し、食品スーパー並みのケース数を確保。トップバリュ商品を積極導入することで、低価格と品揃えの両立を図っている。デリカの品揃えを約2.6倍に拡大し、健康志向で栄養バランスを考慮した弁当・惣菜を拡充し、中食需要を取り込んでいる。日配品・グロッサリーの品揃えを約1.5倍に拡充し、単なる安売りだけでなく、オーガニックや「食べる健康」を意識した商品(例:オーガニックもやし)も導入し、DgSらしい価値を提案している。売場面積は既存店ベースの約100坪を維持し、HBCの面積は確保しつつ、食品に合わせた暖色系の照明を採用し、視認性を向上させている。 冷凍食品売場 ・初期実績:食品売上130%増の衝撃 2025年8月にリニューアルオープンした茨城県のつくば小茎店では、極めて良好な初期実績が確認された。客数は110%以上伸長し、食品売り上げは120%〜130%伸長、HBC売上も110%程度伸長し、全体売り上げは115%〜120%伸長した。食品の売上構成比はリニューアル前の約40%から約5%程度の上昇に留まっており、食品強化がHBCの購買を促す理想的なシナジー構造が実証された。顧客からは「他のスーパーに行かなくていい」といった声が聞かれ、生活インフラとしての地位を確立しつつある。 効率的な運営モデルと全国展開への布石 ・店舗運営と投資抑制 管理栄養士が監修した弁当 店舗運営においては、厨房機能がないため、投資額は主に冷蔵・冷凍ケースの増加分に抑えられており、大規模な投資はかけていない。オペレーション面では、朝の品出し作業が増えるため品出し人数が1〜2人程度増加するが、食品中心のオペレーションに対応するためのマニュアル整備を進めている。健康提案として、管理栄養士が監修した弁当の展開や、「食べる健康」につながる機能性表示食品などの品揃えを強化する。 ・2025年度 食品強化型店舗の設置計画 ウエルシアつくば小茎店 ウエルシア薬局は、東日本地域で以下の9店舗を食品強化型店舗として展開する。リニューアル済み店舗は茨城県のウエルシア稲敷釜井店(2025年8月22日)とウエルシアつくば小茎店(2025年8月29日)であり、今後設置予定の店舗はウエルシア宇都宮泉が丘店(栃木県)、ウエルシア古河総和店(茨城県)、ウエルシア新潟荻川店(新潟県)、ウエルシアさいたま原山2号店(埼玉県)、ウエルシア東海村松北(茨城県)、ウエルシア新潟秋葉通店(新潟県)、ウエルシア新潟上木戸店(新潟県)である。 ・DgS連合による優位性の確立 当面は、既存のスーパーマーケットが少ないなど、食品ニーズが高いエリアを主力として出店を進める方針だ。ツルハとの経営統合を控えるなか、イオングループのインフラ(プロセスセンターや物流)を最大限に活用し、他のドラッグストアにはない競争優位性を確立し、この「ドラッグ&フード戦略」を武器に、今後の成長を拡大させる構えである。
- 現代に蘇る「養生」の知恵! OTC医薬品イベントで示された“健康自立”への道
2025年10月3日と4日の2日間、「OTC医薬品普及啓発イベント~よく知って、正しく使おう。OTC医薬品 今こそセルフメディケーション。さあ、実践へ」が、神田明神文化交流館とYouTube生配信のハイブリッド形式で盛大に開催された。医療費増大と超高齢社会という喫緊の課題を背景に、本イベントでは、セルフメディケーションと江戸時代から続く「養生」の知恵が、健康自立の鍵として熱く議論された。 「長寿」を支える江戸の知恵と都知事のメッセージ 小池氏 開会挨拶に立った東京都知事 小池百合子氏は、高齢化が進む現代社会において、いきいきと過ごすためにはセルフメディケーションが不可欠であると強調した。小池氏は、その実践の鍵を「自分の健康を自分で守る」という市民の意識改革と、市販薬であるOTC医薬品の賢い活用にあると述べた。 さらに、セルフメディケーションの考え方は、生薬を用いた「養生」として江戸の庶民の知恵に深く根差していることを指摘。東京都がこの伝統を「東京キラリプロジェクト」として世界に発信していることに触れ、日本が世界に誇る「長寿」の秘訣は、他ならぬこの「自ら健康を守る努力」にあると力説した。 セルフケアの7つの柱:スペシャル対談から学ぶ健康自立 尾﨑氏 喜美勇氏 本イベントで最も注目を集めたのは、東京都医師会会長の尾﨑治夫氏と新橋芸者の喜美勇氏による対談「今こそ求められる養生、7つの柱」であった。尾﨑氏は、医療機関の負担軽減と健康寿命の延伸のため、全ての国民が実践すべき「セルフケアの7本柱」を提示した。 尾﨑氏は、健康リテラシーの獲得、初期症状のない病気の早期発見のための検診(検査)の定期的受診が極めて重要だと指摘。また、高血圧に次ぐ年間死亡原因第2位の禁煙の必要性をあらためて警告した。日々の生活の柱として、適切な運動・食事・睡眠を挙げ、特に65歳以上はタンパク質摂取と運動によるフレイル(虚弱)予防の重要性を強調した。これらに加え、孤立を防ぐコミュニケーションが心身の健康を支えるとした。 喜美勇氏は、芸者という多忙な仕事柄、「自分の体をすごい愛してあげる」という意識で日々のメンテナンスに努めていると語り、集中力維持のため「一番大事にしてるのは睡眠」だと強調。対談で得た「7つの柱」の情報を、座敷で接する高齢の経営者などにも伝え、世の中の健康をサポートしていきたいと意欲を見せた。 そして、これらの努力を土台に、軽い体調不良を養生やOTC医薬品で自分で手当てするセルフメディケーションが、超高齢社会の医療資源を救う唯一の道であると尾﨑氏は結論付けた。 体の状態を「見える化」する体験コーナーが大盛況 坂口氏(前列真ん中) 千葉大学のブース 会場では、製薬企業が自社製品の特徴や活用シーンを紹介するブースに加え、参加者の行動変容を促す体験型のコーナーが数多く設けられ、大盛況となった。 地下1階に設けられた実行委員の坂口眞弓氏らが担当した検体測定室(HbA1c測定)には、300人が参加し、自身の体の状態を客観的に知る機会を提供した。他にも肌年齢、骨密度、血管年齢・ストレスをチェックできる健康チェックコーナーや、千葉大学による口腔内の健康状態チェックブースが設置された。これらの体験を通じ、参加者にセルフケアやセルフメディケーションの行動実践を強く呼びかけた。 製薬企業は、普段直接話す機会の少ない生活者に対し、OTC医薬品のメリットを直接訴求。また、企業のキャラクターたちが神田明神の御神殿前に集結し、イベントを盛り上げた。 自治体の挑戦:健康データで国民病に立ち向かう 横尾氏 2日目に行われた特別講演では、前佐賀県多久市長の横尾俊彦氏が登壇し、自治体経営の現場から見た「健康自立」への挑戦を語った。横尾氏は、特定検診受診率向上への地道な取り組みや、フッ素洗口による子供のむし歯激減など、市民を巻き込んだ具体的な成果を報告した。特に、小中学生を対象に成人病検診項目を実施し、子供のうちから健康データを見せ、親子で健康意識を育てるというユニークな実践を共有した。 横尾氏は、自覚症状に乏しい慢性腎臓病(CKD)が20歳以上の8 人に1人を苦しめる「国民病」であることを警告し、予防の重要性を力説。検診で自己の健康状態を知り、ヘルスリテラシーを高めたうえで、セルフメディケーションを実践していくことが、健康で文化的な生活を送るための基盤になると講演を締めくくった。
- ケーエスケーが関わる地域医療-地域包括ケアシステム推進に向けて予防・未病対策への取り組み提案
地域包括ケア推進部が目指す健康社会創造 株式会社ケーエスケー(本社:大阪市)は、会社のビジョンに「地域に寄り添う、健康スペシャリスト企業へ」、ミッションに「私たちは、医療・医薬品はもとより、健康に関連する商品の流通に携わる企業として、全ての人々が健康で幸せに生活できる社会の実現のために貢献します」と謳い、これにのっとり、会社の価値・目的を明確にするよう努めて、関西2府4県(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)を対象に医療用医薬品等の卸売業を運営する企業だ。 同社では現在、自社の立ち位置における「高度先進医療から在宅医療までの医薬品等の適正使用をサポートできる」という優位性を鑑みて、地域包括ケア推進部が中心となり、「地域包括ケア等の地域医療に対する取り組み」を行っている。 地域包括ケアシステムを推進していくにあたって、多くの地域でその図式、掛け声が盛んになっている割には、自治体、病医院、介護福祉施設、薬局などの関連業種間に求められる連携、あるいは多職種連携において、多くの課題を抱えているのが実情だ。 こうした中にあって、現在、ケーエスケーが従来のロジスティクス企業としての機能と役割を果たす日々の営業活動だけでなく、同社がカバーする関西2府4県の地域が健康社会創造に当たって抱える課題解決を目指す「地域に寄り添う、健康スペシャリスト企業」としての様々な取り組みが手応えを見せ始め、一定の成果を上げてきている。 これに関しての経緯、実情、これからの見通しなどについては、同社の杉本豊志 前上席地域包括ケア推進部長の著書である『高齢者がすてきに暮らせるまちづくり 医薬品卸がつなぐ、はぐくむ、地域の医療』(評言社MIL新書)に詳しいが、現在、地域包括ケア推進部では、大きく3つの枠組みの中で具体的なアクションプランに取り組んでいる。 3つの枠組みの中の具体的アクションプラン 一つ目は、「地域医療のパートナー企業」として多職種連携のコーディネートを通じて医療・介護連携の円滑化に取り組むというもので、具体的なアクションとして「小さな顔の見える会」という少人数で実施する、いわば“多職種連絡会”を設けている。これは地域の医療機関を中心に繋がりのあるコメディカルが集まる機会創出、参加者のニーズに合わせたオーダーメイドの連携会の実施、アンケートで次回のテーマを募ることにより会の継続性を維持することを目的とし、参加者全員が同じ目線に立って話し合いができる場として機能している。 「小さな顔の見える会」の実施状況は2府4県で948件(大阪府343件、兵庫県311件、京都府141件、滋賀県64件、和歌山県60件、奈良県29件)に及ぶ。また参加者は延べ7516名にのぼる。この内訳は、医師1028名、看護師1032名、薬剤師1315名、ケアマネジャー1789名、介護士(介護福祉士+ヘルパー)239名、地域包括支援C247名、その他1866名、ケーエスケー495名(いずれの数値も2025年6月末日現在)となっていて、同会がいかに活発に行われているかが分かる。 「小さな顔の見える会」開催風景 二つ目は、「真の地域密着企業」として認知症患者増加の対策のために「キャラバン・メイト活動」を行っている。これこそ杉本氏の著書のタイトルに掲げられた「高齢者がすてきに暮らせるまちづくり」を具現化する活動だ。活動内容は多彩だ。自治体または企業、職域団体が実施するキャラバン・メイト養成研修を受講した者が「認知症サポーター養成講座」などを企画・開催し、講師を務める。 中でも「間違いが許されるレストラン」と銘打つ「てへぺろキッチン」の成果は大きい。“てへぺろ”とは、まさに間違ってしまった時に、てへっと笑ってぺろっと舌を出して照れ隠しをする際に使う言葉だ。大阪市福島区の「カフェ&スペースマルシン」で開催された食事会におけるサポートする側とされる側双方の写真に写る楽しそうな笑顔が素敵だ。 同市此花区の「Garden Terrace 舞洲キッチン」での食事会にサポーターとして参加したケーエスケー担当者の一人は「最初は無表情に近かったホールスタッフの認知症の高齢者の方が、お客様と触れ合ううちに笑顔になっていき、認知症があっても輝くことができることを体感しました。お互いが助け合い、認知症があっても関係ない心のバリアフリーを今後も形成していきたいと思います」と語る。こうした事例の数々を作り上げているキャラバン・メイト活動の認知症患者増加対策は効果絶大なのだ そして三つ目は、「医療経営のサポート企業」として地域住民の健康リテラシー向上を目的として行うフレイル対策、がん検診の推進、地域の薬局などが行う「健康イベントのサポート」を通じた様々な健康増進活動だ。特に、一般社団法人介護予防ネットワーク協会の後押しを受けて行うロコモゼロトレーナーによるロコモチェックやロコトレ指導は、出色イベントとして注目されている。 特筆すべきは、ケーエスケーがこうした一連の活動を推進するに当たり、介護予防ネットワーク協会認定のロコモゼロトレーナーの資格を有すること、また社内認定制度におけるキャラバン・メイトやエリア・パートナー(AP)になるための研修講座を受講することを必要としている点だろう。このことでスキルアップが図られ、より骨太な活動につながっていることはいうまでもない。 社内認定制度の有資格者である同社社員のAPは101名、キャラバン・メイトは65名となっており、介護予防ネットワーク協会が認定するロコモゼロトレーナーが137名、NPO法人全国ストップ・ザ・ロコモ協議会(SLOC)が認定するロコモコーディネーターは3名となっている(2025年4月1日現在)。 薬局、薬剤師に期待される地域での活動 ところで、これらの活動の中で、医療・福祉関連の多職種連携が必要だが、ケーエスケーではこれを様々な“舞台”で実践している。ただ基本的にケーエスケーは、「小さな顔の見える会」「キャラバン・メイト活動」「健康イベントのサポート」などについての実施主体はあくまでも地域の医療・福祉関連施設であり、そこで働く専門職が表立って活躍すべきだと考えていて、地域に寄り添い、地域の活動を支援するという立場を取っている。このことから地域でのアクションプランのひな型となる“パッケージ”を用意し、地域の医療・福祉関連施設に提供しているということなのだ。 ケーエスケーが営業展開をする2府4県の中でも地域の薬剤師と地域薬局がこれをうまく利用し、地域住民向けの様々なイベントを行う事例が増え続けている。地域薬局がこれに取り組むことは、大目的である予防・未病対策という見地から相性の良さが見えることは多い。 このため地域住民への啓発や健康社会創造への貢献も成される一方、結果的に薬局の経営向上につながっているという声も聞こえてくるという。「OTCをはじめあらゆる商品の売り上げが増えた」「主応需医療機関以外からの処方箋応需が増えた」「在宅実績につながった」など収益面のメリットに加えて、「患者との会話の幅が広がった」「地域の医療提供施設、介護関係施設との連携が増えた」「薬局職員の意識向上とスキルアップにつながった」などの収益面以外のメリットも顕著だという。 ちなみにケーエスケーの案内によってロコモゼロトレーナーの資格を取得した地域の薬局薬剤師は308名(大阪府93名、兵庫県83名、和歌山県37名、滋賀県29名、京都府35名、奈良県11名、その他20名=2025年7月末日現在)となっている。これだけの数になってくればそれなりの力を発揮できる。よく言われるところの「薬局薬剤師はもっと地域に出ていこう」という掛け声に対する具体的かつ力強い“武装”と言えるだろう。 地域住民対象のロコモ予防体操実施風景 ※2024年「SLOCロコモコーディネーター全国大会」においてケーエスケーが行うロコモ予防活動を報告したところ、高い評価となり、SLOC認定ロコモコーディネーターの資格要件に新たに薬剤師・管理栄養士が追加されることになった そもそも医薬品卸業といえば、物流機能(仕入れ、保管、品揃え配送、品質管理)、販売機能(販売促進、コンサルティング、販売管理、適正使用促進)、金融機能(債権・債務の管理、経営の効率化)、情報機能(医薬品等に関する情報収集・提供)、さらに災害・パンデミック時の対応機能(医薬品等の安定供給)などを主な機能としている。 これは、医療関連業界の中にあってなくてはならない大きな存在なのだが、いわば“BtoB”の業種で、普段はあまり表立つことのない“縁の下の力持ち”的な業種だ。ケーエスケーは、関西2府4県を営業エリアとしている地域卸でもある。 だからこそのチカラとフットワークを活かして、「地域に寄り添う、健康スペシャリスト企業」として、地域の医療機関や福祉施設、さらには自治体などに、様々な健康づくりあるいは健康維持のコンテンツを提供し、住民の主体的な健康増進を促し、「高齢者がすてきに暮らせるまちづくり」を目指す。
- 【同窓生集まれ!】福岡大学~先輩から後輩へのメッセージ
一歩先に社会に出た先輩たちが、就職活動のポイントや仕事への向き合い方などを伝える「誌上OB訪問」のコーナーです。 今回は福岡大学薬学部卒業生の皆さんです。 小野 耀太郎さん 2023年卒業 クオール薬局 薬局事業第九本部(九州エリア) 患者さまに寄り添い、地域住民の健康に貢献したいという想いから、「寄り添い」を大切にするクオール薬局への入社を決めました。今は、病気のことだけではなく、患者さまの背景や気持ちも考え、寄り添う心を持つことを忘れずに、患者さまと日々向き合っています。クオールに入社後は充実した研修制度やマンツーマン出店による門前の病院との連携のしやすさを実感しました。総合病院門前で様々な診療科の処方を経験し、早い段階から在宅医療にも携わることができました。現在薬局長・管理薬剤師として店舗管理、外来、在宅、多職種連携業務などに従事しています。今後、地域の「そばにいる頼れる薬剤師」を皆さんと一緒に目指す日がくることを願っております。挑戦を後押ししてくれる環境が整ったクオール薬局の魅力をぜひ採用イベントで感じてください! 【福岡大学の好きなところ】 生徒数が多くいろんな人と接することができるところ。いろんなことを相談できる頼れる先生が多いことです。 山田彩優美さん 2023年卒業 マツモトキヨシ 関東エリア (株式会社マツキヨココカラ&カンパニー) セルフメディケーションが重要視されている現在、これからは医療用医薬品とOTC医薬品、両方の知識を持った薬剤師が必要になると考え、マツモトキヨシに入社しました。 入社後は当社独自のクロス研修にて、半年ずつ調剤とOTC業務を経験し、実際に日用品から医薬品に至るまで幅広い知識を得ることができています。現在は調剤薬剤師を選択し地域医療を担うべく日々奮闘しています。患者様が私のことを覚えてくださり、元気な様子で他愛もない話をしてくれるときに、患者様の健康を守れていると感じ、やりがいに繋がっています。 在学中は勉強や研究など大変なことも多かったですが、仲間と支え合いながら学んだ日々が、今の私の力になっています。自分の可能性を信じて、一歩ずつ前に進んでください。 皆さんの未来を心から応援しています! 【学生時代の思い出!】 西日本最大級の学園祭である七隈祭。3日間に渡って行われて、毎年参加するのを楽しみにしていました! 上田潔奈さん 2024年卒 スギ薬局 阪神調剤薬局 門真店 私は、急性期から慢性期まで幅広く、長く患者様の治療をサポートできる薬剤師を目指しています。スギ薬局の調剤薬局コースでは、専門性が高い総合病院前の店舗と地域密着型のクリニック前の店舗が同じ割合で展開されており、さまざまな地域で幅広い経験を積める点に魅力を感じ入社しました。現在は総合病院前の店舗で多数の診療科からの処方に触れることができています。患者様との何気ない会話を大事にするよう意識しており、服薬支援に繋げられた時にやりがいを感じています。また、店舗業務以外にも興味があったので、2年目からはリクルーター業務にも挑戦しています。スギ薬局には、プライベートを充実させながらも自分のやりたいことを叶える制度が整っていると感じています。ぜひスギ薬局のイベントに参加し、先輩薬剤師の姿を見に来てください! 【学生時代の思い出!】 6年を過ごしてきた友達と勉強の合間に卒業アルバムの写真撮影をした事が、とても大切な思い出です。 > 福岡大学











