【大木ヘルスケアHD】2025年秋冬カテゴリー提案会を開催:危機感共有と変革への提言
- toso132
- 6月20日
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更新日:7月8日

大木ヘルスケアホールディングス株式会社は、2025年6月17日から18日にかけてTRC東京流通センターで「2025秋冬用カテゴリー提案会」を開催し、2日間で約1,800人が来場した。同社が長年掲げる「新しい売上、新しいお客様を作る」というテーマのもと、今回の提案会は日本の抱える深刻な社会課題への危機感を強く打ち出し、ヘルスケア業界全体での変革を促す内容であった。
日本が抱える課題と危機感の共有
提案会では、日本の未来を左右する最も大きな要因として、人口減少、高齢化、労働力不足が強調された。これらの問題は、マーケットの縮小や税収の減少といった負の影響をもたらすだけでなく、現行の医療保険制度の維持も困難になる可能性が指摘されている。特に、20代から30代の女性人口の減少は、地方自治体のインフラ維持、ひいては地域社会の存続に直結するとの強い危機感が表明された。同社は、これらの課題に対し、業界全体で危機感を共有し、具体的な行動を起こす必要性を強く訴えた。
地域包括ケアシステムの現状と今後の方向性
2003年の健康増進法と2005年に発表された地域包括ケアシステムの考え方にも言及があった。健康増進法は「自分の健康は自分で維持する」という個人の努力義務を、地域包括ケアシステムは「自助」「共助」の精神で地域を支え合うことを目指している。
しかし、「2025年」という目標を掲げながらも、地域包括ケアシステムの具体的な形はまだ不十分であると指摘された。代表取締役社長執行役員の松井秀正氏は「当時の危機感が共有されず、個人や地域が自ら行動を起こすという意識が低かったのではないか」と分析した。
大木ヘルスケアHDは、地域包括ケアを単なるボランティア活動ではなく、「ビジネスとして継続可能な地域インフラ」として構築していくことを提案した。商品を販売する小売業が地域の健康インフラを担う中心的な役割を果たすこと、そして企業の従業員健康維持管理も重要な課題として、地域の中小企業と小売企業が連携して取り組む必要性を示唆した。

地方自治体と企業の連携事例
すでに、地方自治体と小売企業の連携、および企業の従業員健康サポートの取り組みが始まっている。
地方自治体との連携事例としては、アカカベが買い物難民に対応した店舗を展開し、ツルハドラッグやサッポロドラッグストアーが離島や過疎地域で行政と連携し、土地や建物の提供を受けて店舗展開している。また、大木ヘルスケアHDのグループ企業である奈良ドラッグが市役所内に物販スペースを設置するなど、地方自治体が企業と連携し、インフラ維持のために随意契約を進めるケースが増加している。
企業の従業員健康サポート事例としては、大手企業の健康保険組合が従業員の医療費削減プログラムを導入しているほか、サンロードが地域の中小企業と提携し、割引で健康維持サービスを提供している。さらに、サッポロドラッグストアーも約300社、15万人と契約し、デジタルクーポン発行で従業員の健康管理をサポートしているという。これらの事例は、地域の中核を担うドラッグストアが、健康に関する多様な取り組みをすでに開始していることを示している。
「売れる商品」ではなく「やるべきこと」に焦点を当てた提案会
今回の提案会では、一般的な展示会でよくある「最近売れている商品は何か」という問いに対する具体的な商品の紹介は少なく、むしろ、「これからやるべきこと」「トレンド」「方向性」に焦点を当てた内容となっている。これは、大木ヘルスケアHDが「メーカーからの収益モデル」ではなく、「やるべきこと、やりたいこと」を優先しているためである。
大木ヘルスケアHDは、この提案会を通じて、業界全体が危機感を共有し、変革へと向かうきっかけとなることを期待している。アメリカのウォルグリーンを例に挙げ、日本のドラッグストア業界も現状維持では立ち行かなくなる可能性を示唆し、変化の必要性を強調した。
松井氏は「この提案会を『問題解決』や『自己変革』のヒントにしてほしい」と呼びかけた。
大木ヘルスケアHDの提案会が、今後のヘルスケア業界、ひいては地域社会のあり方を考えるうえで、どのような示唆を与えてくれるのか、注目される。











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