問◆災害派遣医療チーム(DMAT)が最も優先すべき活動はどれか。【国試探検隊】
- toso132
- 6月23日
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問84 災害派遣医療チーム(DMAT)が最も優先すべき活動はどれか。1つ選べ。
❶ 広域医療搬送対象患者の選出
❷ 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診療
❸ 長期的な医療支援
❹ 一般用医薬品の販売
❺ 被災地の復興支援
(第110回薬剤師国家試験より)
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蔵之介です。必須問題からの出題です。1995年1月17日未明に起きた阪神・淡路大震災では、十分な医療を受けられずに死亡した、いわゆる『避けられた災害死』が500名を超えたといわれます。当時、迅速に派遣できる医療チームはなく、初期救急医療体制の遅れや重量物に長時間、挟まれた手足の解放後に起こるクラッシュ症候群(急性腎障害や高カリウム血症による致死性不整脈)などが課題となり、『瓦礫の下の医療』の必要性が叫ばれました。その教訓から、2005年に厚生労働省直轄の「日本DMAT」が発足しました。『災害の急性期に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた災害派遣医療チーム』と定義され、ディザスター(災害)、メディカル(医療)、アシスタンス(派遣)、チームの頭文字からDMAT(ディーマット)と呼ばれます。医師1名、看護師2名、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)1名の計4名で構成され、発災から48時間以内の医療活動やトリアージ(治療の優先度を決めること)、広域医療搬送(重症患者を被災地外の病院へ搬送すること)、被災地の病院支援などを行います。そのほか、発災から1週間ほどの急性期に活動する日本医師会災害医療チーム:JMAT(ジェーマット)や精神科医療の支援を行う災害派遣精神医療チーム:DPAT(ディーパット)などもあります【解答は1】。
2011年3月11日の東日本大震災では、医療インフラが津波で壊滅状態となり、カルテやお薬手帳まで流され、服用薬すら分かりません。薬剤師がいれば、色や形状から薬を類推することや代替薬の提案ができますが、当時は薬剤師が帯同されていません。DMATの医師は急性期医療が専門で、慢性疾患や向精神薬には慣れていません。災害医療における薬剤師の必要性が認識され、その後の医療チームには必ず薬剤師を加えるようになりました。宮城県薬剤師会は、キャンピングカーを改造した、ライフライン喪失下でも使えるモバイルファーマシー(災害対策移動薬局車両)を開発。現在、平時における医療過疎地での活用や薬剤師法第22条(薬局以外の調剤を禁ずる)への法的整備などが検討されています。
出題予想
モバイルファーマシーやクラッシュ症候群、薬剤師法第22条(薬局以外の場所で調剤してはならない)など
■解説
蔵之介(アポクリート株式会社)
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