第25回JAPANドラッグストアショー開催 ドラッグストアの進化と「セルフメディケーション NEXT25」
- toso132
- 6月30日
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東京ビッグサイトで8月8日から10日まで開催される「第25回JAPANドラッグストアショー」は、日本チェーンドラッグストア協会が主催するアジア最大級のドラッグストア関連展示会である。今年のテーマは「地域の皆様に最高の未来をお届けする~セルフメディケーションNEXT25~」で、ドラッグストアの今後の25年間のあり方と新たな役割を提案する。ここでは実行委員長の米原まき氏(エバグリーン廣甚株式会社代表取締役社長)にドラッグストアショーの見所やドラッグストアの役割について聞いた。

ドラッグストアの進化と「セルフメディケーション NEXT25」
―今年のドラッグストアショーのテーマ「地域の皆様に最高の未来をお届けする~セルフメディケーション NEXT25~」に込められたメッセージは何ですか?
今年のテーマは、日本チェーンドラッグストア協会が設立25周年を迎えたことを記念し、今後25年間のドラッグストアのあり方を示したいという強いメッセージが込められています。当協会の塚本厚志会長が提唱する「未来のドラッグストアを創造する」という言葉にもあるように、ドラッグストアショーは単なる展示会ではなく、セルフメディケーションのさらなる推進を通じて、地域住民の健康と未来に貢献するという強い意志を皆様にご覧いただきたいと考えています。
―これまでの25年間で、ドラッグストアの役割はどのように変化しましたか?
25年前のドラッグストアには調剤機能がほとんどなく、今とは全く異なる業態でした。しかし、現在では調剤併設型ドラッグストアが当たり前となり、スーパーマーケットやホームセンターといった他業態との垣根も曖昧になっています。特に食料品分野への進出が顕著です。
また、25年前には登録販売者という資格はなく、医薬品販売は薬剤師の対面販売が基本でしたが、16年前に登録販売者制度が導入されたことで、お客様がセルフで商品を選ぶことが可能になりました。これにより、薬剤師と登録販売者が連携し、地域住民への健康提案を行うようになりました。これは、ドラッグストアが単なる物販の場から、地域住民の健康をサポートする拠点へと変化したことを示しています。
食と健康ゾーンに込められた思い
―ドラッグストアショーには、ヘルスケアゾーン、ビューティケアゾーン、フェムケアゾーン、食と健康ゾーン、ホームケアゾーン、ペットケアゾーンを含む、全10のゾーンがありますが、特に注力しているゾーンはどこですか?
今年は特に食と健康ゾーンに力を入れています。このゾーンでは、単に食品を展示するだけでなく、来場者に「気づき」を与え、健康的な食生活への意識を高めてもらうことを目指しています。

―なぜ食と健康ゾーンに注力しているのですか?
多くの食品メーカーが、減塩、タンパク質強化、糖質オフといった機能性を持つ健康的な食品を開発していますが、ドラッグストアの店頭ではその健康価値がお客様に伝わりにくいという課題があります。例えば、特定の栄養素を強化した餃子も、見た目だけでは普通の餃子と区別がつきにくいものです。
このゾーンでは、そうしたメーカーの知られざる努力や、商品の持つ健康へのメリットを来場者に直接伝えることで、健康的な食選択を促したいと考えています。ドラッグストアは「薬」だけでなく、「食」の観点からもお客様の健康をサポートする存在であることをアピールしたい、という強い思いが込められています。
―食と健康ゾーンでは具体的にどのような展示や企画が予定されていますか?
このゾーンでは、各メーカーが開発した機能性食品や健康食品が展示され、それらの健康への寄与について詳しく提案されます。
さらに、特別企画として「食と健康アワード」が開催されます。これは、出展されている商品の中から、ドラッグストアショー実行委員とベンダー(卸売業者)が味、機能性、健康面、価格などを総合的に評価し、優れた商品をランキング形式で表彰するものです。
また、ベンダーが複数のメーカーの商品を集めて出展する形式も導入されます。これにより、お客様は多様な商品を比較検討し、その機能性やメリットをより深く理解できるようになります。

―食と健康への注力は、ドラッグストアの今後の戦略にどのように影響しますか?
健康意識の高いお客様が増加している現代において、「食」はドラッグストアにとって非常に重要な領域です。ドラッグストアの売上構成比においても、食品が6割を超える企業も出てきており、その重要性は増しています。
ドラッグストアでは、薬剤師と管理栄養士の採用を推進しており、薬の知識と食事の知識を組み合わせることで、より包括的な健康提案ができる体制を強化しています。これは、国民の健康寿命の延伸や社会保障費の増加といった社会課題に対応するため、ドラッグストアが健康づくりのサポーターとして、セルフメディケーションを推進していくうえでの重要な戦略となります。
―薬学生が食と健康ゾーンを見ることで、どのような学びが得られますか?
薬学生の皆さんには、このゾーンを通じて、薬剤師の役割が医薬品の調剤・販売だけに留まらないことを実感してほしいです。
「食」を通じて地域住民の健康をサポートすることは、これからの薬剤師に求められる重要な能力の一つです。食品の機能性や、お客様への健康的な食生活の提案方法など、薬学の知識を補完する新たな視点や学びを得られるでしょう。
薬剤師の役割と未来へのメッセージ
―ドラッグストアが私たちの生活にますます身近になるにつれて、そこで働く薬剤師の役割も大きく変わってきいくように思います。
これまで薬剤師は主に薬の調剤や販売に特化していましたが、ドラッグストアの進化に伴い、その役割は大きく広がっています。これからは、地域の人々にとって身近な健康の相談相手となることが強く求められています。病院に行くまでもないけれど、体調に不安や悩みがある時に、気軽に立ち寄って相談できる「駆け込み寺」のような存在へと変化しています。
日本の社会保障制度は、高齢化の進展や医療費の増大といった課題を抱えています。このような状況において、医療機関への負担を軽減し、国民が自ら健康を維持・増進するセルフメディケーションの推進が不可欠です。薬剤師が身近な相談相手となることで、早期に健康問題に対処したり、生活習慣の改善を促したりすることが可能になり、これにより、不必要な医療機関の受診を減らし、国民全体の医療費負担を軽減する一助となることが期待されています。
―これからの薬剤師にどのような知識や能力が求められますか?
単に薬の知識を持っているだけでは不十分です。患者さんが抱える疾患や病気に関する幅広い知識はもちろんのこと、それらの背景にある生活習慣や食生活への深い理解も必要です。
ドラッグストアでは、薬剤師のリテラシー向上に向けた継続的な教育や研修に力を入れています。これは、大学を卒業し国家試験に合格した時点がゴールではなく、そこからが「一人の相談相手」としてのスタートであるという認識に基づいています。患者さんへのカウンセリングを通じて、薬の処方だけでなく、より広範な健康づくりをサポートする能力が求められます。
―薬学生がドラッグストアショーを訪れる際に、特に注目してほしいポイントは何ですか?
薬学生には、ドラッグストアショーを通じて、薬剤師の専門知識が地域社会でどのように生かされているかを肌で感じてほしいです。ドラッグストア各社のブースでは、現場で働く薬剤師や管理栄養士から直接話を聞き、ドラッグストアが地域に根ざした健康サポート拠点として、いかに多様な機能を持っているかを理解することができます。未来を担う薬学生の皆さんには、ドラッグストアが日本の社会保障を支え、より良い社会を築くうえで重要な役割を果たす場所であることを実感してほしいと思います。
また、8月9日に開催される「薬科大学対抗クイズ大会」では、6つの大学が参加しますので、応援に来ていただけるとうれしいです。

―最後に薬学生に向けて、メッセージをお願いします。
未来の薬剤師となる皆さんには、単に薬の専門家としてだけでなく、日本の社会を支えるキーパーソンとなることを期待しています。健康寿命の延伸が求められる時代において、皆さんの専門性と情熱は、地域の人々の健康を守り、より住みよい社会を築くうえでかけがえのない力となります。
ドラッグストアは、まさにその最前線で社会貢献ができる場所です。ぜひ、その可能性を肌で感じ、これからの日本の未来を共に創っていくという大きな意気込みを持って、薬剤師としての道を進んでください。
ドラッグストアショーは、薬剤師の未来の役割について深く考える貴重な機会を提供します。ぜひ会場に足を運び、自身のキャリアの可能性を探ってみてください。
第25回JAPANドラッグストアショー開催公式サイト
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