top of page

薬学生のプラットフォームを創り、新しい価値を提供

更新日:6月11日

一般社団法人日本薬学生連盟 2024年度会長

馬越春莉



一般社団法人日本薬学生連盟(APS-Japan)は、「薬学生に新しい価値を」「薬学生のプラットフォームを創る」というミッションを掲げ、世界の薬学生との交流や、病院。企業への訪間、さらには薬物乱用防止などの公衆衛生活動などを通じて、将来への見間を深めている薬学生による薬学生のための団体である。ここでは4月に会長に就任した馬越春莉(東京薬科大学3年)さんにAPS-Japanの活動内容や薬剤師に対する思いなどについて間いた。


―APS―Japanの概要についてお教えください。

WHO(世界保健機関)やFIP(国際薬剤師連合)と正式にパートナーシップを結ぶIPSF(国際薬学生連盟)に日本で唯一正式加盟している、薬学生による薬学生のための団体です。ミッションとして、「薬学生に新しい価値をJ「薬学生のプラットフォームを創る」を掲げ、さまざまなイベントを実施しています。これらのミッションを達成するために、他大学との交流に加え、他学部や社会人の方との意見交換、国際会議への参加などの機会を提供し、会員の未来への足掛かりにしていただいております。北は北海道、南は九州まで全国の薬学生

が参加しており、2023年2月末時点の会員数は369人です。基本的には薬学部の1年生から6年生までが主体となって活動しているのですが、一部他学部の学生も参加しています。

3大イベントとして、主に1年生の新規会員を迎える「新歓」、秋新歓と呼ばれる「薬学

生ジャンボワー」(薬ジャム)、1年の集大成である「年会」があり、毎年恒例の行事とし、

コロナ禍を除き、対面(新歓は遠方の方に配慮してオンラインを併用)で開催しています。新歓と薬ジャムは東京、名古屋、大阪、九州の主要者卜市で開催しているのですが、年会は1カ所で行うため、全国の薬学生が1年1こ1回対面で会う場となっています。昨年の年会では、『はたらく細胞』の医療監修者である原田知幸先生を講師としてお招きし、医療知識の伝え方について学びました。

また団体内には、6部署、3委員会があり、それぞれのセクションがイベントを企画し、年間を通して開催しています。中でも力を入れているのが、国際渉外部が中心となって取り組んでいる国際イベントヘの参加です。2023年度はインドネシアで開催されたアジア太平洋薬学生シンポジタム(APPS)に日本の代表として私を合め3人が参加しました。APPSはIPSFのアジア支部が年に1度開催する会議で、シンポジタムやワークショップ、ポスターセッションなどを通じて学術的、文化的な交流を深めていきます。

そのほかに、公衆衛生委員会では、献血の呼びかけ、世界糖尿病デーには、啓発活動を行っています。さらに地域連携委員会では、薬膳コーラを作るイベントを開催したり、専門家を講師としてお招きして、医療に関する知識を深めたりしています。各イベントは、薬ジャムと同様に主に東京、大阪、名古屋、九州のほか、オンラインでも多数開催しており、その情報はSNSで発信しています。会員でない方も参加可能なので、興味があれば気軽にのぞいてみてください。


――APPSに参加されたようですが、どんな経験をしましたか。

昨年7月3日から9日にかけてジョグジャカノレタで開催されたAPPSには、副会長として参加し、期間中は主にRA(RegiOnalAssembly)という総会に出席し、それぞれの団体の活勃や薬学部の現状などについて情報交換しました。また、参加したアジアの学生との観光や会食を通じてインドネシアの国民性や文化について学びました。海外の学生は自分の考えを持っており、たくさんの議論が交わされ、多くの刺激を受けました。

私自身、英語を学びたいという思いがあってAPSJapanに入会したのですが、国際会

議への参加は貴重な経験になりましたね。


――APS-Japanの魅力について馬越さんの考えをお教えください。

団体として動くことに意味があると思っています。団体があるから普段会えないような専門家に声をかけることもできますし、団体が積み重ねてきたノンハタを先輩に教えていただく、あるいは団体で学んできたことを後輩に教えていくという場をつくれるのが団体としての魅力です。私自身、将来、小児期医療に携わりたいと思っているのですが、以前、弊団体の活動でつながりを持った小児科医の先生にお話を伺う機会があり、そのときに「日本の小児期医療はまだまだ遅れている。最新の知識を得るには海外の論文を読むことが必要になるので、しっかりと英語の勉強をしてはしい」という言葉をいただき、モチベーションが高まりました。

また、薬学生同士だけでなく、さまざまな医療系の学生にもつなぐことができます。それは弊団体が主体的に行うこともありますし、逆に他団体から声をかけていただくこともあります。薬学という枠組みにとらわれるのではなく、海外の方を合め、さまざまな立場の方と交流を深めることで、自分の視野が広がるのだと思います。


――APS-Japanの会員になるにはどうしたらいいのでしょうか。

ホームページ(https:〃aps,apanoorg/)から登録することが可能です。所定のフォームに自身の情報を記載し、入会費(2,000円)をお支払いいただければレギュラー会員として登録されます(年会費は無料)。レギュラー会員になれば、弊団体からイベント等のお知らせメーノレを受け取ることが可能なりますので、各種イベントにいつでも参加することができます。各オベントの活勃レポートをホームベージに掲斎完していますので、ご関心のある方はご参照ください。


―― 自分で企画したいことがある場合はどうすればいいのでしょうか。

自分が企画側の立場になりたいと思った場合はスタッフ会員になっていただきます。

スタッフ会員になる手順として、レギュラー会員になったときと同様に所定のフオームに記載していただきます。どの部門・委員会に所属したいのか等を記載し、その後、希望する部門。委員会の責任者と面談したのちに、スタッフ会員として活動していただきます。


――卒業後はAPS―Japanとのつながりはなくなるのでしようか。

OB・OGとしてイベントに招待して、企画の運営を手伝っていただくことがあります。その中で新たな交流が生まれ、仕事や就職といった将来のことを相談できる場も生まれます。またOBoOGの方は病院薬局、製薬企業のほか、海外でボランティア活動をされている方もいらっしゃいます。仕事への理解を深めるために、OB・OGの方に講演を依頼することもあります。さまざまな領城でご活躍されている方のお話を聞くことで、新たな気づきが生まれているようです。


――会長としてどんなことをしていきたいですか?

薬学生に対して幣団体の魅力をどう伝えていくかが当面の課題になっています。国際系に強いこと、団体だからこそできることに焦点を当てて、薬学生に広く周知していきたいと思います。


――馬越さんにとって薬剤師とは

ジェネラリストやスペシャリストということがいわれていますが、私自身いろいろな学会に参加して感じたことは、薬全体の知識を持っていることが薬剤師であり、それが医師との違いだと思っています。それに加え、医療の技術が進歩し、小児期医療、周産期医療、がん医療といった専門領域で多くの薬剤師が活躍しています。その意味で薬剤師はジェネラリストでもあり、スペシャリストでもあるのだと思います。今後そういった薬剤師が増えることで、薬剤師の社会的価値は高まっていくのではないかと考えます。


―― 最後に薬学生にメッセージをお願いします。

何か自分自身がやりたいことによい進してほしいと思っています。例えば、学生だから学会は敷居が高いと思うかもしれませんが、私自身もそのような思いをもちつつ1年生のときに初めて学会に参加しました。学会に参加したことで、自分が分からない部分を理解できたこと、大学での学びが、臨床につながっていることに気づかされました。いろいろなことに挑戦することで、新しい世界や将来の夢が見つかるかもしれせん。それは学生のうちにしかできないことです。高学年になれば、実務実習や就職活動、そして国家試験が控えています。なるべく低学年のうちから行動に移してほしいと思います。


馬越春莉(ばこし・はるり)

2004年生まれ。神奈川県出身。日本薬学生連盟2023年度副会長を経て、2024年度会長を務める。東京薬科大学3年。中学生からバドミントン部で活動し、高校時代は全国大会出場を目指し、マネジャーとして高校総体に出場した。現在はバドミントン部の部長を務めている。趣味は散歩、バドミントン、手芸、学会巡り。「子どもたちを笑顔にしたい」その想いから、既成の概念にとらわれるのではなく、主体的に学び、何事にも挑戦することを常に意識して学生生活を送っている。


Comments


bottom of page