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  • 元准教授が語る「起業のリアル」——就実大学でのPBL実習講義レポート

    株式会社ウィズレイ 代表取締役 森山 圭 起業家としての経験を学生に伝える森山氏 2025年12月10日、母校とも言える就実大学の教壇に、私は再び立っていた。かつて2023年まで薬学部の准教授として過ごしたこのキャンパスで、今回は「起業家」として、経営学部の学生たちに自身の経験を伝えるためである。 この講義は、経営学科2年生を対象とした「PBL実習4(プロジェクトマネジメント)」の一環として行われた。会場には経営学部のみならず、薬学部の学生も含め約60人が集結。起業という未知の世界に挑んだ先駆者の声を聴こうとする、熱気に満ちた空間となった。 試作1号機は「身近なもの」から始まった 講義の核心は、単なる成功談ではない。身の回りにある素材をかき集めて自力で制作した「試作1号機」から、現在の事業に至るまでの泥臭いプロセスである。 私が開発した 一包化散薬鑑査装置「コナミル」 は、薬局で調剤された薬が正しいかどうかを数秒で判別する。薬剤師の負担を軽減し、調剤ミスという命に関わるリスクを防ぐためのプロダクトだ。しかし、そのスタートは華々しいものではなかった。 資金調達の苦労、そして試行錯誤の日々。特筆すべきは、試作機のプログラミングにおいて、幼少期に夢中になったパソコンの知識が大きな役割を果たしたことだ。私は学生たちに、ひとつの確信を伝えた。 「幼い頃の遊びや興味を含め、これまでの人生のあらゆる経験が、いつか自分の強みになる。その点と点を組み合わせた先にこそ、起業の『タネ』やヒントが隠されているのだ」と。 迷いの中に答えはない、動いた先に道ができる 講義の終盤、私はこれからの未来を担う学生たちへ、エールを込めてメッセージを送った。 若さは選択の連続であり、それは起業の過程と酷似している。どちらに進むべきか、立ち止まって悩むこともあるだろう。しかし、その場所に答えが落ちていることはない。 「迷ったら、自身の持つ強みを生かして一歩を踏み出すこと。動き出せば、必ず光が見えてくる。そして、自分が進んだ道、選んだ道を、自らの手で『正解』にしていくのだ」 かつての同僚や教え子たちがいるこの場所で、次世代の挑戦者たちに学びを共有できたことは、私にとっても大きな財産となった。 授業の様子は、就実大学の公式Instagramやウェブサイトでも詳しく紹介されている。 授業の詳細を記事 Instagramの投稿 株式会社ウィズレイ 代表取締役 森山 圭 大手製薬メーカー研究員を経て、就実大学薬学部准教授に就任。在任中の2019年に大学発スタートアップとして株式会社ウィズレイを創業。分光分析とデータサイエンスを融合させた薬剤識別装置「コナミル」を開発し、全国の薬局・病院へ展開中。

  • 29年度からの薬剤師国家試験改訂:新カリキュラム導入に伴う主な変更点と注意点

    厚生労働省の「薬剤師国家試験制度改善検討部会」は、2025年12月26日に第4回会合を開催した。この会議において、2029年度(第115回試験)から適用される新たな「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針(案)」が取りまとめられた。 今回の改訂は、2024年度の入学生から適用されている「改訂モデル・コア・カリキュラム」に準拠したものである。薬剤師を取り巻く環境の変化に対応し、単なる知識の暗記ではなく、より実践的で統合的な能力を評価する試験へと進化する。 改訂のポイントと実施時期 適用時期 2024年度に薬学部へ入学した学生が受験する、2029年度実施の第115回薬剤師国家試験から適用される。 試験科目の再編(7科目から5科目へ) 現行の試験科目を統合し、新カリキュラムの大項目(B〜F)に対応した以下の5科目に再編される。 社会と薬学 (旧:法規・制度・倫理) 基礎薬学 (旧:物理・化学・生物) 医療薬学 (旧:薬理、薬剤、病態・薬物治療) 衛生薬学 (旧:衛生) 臨床薬学 (旧:実務) 出題形式の進化 「連問」や「複合問題」において、組み合わせる科目の制限が撤廃される 。これにより、例えば「基礎薬学」と「臨床薬学」をまたぐような、科目横断的な問題解決能力が問われるようにな 。 問題数の削減 統合的な理解を問う問題が増加し、1問あたりの回答時間を確保する必要があるため、複合問題が10問削減される。 試験区分と問題数の構成 試験は2日間で実施され、総問題数は現行の345問から合計335問に変更される。 必須問題(合計90問) 薬剤師として不可欠な基本的資質を確認する問題。 (内訳:社会と薬学10、基礎薬学15、医療薬学45、衛生薬学10、臨床薬学10) 一般問題:薬学理論問題(合計125問) 一般的課題を解釈・解決するための資質を確認する単問形式の問 。 (内訳:社会と薬学10、基礎薬学30、医療薬学45、衛生薬学20、臨床薬学20) 一般問題:薬学実践問題(合計120問) すべて複合問題(連問を含む)として出題され、実務と関連させた実践的能力を評価する。 薬学生が特に注意すべきこと 新しい試験制度において、受験生が特に対策を講じるべき点は以下の4点である。 「医療薬学」内の足切りライン 「医療薬学」は旧3科目が統合された広範な科目だが、合格基準において「構成する一定の項目(旧薬理・薬剤・病態)」ごとに30%以上の得点が必要とされるため、苦手分野を残すことは許されない。 科目横断的な学習の徹底 複合問題の科目制限がなくなるため、基礎薬学で学んだ内容が臨床でどうつながるかといった、領域を越えた「統合的理解」が不可欠となる。 既出問題(過去問)の活用法 試験の質担保のため、既出問題が約20%活用される方針だが、設問や選択肢が工夫されるため、答えの丸暗記ではなく「問題の趣旨」を深く理解する必要がある。 実践的な技能と態度の習得 実務に即した技能を確認するため、写真や画像、イラストを用いた出題が積極的に行われる 。日頃から医療現場を意識した学習が求められる。 まとめ:今回の改訂のポイント 2025年12月26日の検討部会にて、令和11年度(第115回)からの新基準が決定した。 試験科目が7科目から5科目に再編され、領域横断的な「統合的問題」が強化される。 総出題数は335問となり、現行より10問削減される 。 合格には総得点の相対基準に加え、必須問題の各項目で30%以上の得点が必須となる。 過去問題の利活用は約20%となるが、ひねった出題への対応力が求められる。

  • 【流通革命】トライアル×スギ薬局が包括提携!スーパーとドラッグストアの融合が創る「買い物新時代」

    2026年1月8日、スーパーセンターを展開する株式会社トライアルホールディングスと、ドラッグストア大手のスギホールディングス株式会社が包括的な業務協業を開始することで基本合意した。 この提携は、低価格な食料品・日用品を武器とするスーパーセンターと、専門性の高い調剤・ヘルスケア機能を備えたドラッグストアが融合し、消費者の生活動線を根本から変える新たな価値創造への挑戦である。特に薬学生にとって、リテールテックの活用が薬剤師の働き方をどう変えるのか、非常に興味深い先行事例となるだろう。 薬剤師が「生活の場」へ。ワンストップで支える地域医療 今回の協業の大きな柱は、トライアル(株式会社トライアルホールディングスの中核子会社)が運営する大型店舗内に、スギ薬局(スギホールディングス株式会社の中核子会社)の調剤薬局・ドラッグストアをテナントとして出店することである。これにより、これまでは「スーパーで食料品を買い、ドラッグストアで処方薬を受け取る」という2カ所での行動が必要だったものが、1カ所で完結する。 まずは福岡県の「スーパーセンタートライアル須恵店」および「飯塚店」での実装が予定されている。スーパーという「日常的に足を運ぶ場」に専門性の高い薬剤師が常駐することで、処方箋対応だけでなく、日々の病気予防やセルフメディケーションの相談に応じる「地域住民の健康拠点」としての役割がより強固になる。 「GOシステム」による業務効率化。対人業務への全振りへ この協業を支えるエンジンが、トライアルが自社開発した店舗運営プラットフォーム「GOシステム」だ。これはITの力で店舗運営を効率化し、顧客体験を向上させる「リテールテック」の集大成である。 スギ薬局の店舗への導入も検討されている「GOシステム」には、以下のような次世代機能が含まれている。 顔認証決済・リモート年齢確認: 事前に登録した顔情報での決済が可能になる。AIによる年齢確認により、店舗スタッフのレジ業務の負担を大幅に軽減する。 棚モニタリングシステム「Retail EYE」: 店内のAIカメラが商品の在庫状況をリアルタイムで監視する。欠品を自動検知してスタッフに通知するため、在庫管理の精度と効率が飛躍的に向上する。 薬学生として注目すべきは、こうしたテクノロジーが現場のオペレーションを最適化することで、薬剤師が本来集中すべき「対人業務(服薬指導や健康相談)」に最大限の時間を割けるようになる点だ。DX(デジタルトランスフォーメーション)が、薬剤師の職能価値を高める土壌を作っているといえる。 職人の「惣菜」とプロの「ヘルスケア」による栄養指導の可能性 商品のラインナップも大幅に強化される。トライアルからは、約40人の職人が監修した高品質な惣菜や弁当の製造ノウハウがスギ薬局へ提供される。一方で、スギ薬局はヘルス&ビューティ商品の供給に加え、棚割りや売り場づくりのノウハウをトライアルに提供する。 3月にリニューアル予定の「TRIAL GO 池尻店」を皮切りに、専門性の高い美容・健康コーナーが誕生する。薬剤師や登録販売者は、隣接する食料品売場の「惣菜」と「サプリメント・医薬品」を組み合わせた、より実践的かつ具体的な食事・栄養指導を行えるようになるかもしれない。 最強のプライベートブランド(PB)とデータ駆動型プロモーション 両社のPB商品の相互供給も本格化する。トライアルのコスパに優れた食品と、スギ薬局の高品質なヘルスケアアイテムがクロス展開される。 さらに、スギ薬局が持つアプリを通じた販促ノウハウやID-POSデータを活用し、一人ひとりの購買行動に合わせた最適なプロモーションが構築される。これは、患者のライフスタイルに合わせたフォローアップを行う「次世代の薬局体験」の雛形となるだろう。 この包括的協業は、スーパーセンターとドラッグストアという業界の垣根を越え、テクノロジーによって「安さ」と「専門性」を両立させる壮大な試みである。リテールテックが薬剤師を単純作業から解放し、よりクリエイティブなヘルスケアのプロへと進化させる姿を、この提携は示唆している。

  • 33万人に迫る薬剤師の今

    厚生労働省が発表した最新の「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計」の結果から、現代の日本における薬剤師の役割と現状が見えてくる。今回の調査では、薬剤師数が過去最多を記録しただけでなく、活躍のフィールドが従来のイメージを超えて大きく広がっている実態が明らかとなった。 右肩上がりの推移と構成 2024年12月末時点の全国の届出薬剤師数は329,045人を数え、前回調査から5,355人(1.7%)の増加を見せた。人口10万対薬剤師数も265.8人と着実に増えており、社会における薬剤師の供給体制は一段と強固になっている。 男女比については、男性が125,066人(38.0%)、女性が203,979人(62.0%)であり、依然として女性が中心となって支える職種であることに変わりはない。 地域医療の核となる薬局と多様化する従事場所 薬剤師の活動拠点は、今や調剤室の中だけにとどまらない。その従事場所は多岐にわたり、各分野で専門性を発揮している。 最も多くの薬剤師が活躍しているのは薬局であり、全体の6割に相当する197,437人が従事している。前回比で3.5%増という高い伸び率は、医薬分業の深化とともに、薬局が「地域の健康相談窓口」としての機能を強めている証左と言える。 病院や診療所といった医療施設に従事する薬剤師は63,290人で、全体の約2割を占める。特に病院勤務者は57,595人にのぼり、チーム医療のキーマンとして薬物療法の安全性向上に寄与している。 特筆すべきは、超高齢社会を反映した職域の変化である。介護保険施設で働く薬剤師は、前回比で11.5%増の1,217人と急増しており、在宅医療や施設ケアにおける薬学的管理の重要性が増している。また、大学での教育・研究に携わる者が5,011人、保健所などの行政機関で公衆衛生を担う者が6,906人存在し、医薬品関係企業(34,184人)を含め、社会のあらゆる階層に薬剤師の知見が浸透している。 年齢層から紐解く現場の「世代間バランス」 薬剤師の年齢構成には、施設ごとに明確な特色が現れている。 全体では30代(25.4%)が最多で、次いで40代(22.5%)と、働き盛りの世代が中心である。施設別に見ると、病院や薬局、行政機関では30代の若手が主戦力として活躍している。一方で、診療所や介護保険施設では60代の割合が最も高く、ベテラン層が長年の経験を生かして地域や高齢者医療を支えている。 平均年齢を比較すると、病院が42.5歳と最も若く、対照的に介護保険施設は59.7歳、診療所は58.4歳と高く、それぞれの現場で求められる経験値や役割の違いを反映した結果となった。 地域にみる充足度の格差 薬剤師の配置状況には、依然として地域による開きが見られる。人口10万対薬剤師数(薬局・医療施設従事者)を都道府県別に見ると、全国トップの徳島県(256.6人)に対し、最少の沖縄県(155.3人)との間には約1.6倍の差がある。兵庫県や東京都も高い充足度を示す一方で、福井県や青森県などは少ない傾向にあり、地域医療の均質化に向けた課題も浮き彫りとなった。 参考: 令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 3薬剤師

  • 2030年に向け13兆円産業への加速を目指す JACDSが年頭所感を発表

    塚本氏 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は2025年の活動実績を総括するとともに、会長の塚本厚志氏による2026年年頭所感を発表した。業界は念願の売上高10兆円を突破し、次なる目標として2030年に13兆円、店舗数35,000店を目指すことを明らかにした 。 2025年の業界動向と協会の実績 2025年は、日本国内において全般的な物価高、エネルギー高騰、人手不足が深刻化した一年であった 。政治面では、石破首相の退任後、憲政史上初の女性首相として高市早苗氏が誕生し、同氏の掲げる積極財政に対し、ドラッグストア業界にも良い流れが生まれることが期待されている 。 主要実績 売上高10兆円突破 :  JACDSの「日本のドラッグストア実態調査」において、前年よりも大きな伸びを記録し、売上高10兆円を達成した 。 第25回JAPAN ドラッグストアショー: 米原まき氏を初めて女性実行委員長として迎え、前回を上回る約10万人が来場し、盛況を収めた 。 政策提言の成果: 指定濫用防止医薬品をめぐる動向に対し、「販売時に資格者がより一層関与することで、オーバードーズ防止に取り組む」との建議を行い、昨年5月発表の改正薬機法に反映された 。これにより、「OTC医薬品へのアクセスの確保」と「販売または使用時の安全性の確保」の両立が可能となった 。 ガイドライン作成: 指定濫用防止医薬品販売の業界ガイドラインを作成し、年内に公開を予定している 。 2026年の基本テーマと重点提言 塚本氏は、2026年を「健康生活拠点」として地域住民の健康生活を支えるための環境整備を進める年と位置づけた 。協会発足以来25年間の活動基盤であるセルフケア・セルフメディケーションの推進を継続する。 重点提言3項目 JACDSは、以下の3項目を重点提言として関係省庁等に建議していく方針である。 スイッチOTC化の拡大とリスク区分の見直し: スイッチOTC化の拡大と、第1類医薬品から第2類医薬品への速やかなリスク区分の見直しを求める。 セルフメディケーション税制の拡充: 対象医薬品を全OTC医薬品へ拡大し、所得控除下限額の撤廃を提言。より分かりやすい税制の実現を目指す。 調剤報酬における不合理な算定方式への反対: 調剤基本料と地域支援体制加算に関するグループ店舗数による区分けの廃止、および敷地内薬局を有するグループ薬局への連座制の導入反対など、調剤薬局機能に基づかない不合理な算定方式に反対する。 「Well-Being」と「サクセスフルエイジング」 JACDSの最終目標は、ドラッグストアが提供する商品やサービスを通じて、顧客が健やかで美しく年齢を重ねる、いわゆる「サクセスフルエイジング」の実現に貢献することである。これは、若年層も含めた人々の「生きがいや人生の喜びの創造」に繋がり、世界中のWell-Beingに貢献するものと位置づけられている 。 今後の主要事業計画 第26回JAPAN ドラッグストアショー: 2026年7月31日(金)から8月2日(日)の3日間、東京ビッグサイト(東1・2・3・7・8ホール)で開催される 。実行委員長は尾池勇紀氏(光株式会社 代表取締役社長)が務める 。 全体的目標: 2030年にドラッグストア業界を13兆円産業にする 。 基本テーマの推進: 健康生活拠点としてのWell-Beingへの貢献、薬剤師・登録販売者の資質向上、SDGsの取り組み推進、政府等公的機関への政策提言強化などを図る 。

  • 【一日一笑】表札が違う!まさかの迷子から始まった薬剤師の在宅訪問デビュー戦

    医薬情報研究所 株式会社 エス・アイ・シー 公園前薬局(東京都八王子市) 堀 正隆 はじめての在宅。 患者さんにとってはいつもの薬。私にとっては初めての薬がいっぱい。 普段と違い、すぐに対応してくれる先輩薬剤師はその場にいない。うまく説明できるだろうか…。どうやって説明しようか…。難しい質問をされたらどうしよう…。 不安な気持ちで薬剤について調べ薬局を出た。そして、出発から数分後に事件は起こった。家が分からない。 多分、ここだが、自信がない。なぜなら、娘さんのご家族と住まわれており表札に本人の名字や名前が入っていなかったのだ。以前、付き添いで訪問していたので大丈夫だと思い確認していなかった。お家の表札が全く違う名前になっている。誤って隣のおうちなどのインターホンを押してしまったことで、周りに知られていなかったのに薬を届けてもらっていると知られてしまったらどうしようなどさまざまな不安がよぎる。 結局、ご自宅に電話をして確認。「あなた今、うちの家の前にいるわよ!鍵開けるから入っていらっしゃい」と家族から笑われるところからのデビュー戦。ここは、想定していなかったがここからは準備してきた!さあどんな相談が来るかな? いざ、家に上がると「いつもの薬ですね、体調は変わりないです」そう、言われて終了。 薬剤師としては何もできていないデビュー戦。 現在であれば、より細かい話であったり、質問されたりでさまざまな話をするのだが、誰だって最初は自分が想定しているよりもふがいない結果で終わるもの。できない時に、自信を無くさないで!全て最初からできる人はいない!次はどうすべきか、自分がどうなりたいかを考える事が一番大事!! 初めての在宅訪問は家が分からないというまさかの坂から始まった!!! 2024年10月より選定療養費制度の導入 。 今まで先発医薬品希望であった方々も選定療養費(対象の先発医薬品の薬価と、その後発医薬品の中で一番高い薬価の差額の4分の1にあたる部分に消費税を加えた金額)を確認後に後発医薬品に変更した方も多かった。(実際の窓口負担金は、選定療養費により保険適用分の値段に変化があるため計算は少し複雑) しかし、中には変更したものの数カ月で効果が落ちた気がするので先発医薬品に戻したいという方もやはり数人いらっしゃった。寒くなり始める時期とも重なり血圧上昇が出た方など後発医薬品への変更によるものなのか不明な方も含まれており、なんともタイミングの悪い時に制度を始めてくれたなと思ってしまう。 また、先発医薬品に戻した方は何を説明しても「やっぱり、後発医薬品は駄目ね」なんてことになってしまうことが多くある。中にはAG(オーソライズド・ジェネリック)1(先発医薬品と同じ原薬・同じ製法・同じ工場の製造ラインを用いて製造・販売されている)を使用していたにもかかわらずだ。これに関しては、先発医薬品にしたところで変わらないが…本人が言うからしょうがない。 効果は気からである(プラセボ効果、ノセボ効果)。そして、1度でも後発医薬品使用後に効果が落ちたと感じた方は、後発医薬品全てがNGになることが多い。 先発医薬品に対しては「薬が合わなかったのは自分との相性」と個別に捉えることができるのに対し、後発医薬品に対しては「薬が合わないのは後発医薬品全般の問題」と一まとめにしてしまい、「良くない」という意識を持ちやすくなる。「昔、後発医薬品を使ったら、効果が弱い気がしたから全部先発医薬品でお願い」何のメーカーの物か覚えておいてとまではもちろん言わないが、どの薬を後発医薬品に変更したかも不明だけど嫌!なんて、拒絶反応が…。 そういった方には、AGの説明をしても後発医薬品を断る言葉が「効果が落ちると困るから」が「名前が変わって間違えたらいけないから」に変わるだけ。拒絶せずにAGくらいは変えても良いのでは?今後の医療費どうなっていくことやら・・・。 どんな時にも心掛けるのは、「一日一笑」。 病院で待って疲れた。検査結果を聞いて憂鬱。調子が悪くてつらい。 本来、元気なら必要ない所に行くのだから楽しいわけがない。 でも、そんな方が寝る前に、今日1日が少しでも楽しかったかもって思えるようにしたい。 自分だったらどんな人と話しやすいか考えて動く。 ちょっとした相談もできる場所。会話するのが楽しみな場所。気軽に立ち寄れる場所。 薬局はそんな場所であってほしい。 聞き取れなくても返事をした。分からないけど質問しにくいからやめてしまった。そんな経験誰でもきっとあるはず。勉強してきた内容をしっかり伝えるために患者さんとの関係性はとても大切。 職業柄、愚直に取り組む方が多いとは思うが、自分自身を追い込みすぎず時には肩の力を抜いて患者さんとの会話を楽しんで!皆さんが多くの患者さんにとって素敵な薬剤師になることを願っている!

  • 薬包紙を折ってみよう!~介護老人保健施設訪問企画@関西~

    (一社)日本薬学生連盟は2025年12月8日に関西のとある介護老人保健施設にて、ボランティア活動を行いました。今回の活動は弊団体の関西メンバーが中心となって企画し、参加した薬学生にとって新しい学びや考えを得られた貴重な機会となりました。活動した内容や、参加学生の皆さんの気づき・感想などをご紹介します。 (執筆: 広報統括理事 大阪医科薬科大学4年 塚本有咲) 「介護老人保健施設」とは? 利用者の在宅復帰や、生活支援を受けながら自宅で過ごせるようになることを目的としている施設です。症状が安定して入院での治療は不要でも、退院後すぐに自宅で生活することは困難である、要介護の高齢者の方々を対象としています。 今回のボランティア活動の内容やその様子は? とある介護老人保健施設を訪問し、入居者の方々とお話をしながら一緒に薬包紙を折りました。 最初は互いに少し緊張していましたが、次第に打ち解けてきたようで、あちこちで楽しそうな笑い声が聞こえてきました。施設で働く介護士の方や、実習中の看護学生の方も話の輪に入り、入居者の方々を中心に皆で会話が盛り上がっている様子はとても心に残る光景でした。 また、皆で薬包紙を折りました。折り紙を薬包紙に見立てて使用したので、色とりどりの折り込んだ薬包紙が出来上がりました。薬学生ならではの企画内容であり、指と頭を使うこの作業は入居者の方々にとっては良いリハビリにもなったようです。 【参加学生に聞いてみた】 ―今回参加してみてどう感じましたか? ・最初は、会話し始めても利用者さんの表情があまり変わらないなと思いました。しかしたくさん話していろいろなことを聞き、相手の話に耳を傾けていると、たまに話題に食いついてもらえる時がありました。その時に表情が少し綻んだなとか、楽しんでいただけてそうだなといったことがだんだん分かってくると、こちらもうれしくなりました。 ・自分から勇気を出して話しかけると、いろんな知らなかった豆知識を教えていただけたり、少しずつ心を開いてもらえたりしたのでうれしかったです。 ・最初は緊張していたのですが、施設で働く方々や利用者の皆さんがとても優しかったので、いつの間にか気持ちがほぐれていました。皆さんとおしゃべりをした際も、雰囲気が穏やかで、純粋にとても楽しい時間でした。 ―特に印象に残っていることはなんですか? ・利用者さんのお話の内容がとても興味深かったことです。薬包紙は今では生活する中でほとんど見ることはないと思います。しかし昔は病院に行くと薬包紙に包まれた薬をもらっていたので、家でも薬包紙を使うことが当たり前だったとお聞きし、すごく驚きました。出来上がった薬包紙を見て、とても懐かしいとおっしゃっていました。 ・利用者さんに来年で100歳になられる方がいらっしゃったのですが、頭の回転が速くはきはきと会話していて、折り紙を折るのもとても上手でした。私の話を笑顔で聞いてくださり、薬包紙も折っているうちに昔使っていたのを思い出したようで、折り方を説明するよりも早く折り進めていっていました。これほど長寿でお元気でいらっしゃることには本当に尊敬しましたし、私たちも見習わなくてはと思いました。 難しかったことはありましたか? ・今回、初めて認知症の方と直接お話をしました。しかし会話を続けることが難しく、どうすれば心の距離を縮められるのだろうと思いました。私たちは普段、人と話す際に笑顔を心掛けたり、話を広げて会話を盛り上げようとしたりすると思います。ですが認知症の方は、会話中でもボーっとしてしまったり質問にも答えてもらえなかったりしました。医療従事者や家族の方々は、それでも心を開いてもらうためにどんな工夫をしているのかを、これから知っていきたいと思いました。 ・人によって病気の進み具合や障害の程度なども異なるので、企画で行う内容を決めることが難しいなと感じました。今回は薬包紙を折りましたが、半身麻痺の方は折る作業自体が大変そうでした。また、認知症の方はそもそも薬包紙がなにかを理解するのも難しそうでした。一方で、手先が器用な方や作業に支障の少ない方にとっては簡単だったようなので、全員に楽しんでもらえるようにするには工夫が必要になってくると思いました。今後はいろんなパターンを想定して考えられるようになっていきたいです。 【企画長に聞いてみた】 今回の企画を通して感じたことを教えてください。 施設の職員さんに、「利用者の方々は日々同じような生活リズムで過ごされていますが、学生の皆さんがたまに来て会話してくれたりすると、空気が少し変わるんです。その小さな日常の変化とともに、雰囲気が明るくなるんです」と言われたことは特に印象的でした。 私は薬学生ですが、介護業界やケアマネジャーの仕事に将来携わってみたいと考えています。これからさまざまな施設の職員さんや利用者さんと関わることで、たくさん学んで経験していきたいです。また、活動を継続していくことで、多くの薬学生に介護業界にも興味を持ってもらえたらいいなと思っています。 今後も今回のような活動を続けていき、皆さんのやりたいことも形にしていきたいと思いますので、気になる方はぜひ、弊団体の地域連携委員会で一緒に活動しましょう! 最後に、今回企画開催に協力してくださった介護老人保健施設の職員の皆様、利用者の皆様、本当にありがとうございました。参加者一同、心より御礼申し上げます。

  • 【富士薬品】埼玉県NPO基金への寄附を通じて、郷土の環境保全活動を支援

    左から、株式会社富士薬品ドラッグストア事業本部 商品統括部長 伊藤 秀樹、代表取締役社長 高柳 昌幸、埼玉県知事 大野 元裕氏、花王グループカスタマーマーケティング株式会社 執行役員 営業部門 統括 大谷 真由美氏、営業部門 部長 平松 大征氏 株式会社富士薬品は埼玉県が進める「埼玉県NPO基金」に対し、136万8,000円の寄附を実施した。この寄附は、富士薬品が県内で運営するドラッグストア「セイムス」において、花王株式会社と連携して取り組んだ「花王 エコトクフェア」の売上の一部を充てたものである。これを受けて2025年12月25日、埼玉県庁において感謝状贈呈式が執り行われ、埼玉県知事の大野元裕氏から富士薬品の継続的な貢献に対して謝意が表された。 この活動の柱となる「花王 エコトクフェア」は、花王が推進する環境配慮への取り組みである。消費者、ビジネスパートナー、そして行政といった多様なステークホルダーが一体となり、日々の生活の中で無理なく環境保全に参加できる仕組みとして構築された。富士薬品はこの趣旨に深く賛同し、2010年度から毎年、キャンペーン対象商品の売り上げの一部を埼玉県NPO基金に寄附し続けてきた。消費者が環境に配慮した商品を選択することが、そのまま地元の環境を守る力へと変わるこの循環は、持続可能な社会を築くための極めて重要な架け橋となっている。 2010年度から開始されたこの取り組みは、今回で実に16回目を数える。15年以上にわたって積み上げられた累計寄附額は1,651万8,000円に達し、富士薬品が地元・埼玉県の地域社会と歩みを共にしてきた歴史そのものを物語っている。 富士薬品は今回、寄附の使途としてSDGsの推進活動助成である「分野希望寄附」の中から、特に「地球(Planet)」の分野を選択した。これにより、寄せられた資金は県内の環境保全活動をはじめ、農山漁村や中山間地域の支援といった、地域の豊かな自然を守るための具体的な活動に役立てられる。 創業以来、配置薬やドラッグストアを通じて「人々の健康」に寄与してきた富士薬品。富士薬品が掲げるスローガン「とどけ、元気。つづけ、元気。」は、今や商品やサービスの提供だけに留まらず、地域環境を守り、次世代へ豊かな地球を継承する活動へとその領域を広げている。地域に根ざした一企業としての誇りと責任を胸に、富士薬品はこれからも健やかな社会の実現に向けて邁進していく。

  • 1.6億円の寄付を創出した「Giving Campaign 2025」アフターパーティー。全国から集結した学生と企業が描く、教育支援の新たな形

    アフターパーティー当日の様子(全国から学生200名が集結) 2025年11月29日、東京ミッドタウン日比谷の「BASE Q」は、かつてない熱気に包まれていた。株式会社Alumnoteが主催する、日本最大級の学生資金調達イベント「Giving Campaign 2025」のアフターパーティーが開催されたからだ。10月に実施されたキャンペーンにおいて、目覚ましい成果を上げた全国の大学生約200名と、彼らの志を支えたスポンサー企業10社が一堂に会し、オンラインから始まった繋がりを確かな「絆」へと変える場となった。 学生の熱意が社会を動かす「Giving Campaign」の画期的な仕組み アフターパーティーの背景にある「Giving Campaign」は、大学の部活動やサークル、研究室などがSNSを通じて活動を発信し、広く社会から支援を募るオンラインチャリティーイベントだ。2025年度は全国110以上の大学から約2,800団体が参加し、わずか10日間で約80万人もの応援投票と1.6億円の寄付を創出するという、日本の教育支援史上でも類を見ない規模に成長した。 このムーブメントの核心は、単なる資金集めに留まらない独自の仕組みにある。支援者は特設サイトから応援したい団体に「投票」を行うが、この票数や順位に応じてパートナー企業からの協賛金が活動資金として各団体へ分配される仕組みとなっており、金銭的な負担を負わずに誰もがスマートフォン一つで学生を応援できる。この心理的ハードルの低さが、OB・OGや保護者、さらには地域住民を巻き込んだ大きなうねりを生み出しているのだ。 表彰を受けた大阪大学 アイスホッケー部 リアルな対話が生む「資金」以上の価値 イベント当日、会場ではスポンサー企業による表彰式やパネルディスカッションが繰り広げられた。登壇したのは、東京大学のロボットサークルや九州工業大学の衛星開発プロジェクト、帯広畜産大学のアザラシ研究グループなど、多種多様な分野で挑戦を続ける学生たちである。 参加した学生たちは、自分たちの活動が社会からどう評価されているかを肌で感じ、大きな自信を得たようだ。企業担当者から直接フィードバックを受けることで、運営面の改善策を見出すだけでなく、将来のキャリアに対する刺激を受けたという声も多い。一方、SHIFTやソフトバンク、DeNA、メルカリといった日本を代表する協賛企業側も、学生たちの主体的な姿勢を高く評価した。イベント後には、学生団体の拠点訪問や共同イベントの開催を具体的に検討する動きも始まっており、単なる支援者と被支援者という枠を超えた「パートナー」としての継続的な関係性が築かれ始めている。 企業ブースでの企業と学生の交流の様子 日本の寄付文化をアップデートするAlumnoteの挑戦 主催のAlumnoteは、「次世代の教育に資本をまわす」をミッションに掲げる東大発スタートアップだ。彼らがこのキャンペーンを通じて目指しているのは、大学の財政基盤をアップデートし、日本に根付いていなかった「寄付文化」の裾野を若者の力で広げるという壮大なパラダイムシフトである。 「Giving Campaign 2025」が残したのは、1.6億円という巨額の支援金だけではない。自らの手で活動資金を切り拓いた学生たちの「突破力」と、それを全力で後押しする企業側の「信頼」が結びついた、新たな社会貢献のモデルケースを提示した。この日、日比谷で生まれた熱狂は、日本の教育と社会の距離を確実に縮める一歩となったに違いない。

  • 「見えない不調」を科学の視点で解き明かす。東京科学大学とツムラが共催した、生理・PMSを“体感”する試み

    プロジェクトロゴ 株式会社ツムラが2021年に発足させた「#OneMoreChoice プロジェクト」は、「生理のつらさを、我慢しなくていい社会へ。」をステートメントに掲げている。多くの人が抱える「隠れ我慢」という問題を可視化し、不調の際に休む、誰かに相談するといった、我慢以外の選択肢(OneMoreChoice)をとれるきっかけ作りを続けてきた。このプロジェクトの一環として、2025年11月12日、東京科学大学(Science Tokyo)の大岡山キャンパスにて、生理・PMSをテーマとした共催イベント『見えない不調を科学する~生理痛・PMSの実態~』が開催された。 理工系キャンパスに響いた、学生と教職員の想い 学生によるパネル展示 同イベントのきっかけは、一人の現役学生の思いであった。環境・社会理工学院 修士課程の柳瀬梨紗子さんが、「Science Tokyoに、生理についてフラットに話せる環境を作るためのイベントをしたい」と発案し、それに他の学生や女性教職員が賛同したことで企画がスタートした。 旧東京工業大学を母体の一つとする同大学は、歴史的に女性比率が低く、生理に代表される女性の身体の困り事に対して当事者が声を上げにくく、周囲も正しい知識を持ちにくい状況があったという。副学長の伊東幸子氏は「男性が多い組織であるからこそ、構成員全員が正しい知識を持ち、配慮ができる環境になるきっかけになってほしい」と、イベントに期待を寄せた。 身体の重さや集中力の低下を、リアルに体感する 会場の様子 会場となった「Taki Plaza」には、ツムラが以前開催した企画展『違いを知ることからはじめよう展』の展示が再現された。生理・PMSに伴う倦怠感を表現した「重だるくて起き上がることが難しいベッド」や「すこし歩くのも疲れるコート」、さらに集中力低下による影響を表現したパソコンなど、目に見えない症状が日常にどう影響するかを可視化した。 加えて、大学の学生たちが自ら準備したパネル展示や、生理痛VR体験装置「ピリオノイド」の体験コーナーも用意された。来場した学生や教職員は、熱心にパネルに見入り、デバイスを通じて生理のつらさを疑似体験することで、これまで想像の域を出なかった「不調」をより身近な課題として捉えていた。 来場者から寄せられた「知ること」への気付き 来場者に説明する学生の様子 会場には多くの男子学生も訪れ、自らの知識不足を実感するとともに、真摯に理解しようとする姿が見られた。倦怠感を再現したコートを着用した男子学生からは、「これを感じながら通学したり、授業を受けたりするのは無理だと思った」という驚きの声が上がった。 また、パートナーへの対応に迷っていたという学生は、展示のマンガを通じて「相手がどんな対応を望んでいるのか、今度話してみようと思った」と、身近な対話の必要性を口にしていた。アンケートには「自分が知ろうとしていなかったことを知った」「痛みだけを知るのではなく、日常にどのような影響があるのかを知ることが大事だと思った」といった感想が並び、性別を問わず、相手を思いやり声をかけ合える社会への願いが共有された。 我慢に代わる選択肢を、これからの当たり前に 今回の試みは、単なる知識の伝達に留まらず、学生や教職員が「自分たちの問題」として生理・PMSを捉える貴重な機会となった。柳瀬さんは「生理に限らず体調不良は誰にでも起こること。フラットに話せる環境があれば、我慢を少しでも軽くできる」と語る。 「知らない」という状態から、一歩踏み込んで「知る」。東京科学大学で生まれたこの対話の輪は、ツムラが目指す「誰もが我慢しなくていい社会」の実現に向けた、確かな足跡となった。

  • 132万件の「声」が導くがん医療の未来:慶應義塾大学とピアリングが挑む、患者体験の可視化

    患者経験の可視化により得られた知見を、患者と医療者・製薬企業等のステークホルダーに還元していく がんとともに生きる人々の「生の声」が、今、科学の力で新たな希望へと昇華されようとしている。 慶應義塾大学薬学部(堀里子教授)と、女性がん患者向けSNS「Peer Ring ピアリング」を運営する株式会社リサ・サーナは、2025年12月23日、膨大な投稿データを用いた共同研究の開始を発表した。これは、132万件を超える患者の経験談を自然言語処理(NLP)——人間が日常で使う言葉をコンピュータに処理させる技術——や、文脈を深く理解する大規模言語モデル(LLM)で解析し、これまで見えにくかった患者の「真のニーズ」を構造化する画期的な試みである。 埋もれていた「生活の中の副作用」を科学する 医療機関で記録される電子カルテには、医学的な数値や主要な副作用が記載される。しかし、診察室を出た後の日常生活で患者が直面する細かな体調の変化や、言葉にならない不安、そして日々の暮らしを支える生活の知恵までは、十分に吸い上げられてこなかった。 同研究の最大の武器は、2017年から約8年分におよぶ「Peer Ring ピアリング」の膨大な蓄積データである。解析にあたっては、診断から治療へと続く過程でいつどのような悩みが生じるのかを時系列で解明する「症状トラジェクトリ(病いの軌跡)」の可視化を試みる。これは、病状や身体機能が時間の経過とともに辿るプロセスを一つの「軌道」として捉える視点である。 また、単なる症状の羅列に留まらず、患者がどの局面で最も深い孤独や不安を感じるのかといった心理的変遷を特定するため、感情や関心の分類も行う。さらに、医療用に特化して開発された文章解析AIモデル「MedNER-CR-JA」などを用いることで、患者が日常の言葉で綴った日記から、治療に関する重要情報を極めて高い精度で抽出していく。 「個人の経験」を「社会の知恵」へ この研究がもたらす成果は、単なる学術的な分析に留まらない。 患者にとっては、自分と同じ境遇にある「先輩」たちの声を効率的に探せるようになり、自身の意思決定を支える大きな助けとなる。一方、医療者や製薬企業にとっては、患者のQOL(生活の質)を向上させるための具体的な支援策や、より適切な情報提供のあり方を検討するための客観的なエビデンスとなる。これにより、患者の悩みや副作用の傾向を深く把握し、より良い医療や適切な支援体制を構築するための強固な情報基盤が整備される。また、増加するがん患者に対し、ピア・サポートが持つ有効性を科学的に裏付ける新たな研究モデルを提示することも期待されている。 慶應義塾大学薬学部医薬品情報学講座 教授の堀里子氏は「医療現場には届きにくい貴重な声を見える化し、双方にとって価値のある知見を届けたい」と語り、リサ・サーナ代表取締役の上田暢子氏は「単なるエピソードを科学的エビデンスへと変える」と決意を述べている。 ピア・サポートの新たな地平 SNS上のつながりが、一時の慰めを超えて、次世代の医療を支える情報基盤へと進化しようとしている。 慶應義塾大学薬学部の倫理審査委員会の承認(承250730-1)を得た同研究は、厳格な倫理的配慮のもとで進められる。患者たちが紡いできた132万件の言葉は、がん医療をよりパーソナライズされた、温もりのあるものへと変えていく第一歩となるだろう。

  • 【京都薬科大学】次期学長に和歌山県立医科大学の平田收正教授を選出〜任期は2026年4月からの4年間、薬学教育の第一人者が母校の舵取りへ

    京都薬科大学は2025年12月22日、現職の赤路健一学長の任期満了(2026年3月31日)に伴い、次期学長に和歌山県立医科大学薬学部教授の平田收正(ひらた・かずまさ)氏を選出したと発表した。 12月19日の理事会において決定したもので、任期は2026年4月1日から2030年3月31日までの4年間となる。 研究・教育の両面で卓越した実績 次期学長に選出された平田氏は、1982年に京都薬科大学を卒業した同大OBである。大阪大学大学院薬学研究科にて薬学博士号を取得後、同大学で教授、附属実践薬学教育研究センター長、副研究科長、総長補佐などの要職を歴任した。現在は和歌山県立医科大学薬学部教授(副学部長)を務めている。 専門分野は応用環境生物学であり、植物細胞工学や微細藻類を用いた環境浄化技術の研究などで数多くの功績を挙げている。また、2015年には大阪大学総長顕彰(教育部門)を受賞するなど、教育者としても高く評価されている。 日本の薬学教育を牽引するリーダーシップ 平田氏は、 文部科学省の「薬学部教育の質保証専門小委員会」委員や「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」改訂に関する専門研究委員会委員、薬学教育評価機構の薬学教育質保証委員会委員長を務めるなど、日本の薬学教育の質の維持・向上を牽引する中心人物の一人だ。 薬剤師の養成課程が大きな転換期を迎える中、母校である京都薬科大学の伝統を継承しつつ、さらなる教育・研究の発展を推進するリーダーとしての手腕が期待される。 【次期学長 略歴】 氏名 :平田 收正(ひらた かずまさ) 年齢 :68歳(新任) 現職 :和歌山県立医科大学 薬学部 教授、大阪大学名誉教授 主な公職 : 薬学教育評価機構 薬学教育質保証委員会 委員長 文部科学省 薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会 委員 元・大阪大学 副理事、総長補佐

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