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- 日本の創薬に「エンジン」を。産官連携の新機軸「AND-E(あんでぃ)」が導く革新的新薬への道
左から、上野裕明氏(AMED理事長特任補佐・参事役)、中釜斉氏(AMED理事長)、宮柱明日香氏(日本製薬工業協会会長)、木下賢志氏(日本製薬工業協会理事長) 2026年1月19日、日本の創薬の未来を左右する大きな一歩が記された。日本医療研究開発機構(AMED)本部で開催された、日本製薬工業協会(製薬協)との共同記者説明会だ。 そこで発表されたのは、産官の知見を融合させ、アカデミアの「原石」を革新的新薬へと磨き上げる新プロジェクト、その名も「AND-E(あんでぃ)」である。 克服すべき「魔の川」:分断されたバリューチェーン 日本の創薬シーンにおいて、長年の課題となっているのが「魔の川」だ。これは、大学などのアカデミアが生み出した優れた基礎研究(発見・発明)が、実際の薬の開発へと繋がらない深い溝を指す。 AMED理事長の中釜斉氏は、この現状に対し「AMEDの研究開発支援において、各省庁に紐づく施策・事業の間に壁が存在するという指摘を真摯に受け止める必要がある」と断言した。これまでは各省庁の「縦割り」により、基礎研究から臨床試験へと至る「バリューチェーン」が寸断されていたのである。 従来、AMEDは主に「基礎研究」に予算を出し、企業は「臨床試験」以降を担うという役割分担が一般的だった。この間を繋ぐ「目利き」や「磨き上げ」の機能が不在だったことが、多くの優れた研究を「魔の川」に沈ませる要因となっていた。 「外部サポート」から「真の共創」へ:質を変える連携 これまでも、製薬協はAMEDの活動に対して人的・知的なサポートを行ってきた。具体的には、研究課題の採択審査や評価への企業の専門家派遣、アカデミアのシーズ(種)に対する実用化観点からのアドバイザー派遣、あるいは特定の研究テーマにおける官民共同コンソーシアムへの参画といった関わりが主軸であり、これらの連携はあくまで「外部からの限定的な支援」に留まっていた。 対して「AND-E」では、製薬企業のプロフェッショナルがAMEDに「出向」という形で深く入り込む。製薬協会長の宮柱明日香氏は、これを従来の協力レベルを超えた「真の共創(Co-creation)」と表現する。産業界の「出口(実用化)」のノウハウを、AMEDが支援する「原石」に掛け合わせ、実用化を劇的に加速させる狙いだ。 新型コロナワクチンの教訓:複眼的な「出口目線」 AMED理事長特任補佐に就任した上野裕明氏は、「単独の発明、発見だけでは、本当に革新的な新薬につなぐことがますます難しくなっている」と警鐘を鳴らす。 上野氏は新型コロナのmRNAワクチンを例に挙げ、「不安定なmRNAをいかに持続させ、標的細胞に届けるか。複数の発明が組み合わさって初めて、世界的な実用化に至った」と指摘した。一つの優れた発見を薬にするには、標的、モダリティ、適応症を「出口」から逆算して組み合わせる企業的な視点が不可欠だ。これまでの「点」のサポートでは届かなかったこの「出口目線」を、企業人が内部から直接注入することで、日本の創薬を抜本的に変えていく。 司令塔・上野裕明氏への期待 プロジェクトの舵取りを担う上野氏は、田辺三菱製薬の代表や製薬協の会長を歴任した、経営と現場の両方を知る人物だ。上野氏の抜擢は、日本を「創薬の地」へと再生させるための切り札といえる。宮柱会長は、「2025年度は日本の創薬エコシステム元年。今こそ真の共創により、実用化を加速させる好機だ」と、強い決意を語った。 二段階で進む活動計画 今後の活動は以下のに段階で進められる。第一段階として、企業経験人材が企業的視点でAMEDの膨大な課題を見渡し、「創薬につながりそうな課題」を選定してバリューチェーンの基盤を作る。続く第二段階では、選出した課題を起点に具体的な創薬研究計画を立案・実行し、企業的なスピード感で「薬」の形へと近づけていく。 今回の取り組みが「魔の川」を飛び越え、革新的な新薬を一日も早く患者のもとへ届ける原動力となることに期待したい。
- アスリートの不安を安心へ。花王「学校のロリエ」と大学スポーツ協会が開く大学スポーツの新時代
日本の大学スポーツ界に、新たな「安心」のインフラが加わる。花王株式会社の生理用品ブランド「ロリエ」が推進するナプキン備品化プロジェクト『学校のロリエ』は、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)とパートナーシップ契約を締結した。2025年12月のプレ運用を経て、2026年より本格的なサポートを開始する。 今回の提携は、単なる企業のスポンサーシップに留まらない。競技現場における「生理」という切実な課題に対し、具体的なソリューションを提示する画期的な試みである。 競技に集中できる環境を。「トイレにナプキン」が常識に アスリートにとって、突然の生理はパフォーマンスを左右する大きな不安要素だ。「交換する時間がない」「予備を持っていない」といった状況は、集中力を削ぐだけでなく、心理的なストレスにも直結する。 今回の提携により、大学スポーツの大会会場内のトイレに『学校のロリエ』が設置される。トイレットペーパーと同じように、必要な時にすぐナプキンを手に取れる環境を整備することで、選手たちが競技そのものに100パーセント打ち込める一助となることを目指している。 2026年、大学スポーツから全国のキャンパスへ プロジェクトの展望は、試合会場だけに留まらない。UNIVASとの連携を通じて、以下の取り組みを加速させる。 大会会場への設置: アスリートがベストパフォーマンスを発揮できる環境づくりを直接支援。 加盟大学への展開: UNIVASに加盟する全国の大学に対し、『学校のロリエ』の導入を提案。 学生生活の質(QOL)向上: 運動部に所属する学生だけでなく、大学に関わる全ての学生の「生理にまつわる困りごと」の解決を図る。 すでに2025年12月に開催されたバレーボール大会では試験運用が実施されており、本格始動に向けた準備は整っている。 社会を変える「備品化」の潮流 同社が2022年に日本で初めて開始したこの「ナプキンの備品化プロジェクト」は、今や社会全体に大きなうねりを起こしている。 オフィスや工場、建設現場などを対象とした『職場のロリエ』は、2025年11月末時点で導入企業数550社を突破。今回のUNIVASとの提携により、その輪が「教育・スポーツ」の現場へと力強く拡大した。生理用品を「個人の持ち物」から「施設の備品」へと変えるこの取り組みは、日本の学校環境をより健やかで安心できる場所へとアップデートしていく。 ◆『職場のロリエ』・『学校のロリエ』ページWebサイト https://www.kao.co.jp/laurier/project/shokuba/?cid=laurier_prtimes260120
- 伝統の「置き薬」が地域を守るインフラへ。富士薬品と青梅市が包括連携協定を締結
左から、東京都青梅市市長 大勢待 利明氏、株式会社富士薬品 配置事業本部 配置営業統括部 第3営業部 部長 橋本 健作氏 東京都青梅市。多摩川の清流と豊かな緑に囲まれたこの街で、伝統的な「配置薬」の仕組みが、最先端の地域見守りインフラへと進化を遂げようとしている。 2026年1月19日、株式会社富士薬品と青梅市は「包括連携協定」を締結した。一見、企業と自治体のスタンダードな協力体制に見えるが、その中身を紐解くと、「一軒一軒の玄関先まで入り込む」という、デジタル時代だからこそ価値を増すアナログなネットワークの活用が見えてくる。 伝統の「廻商」スタイルを市民の安心へ 今回の協定における最大の柱は、営業員が顧客を定期訪問する「廻商(かいしょう)」というビジネスモデルを、地域のセーフティネットとして再定義した点にある。主な連携項目は以下の5点だ。 防災・災害対策: 公共施設への配置薬設置を支援し、災害時にはこれらを「防災用救急箱」として無償化。また、営業員が訪問時に市からの防災情報を直接届ける広報活動も担う。 市民の健康増進: 専門資格「登録販売者」を持つ営業員が、訪問先でOTC医薬品の適正使用や疾患予防を啓発。健康診断の受診勧奨など、一歩踏み込んだ健康意識の向上を図る。 暮らしの安全・安心: 猛暑対策として、市内の調剤薬局・ドラッグストア(対応店舗数:7店舗)を「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」として開放。市営イベントでの健康ブース出展なども予定する。 見守り活動の推進: 市内のドラッグストア(全店、8店舗))を「子ども110番の家」に指定。さらに、日常の営業活動を通じて高齢者の徘徊捜索協力など、地域の見守り役としての機能を果たす。 地域活性化: その他、市民サービスの向上と地域活性化に資する取り組みを協議・実施する。 官民連携による「健康なまちづくり」 青梅市は現在、「第7次青梅市総合長期計画」に基づき、人口減少や少子高齢化に対応した地域共生社会の構築を進めている。一方の富士薬品は、市内に約3,500軒もの配置薬顧客を抱え、市民の生活に深く根差してきた。 同社は「とどけ、元気。つづけ、元気。」のスローガンのもと、単なる医薬品販売にとどまらない社会貢献を模索しており、一軒一軒を直接訪問する営業スタイルが、市の掲げる健康づくりや高齢者福祉の施策と合致した形だ。 今回の提携により、青梅市の行政サービスと富士薬品の民間ネットワークが融合することで、市民にとってより身近で質の高い「安心」が提供されることが期待される。
- 【同窓生集まれ!】星薬科大学~先輩から後輩へのメッセージ
一歩先に社会に出た先輩たちが、就職活動のポイントや仕事への向き合い方などを伝える「誌上OB訪問」のコーナーです。 今回は星薬科大学卒業生の皆さんです。 荻野 綺さん 2024年卒業 マツモトキヨシ 関東エリア(株式会社マツキヨココカラ&カンパニー) 私がマツモトキヨシに入社した決め手はキャリアの幅です。薬剤師の業務はもちろんですが、商品開発や海外事業、採用課や教育課のお仕事にも興味があり、当社では多くの薬剤師が活躍していることを知りました。自分自身もチャレンジし、キャリアアップもしていきたいと考え、当社ならそれが実現できると強く感じ、入社を決めました。 現在は、半年ずつOTCと調剤薬剤師を経験するクロス研修を終え、OTC併設の調剤薬剤師として働いています。また、PB商品開発のプロジェクトへの参加やリクルーターとしての活動が少しずつ始まり、やりがいを感じながら日々邁進しています。 当社グループはプライベート重視、雰囲気の良い会社で働きたいという方にもお勧めの会社です。もっと多くの方に当社を知っていただきたいので、ぜひイベントにご参加ください。 【学生時代の思い出!】 所属していたダンス部で、先輩後輩に関わらずみんなで支え合いながら楽しく練習していた時間が思い出です。 村上成美さん 2022年卒業 クオール薬局 薬局事業第3本部(関東エリア) 会社として常に新しい事に取り組む革新性と、社員がやりたい事に挑戦できる風通しの良い 環境に魅力を感じ、クオール薬局に入社いたしました。 入社後は、社内研修で知識を身につけ、それを活かして現場で経験を積んでいます。現在 は、患者さまが持つ症状や悩みに合わせ、丁寧かつ正確な服薬指導を行う事を心がけています。患者さまに寄り添って対応することで、患者さま自ら進んで話をしてくださるようになり、その情報をもとに医療機関との連携を行う事ができるようになることに、とてもやりがいを 感じています。 会社選びは、なりたい自分に近づくための第一歩です。後悔のないよう、最後まで自分の軸を見失わずに取り組んでください! 挑戦できる環境があるクオール薬局の魅力を少しでもお伝えできるよう、ぜひ採用イベントに もお越しください! 【星薬科大学のここが好き!】 3年生から研究室に配属されるため、困ったときに頼れる先生や先輩方がいることがとても心強かったです! 水口くるみさん 2024年卒 スギ薬局 鹿沼台店 私は、研修制度が充実しており、トータルヘルスケア戦略を掲げているスギ薬局であれば「地域の患者さんから頼られる」という私の理想の薬剤師像を実現できると考えました。また、スギ薬局の社風や社員の皆さんの人柄に触れ、安心して働ける会社だと感じたことも志望理由の一つです。入社後は、患者様から感謝の言葉をいただいたり、指名していただけたりする場面があり、とてもやりがいを感じています。今後もやりたいことに積極的に挑戦し、たくさんの経験を積みながら地域に貢献していきたいと考えています。 スギ薬局には、研修制度や福利厚生、キャリアプランなど多くの魅力があります。そして何より、素敵な社員がたくさんいます。ぜひスギ薬局のイベントに参加して、実際の雰囲気や魅力を感じていただけたら嬉しいです。 【学生時代の思い出!】 私の一番の思い出は研究室です。研究室で多くのことを学び、また信頼できる大切な友達ができました! > 星薬科大学
- 薬を「毒」にしないために。シオノギヘルスケアが挑む、若年層への「オーバードーズ防止」教育の最前線
シオノギヘルスケア株式会社は、中高生を対象とした「くすりの適正使用」およびオーバードーズ(薬物の過量服用)防止を目的とした企業訪問学習プログラムを実施している。 近年、SNSの普及とともに若年層の間で深刻な社会問題となっている市販薬の乱用。同社はこの課題に対し、単なる知識の伝達に留まらない、生徒主体の「自分事化」を促す教育支援を展開している。 「もし友人がオーバードーズをしていたら?」— 現場で育む対話の力 先日行われた仁川学院高等学校の生徒35人を対象とした学習では、非常に踏み込んだテーマが扱われた。それは、「身近な友人がオーバードーズをしている現場に遭遇した際、あなたはどう動くか」という問いだ。 生徒たちはグループワークを通じ、具体的な対応策や信頼できる相談先について議論をたたかわせた。教員からの一方的な講義ではなく、当事者として解決策を模索することで、薬物乱用防止に向けた自発的な行動意欲を呼び起こす狙いがある。 参加した生徒からは、「薬の怖さを実感した」「困っている友達に声をかける勇気を持ちたい」といった声が上がり、社会問題を自らの課題として捉え直す貴重な機会となったことが伺える。 半年間の「アイデア創出プログラム」で次世代の啓発を形に 同プログラムのユニークな点は、その継続性にある。単発の企業訪問で終わらせず、半年間にわたって「同世代に市販薬の適正使用を広めるためのアイデア」を練り上げるプロジェクトを併走させている。 製薬企業としての社会的役割を学びながら、若者ならではの感性で啓発活動を企画するこの取り組みは、教育とビジネスが交差する新しい形のリテラシー教育といえる。自分たちのアイデアが社会を動かす可能性を体験させることで、主体的なヘルスリテラシーの向上を目指しているのだ。 背景にある「68人に1人」という衝撃的な現実 こうした活動の背景には、看過できない統計データがある。 厚生労働省の調査によれば、15~19歳の層において約68人に1人が市販薬の乱用を経験しているという。SNSを通じて誤った使用法が拡散されやすい現代において、「薬は正しく使えば薬、誤用すれば毒」という認識の徹底は、もはや教育現場において急務となっている。 社会全体で「守る力」を育む未来へ 同社は2025年度、計7回の企業訪問学習を実施し、すでに約280人の生徒がこの学びを体験した。 同社は今後、この取り組みをさらに拡大させる方針だ。学校薬剤師との連携授業や、ドラッグストア、行政、教育機関とのネットワークを強化し、「自分で判断し、正しく行動できる力」を社会全体で育むプラットフォームの構築を目指している。 一企業の啓発活動を超え、次世代の命を守るための「知のインフラ」づくり。シオノギヘルスケアの挑戦は、ヘルスケア企業の新たな在り方を示している。
- 元准教授が語る「起業のリアル」——就実大学でのPBL実習講義レポート
株式会社ウィズレイ 代表取締役 森山 圭 起業家としての経験を学生に伝える森山氏 2025年12月10日、母校とも言える就実大学の教壇に、私は再び立っていた。かつて2023年まで薬学部の准教授として過ごしたこのキャンパスで、今回は「起業家」として、経営学部の学生たちに自身の経験を伝えるためである。 この講義は、経営学科2年生を対象とした「PBL実習4(プロジェクトマネジメント)」の一環として行われた。会場には経営学部のみならず、薬学部の学生も含め約60人が集結。起業という未知の世界に挑んだ先駆者の声を聴こうとする、熱気に満ちた空間となった。 試作1号機は「身近なもの」から始まった 講義の核心は、単なる成功談ではない。身の回りにある素材をかき集めて自力で制作した「試作1号機」から、現在の事業に至るまでの泥臭いプロセスである。 私が開発した 一包化散薬鑑査装置「コナミル」 は、薬局で調剤された薬が正しいかどうかを数秒で判別する。薬剤師の負担を軽減し、調剤ミスという命に関わるリスクを防ぐためのプロダクトだ。しかし、そのスタートは華々しいものではなかった。 資金調達の苦労、そして試行錯誤の日々。特筆すべきは、試作機のプログラミングにおいて、幼少期に夢中になったパソコンの知識が大きな役割を果たしたことだ。私は学生たちに、ひとつの確信を伝えた。 「幼い頃の遊びや興味を含め、これまでの人生のあらゆる経験が、いつか自分の強みになる。その点と点を組み合わせた先にこそ、起業の『タネ』やヒントが隠されているのだ」と。 迷いの中に答えはない、動いた先に道ができる 講義の終盤、私はこれからの未来を担う学生たちへ、エールを込めてメッセージを送った。 若さは選択の連続であり、それは起業の過程と酷似している。どちらに進むべきか、立ち止まって悩むこともあるだろう。しかし、その場所に答えが落ちていることはない。 「迷ったら、自身の持つ強みを生かして一歩を踏み出すこと。動き出せば、必ず光が見えてくる。そして、自分が進んだ道、選んだ道を、自らの手で『正解』にしていくのだ」 かつての同僚や教え子たちがいるこの場所で、次世代の挑戦者たちに学びを共有できたことは、私にとっても大きな財産となった。 授業の様子は、就実大学の公式Instagramやウェブサイトでも詳しく紹介されている。 授業の詳細を記事 Instagramの投稿 株式会社ウィズレイ 代表取締役 森山 圭 大手製薬メーカー研究員を経て、就実大学薬学部准教授に就任。在任中の2019年に大学発スタートアップとして株式会社ウィズレイを創業。分光分析とデータサイエンスを融合させた薬剤識別装置「コナミル」を開発し、全国の薬局・病院へ展開中。
- 29年度からの薬剤師国家試験改訂:新カリキュラム導入に伴う主な変更点と注意点
厚生労働省の「薬剤師国家試験制度改善検討部会」は、2025年12月26日に第4回会合を開催した。この会議において、2029年度(第115回試験)から適用される新たな「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針(案)」が取りまとめられた。 今回の改訂は、2024年度の入学生から適用されている「改訂モデル・コア・カリキュラム」に準拠したものである。薬剤師を取り巻く環境の変化に対応し、単なる知識の暗記ではなく、より実践的で統合的な能力を評価する試験へと進化する。 改訂のポイントと実施時期 適用時期 2024年度に薬学部へ入学した学生が受験する、2029年度実施の第115回薬剤師国家試験から適用される。 試験科目の再編(7科目から5科目へ) 現行の試験科目を統合し、新カリキュラムの大項目(B〜F)に対応した以下の5科目に再編される。 社会と薬学 (旧:法規・制度・倫理) 基礎薬学 (旧:物理・化学・生物) 医療薬学 (旧:薬理、薬剤、病態・薬物治療) 衛生薬学 (旧:衛生) 臨床薬学 (旧:実務) 出題形式の進化 「連問」や「複合問題」において、組み合わせる科目の制限が撤廃される 。これにより、例えば「基礎薬学」と「臨床薬学」をまたぐような、科目横断的な問題解決能力が問われるようにな 。 問題数の削減 統合的な理解を問う問題が増加し、1問あたりの回答時間を確保する必要があるため、複合問題が10問削減される。 試験区分と問題数の構成 試験は2日間で実施され、総問題数は現行の345問から合計335問に変更される。 必須問題(合計90問) 薬剤師として不可欠な基本的資質を確認する問題。 (内訳:社会と薬学10、基礎薬学15、医療薬学45、衛生薬学10、臨床薬学10) 一般問題:薬学理論問題(合計125問) 一般的課題を解釈・解決するための資質を確認する単問形式の問 。 (内訳:社会と薬学10、基礎薬学30、医療薬学45、衛生薬学20、臨床薬学20) 一般問題:薬学実践問題(合計120問) すべて複合問題(連問を含む)として出題され、実務と関連させた実践的能力を評価する。 薬学生が特に注意すべきこと 新しい試験制度において、受験生が特に対策を講じるべき点は以下の4点である。 「医療薬学」内の足切りライン 「医療薬学」は旧3科目が統合された広範な科目だが、合格基準において「構成する一定の項目(旧薬理・薬剤・病態)」ごとに30%以上の得点が必要とされるため、苦手分野を残すことは許されない。 科目横断的な学習の徹底 複合問題の科目制限がなくなるため、基礎薬学で学んだ内容が臨床でどうつながるかといった、領域を越えた「統合的理解」が不可欠となる。 既出問題(過去問)の活用法 試験の質担保のため、既出問題が約20%活用される方針だが、設問や選択肢が工夫されるため、答えの丸暗記ではなく「問題の趣旨」を深く理解する必要がある。 実践的な技能と態度の習得 実務に即した技能を確認するため、写真や画像、イラストを用いた出題が積極的に行われる 。日頃から医療現場を意識した学習が求められる。 まとめ:今回の改訂のポイント 2025年12月26日の検討部会にて、令和11年度(第115回)からの新基準が決定した。 試験科目が7科目から5科目に再編され、領域横断的な「統合的問題」が強化される。 総出題数は335問となり、現行より10問削減される 。 合格には総得点の相対基準に加え、必須問題の各項目で30%以上の得点が必須となる。 過去問題の利活用は約20%となるが、ひねった出題への対応力が求められる。
- 【流通革命】トライアル×スギ薬局が包括提携!スーパーとドラッグストアの融合が創る「買い物新時代」
2026年1月8日、スーパーセンターを展開する株式会社トライアルホールディングスと、ドラッグストア大手のスギホールディングス株式会社が包括的な業務協業を開始することで基本合意した。 この提携は、低価格な食料品・日用品を武器とするスーパーセンターと、専門性の高い調剤・ヘルスケア機能を備えたドラッグストアが融合し、消費者の生活動線を根本から変える新たな価値創造への挑戦である。特に薬学生にとって、リテールテックの活用が薬剤師の働き方をどう変えるのか、非常に興味深い先行事例となるだろう。 薬剤師が「生活の場」へ。ワンストップで支える地域医療 今回の協業の大きな柱は、トライアル(株式会社トライアルホールディングスの中核子会社)が運営する大型店舗内に、スギ薬局(スギホールディングス株式会社の中核子会社)の調剤薬局・ドラッグストアをテナントとして出店することである。これにより、これまでは「スーパーで食料品を買い、ドラッグストアで処方薬を受け取る」という2カ所での行動が必要だったものが、1カ所で完結する。 まずは福岡県の「スーパーセンタートライアル須恵店」および「飯塚店」での実装が予定されている。スーパーという「日常的に足を運ぶ場」に専門性の高い薬剤師が常駐することで、処方箋対応だけでなく、日々の病気予防やセルフメディケーションの相談に応じる「地域住民の健康拠点」としての役割がより強固になる。 「GOシステム」による業務効率化。対人業務への全振りへ この協業を支えるエンジンが、トライアルが自社開発した店舗運営プラットフォーム「GOシステム」だ。これはITの力で店舗運営を効率化し、顧客体験を向上させる「リテールテック」の集大成である。 スギ薬局の店舗への導入も検討されている「GOシステム」には、以下のような次世代機能が含まれている。 顔認証決済・リモート年齢確認: 事前に登録した顔情報での決済が可能になる。AIによる年齢確認により、店舗スタッフのレジ業務の負担を大幅に軽減する。 棚モニタリングシステム「Retail EYE」: 店内のAIカメラが商品の在庫状況をリアルタイムで監視する。欠品を自動検知してスタッフに通知するため、在庫管理の精度と効率が飛躍的に向上する。 薬学生として注目すべきは、こうしたテクノロジーが現場のオペレーションを最適化することで、薬剤師が本来集中すべき「対人業務(服薬指導や健康相談)」に最大限の時間を割けるようになる点だ。DX(デジタルトランスフォーメーション)が、薬剤師の職能価値を高める土壌を作っているといえる。 職人の「惣菜」とプロの「ヘルスケア」による栄養指導の可能性 商品のラインナップも大幅に強化される。トライアルからは、約40人の職人が監修した高品質な惣菜や弁当の製造ノウハウがスギ薬局へ提供される。一方で、スギ薬局はヘルス&ビューティ商品の供給に加え、棚割りや売り場づくりのノウハウをトライアルに提供する。 3月にリニューアル予定の「TRIAL GO 池尻店」を皮切りに、専門性の高い美容・健康コーナーが誕生する。薬剤師や登録販売者は、隣接する食料品売場の「惣菜」と「サプリメント・医薬品」を組み合わせた、より実践的かつ具体的な食事・栄養指導を行えるようになるかもしれない。 最強のプライベートブランド(PB)とデータ駆動型プロモーション 両社のPB商品の相互供給も本格化する。トライアルのコスパに優れた食品と、スギ薬局の高品質なヘルスケアアイテムがクロス展開される。 さらに、スギ薬局が持つアプリを通じた販促ノウハウやID-POSデータを活用し、一人ひとりの購買行動に合わせた最適なプロモーションが構築される。これは、患者のライフスタイルに合わせたフォローアップを行う「次世代の薬局体験」の雛形となるだろう。 この包括的協業は、スーパーセンターとドラッグストアという業界の垣根を越え、テクノロジーによって「安さ」と「専門性」を両立させる壮大な試みである。リテールテックが薬剤師を単純作業から解放し、よりクリエイティブなヘルスケアのプロへと進化させる姿を、この提携は示唆している。
- 33万人に迫る薬剤師の今
厚生労働省が発表した最新の「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計」の結果から、現代の日本における薬剤師の役割と現状が見えてくる。今回の調査では、薬剤師数が過去最多を記録しただけでなく、活躍のフィールドが従来のイメージを超えて大きく広がっている実態が明らかとなった。 右肩上がりの推移と構成 2024年12月末時点の全国の届出薬剤師数は329,045人を数え、前回調査から5,355人(1.7%)の増加を見せた。人口10万対薬剤師数も265.8人と着実に増えており、社会における薬剤師の供給体制は一段と強固になっている。 男女比については、男性が125,066人(38.0%)、女性が203,979人(62.0%)であり、依然として女性が中心となって支える職種であることに変わりはない。 地域医療の核となる薬局と多様化する従事場所 薬剤師の活動拠点は、今や調剤室の中だけにとどまらない。その従事場所は多岐にわたり、各分野で専門性を発揮している。 最も多くの薬剤師が活躍しているのは薬局であり、全体の6割に相当する197,437人が従事している。前回比で3.5%増という高い伸び率は、医薬分業の深化とともに、薬局が「地域の健康相談窓口」としての機能を強めている証左と言える。 病院や診療所といった医療施設に従事する薬剤師は63,290人で、全体の約2割を占める。特に病院勤務者は57,595人にのぼり、チーム医療のキーマンとして薬物療法の安全性向上に寄与している。 特筆すべきは、超高齢社会を反映した職域の変化である。介護保険施設で働く薬剤師は、前回比で11.5%増の1,217人と急増しており、在宅医療や施設ケアにおける薬学的管理の重要性が増している。また、大学での教育・研究に携わる者が5,011人、保健所などの行政機関で公衆衛生を担う者が6,906人存在し、医薬品関係企業(34,184人)を含め、社会のあらゆる階層に薬剤師の知見が浸透している。 年齢層から紐解く現場の「世代間バランス」 薬剤師の年齢構成には、施設ごとに明確な特色が現れている。 全体では30代(25.4%)が最多で、次いで40代(22.5%)と、働き盛りの世代が中心である。施設別に見ると、病院や薬局、行政機関では30代の若手が主戦力として活躍している。一方で、診療所や介護保険施設では60代の割合が最も高く、ベテラン層が長年の経験を生かして地域や高齢者医療を支えている。 平均年齢を比較すると、病院が42.5歳と最も若く、対照的に介護保険施設は59.7歳、診療所は58.4歳と高く、それぞれの現場で求められる経験値や役割の違いを反映した結果となった。 地域にみる充足度の格差 薬剤師の配置状況には、依然として地域による開きが見られる。人口10万対薬剤師数(薬局・医療施設従事者)を都道府県別に見ると、全国トップの徳島県(256.6人)に対し、最少の沖縄県(155.3人)との間には約1.6倍の差がある。兵庫県や東京都も高い充足度を示す一方で、福井県や青森県などは少ない傾向にあり、地域医療の均質化に向けた課題も浮き彫りとなった。 参考: 令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 3薬剤師
- 2030年に向け13兆円産業への加速を目指す JACDSが年頭所感を発表
塚本氏 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は2025年の活動実績を総括するとともに、会長の塚本厚志氏による2026年年頭所感を発表した。業界は念願の売上高10兆円を突破し、次なる目標として2030年に13兆円、店舗数35,000店を目指すことを明らかにした 。 2025年の業界動向と協会の実績 2025年は、日本国内において全般的な物価高、エネルギー高騰、人手不足が深刻化した一年であった 。政治面では、石破首相の退任後、憲政史上初の女性首相として高市早苗氏が誕生し、同氏の掲げる積極財政に対し、ドラッグストア業界にも良い流れが生まれることが期待されている 。 主要実績 売上高10兆円突破 : JACDSの「日本のドラッグストア実態調査」において、前年よりも大きな伸びを記録し、売上高10兆円を達成した 。 第25回JAPAN ドラッグストアショー: 米原まき氏を初めて女性実行委員長として迎え、前回を上回る約10万人が来場し、盛況を収めた 。 政策提言の成果: 指定濫用防止医薬品をめぐる動向に対し、「販売時に資格者がより一層関与することで、オーバードーズ防止に取り組む」との建議を行い、昨年5月発表の改正薬機法に反映された 。これにより、「OTC医薬品へのアクセスの確保」と「販売または使用時の安全性の確保」の両立が可能となった 。 ガイドライン作成: 指定濫用防止医薬品販売の業界ガイドラインを作成し、年内に公開を予定している 。 2026年の基本テーマと重点提言 塚本氏は、2026年を「健康生活拠点」として地域住民の健康生活を支えるための環境整備を進める年と位置づけた 。協会発足以来25年間の活動基盤であるセルフケア・セルフメディケーションの推進を継続する。 重点提言3項目 JACDSは、以下の3項目を重点提言として関係省庁等に建議していく方針である。 スイッチOTC化の拡大とリスク区分の見直し: スイッチOTC化の拡大と、第1類医薬品から第2類医薬品への速やかなリスク区分の見直しを求める。 セルフメディケーション税制の拡充: 対象医薬品を全OTC医薬品へ拡大し、所得控除下限額の撤廃を提言。より分かりやすい税制の実現を目指す。 調剤報酬における不合理な算定方式への反対: 調剤基本料と地域支援体制加算に関するグループ店舗数による区分けの廃止、および敷地内薬局を有するグループ薬局への連座制の導入反対など、調剤薬局機能に基づかない不合理な算定方式に反対する。 「Well-Being」と「サクセスフルエイジング」 JACDSの最終目標は、ドラッグストアが提供する商品やサービスを通じて、顧客が健やかで美しく年齢を重ねる、いわゆる「サクセスフルエイジング」の実現に貢献することである。これは、若年層も含めた人々の「生きがいや人生の喜びの創造」に繋がり、世界中のWell-Beingに貢献するものと位置づけられている 。 今後の主要事業計画 第26回JAPAN ドラッグストアショー: 2026年7月31日(金)から8月2日(日)の3日間、東京ビッグサイト(東1・2・3・7・8ホール)で開催される 。実行委員長は尾池勇紀氏(光株式会社 代表取締役社長)が務める 。 全体的目標: 2030年にドラッグストア業界を13兆円産業にする 。 基本テーマの推進: 健康生活拠点としてのWell-Beingへの貢献、薬剤師・登録販売者の資質向上、SDGsの取り組み推進、政府等公的機関への政策提言強化などを図る 。
- 【一日一笑】表札が違う!まさかの迷子から始まった薬剤師の在宅訪問デビュー戦
医薬情報研究所 株式会社 エス・アイ・シー 公園前薬局(東京都八王子市) 堀 正隆 はじめての在宅。 患者さんにとってはいつもの薬。私にとっては初めての薬がいっぱい。 普段と違い、すぐに対応してくれる先輩薬剤師はその場にいない。うまく説明できるだろうか…。どうやって説明しようか…。難しい質問をされたらどうしよう…。 不安な気持ちで薬剤について調べ薬局を出た。そして、出発から数分後に事件は起こった。家が分からない。 多分、ここだが、自信がない。なぜなら、娘さんのご家族と住まわれており表札に本人の名字や名前が入っていなかったのだ。以前、付き添いで訪問していたので大丈夫だと思い確認していなかった。お家の表札が全く違う名前になっている。誤って隣のおうちなどのインターホンを押してしまったことで、周りに知られていなかったのに薬を届けてもらっていると知られてしまったらどうしようなどさまざまな不安がよぎる。 結局、ご自宅に電話をして確認。「あなた今、うちの家の前にいるわよ!鍵開けるから入っていらっしゃい」と家族から笑われるところからのデビュー戦。ここは、想定していなかったがここからは準備してきた!さあどんな相談が来るかな? いざ、家に上がると「いつもの薬ですね、体調は変わりないです」そう、言われて終了。 薬剤師としては何もできていないデビュー戦。 現在であれば、より細かい話であったり、質問されたりでさまざまな話をするのだが、誰だって最初は自分が想定しているよりもふがいない結果で終わるもの。できない時に、自信を無くさないで!全て最初からできる人はいない!次はどうすべきか、自分がどうなりたいかを考える事が一番大事!! 初めての在宅訪問は家が分からないというまさかの坂から始まった!!! 2024年10月より選定療養費制度の導入 。 今まで先発医薬品希望であった方々も選定療養費(対象の先発医薬品の薬価と、その後発医薬品の中で一番高い薬価の差額の4分の1にあたる部分に消費税を加えた金額)を確認後に後発医薬品に変更した方も多かった。(実際の窓口負担金は、選定療養費により保険適用分の値段に変化があるため計算は少し複雑) しかし、中には変更したものの数カ月で効果が落ちた気がするので先発医薬品に戻したいという方もやはり数人いらっしゃった。寒くなり始める時期とも重なり血圧上昇が出た方など後発医薬品への変更によるものなのか不明な方も含まれており、なんともタイミングの悪い時に制度を始めてくれたなと思ってしまう。 また、先発医薬品に戻した方は何を説明しても「やっぱり、後発医薬品は駄目ね」なんてことになってしまうことが多くある。中にはAG(オーソライズド・ジェネリック)1(先発医薬品と同じ原薬・同じ製法・同じ工場の製造ラインを用いて製造・販売されている)を使用していたにもかかわらずだ。これに関しては、先発医薬品にしたところで変わらないが…本人が言うからしょうがない。 効果は気からである(プラセボ効果、ノセボ効果)。そして、1度でも後発医薬品使用後に効果が落ちたと感じた方は、後発医薬品全てがNGになることが多い。 先発医薬品に対しては「薬が合わなかったのは自分との相性」と個別に捉えることができるのに対し、後発医薬品に対しては「薬が合わないのは後発医薬品全般の問題」と一まとめにしてしまい、「良くない」という意識を持ちやすくなる。「昔、後発医薬品を使ったら、効果が弱い気がしたから全部先発医薬品でお願い」何のメーカーの物か覚えておいてとまではもちろん言わないが、どの薬を後発医薬品に変更したかも不明だけど嫌!なんて、拒絶反応が…。 そういった方には、AGの説明をしても後発医薬品を断る言葉が「効果が落ちると困るから」が「名前が変わって間違えたらいけないから」に変わるだけ。拒絶せずにAGくらいは変えても良いのでは?今後の医療費どうなっていくことやら・・・。 どんな時にも心掛けるのは、「一日一笑」。 病院で待って疲れた。検査結果を聞いて憂鬱。調子が悪くてつらい。 本来、元気なら必要ない所に行くのだから楽しいわけがない。 でも、そんな方が寝る前に、今日1日が少しでも楽しかったかもって思えるようにしたい。 自分だったらどんな人と話しやすいか考えて動く。 ちょっとした相談もできる場所。会話するのが楽しみな場所。気軽に立ち寄れる場所。 薬局はそんな場所であってほしい。 聞き取れなくても返事をした。分からないけど質問しにくいからやめてしまった。そんな経験誰でもきっとあるはず。勉強してきた内容をしっかり伝えるために患者さんとの関係性はとても大切。 職業柄、愚直に取り組む方が多いとは思うが、自分自身を追い込みすぎず時には肩の力を抜いて患者さんとの会話を楽しんで!皆さんが多くの患者さんにとって素敵な薬剤師になることを願っている!
- 薬包紙を折ってみよう!~介護老人保健施設訪問企画@関西~
(一社)日本薬学生連盟は2025年12月8日に関西のとある介護老人保健施設にて、ボランティア活動を行いました。今回の活動は弊団体の関西メンバーが中心となって企画し、参加した薬学生にとって新しい学びや考えを得られた貴重な機会となりました。活動した内容や、参加学生の皆さんの気づき・感想などをご紹介します。 (執筆: 広報統括理事 大阪医科薬科大学4年 塚本有咲) 「介護老人保健施設」とは? 利用者の在宅復帰や、生活支援を受けながら自宅で過ごせるようになることを目的としている施設です。症状が安定して入院での治療は不要でも、退院後すぐに自宅で生活することは困難である、要介護の高齢者の方々を対象としています。 今回のボランティア活動の内容やその様子は? とある介護老人保健施設を訪問し、入居者の方々とお話をしながら一緒に薬包紙を折りました。 最初は互いに少し緊張していましたが、次第に打ち解けてきたようで、あちこちで楽しそうな笑い声が聞こえてきました。施設で働く介護士の方や、実習中の看護学生の方も話の輪に入り、入居者の方々を中心に皆で会話が盛り上がっている様子はとても心に残る光景でした。 また、皆で薬包紙を折りました。折り紙を薬包紙に見立てて使用したので、色とりどりの折り込んだ薬包紙が出来上がりました。薬学生ならではの企画内容であり、指と頭を使うこの作業は入居者の方々にとっては良いリハビリにもなったようです。 【参加学生に聞いてみた】 ―今回参加してみてどう感じましたか? ・最初は、会話し始めても利用者さんの表情があまり変わらないなと思いました。しかしたくさん話していろいろなことを聞き、相手の話に耳を傾けていると、たまに話題に食いついてもらえる時がありました。その時に表情が少し綻んだなとか、楽しんでいただけてそうだなといったことがだんだん分かってくると、こちらもうれしくなりました。 ・自分から勇気を出して話しかけると、いろんな知らなかった豆知識を教えていただけたり、少しずつ心を開いてもらえたりしたのでうれしかったです。 ・最初は緊張していたのですが、施設で働く方々や利用者の皆さんがとても優しかったので、いつの間にか気持ちがほぐれていました。皆さんとおしゃべりをした際も、雰囲気が穏やかで、純粋にとても楽しい時間でした。 ―特に印象に残っていることはなんですか? ・利用者さんのお話の内容がとても興味深かったことです。薬包紙は今では生活する中でほとんど見ることはないと思います。しかし昔は病院に行くと薬包紙に包まれた薬をもらっていたので、家でも薬包紙を使うことが当たり前だったとお聞きし、すごく驚きました。出来上がった薬包紙を見て、とても懐かしいとおっしゃっていました。 ・利用者さんに来年で100歳になられる方がいらっしゃったのですが、頭の回転が速くはきはきと会話していて、折り紙を折るのもとても上手でした。私の話を笑顔で聞いてくださり、薬包紙も折っているうちに昔使っていたのを思い出したようで、折り方を説明するよりも早く折り進めていっていました。これほど長寿でお元気でいらっしゃることには本当に尊敬しましたし、私たちも見習わなくてはと思いました。 難しかったことはありましたか? ・今回、初めて認知症の方と直接お話をしました。しかし会話を続けることが難しく、どうすれば心の距離を縮められるのだろうと思いました。私たちは普段、人と話す際に笑顔を心掛けたり、話を広げて会話を盛り上げようとしたりすると思います。ですが認知症の方は、会話中でもボーっとしてしまったり質問にも答えてもらえなかったりしました。医療従事者や家族の方々は、それでも心を開いてもらうためにどんな工夫をしているのかを、これから知っていきたいと思いました。 ・人によって病気の進み具合や障害の程度なども異なるので、企画で行う内容を決めることが難しいなと感じました。今回は薬包紙を折りましたが、半身麻痺の方は折る作業自体が大変そうでした。また、認知症の方はそもそも薬包紙がなにかを理解するのも難しそうでした。一方で、手先が器用な方や作業に支障の少ない方にとっては簡単だったようなので、全員に楽しんでもらえるようにするには工夫が必要になってくると思いました。今後はいろんなパターンを想定して考えられるようになっていきたいです。 【企画長に聞いてみた】 今回の企画を通して感じたことを教えてください。 施設の職員さんに、「利用者の方々は日々同じような生活リズムで過ごされていますが、学生の皆さんがたまに来て会話してくれたりすると、空気が少し変わるんです。その小さな日常の変化とともに、雰囲気が明るくなるんです」と言われたことは特に印象的でした。 私は薬学生ですが、介護業界やケアマネジャーの仕事に将来携わってみたいと考えています。これからさまざまな施設の職員さんや利用者さんと関わることで、たくさん学んで経験していきたいです。また、活動を継続していくことで、多くの薬学生に介護業界にも興味を持ってもらえたらいいなと思っています。 今後も今回のような活動を続けていき、皆さんのやりたいことも形にしていきたいと思いますので、気になる方はぜひ、弊団体の地域連携委員会で一緒に活動しましょう! 最後に、今回企画開催に協力してくださった介護老人保健施設の職員の皆様、利用者の皆様、本当にありがとうございました。参加者一同、心より御礼申し上げます。














