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- 「肌」で差をつける新生活。20代男子の9割が実感するスキンケアの「意外なメリット」とは?
2026年、いよいよ新生活がスタートする。大学入学や就職など、新しい出会いが増えるこの時期、第一印象を左右するのは清潔感あふれる「肌」だ。花王株式会社ビューティリサーチ&クリエーションセンター(以下、花王BRCC)が実施した調査によると、現代の20代男性にとって、肌の手入れはもはや「当たり前のマナー」になりつつある。事実、20代男性が「異性から褒められたい要素」の第1位には「肌」がランクインした。 さらに興味深いのは、日常的にスキンケアを行う「スキンケア高感度層」の約9割が、肌の変化だけでなく「自分に自信がついた」「ストレスが減った」といったメンタル面でのポジティブな効果を実感している点だ。スキンケアは、単なる身だしなみを超え、自分をアップデートするための「投資」となっている。本記事では、多忙な学生生活でも取り入れやすい、プロ直伝の最短スキンケア術を紹介する。 なぜ今、20代男子が「肌」にこだわるのか 調査の結果、20代男性の多くが「外見を磨いて自分の評価を上げたい」と考えている実態が判明した。 特に注目すべきは、スキンケアを通じて得られる「心の変化」だ。高感度な層の半数が「自分の自信につながっている」と回答しており、34.0%が「心の癒しやストレス解消」を感じている。さらに、30代や40代と比較しても、20代は見た目における「肌」の重要性をより高く認識している傾向にある。清潔な肌を手に入れることは、対人関係において大きな武器になるだけでなく、自分自身のモチベーション維持にも直結しているのだ。 失敗しない!キャンパスライフで輝く「王道3ステップ」 まずは、どの年代にも共通する基本のルーティンを確立することが、清潔感への最短距離である。 第一に、摩擦を避けながら「やさしく洗う」ことが重要だ。洗顔料をしっかり泡立て、肌をこすらずに汚れを落とそう。第二に、洗顔後は即座に「ムラなくうるおす」ステップへ移る。化粧水や乳液を顔全体に均一になじませるべきだ。そして第三に、将来の肌トラブルを防ぐ最大の防御として、通学時などの「紫外線から守る」ケアを習慣化したい。 プロが教える!毛穴・ニキビ対策のコツ 20代は皮脂分泌が盛んなため、毛穴の詰まりやニキビに悩む人が多い。花王BRCCのビューティセラピストによれば、洗顔時に「中指の腹」を賢く使うのがポイントだ。 中指は力が入りすぎず、小鼻などの繊細な凹凸にも密着しやすい。特に毛穴汚れが気になる部分は、中指の腹で小さな円を描くように、多方向から「くるくる洗い」を徹底することを推奨する。スクラブ入りやクレイ(泥)タイプの洗顔料を週に数回取り入れるのも効果的だ。洗顔後は、ベタつきにくい、みずみずしい使用感の化粧水やライトな乳液で軽やかに保湿するのが、20代の肌には適している。 新生活という大きな転機に、まずは「肌」という土台から整えてみてはいかがだろうか。 【出典】 調査主体: 花王株式会社 ビューティリサーチ&クリエーションセンター(花王BRCC) 調査名: 「男性のスキンケアに関するアンケート調査」および「スキンケア高感度男性のスキンケアに関するアンケート調査」(2025年9月実施、20~40代男性 n=618 / 高感度層 n=156)
- 女性のキャリアを「10年目の壁」で終わらせない。エスエス製薬が示すAIメンターと新指標の可能性
エスエス製薬の解熱鎮痛薬ブランド「EVE(イブ)」は2026年3月5日、女性のキャリア支援を目的とした「BeliEVEカンファレンス 2026」を都内で開催した。国際女性デーを目前に控え、改正女性活躍推進法の施行も間近に迫る中、坂東眞理子氏ら有識者を交え、女性が本質的にキャリアを考え行動するために必要な「次の一手」が議論された。 「10年目の壁」と「5年目の分岐点」を突破する新施策 「EVE」の調査によれば、女性がキャリアをあきらめる傾向は社会人10年目を境に急増する。この背景には、5年目から生じる男女間のキャリア意識の格差や、ロールモデルの不在、正当な評価機会の不足といった「目に見えにくい課題」がある。 これらを解消すべく、カンファレンスでは2つの新たな取り組みが発表された。まず「BeliEVE Career Index(キャリア信頼指数)」は、女性のキャリア意識を可視化する新指標である。これは単なる数値目標にとどまらず、昇進機会の公平性や重要な仕事へのアサイン状況など、定性的な側面から企業の「本気度」を測定することを目指している。 もう一つの「AIメンターサービス『BeliEVE Mentors』」は、LINE上でAIと対話しながらキャリア相談ができるツールである。漫画家のマキヒロチ氏がキャラクターデザインを担当し、人に話しにくい悩みも打ち明けられる「人格を宿したAI」として、自己分析のトレーニング場を提供する仕組みとなっている。 ウエルシア薬局での実績:メンタリングが組織を変える 第1部では、先行して「BeliEVE Mentoring Program」を導入したウエルシア薬局の事例が紹介された。同社では、プログラムを通じてメンティー15人中4人が店長へ昇進し、さらにメンター側も5人が昇進するという顕著な成果を上げた。 取締役人事本部長の盛永由紀子氏は、体系的なメンタリングによって会話の質が上がり、参加者の表情に変化が出たことを報告した。そのうえで、リーダーの多様性が企業を強くするという確かな手応えを語った。 坂東眞理子氏が説く、職場に必要な「3つのき」 第2部では、昭和女子大学総長の坂東眞理子氏とジャーナリストの白河桃子氏が登壇し、日本が「女性キャリア後進国」から脱却するための構造的な課題が議論された。 坂東氏は、職場が女性に対して提供すべき要素として「期待」「鍛え」「機会」の3つの「き」を提唱した。女性を単なる「管理職候補」としてではなく、組織を動かす「変革人材」として期待し、難しい仕事を通じて鍛え、たとえ失敗しても再挑戦できる機会を与えるべきだと説いた。 また、女性自身に向けては、最初からホームランを狙うのではなく、まずは塁に出るという小さな成功体験を積み重ねることが自己肯定感の向上につながるとアドバイスした。最後には「一緒にファーストペンギンになりましょう」という力強いメッセージで議論を締めくくった。 キャリアの悩みを「個人の問題」にしない社会へ 今回のカンファレンスは、制度や数字といった外枠の整備だけでなく、女性一人ひとりの内面的な変化や対話のプロセスに光を当てた。エスエス製薬は今後も「BeliEVE PROJECT」を通じ、女性が自身の選択を信じ、本来の力を発揮できる社会の実現を目指していく。
- 「2040年問題」対応へ、東京薬科大学とトランスコスモスが連携協定を締結――薬剤師業務のDXと次世代人材育成を推進
左から、東京薬科大学 学長 三巻祥浩氏、トランスコスモス株式会社 上席常務執行役員 高山智司氏 東京薬科大学とトランスコスモス株式会社は、団塊ジュニア世代が高齢者となる「2040年問題」を見据え、薬剤師業務の変革を推進するための連携協定を締結した。今回の取り組みは、教育機関と民間企業が業界の垣根を超えて連携し、双方が蓄積してきた知見を融合させることで、地域医療が直面する深刻な課題の解決を目指すものである。 わが国では2040年に向けて、医療需要が増大する一方で医療従事者の不足が加速しており、持続可能な医療体制の構築が喫緊の課題となっている。特に薬剤師不足が顕著な地域においては、限られた人的資源の中で医療の質を維持しつつ、いかに業務の効率化を図るかが重要である。協定に基づき、両者は薬剤師不足地域における具体的な業務改善策の検討や、デジタルトランスフォーメーション(DX)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の知見を活用した新たなサービスの研究に着手する。 また、教育面においても革新的な取り組みが展開される。トランスコスモスが長年培ってきたDX・BPOのノウハウを薬学教育プログラムに導入し、薬学の専門知識とデジタル技術を兼ね備えた次世代人材の育成に貢献する。近年、地域包括ケアシステムの構築が進む中で薬剤師の役割は拡大しており、対人業務へのシフトやデジタル技術による業務最適化など、新しいアプローチへの対応が強く求められている。 トランスコスモス上席常務執行役員の高山智司氏は、自社の知見を薬剤師業務の効率化という新領域で生かせることに喜びを示し、次世代人材の育成への期待を述べた。一方、東京薬科大学学長の三巻祥浩氏も、産学連携を通じて最新のデジタル技術を教育・研究に反映させ、変化する医療環境に適応できる人材を輩出することで地域社会に貢献したいとしている。両者は今後、定期的な協議を通じて連携を深め、2040年を見据えた先進的な地域医療提供体制の構築を推進していく方針だ。
- 【京都薬科大学】10年ぶりの新校舎「飛翔館」が竣工―教育・研究の新たな拠点へ
飛翔館外観 京都薬科大学は2026年3月5日、新校舎「飛翔館」の竣工式を挙行した。同大学において新校舎が完成するのは、前回の校舎建設から数えて約10年ぶりのことである。式典には学内関係者や建設工事関係者のほか、本校地周辺地域の自治会長ら約30人が参列し、新たな教育・研究拠点の誕生を祝った。 16カ月の工期を経て完成 「飛翔館」は2024年11月に建築工事を開始し、約16カ月の工期を経て2026年2月に竣工を迎えた。建設場所は京都市山科区御陵中内町5番地の本校地内であり、構造は鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄骨造の地上4階建てとなっている。建築面積は927平方メートル、延床面積は3,252平方メートルに及び、設計・監理を株式会社東畑建築事務所、施工を大日本土木株式会社がそれぞれ担当した。 キャンパスプロムナード 大講義室 充実した教育・研究環境 新校舎は、高度な薬学教育と先端研究の両立を目指した多様な施設構成が特徴である。内部には、最大450人を収容可能な大講義室をはじめ、最新の設備を整えた実習室が配置されている。また、学生の能動的な学びと交流を支える「ラーニングコモンズ」や、若手研究者が論文作成やディスカッションに活用できる「リサーチコモンズ」を設置。さらに、先端的研究の核となる「シナジー研究施設」を備えることで、学際的な研究の進展が期待されている。 キャンパス内の回遊性にも配慮がなされており、開放的な「キャンパスプロムナード」の整備に加え、既存の図書館棟である「躬行館」とは2階および3階の連絡通路で接続された。これにより、既存施設との一体的な運用が可能となっている。 同大学は、2026年度前期より「飛翔館」の供用を開始する予定である。新校舎の活用を通じて教育・研究活動のさらなる充実を図り、次世代を担う薬剤師や研究者の育成に向けた基盤を強化していく方針だ。
- 【エスエス製薬】AIメンタリングサービス「BeliEVE Mentors」を開始。6人のAIが女性のキャリアを支援
エスエス製薬の解熱鎮痛薬ブランド『EVE』は、2026年3月5日、働く女性のキャリア形成を支援する新サービス「BeliEVE Mentors」の提供を開始した。 同社が実施した調査によると、キャリアに悩む女性の約6割が「気軽に相談できる相手がいない」と回答している。こうした孤独な悩みを解消し、心理的な安全性を保ちながら「自分らしいキャリア」を見出すためのパートナーとして、LINEで利用可能なAIメンターを導入する。 多様な価値観を持つ「6人のAIメンター」 同サービスの特徴は、実在する「キャリアに満足している女性」5万人以上の調査と、30人以上の詳細なインタビューから構築された「6人の異なるAI人格」と対話できる点だ。 人気漫画家・マキヒロチ氏がキャラクターデザインとエピソードのビジュアル化を担当。単なる情報検索ツールではなく、現代女性の葛藤やリアルな心情に寄り添う「生きた先輩像」としてデザインされている。 メンター名 職業 / 特徴 こんな人におすすめ 1. 米倉 美奈 IT・SE / 前向きな解決志向 具体的なアドバイスで背中を押してほしい時 2. 由良 舞 教育・マーケ / 現実主義 理想論ではなく、地に足のついた意見がほしい時 3. 九条 藍 Web編集 / 鼓舞・両立支援 家庭と仕事の両立に悩み、強く励まされたい時 4. 楠 紗季 精密機器営業 / 無理しない主義 自分のペースを守りつつ、現実的な解を探したい時 5. 樋口 ゆい 不動産総務 / 共感重視 まずは悩みを聴いて、頑張りを認めてほしい時 6. 徳山 凛花 NGOマネジメント / 挑戦志向 夢に向かって、細かいことを気にせず進みたい時 なぜ今、AIによるキャリア相談なのか 背景には、20〜30代を中心とした「AIへの相談需要」の高まりがある。同社の調査では、AIに期待することとして「データに基づいた冷静な分析(38.4%)」に加え、「安心して話せる(26.4%)」という情緒的な価値が上位に挙がった。 対人では気まずさやしがらみを感じる悩みも、匿名かつ24時間利用可能なAIであれば、本音で向き合えるという利点がある。 利用方法とサービス概要 利用料金: 無料(匿名利用可能) プラットフォーム: LINE公式アカウント( 特設サイト 参照 ) 特徴: 複数のメンターと並行して対話し、多角的な視点を得られる。 対話内容を記憶し、長期的な相談相手として伴走する。 特設サイトの診断やマキ氏の漫画から、自分に合うメンターを選べる。 同社は「 BeliEVE PROJECT 」を通じて、女性が本来持つ力を発揮し続けられる未来を目指しており、今回のAIメンターはその中核を担う施策となる。
- 薬局から発信する「Well-being」への挑戦:スギ薬局の新たな地域連携モデル
2026年2月25日から3日間にわたり、東京ビッグサイトで開催された「Care Show Japan 2026」。その中で行われたセミナーにおいて、株式会社スギ薬局の植田恵子氏(医療営業本部 関東営業統括部 統括部長)が登壇した。本講演は「薬局から発信する『Well-being』実現のための取組」と題され、地域住民の幸福と健康を多角的に支える次世代型薬局の在り方について、示唆に富む内容となった。 スギ薬局が推進する「トータルヘルスケア戦略」 スギ薬局は、創業50周年を迎える2026年2月期に売上高1兆50億円を見込み、全国2,000店舗を超えるネットワークを展開している。同社が掲げる「トータルヘルスケア戦略」の核は、健康維持や予防・未病のセルフケア領域から、服薬支援、在宅医療、そして終末期の生活支援に至るまで、顧客のライフステージを生涯にわたって支えることにある。 植田氏は、身体的・精神的・社会的に満たされた持続的な状態を指す「Well-being」の概念が、同社の経営理念そのものであると強調した。この実現のため、薬剤師や管理栄養士、登録販売者、看護師といった多様な専門職が連携。リアル店舗の強みにデジタル技術と行政連携を掛け合わせた、独自の活動を推進している。 処方箋なしで集える「健康茶房」の試み 現場での具体的な実践として注目を集めたのが、帝京平成大学の学生らと共同で実施している「健康茶房(けんこうさぼう)」である。この取り組みは、薬局を単に「薬を受け取る場所」とするのではなく、「住民が自然と集うコミュニティの場」へ転換させることを目的としている。 2025年9月よりスギ薬局神田駅南口店において月1回、仕事帰りの人々をターゲットとした夕方の時間帯に開催。薬剤師や学生たちが提供する健康茶をきっかけに、地域住民やリピーターとの対話を通じて日常の悩みや健康ニーズを引き出す場となっている。植田氏は、当初は処方箋のない顧客への接遇に戸惑っていた薬剤師が、学生たちの柔軟な感性を模範とすることで意識変革を遂げ、現在では延べ200人近い来場者を得る成果を上げていると語った。 多様な外部連携による専門的支援のネットワーク 同社は単独の活動に留まらず、外部パートナーとの連携を通じて支援の質を高めている。 その一環として、同志社大学の瓜生原葉子教授が提唱する「医療のエコ活動」の趣旨に賛同するアステラス製薬と協働した取り組みを開始した。この活動は、医療費の高騰やドラッグ・ロスといった社会課題を、日常生活の視点から「自分ごと」として捉え直すことを目的としている。スギ薬局はアステラス製薬の活動を推進・支援する企業として連携し、絵本ラウンジでのイベントなどを通じて、処方箋がなくても薬や食の悩みを気軽に相談できる環境づくりを啓発。情報発信や市民の行動変容を促す活動を展開している。 また、「一般社団法人こども偏食少食ネットワーク協会」との連携では、家庭での食事に悩む保護者の相談窓口としての役割を担っている。東京・世田谷区のスギ薬局桜新町店では、専門資格である「子ども摂食アドバイザー」を取得した管理栄養士や薬剤師による相談会を開催した。ここでは単なる助言に留まらず、小児科医や言語聴覚士など30件以上の専門職と連携するフォローアップ体制を構築しており、専門的な支援へとつなげるネットワークの構築が進んでいる。 さらに、千葉市のスギ薬局蘇我調剤店では、店舗スタッフ自らが地域行事に参加。行政やメーカーと協力して歯科チェックや骨密度測定などの独自イベントを実現した。これらは、住民が日頃から頼れる「身近な専門家」としての信頼関係を築く礎となっている。 地域医療のハブとしての展望 植田氏は講演の結びに、薬局1店舗だけでは限界があり、地域、医療機関、行政、大学、企業が機能を補完し合う「顔の見える関係づくり」が不可欠であると強調した。 厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」が示す2035年の姿に向け、薬局は地域包括ケアシステムの中核となり、立地にかかわらず地域の相談拠点となることが求められている。スギ薬局が進める一連の取り組みは、薬局が「地域医療のハブ」として機能し、人々のウェルビーイングを持続的に支える社会的インフラへと進化する具体的な道筋を提示している。
- 「75歳まで働ける社会」をデザインする――大木ヘルスケアHD松井氏が語る、薬局・ドラッグストアの使命
松井氏 2026年2月25日・26日の2日間、TRC東京流通センターにて、大木ヘルスケアホールディングス株式会社による「2026春夏用カテゴリー提案商談会」が開催された。同商談会は、単なる新商品の展示にとどまらず、小売店との強固なパートナーシップを通じて生活者の潜在ニーズを掘り起こす「需要創造型」の提案を目的としている。 代表取締役社長の松井秀正氏は、人口減少と高齢化が加速する日本において、薬局やドラッグストアが果たすべき新たな役割と、変容する市場の本質について、以下の4つの柱からなる深い洞察と戦略を提示した。 1.医療費の構造的課題とセルフメディケーションの本質 松井氏は、人口減少下でも増大し続ける医療費の現状に対し、20代と80代の健康維持コストの圧倒的な差を引き合いに警鐘を鳴らした。 65歳以降に急増する医療費という課題に対処するためには、30代・40代といった早期からの栄養管理や運動を通じた「自助」が不可欠となる。重症化後の介護や治療には膨大なコストを要するが、未病段階からサプリメントやOTC医薬品を活用し、専門家のサポートを得て健康を維持できれば、社会保障費の抑制と個人の幸福最大化を両立できる。生活者の最も身近な接点であるドラッグストアや薬局は、健康維持を「学ぶ、見る、触る、楽しむ」体験の場として、正しい情報を発信し続ける拠点とならなければならない。 2.「75歳まで働ける体と社会」:健康経営が切り拓く未来 今回の商談会における最重要キーワードの一つが「75歳まで働ける社会」の構築である。これは個人の努力に委ねるべき問題ではなく、企業の制度設計とセットで解決すべき課題として示された。公的年金の受給開始時期の見直しなどを背景に、日本はすでに「75歳まで自ら糧を得なければ社会が機能しない」段階に突入している。 ここで重要となるのが、テクノロジーを駆使した「健康経営」の視点だ。例えば、聴力が低下したベテランスタッフに対し、会社側が集音器などの補助器具を支給することで、その豊富な知見を店頭で生かし続けられる環境を整備することが挙げられる。年齢による役職定年制を廃し、個々の能力のピークに合わせて働き方や給与体系を柔軟に設計することこそが、今後15年後の社会を支える基盤となる。 3.「自助」の時代における小売業の使命 2003年の健康増進法制定により、日本の健康維持に関する指針は「国の責任」から「個人の責任(自助)」へと法的なパラダイムシフトを遂げている。 この潮流を受け、行政による一律の指導を待つのではなく、地域のライフラインである小売業が主導し、医療機関と連携した「持続可能なビジネス」としての地域包括ケアを構築することが急務である。公的なボランティア精神に依存するのではなく、民間主体で地域の生活者を守るネットワークを形成し、企業が従業員の健康コストを投資として負担する仕組みを整えること。それこそが、現代における真の社会インフラの姿である。 4.市場の二極化と「高付加価値商品」への挑戦 さらに松井氏は、ヘルスケア市場における「所得の二極化」という現実に正面から向き合うべきだと指摘した。 現在、高品質な原料を用いた高機能・高単価なサプリメントを求める層は、ドラッグストアではなくクリニック等の限定的な市場へ流出している実態がある。本来、専門家が常駐する店頭こそが、こうした「高価格であっても良質なもの」を含めた幅広い選択肢を提示すべきである。従来の「薄利多売」モデルを維持しつつも、3万円や5万円といった高価格帯でも確かなエビデンスを持つ商品を揃えることは、顧客の満足度を高め、外部への顧客流出を食い止める重要な戦略となる。 次世代を担う薬学生へ 今回の商談会で一貫して示されたのは、単なる物販業を超えた「生活者の健康寿命を総合的にプロデュースする」という決意である。将来、薬剤師として地域医療の現場に立つ際、目の前の患者への調剤・投薬のみならず、働く世代の未病対策や、高齢者が現役で活躍し続けられる社会実装にどう寄与できるか。松井氏の提言は、薬学の専門知識をいかにして社会価値へと変換すべきかという、キャリア形成における極めて重要な指針を示している。
- JACDSが令和8年度調剤報酬改定に突きつけた抗議と、薬剤師の未来像
会見の様子 2026年2月20日、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、同年6月に施行される「令和8年度調剤報酬改定」の答申内容を受け、緊急記者会見を開催した。将来の薬剤師である薬学生の皆さんに向け、会見で語られた重要事項を整理して紹介する。 立地や面積という「物理的制限」への強い抗議:憲法違反の疑い 会見で最も焦点が当たったのは、薬剤師が提供する医療サービスの質とは無関係な「物理的条件」によって報酬が制限される新ルールへの反発である。 今回の改定では、東京23区や政令指定都市において、既存の薬局から500メートル以内に新規開局し、特定の集中率基準を満たすと、調剤基本料が15点減算される「門前薬局等立地依存減算」が導入された。JACDS副会長の横山英昭氏は、これが憲法22条の「職業選択の自由」および14条の「法の下の平等」に抵触する恐れがあると指摘した。 1975年の最高裁判決(薬局距離制限事件)では、既存薬局からの距離を理由とした開設制限は違憲とされている。横山氏は、今回の改定が報酬制度という形を借りて実質的にかつての距離制限を復活させるものであり、公定価格制度としての合理性を欠く「不当な規制」であるとして、厚生労働省へ陳情書を提出したことを明らかにした。また、会長の塚本厚志氏からも、地域支援体制加算に導入された「調剤室の面積基準」について、店舗の広さと専門性は無関係であり、制度の公平性を損なうものであるとの強い疑義が示された。 厳格化する「人的要件」と現場の危機感 会見では、薬剤師の働き方に直結する「人的要件」の厳格化についても、具体的なデータをもとに危機感が語られた。 JACDS調剤推進委員会副委員長の山口義之氏は、加盟企業約7,700店舗を対象に行った緊急アンケートの結果を報告した。今回の改定では、従来の「かかりつけ薬剤師指導料」が廃止され、「服薬管理指導料」におけるかかりつけ機能の評価へと再編されたが、これに伴い薬剤師個人の勤務実態を問う要件も変更されている。アンケートによれば、この新しい人的要件に対し、約6割の企業が「要件の維持・充足が厳しくなった」と回答している。山口氏は、人手不足が深刻化する中で、週の勤務時間や在籍期間といった形式的なハードルが現場の大きな負担となっている実態を数字で示した。 これを受け、副会長の関口周吉氏は総評として、現場のモチベーションに及ぼす影響を訴えた。関口氏は、今回の改定で在宅医療への取り組みなどが一部評価された点は認めつつも、全体としてはマイナス改定であるとの認識を表明。現場の薬剤師が報酬を維持するために、勤務時間や在籍期間といった「数字」の充足に追われる状況になれば、本来もっとも時間を割くべき対人業務や患者支援に支障をきたしかねない。関口氏は、こうした「現場の努力が正当に評価されない」仕組みのままでは、「現場のモチベーションを保つことは非常に困難である」と、制度のあり方に強い疑義を呈した。 次世代の薬剤師像:政府が掲げる「進化」への投資 こうした厳しい現状に対し、塚本氏は、政府の方針に掲げられた「アドバンスド・エッセンシャルワーカー」という言葉を引用し、薬剤師が今後目指すべき方向性に言及した。 これは、AIやデジタル技術を使いこなし、高い生産性と深い専門性を両立させることで、単なる調剤業務を超えた付加価値を提供する人材を指す。新設された「物価高騰・ベースアップ評価料」は、単なる賃上げの原資にとどまらず、薬剤師がこうした次世代の人材へ進化するための教育や、IT環境への投資の原資として有効に活用されるべきものである。塚本氏は、薬剤師が地域住民のヘルスケアリテラシーを向上させる重要な社会インフラとしての誇りを持ってほしいと、将来を担う世代へ期待を寄せた。
- 物価高が大学生の「学び」に与える影響――大学生協連「第61回学生生活実態調査」結果発表
会見の様子 全国大学生活協同組合連合会(大学生協連)は2026年2月24日、現代の大学生の経済状況や意識を浮き彫りにする「第61回学生生活実態調査」の結果を報告した。長引く物価高騰が、支出構造から学習習慣に至るまで、学生生活の根幹を揺るがしている実態が明らかとなった。 1.食費増のしわ寄せが「書籍費」に 調査によると、下宿生の1カ月の支出において食費は前年比で約3,700円増加し、2万9,853円に達した。しかし、支出総額は大きく伸びておらず、増大した食費を捻出するために他の項目が抑制されている。 特に顕著なのが「書籍費」の減少だ。2016年以降で初めて月額1,000円を割り込み(950円)、過去最低水準を更新した。大学生協連専務理事の中島達弥氏は「経済状況が大学での学びの質に直接影響を及ぼす局面に入っている」と分析している。 2.奨学金受給の現状:過去10年で最高の受給率と返済不安 奨学金の受給割合は2019年まで低下傾向にあったが、2025年には36.8%と過去10年で最も高い水準となった。増加の背景には「給付型奨学金」の拡充があり、受給者のうち「給付型のみ」の割合は15.2%(前年比5.3ポイント増)と急増した。 一方で、返済義務のある「貸与型(併用含む)」を利用する層の不安は根強い。貸与型受給者の約5割が「暮らし向きが苦しい」と感じ、約7割が卒業後の返済に不安を抱えている。公的支援の裾野が広がる一方で、受給形態による心理的格差が鮮明となっている。 3.学修時間の圧迫:アルバイトとの相関 アルバイト収入は時給単価の上昇により増加傾向にあるが、これが学生のゆとりには結びついていない。調査では「アルバイト時間が長いほど、予習・復習や読書をしない学生が増える」という明確な負の相関が確認された。 自由記述欄には「生活費のために深夜までバイトをせざるを得ず、睡眠時間が削られ、翌日の授業で居眠りをしてしまう」といった切実な声が寄せられており、生活維持のための就労が「学びの時間」を奪う構造的課題が浮き彫りとなった。 4.生成AIの定着:生活インフラとしての活用 生成AIの利用経験は92.2%に達した。レポートの要約や添削といった学修補助に加え、悩み相談や献立の相談など日常生活の補助ツールとしての活用も広がっている。大学生協連は、生成AIが特定の目的を超え、限られた資源の中で生活を効率化するための「生活インフラ」として定着したと結論づけている。 5.「変化への適応」と支援の限界 記者会見で、大学生協連26年度全国学生委員長の佐藤佳樹氏は、調査結果を踏まえて次のように述べた。「当たり前が変化し、学生たちはその中で必死に適応している。暮らし、学び、コミュニティの危機がある中で、コロナ禍での動向を踏まえ、現在は新しい当たり前が変化し、定着しているのではないか」 佐藤氏は、物価高や就職活動の早期化といった重圧にさらされながらも、生成AIを駆使するなどして何とか生活を維持しようとする学生たちの姿を「適応」という言葉で表現した。 大学生協側も企業と連携した「100円朝食」などの支援を続けているが、原材料費の高騰により生協自身の経営も厳しさを増している。記者会見の中では、民間組織だけの努力には限界があり、社会全体で学生の困窮を正確に把握し、重層的な支援を模索していく必要性が強調された。
- 【薬局四方山話】薬剤師のセンス
地球堂薬局 田代健 1. 国家試験に合格するだけで良いのか? 少し昔のことだが、知り合いの医師が焼肉屋でこんなことを言っていた。「国試に受かれば同じ医者で、点数は関係ない。自分は最低限の努力でギリギリ合格したから、効率的だった」皆さんはどう思われるだろうか? この医師の場合に限れば、最終的な目標は「実家の医院を継ぐこと」で、研修医から大学教授までの生存競争を勝ち残る必要もなく、臨床経験を積み重ねていけば成績とは関係なく自分の地位を確保することができる。さらに、医学教育を受ける大学とそれを実践する職場が連続しているので、国家試験というものはなおさら通過点に過ぎない。このような文脈の上では、「勉強の量は最小限で良い」はかなり正しいと思う。しかし、これが医師全般にも当てはまるかといえばそうではないだろうし(注1)、薬剤師の場合には、一つの職場で蓄積されてきた実践知を受け継ぐという文化もない。国家試験に合格するということは、毎年1万数千人いる「国試受験者」のうち1万人弱が、30万人規模の「薬剤師の市場」への入場券を手に入れるということに他ならない。入場券は、テーマパークなどと同様、入場した瞬間に意味がなくなる。問題はそこから先をどう楽しむかで、事前の準備によって1日が大きく変わるかもしれないし、その準備が楽しかったりもするわけだ。だからこそ、薬局に就職した後で危機感をもって「認定薬剤師の資格を取る」というのは一つの選択肢として理解できる。 しかし研修で知識を得たり何かを体験したりすることはできても、作法やセンスを磨くことはできない。もしかすると学生の皆さんにはまだピンとこないかもしれないが、薬剤師が患者とやりとりする情報には、 A.正解が明確に文書化されていて、誰が答えても同じ内容になるはずの情報 B.正解が存在せず、発信者と受け手との間で内容が不確定な情報 の2つがあり、一連のコミュニケーションの中で絡み合っている(例えば、患者さんが「大丈夫です」と言っているが、大丈夫ではなさそうに見える場合、薬剤師がその言葉をAとして受け取るかBとして受け取るかという違いは大きな影響を及ぼす)。Aについて薬剤師が持っている情報は、医薬品の添付文書やインタビューフォームに書いてあるようなものが中心になるが、患者もそれなりに入手することが可能になっており、例えばSNSや生成AIで得た情報をベースに相談を受けるというケースは実際に増えている。それと同時に、不正確だが断定的な情報が急増していることにより、 C. 薬剤師にとっての正解と患者にとっての正解とが異なる信念に基づいている情報 が紛れ込むようになってきている。患者との会話でこのような情報が顕在化した時に大切なのは、知識そのものよりもむしろ科学者としての作法だ。これは神社の参拝でも科学でも同じだろうが、「作法を知っている人同士」というのは、例えば聞いたことのない情報があったとしても、話がはやい。「作法を知らない人同士」は混乱するだけでおかしなことになりがちだ。「作法を知っている人と知らない人」とでは、知っている人がその場をコントロールしやすくなる。その時に、ただ作法を振りかざすだけでは衝突してしまうので、それを相手に合わせて気持ちよく使う「センス」が大切なのだ。 2. センスとは何か? このセンスとは一体なんなのか? ラテン語までさかのぼると、「感じる能力、感覚」というような意味があり、「ものの良し悪しを感じる能力」や「五感そのもの」さらには「意味」といった広がりを持つ言葉になったようだ。日本語では「あの人はセンスがいい」と言えばなんとなくその意味は伝わるが、センスとはなんなのか、センスを良くするためにはどうするのか?といったことはなかなか言語化できない。ここでは、具体的に「白衣を個性的に着こなす」とか 「SNS映えする」とかいう意味での「センス」から考えると分かりやすいかもしれない。あるいは、「体育会系のサークルに所属して全国大会で賞を取った」というようなことで得られる「何か」も同じ性質のものなのかもしれない。それらと同じ平面の上に、患者と話す時の人間としてのセンスや、処方箋を見た時の薬剤師としてのセンス、医薬品の構造式を見た時の化学的なセンスといったものがある。これらのセンスは一朝一夕には身につけることができない。それは「意味を論理的に理解する」ということではなく、五感や行動を通じて時間をかけて自分のものにするしかない。 ピエール・ブルデューというフランスの社会学者がいて、労働者階級の生まれからエリート層の中に入って、エリート層生まれの周囲とどう闘うかというようなことを実践した人物なのだが、そのキーワードに「文化資本」というものがある。子供の音楽や絵画の好みといった感性(センス)は親の社会的な地位によって変わってくるということを実証的に示したのだが、このような感性は大人になってから変えることが難しく、しかもそれが親から子へと再生産されるということで、それを金のような目にみえる資本とは別の「文化資本」と名付けた。 大学というのは、比較的均質な集団の中で、さまざまな設備もあれば切磋琢磨する学生もいて専門家もいるという状態でセンスを磨く、あるいは身も蓋もない言い方をすれば「文化資本」を蓄積することができる、最後のステージだ。社会に出て体力も落ち、他の日常のいろいろな用事に時間を奪われた状態で自分の意志だけではなかなか身につけることができない。 3. 大学でセンスを身につけよう 筆者はこの15年間ほど、比較的多くの薬剤師と作業をしたり話をしたりする機会があったのだが、痛切に感じたのは、「薬剤師は街の科学者である」と自称する割に、大半の薬剤師は科学の作法が全く身についておらず、それを身につけている少数の薬剤師はその作法を通じて患者や仲間の薬剤師とコミュニケーションをとるセンスを欠いていることが多いということだった。多くの薬剤師は患者を「薬歴の記載項目」というフィルターを通じてしか見ない。薬歴の記載項目とは、要するに「調剤報酬の点数の算定要件」だ。だから、SNSやメディアで調剤報酬について痛いことを指摘されるたびに大声を出すような、リアクション系の薬剤師が圧倒的に多く、調剤報酬制度と関係のない自分自身の個性を明確に持ったセンス系の薬剤師は少ない。 そこで、学校でもすでに耳にタコができるほど聞かされているとは思うが、薬学生の皆さんには、有機化学でも生理学でもいいので、自分の興味を持てそうな学科、あるいはこれから20年くらいの間に重要になりそうな学科、あるいは周りに勉強がはかどりそうな環境がそろっている学科、などを自分なりに調べて、1つ選んでとことん深く勉強して周りと議論することをおすすめしたい(最初はつまらないように見えても、勉強していくうちにどんどん面白さが分かるようになってくる、ということもある。そもそも「本当につまらない学問」など1つたりとも存在するわけがないのだ)。それによって体得できたセンス(文化資本)は、社会に出てからきっと役に立つし、それを個性として発揮できる薬剤師になってもらいたい。その個性を発揮できる環境を用意して待っていることが、薬局側の責任だろう。 4. 最後に 本稿をまとめるにあたって、最初に書き始めたのは「薬剤師としての実務に化学の知識は必要か?」という話だった。筆者の母校では薬学部の研究室はなんとなく有機系・生物系・物理系と大別されており、筆者は生物系にしか関心がなく、有機系の勉強をほとんどしなかった。そのために、自分自身が薬局薬剤師として働くうえでふだん「自分が学生だった頃にこういう勉強をしたらよかっただろうな」と感じているようなことをまとめようと試みた。その途中でふと「イミダゾール環ってなんだったっけ?」と思い出し、薬学部の時に買った有機化学の本を引っ張り出してみた。イミダゾール環のところを探してみると、そこに「ここは後でまた勉強すること」という付箋紙が貼ってあった。もし、薬学生時代の自分にメッセージを送ることができるとしたら、「そこは30年後に悩む箇所だから、ちゃんと勉強しておけよ」と言いたい。 当初は、これらの分子の骨格からpKaなどの性質を通じて臨床的な応用の話を書けないかと考えていたのだが、筆者よりも読者の皆さんの方がよく勉強していらっしゃるだろうと判断して、断念した。 注1 この医師とまったく逆の事例を紹介しよう。筆者が薬学部の時に居候させてもらっていた医学部の研究室の教授室には、簡素な事務用机の上に数冊だけ本が並んでいて、その1冊は学生時代に使っていたらしくすっかり色褪せた「線形代数学」の教科書だった。この教授は、アルツハイマー病患者の脳に蓄積する神経原線維変化という病理産物がタウというタンパク質から構成されていることを発見した業績を持ち、神経病理学という分野の中では世界的にもトップランナーだった。線形代数学は、そんな専門性とはまったく関係がない分野だが、その1冊から「商売道具としての学問」ではない「すべての自然科学に一貫する学問」への変わらない信念というものを感じた。
- マツキヨが創る「白と黒のツインタワー」——第2の旗艦店『SHIBUYA SCRAMBLE FLAG』が提示するドラッグストアの近未来
SHIBUYA DOGENZAKA FLAGとブラック&ホワイトの対照的なツインタワーが完成(イメージ) マツモトキヨシの象徴的な店舗が、いよいよ次世代の姿へと変貌を遂げる。 2026年3月7日、渋谷のスクランブル交差点近くに、マツモトキヨシの新たな旗艦店「SHIBUYA SCRAMBLE FLAG」がオープンする。1995年の開店以来、渋谷のランドマークとして親しまれてきた「渋谷Part1店」が全面改装されたものだ。 1.渋谷にそびえ立つ「白と黒のツインタワー」 2023年9月にオープンした黒基調の「SHIBUYA DOGENZAKA FLAG」に対し、今回の新店舗は白を基調とした「Shibuya Alive ~Angels~」がコンセプトである。 スクランブル交差点を挟んで白と黒の対照的な店舗が並び立つ姿は、まさに渋谷の新しい景観だ。店舗内外には大規模なLEDサイネージが配置され、デジタル技術を駆使した視覚的なワクワク感を演出している。 2. 注目すべきフロア構成:ドラッグストア初の試み 特に注目したいのは、地下1Fに展開される「ダーマコスメコーナー」だ。 ドラッグストア初導入の「TAKAMI」 :これまで百貨店や専門店が主軸だったブランドが、ドラッグストアの店頭に並ぶ。 専門性の高いラインナップ :「キュレル」や「ラ ロッシュ ポゼ」に加え、同社プライベートブランドの「INJESK」や「MQURE derma×」といった、成分にこだわった「成分美容」の商品が充実している。 これは、ドラッグストアが単なる日用品供給の場ではなく、「皮膚科学(ダーマ)に基づいたカウンセリングと専門的な美容提案の場」へとシフトしている証左といえる。 3. 各フロアの役割と特徴 2階:POP UP・化粧品フロア マンスリーで展開商品が入れ替わるPOP UPスペースを設置。最新の韓国コスメなど、トレンドに敏感な層へ向けた「情報発信基地」としての役割を担う。 1階:医薬品・健康食品・医療用品・シーズン商品フロア 高さ約10mのLEDサイネージを階段に設置するなど、視覚的な誘導を強化。セルフメディケーションの入り口として、顧客が自然と店舗奥へ足を運びたくなる空間を演出している。 地下1F:スキンケア・トイレタリー・男性化粧品フロア 同社初となる「ダーマコスメコーナー」を展開。話題の成分美容商品や、メンズケアブランド「KNOWLEDGE」を揃え、専門性の高い美と健康のニーズに応える。 4.変化する「旗艦店」の役割 マツキヨココカラ&カンパニーにとって、今回の店舗は国内・海外合わせて6店舗目のフラッグシップストアとなる。 2018年の原宿表参道口店を皮切りに、香港のコーズウェイベイ店、2025年7月のGINZA FLAGと、同社は着実に「体験型・情報発信型」の店舗を増やしてきた。薬剤師や登録販売者が、単に薬を売るだけでなく、最新のトレンドや高度な美容・健康情報を提供する「情報発信のスペシャリスト」としての役割を求められていることが、この店舗設計からも見て取れる。 将来の職場としてドラッグストアを視野に入れている学生にとって、こうしたフラッグシップ店の動向は、業界の「未来の常識」を知る一助となるだろう。単なる「小売業」としての枠を超え、ライフスタイルそのものを提案する企業の姿勢が、この渋谷の地に結実している。
- 【薬師のことのは|ほうかご】有機化学って、やる意味あるの?―薬剤師になって気付いたあの時の学び―
執筆:しほ(薬剤師) 薬学生の皆さん、はじめまして。しほと申します。私は薬学部が6年制になった後に入学し、皆さんと同じように実務実習やCBT、OSCEなども受けてきました。 皆さんは日々の授業中や、学期ごとのテスト勉強をしている際、「薬剤師になってから、こんな内容使うの?これやる必要あるのかな…」と思いながら勉学に勤しまれていることはありませんか? また、一夜漬けの暗記や、テストが終わったら何も覚えてない!なんてこと…。ここでお話ししたいのは、結論、「今は忘れてしまってもいい。とにかくこなすべし!」ということです。 ここでは、国試を受けてから、そして薬剤師になってから、私が気付いた『学生時代に”あれ”をやる意味』をお話できればと思います。 今日のテーマは、多くの方が壁に直面するであろう、『有機化学』についてです。まず薬剤師になる前に、皆さんが受けるのは国試です。国試・卒試に受からなければ、薬剤師にはなれませんので、まずは、ここを突破することを考えることでしょう。 有機化学については、私は低学年の頃に履修しました。じっくり理解をして身につけることにより、何年かたっていても思い出せる科目の一つです。例えば、共鳴です。苦手な方も多いのではないでしょうか。共鳴こそ、何度も問題を解き、法則を体に染み込ませることで、何年か後、国試・卒試の勉強をするときに意外とすんなり思い出すことができます。 「どうせ忘れるのなら、国試・卒試の時に勉強すればいいや」そう思う方もいらっしゃるかもしれません。国試・卒試前には、他にも覚えなければいけないことがたくさんあります。膨大な問題量が、次から次へと降ってくるのです。直前になって、有機化学をじっくり勉強し、解く練習をする時間があるでしょうか。きっと、有機化学よりも優先して、点数がすぐ取りやすい科目の暗記に走るのではないでしょうか。 そして、「有機化学は捨てた!」と言いながら国試に挑み、結果、その一問の失点に泣く…ということに…。そんなことがあっては、在学中の講義も、テストも乗り越えてきたあの努力と時間も、非常に惜しまれます。もったいないですよね。したがって、まず国試・卒試の合格の近道のためにも、今のうちに理解しておくことが大切なのですね。 そして、薬局の薬剤師になってから、有機化学が何の役に立つのか?疑問に思いませんか。例えば、有機化学の授業で、光学異性体のことを学びますよね。S体とR体ですね。薬局で働いてみたらこんなお薬がありました。 ・ジルテック(セチリジン)と、ザイザル(レボセチリジン) ・オメプラール(オメプラゾール)と、ネキシウム(エソメプラゾール) ・アモバン(ゾピクロン)と、ルネスタ(エスゾピクロン) 何か気が付くことはありませんか? どれも成分名の初めの音に、「SやR」が付いていますね。例えば、ジルテックは、S体とR体が含まれているラセミ体です。このうちR体だけを抽出したものがザイザルです。このR体は、S体よりも薬理作用が強力であり、かつ、長時間持続します。他にも、オメプラールは、S体とR体を含んでいますが、ネキシウムは、代謝酵素CYP2C19の影響が小さいS体のみを抽出したものです。これにより、遺伝的体質による効果の個人差を少なくすることができます。このように、光学異性体に関連する薬剤が複数存在し、それぞれの特徴が異なります。先ほどの例のように、薬理作用が強力になった製剤や、効果の個人差をなくした製剤もあれば、副作用が軽減された製剤などさまざまです。処方された薬が変更になった患者さんに、「この薬は、前の薬とどう違いますか?」と聞かれた際、光学異性体について理解をしないまま、正しい説明ができるでしょうか。近年では、PPIがOTCとしても販売されるようになりましたね。病院で処方歴のあるネキシウムと、OTCのオメプラゾール配合製剤について尋ねられた場合、患者さんに分かりやすく説明し、安心・安全にお使いいただけるでしょうか。このように、現場につなげるためにも、今のうちに基礎を固めておく意味が大いにあるのです。 今回は、『学生時代に”有機化学”を学ぶ意味』をお伝えしました。きっと、学生のうちにしか経験できないことがたくさんあることと思います。6年間の学生生活を充実させながら、今やっていることが必ずいつか、将来の自分に繋がると信じて卒業なさってください。本稿が皆さんの学びの一助となれば幸いです。 プロフィール しほ:薬剤師。一児の母。薬学の専門性に加え、英語学習にも挑戦。AI時代だからこそ、自身の「生の声」で伝えることを大切にし、ポッドキャストやブログを通じて健康・育児・学習の記録を多角的・多層的に発信している。【note】 https://note.com/kusushi_kotonoha











