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  • クオール薬局と「とらほす」が連携、訪日外国人の医療アクセスを多言語で一気通貫サポート

    株式会社メディ・エンジンとクオール株式会社は、2026年4月中旬より、訪日外国人向け医療サポートプラットフォーム「とらほす」と「クオール薬局」のうち、外国人来局者が多い23店舗との連携を開始した。この取り組みにより、処方箋を持たずに来局した外国人への受診勧奨から、オンライン診療後の調剤・服薬指導に至るまでを、シームレスに支援する体制が構築される。 過去最高の訪日客数に対応する「医療のセーフティーネット」 2025年の訪日外国人数が過去最高の約4,268万人を記録する中、滞在中の体調不良への対応は喫緊の課題となっている。特に薬局の現場では、言葉の壁によって症状の聞き取りや適切な医療機関への案内が困難なケースが増加していた。 今回の連携は、こうした現場の課題を解決し、外国人患者が日本滞在中も安心して適切な医療を受けられる環境を整備することを目的としている。 オンライン診療と調剤をつなぐ強固な連携体制 メディ・エンジンが運営する「とらほす」は、24時間体制で多言語によるオンライン診療の手配を担う。英語や中国語、韓国語など複数の言語に対応し、診察までの待機時間を30分以内とすることで、旅行中の急な体調変化にも迅速に対応する。 一方、クオール薬局は処方薬の受け渡しと服薬指導の窓口となり、翻訳アプリなどを活用した多言語サポートによって、安全な薬物治療を支援する。また、提携クリニックと在庫情報を共有することで、医薬品の供給不足時にも適切な代替案を提案できる柔軟な体制を敷いている。 相談から薬の受け取りまでをスムーズに完結 同サービスは、外国人来局者が薬局を訪れてから薬を手にするまで、以下のステップで円滑に進められる。 まず、処方箋を持たずにクオール薬局を訪れた外国人に対し、薬剤師が相談内容を確認する。受診が必要と判断された場合、薬剤師は「とらほす」の概要と問い合わせ先QRコードが記載された資料を提供し、適切な受診を促す。 資料を受け取った利用者は、自身のスマートフォン等からQRコード経由で「とらほす」のサービスページにアクセスし、診療申し込みを行う。申し込み後、メールで送られてくる専用URLからオンライン診察を受診する流れだ。なお、東京都内で対面診察が必要と判断された場合には、提携クリニックへの案内も行われる。 診察が完了すると、患者の現在地や滞在エリアに近い店舗が紹介され、処方箋情報がリアルタイムで薬局へ連携される。最後に、連携先の薬局にて翻訳アプリ等を活用した多言語での服薬指導を受け、調剤された薬を受け取ることで、一連のプロセスが完了する。 両社が語る「外国人でも安心して医療を受けられる国」への展望 メディ・エンジンは、訪日外国人が言葉の壁を理由に適切な医療にたどり着けない現状を変えたいという思いが「とらほす」の出発点であると述べている。今回の連携により、薬局という日常的な医療インフラと組み合わさることで、観光施設やホテルの枠を超えてより多くの方の医療アクセスを支えられるようになるとの期待を寄せた。今後は全国の医療機関との協力関係をさらに拡大し、日本を「外国人でも安心して医療を受けられる国」にすることを目指している。 また、クオールも、薬局を訪れる外国人が増加する中で、迅速かつ適切に医療機関へつなぐ重要性を強調している。今回の「とらほす」との連携によって、言葉の壁を超えた一貫したサポートが可能になるとし、翻訳アプリの活用やクリニックとの情報共有を通じて、外国人患者が滞在中も安心して薬を受け取れる環境を整備し、さらなる利便性と安全性の向上に貢献していく決意を示した。

  • 「混ざり合う」ことで生まれる居場所。薬学生が創るユースセンターと薬育のカタチ

    クレヨン 代表 鈴木憲子 薬学部に在籍しながら、中高生の居場所づくりと「薬育」を軸に活動する任意団体「クレヨン」。2025年3月に設立されたこの団体は、代表の鈴木憲子さん(北里大学薬学部)の実体験と、薬学生としてのアイデンティティーが融合して生まれた。型にはまらない、しなやかな活動の裏側にある思いを聞いた。 ―「クレヨン」を設立した背景について教えてください。 一番のきっかけは、私自身が高校生の時に行っていた「ユースセンター」での原体験です。ユースセンターとは、学校でも家でもない、中高生のための第3の居場所のこと。勉強や役割から少しだけ離れて、ありのままの自分に戻れる自由な空間です。私が行っていた場所(「文京区青少年プラザb-lab(ビーラボ)」)は、無料で音楽スタジオを借りられたり、ゲームができたりと、10代が「ゲスト」ではなく「主役」になれる開放的な場でした。そこでスタッフ(ユースワーカー)と関わる中で、学校の先生や親のように指導する立場ではなく、一人の人間として対等に向き合ってくれる大人たちとの出会いを通じて、自身の価値観が大きく広がる経験をしました。 大学2年生の時、高校時代に行っていたb-labに、今度はユースワーカーとして戻りました。しかし、ここで薬学生特有の壁にぶつかります。ボランティアの期間が終わり、より深く運営に携わるインターンに興味を持ちましたが、薬学部の過密なカリキュラムでは、平日の昼間に関わることが条件となるインターン活動は物理的に不可能でした。 周囲の文系学生たちが自由にボランティアやインターンに励む姿を見て、「自分は勉強しかしていない」という焦りも感じていました。「ユースワークを続けたいけれど、今の仕組みでは関われない」。そんな葛藤の中、b-labの館長にも相談し、「既存の枠組みに合わせるのが難しいなら、自分の生活スタイルに合う形を自分で作ればいい」という、情熱に突き動かされた前向きな衝動で、2025年3月11日に団体を設立しました。 ―「クレヨン」という名前には、どのような願いが込められていますか? 一言でいうと「十人十色」をイメージしています。色鉛筆だと互いの色が重なりにくく、逆に絵の具だと混ざりすぎて元の色が消えてしまいますよね。 その点クレヨンは、自分自身の個性をしっかり保ちつつ、重ねることで相手の色ともちょうどよく混ざり合うことができます。「中高生が自分らしさを失わずに、それでいてバラバラでもない。互いの個性が消えるほど混ざりすぎず、ちょうどいい距離感で他者と交われる場にしたい」にしたいという願いを込めています。 ―具体的な活動内容について教えてください。 高校での出張授業の様子 現在は、「ユースワーク」と「薬育」の2つを軸に活動を展開しています。 ユースワークについては、国立・国分寺エリアで週に1回、中高生が無料で自由に過ごせる場を開いています。おしゃべりやボードゲーム、勉強など、それぞれが好きなように過ごしており、私たちスタッフも何かを押し付けるのではなく、彼らから求められた時に話し相手になるような、フラットな関わりを大切にしています。 一方の薬育については、活動を続ける中で「自分にしかできないアイデンティティー」を模索した結果、薬学部での学びに行き着きました。大分県で薬局薬剤師として薬育を実践されている「NPO法人日本薬育研究会」代表の小路晃平さんの活動を新聞で知り、連絡を取ってオンラインで相談させていただいたことが始まりです。現在は資料提供などの協力をいただきながら、学校での出張授業や、地域の公共施設と連携したイベントを行っています。 ―子供に接する際に大切にしている「距離感」とは? 最も大切にしているのは、こちらから何かを「押し付けない」ことです。ユースセンターには、学校になかなか行けていない子もいれば、進学校でプレッシャーを感じている子も来ますが、私たちは特定のレッテルを貼りません。話し相手になってほしいと言われれば全力で話し、一人でいたい子がいればそっと見守る。付かず離れずの距離感で、彼らが「主役」でいられる空間を維持することを心がけています。私たちが目指すのは、特定の悩みを持つ子だけの支援場所ではなく、どんな子でもふらっと来られる日常の延長線上にある場です。いわゆる「普通」とされる子も、悩みを抱える子も、境目なくみんなが自然に混ざり合える場でありたいと考えています。 ―薬育では、どのような工夫をしていますか? 地域連携イベント「クラフトコーラを作ろう!」を開催 あえて薬育という言葉を前面に出さないように工夫しています。例えば、地域の施設と連携したイベントでは「クラフトコーラを作ろう」という企画を行いました。実はクラフトコーラの材料となるスパイスの多くは、漢方薬の原料にもなる生薬なんです。クラフトコーラを煮出す工程は、漢方薬を煎じる過程にとても似ています。「コーラを飲んでみたい」という好奇心で来た子が、作業を通じて「これって薬の原料なんだ」「漢方って意外と身近なんだ」と、自然に薬への興味を持つ。そんな「いつの間にか学んでいた」という、学びの入り口の設計を大切にしています。 ―運営面で意識していることは? 現在はさまざまな学部の大学生と社会人が入り混じる7名体制です。多様な視点を持つメンバーが集まっているからこそ、中高生に対して多角的な関わりができることがクレヨンの強みです。 私たちは中高生に「やってみたいことをやってみよう」と伝えていますが、運営メンバーに対しても同様に「やりたいことを形にできる」環境でありたいと考えています。実際に、スタッフの「駄菓子屋をやりたい」という声をきっかけにイベントを開催しました。その際も、できる限り地域と関わりたいという思いから、地元のカフェとコラボレーションを行いました。 こうした積み重ねを通じて地域の方々と交流し、確かな信頼関係を築いていきたいと考えています。 スタッフの声をきっかけに開催した駄菓子屋イベント ―学業や実習と活動を両立させる、モチベーションの秘訣は? 今この瞬間にしか得られない体験という感覚が非常に強いですね。薬学部の勉強は確かにハードですが、あえてクレヨンの枠を超えた活動にも積極的に参加しています。例えば春休みを利用して、小学校の特別支援学級でボランティアをしたり、地域のサッカーコーチをしたりと、現場に足を運ぶことを大切にしています。 かつてユースセンターに通う前の高校生の頃の私は、無意識のうちに「不登校」や「障がい」という言葉に対して偏見を持っていたかもしれません。しかし、現場で一人ひとりの子供と向き合うと、そんな枠組みには何の意味もないことに気づかされます。こうした実体験が、机の上での勉強以上に、私を突き動かすエネルギーになっています。 ―任意団体として運営を継続していくうえでの苦労や工夫は? 拠点の確保と周知が最初の高いハードルでした。最初は知り合いの紹介で国立市のつてをたどり、1カ月という短期間で立ち上げに漕ぎ着けました。公民館の協力で市内の中学校に1,500枚のチラシを配ったり、こども食堂の公式LINEで情報を流してもらったりと、地道な広報活動を続けています。 最近では、午前中にフリースクールを行っている場所の空き時間を貸していただくなど、地域の方々の理解を得ながら場所をつないでいます。 ―新しく挑戦したいことはありますか? 今取り組んでいる「ユースワーク」と「薬育」の融合を、さらに深めていきたいです。薬剤師として社会に出たとき、病院や薬局では本当に多様な背景を持つ方々と出会います。これまでの経験は、将来、薬剤師として患者さんの背景に寄り添うためのかけがえのない財産になると信じています。将来的には、地域の薬局が処方箋の有無にかかわらず、学校帰りの子供がふらっと立ち寄って悩み相談や宿題ができるような、ユースセンターの役割も担える場所になれば――。そんな新しい薬剤師のカタチを模索していきたいです。 ―薬学生にメッセージをお願いします。 薬学部の勉強は確かに大変で、私も最初は「勉強しかしていない自分」に焦りを感じていました。でも、「まずはやってみよう」という思いを大切に一歩踏み出したことで、講義室では出会えない多様な価値観に触れることができました。薬剤師として将来、多くの患者さんと向き合うとき、学生時代に多様な経験をしたことは、必ず皆さんの強みになります。難しく考えすぎず、今しかできない経験を楽しみながら、小さな一歩を踏み出してほしいと思います。 プロフィール  鈴木憲子(すずき・のりこ) 2004年生まれ。北里大学薬学部4年。大学2年生時、文京区青少年プラザb-labにて8カ月間活動し、「ユースワーク」について学ぶ。その経験をもとに、ユースワークを軸とした任意団体「クレヨン」を設立し、代表に就任。現在は、薬学の知識を生かしながら、中高生の居場所づくりに取り組んでいる。また、一般社団法人日本薬学生連盟2026年度副会長外務理事を務める。趣味はバスケットボール。中学・高校・大学と一貫して部活に励み、中学では区選抜に選出。大学では医療系学生の関東大会において春秋連覇を達成した。 Instagram: crayon_youthcenter

  • 【横浜薬科大学】大類洋特別栄誉教授が創製した新機序の抗HIV薬「イドビンソ®」が日本で発売

    2026年4月15日、横浜薬科大学特別栄誉教授の大類洋氏が分子設計・合成した化合物を基盤とする新たな抗HIV薬「イドビンソ®(一般名:イスラトラビル)」が、世界に先駆けて日本国内で発売された。 大類氏 産学官連携による結実と社会実装 本剤の開発は、大類氏による同大学での基礎研究に端を発する。大類氏が設計した化合物は、ヤマサ醤油株式会社および国立国際医療研究センター所長の満屋弘明氏による生物学的評価を経て、MSD株式会社による臨床試験へと引き継がれた。大学発の独創的な分子設計が、数十年の歳月を経て社会実装に至った点は、日本の創薬研究における極めて重要な成果といえる。 従来の抗HIV薬の課題 HIVは、自身のRNAをDNAへと作り変える「逆転写」というプロセスを経て増殖する。従来の核酸系逆転写酵素阻害薬は、このDNA合成の過程で「偽の材料」として取り込まれ、DNAの伸長をその場で停止させる仕組みを持っていた。しかし、ウイルスが変異すると、薬が取り込まれにくくなったり、作用をすり抜けたりする場合があり、十分な治療効果が得られない症例が長年の課題となっていた。 独自メカニズム「二段階の阻止」 イドビンソ®の最大の特徴は、従来の薬剤にはない二つの作用点を同時に持つことにある。 ① トランスロケーション(移動)の阻害 HIVがDNAを合成する際、逆転写酵素は材料を一つ取り込むごとに一歩ずつ前進するが、本剤はこの「前進する動き(トランスロケーション)」そのものを物理的にブロックし、DNAのコピーがそれ以上進まないように強く抑制する。 ② 遅延型チェインターミネーション(停止) 万が一、一段階目のブロックをすり抜けてDNAの伸長が進んでしまった場合でも、本剤は「少し先」の段階で合成を強制終了させる。この「時間差での停止」により、変異ウイルスによるすり抜けを二段構えで防ぐことが可能となった。 逆転写酵素の移動(トランスロケーション) HIVがDNAを作る際、逆転写酵素という酵素は、材料を1つ取り込むごとに少しずつ前に進みながらコピーを進めていく。この「一歩ずつ前に進む動き」をトランスロケーションと呼ぶ。 遅延型のチェインターミネーション 通常の薬は、DNAに取り込まれた瞬間にコピーを止めるが、本薬はすぐには止めず、少し進んだ後でコピーを止める特徴がある。このように「少し進んでから止まる」仕組みを、遅延型のチェインターミネーションと呼ぶ。 新しい治療薬がもたらす意義 本剤の登場は、医療現場に多大なメリットをもたらすと期待されている。まず、複数の作用点を持つことから、薬が効かない変異ウイルスが生まれにくいという耐性抑制の効果がある。また、生体内での安定性が高く効果が長く持続するため、将来的には服用回数の削減や投与量の低減、さらには副作用の軽減に寄与する可能性がある。既存の薬で効果が不十分だった患者にとっても、新たな治療選択肢として大きな希望となる。大類氏の独創的な発想が、産学官の連携を経て、HIV治療の未来を切り開く実用薬として結実した意義は極めて大きい。 大類 洋(おおるい ひろし) 横浜薬科大学 特別栄誉教授・理事。生物有機化学・分析化学を専門とし、生体内で機能する分子の設計・合成研究において世界的な業績を有する。1942年東京都生まれ。東京大学農学部農芸化学科卒業後、理化学研究所を経て東北大学教授、同大学院生命科学研究科教授を歴任。2005年に東北大学名誉教授、2006年より横浜薬科大学教授、2021年より特別栄誉教授、2025年より理事。 日本学士院賞(2010年)をはじめ、日本農学賞・読売農学賞、日本分析化学会学会賞などを受賞。2015年瑞宝中綬章受章。

  • 【岡山大学病院】寄付講座「遠隔地域薬学講座」を開設

    中山間地域の薬剤師不足解消と地域医療DXの推進へ 岡山大学は2026年4月1日、岡山大学病院薬剤部に寄付講座「遠隔地域薬学講座」を開設した。同講座は、岡山県真庭市の医療法人美甘会 勝山病院からの寄付により設置されたもので、専任教員として助教の菊岡亮氏、兼務教員として教授の座間味義人氏が着任。中山間地域における深刻な薬剤師不足の解消と、デジタル技術を活用した医療改革(DX)の推進を主眼としている。 県北・真庭地域から始まる医療革新 同講座が主なフィールドとする岡山県真庭市は、岡山県北部に位置し、鳥取県と境を接する県内最大の面積を持つ自治体である。豊かな自然に恵まれる一方で、典型的な中山間地域として人口減少と高齢化が進行しており、医療資源の確保が大きな課題となっている。 現在、こうした地域では医師や看護師のみならず、薬剤師の不足や偏在も深刻化している。地域包括ケアや在宅医療が推進される中で、薬剤師にはこれまで以上に質の高い薬物療法支援と、多職種連携における役割の拡大が求められている。 同講座の開設にあたり、座間味氏と菊岡氏は、中山間地域が抱えるこうした現実に触れつつ、「大学病院の教育・研究機能と地域医療の現場を結びつけることで、遠隔医療やDXを活用した新しい薬剤師の役割を示していきたい」とその決意を述べている。これは、高齢社会における課題解決を掲げてきた同院の取り組みをさらに発展させる試みである。 新たな地域薬学モデルの構築 同講座では、真庭地域を実証の場とし、岡山大学病院薬剤部が培ってきた高度な臨床薬学の専門性とDXの実績を融合させる。具体的には、以下の取り組みを通じて新たな地域薬学モデルの構築を目指す。 ・遠隔医療やオンライン服薬指導、医師から薬剤師へのタスクシフト(業務移管)の推進。 ・病棟・外来・在宅を一体とした薬剤師実務研修プログラムを構築し、質の高い薬物療法を実践できる人材を育成。 ・ ポリファーマシー(多剤併用)対策やセルフメディケーション支援など、エビデンスに基づく住民支援を通じた健康増進。 持続可能な医療の実現に向けて 設置期間は2028年3月31日までの2年間を予定している。両氏は、「地域の医療機関や住民の皆さまと連携しながら、持続可能な地域医療の実現に貢献していきたい」と展望を語る。 岡山大学は同講座を通じて、真庭地域をはじめとする中山間地域の医療の質を向上させるだけでなく、日本全国の地方自治体が直面している課題を解決するための先駆的なロールモデルを提示していく。 講座の概要 名称 :遠隔地域薬学講座 担当教員 : (専任)菊岡 亮 助教(特任) (兼務)座間味 義人 教授 寄付者 :医療法人美甘会 勝山病院(岡山県真庭市) 設置期間 :2026年4月1日~2028年3月31日

  • スギ薬局が描く薬剤師の新たなスタンダードとは ~ スギホールディングス株式会社 杉浦克典社長インタビュー

    超高齢社会を迎え、医療のあり方が劇的な転換期にある今、地域の健康インフラであるドラッグストアの役割が問い直されています。「地域住民の生涯にわたるヘルスケアの伴走者でありたい」と語るのは、スギホールディングス株式会社の杉浦克典社長です。ここでは、日本の医療の未来を切り開く薬剤師の可能性と、次代を担う薬学生へ託す熱い思いを伺いました。 NEXT VISION 2026 スギホールディングス株式会社 代表取締役社長 杉浦克典 生涯のヘルスケアを支える「地域拠点」へ ――「未来のドラッグストア像」をどう考えていますか 私たちが目指すドラッグストアの未来像というのは、今世の中で持たれている「物品の販売」や「処方箋調剤」といったイメージを、もっと幅広くとらえ直したものになります。具体的には、地域に住んでおられる方々のヘルスケアを生涯にわたってサポートする「拠点」へと変えていきたいと考えています。 この背景にあるのは、人生100年時代、少子高齢化、そして医療費の高騰という社会の変化です。何かあった時に病院に行けば済むというこれまでの医療の仕組みを維持していくことが難しくなっている。今後はその傾向がさらに加速していくでしょう。そうした中で地域社会に何が求められるかを考えますと、一つは「病気にならない体づくり」です。健康維持、未病、あるいは予防といった観点から、ドラッグストアで薬をもらわなくて済むような状態をどう作っていくか。ここに非常に強い関心を持っています。 そしてもう一つ、私が強く確信している役割は、高齢化が進み医療費が増大し続ける社会において、ドラッグストアという拠点が介護や看護、さらには終末期といった領域をいかに支えていくかです。薬剤師という専門職が地域の医療機関と密接に連携し、一人ひとりの状態に最適かつ効率的なケアを提供していく。そうすることで、社会全体としての医療コストを抑えながらも、質の高いケアを継続できる持続可能な仕組みが構築できると考えています。 ――経営理念として最も大切にしていることは何ですか 「一人のお客様への親切」と「社員の幸せ」です。 一つ目は「真心を込めた親切な応対」です。50年前に二人の薬剤師が16坪の薬局を開いた時、お客様一人ひとりの話を懸命に聞き、「この方に何ができるか」を必死に考えていました。この原点こそが私たちのDNAです。 二つ目は「一人ひとりに向き合う」姿勢です。理念には「社員、お客様、あらゆる人々の幸せを願う」とありますが、意図的に「社員」を先に置いています。健康を支える役割を担う社員自身が幸せでなければ、お客様に真の親切を提供することはできないからです。まず社員が幸せであり、そこから幸せの連鎖が広がっていく。これこそが私の経営の核心です。 ――スギ薬局で働く魅力は? 最大の魅力は、薬剤師としての専門性を追求し、活躍のフィールドを自ら広げ続けられる環境があることです。薬剤師の仕事は調剤室の中だけで完結するものではありません。当社には管理栄養士や訪問看護師など多様なプロが在籍しており、それらと連携して専門性を掛け合わせることで、お客様への提供価値を最大化しています。 具体的な魅力の一つが、先駆的に取り組んできた「在宅医療」です。医師と共に患者様宅を訪問し、生活環境や家族背景まで視野に入れた服薬指導を行います。暮らしに深く入り込み伴走する経験は、窓口だけでは得られない大きなやりがいをもたらします。 ――「薬剤師」の役割は、今後どのように進化していくとお考えですか これからの薬剤師は、単なる「薬のプロフェッショナル」という枠を超え、地域の人々のヘルスケアに生涯を通じて寄り添う「伴走者」へと進化していくべきだと考えています。 今の日本では、体調が悪くなった時に真っ先に思い浮かぶのは医師、次に看護師、という順番になってしまっているのが現状です。私はこの順序を「何かあれば、まずはあの薬剤師さんに相談しよう」という形に変えていきたい。これは創業以来の私たちの願いでもあります。アメリカでは薬剤師は医師と並んで非常に信頼され、尊敬される職種です。日本でも地域の人々から真に頼られる存在を目指すべきです。 「相手を思う心」と「学び続ける向上心」が、未来を切り開く ――人材採用で重視しているポイントは? 重視するポイントは二つあります。まず一つは、相手のことを思って寄り添えることです。私たちが目指すヘルスケアの拠点には、マニュアル通りの対応ではなく、目の前のお客様が何を求めているのかを自ら考え、動くことが欠かせません。こうした思いを持ち、実際に行動ができる「寄り添う力」を大切にしています。専門的な知識も、この「誰かのために」という思いがあって初めて、生きた知恵となるからです。 二つ目は、学び続ける姿勢です。この仕事には終わりがありません。大学での学びをベースに、社会に出てからも新しい技術や知識を貪欲に吸収し、「どうしたら目の前の人を幸せにできるか」と知恵を絞って考え続ける向上心が不可欠です。 「薬剤師は調剤室の中にいるもの」という既存の概念にとらわれず、自らの可能性を広げたいという意欲のある学生さんと、薬剤師の未来を進化させていけることを、心から楽しみにしています。 ★杉浦社長にプライベートについてお聞きしました★ ――座右の銘、または最も大切にしている言葉は何ですか? 「今この瞬間を一生懸命に生きる」です。店舗数が増え課題も多様化する中、その時々に全力で向き合わないと大事なことを見失ってしまいます。仕事だけでなく家族や趣味の時間も、その瞬間を大切にしたいですね。 ――ご自身の人生で、最も大きな転機になった出来事は何ですか? 2021年の社長就任です。売上6000億円でバトンを受け、2026年2月末には1兆円を超えていく見込みです。この急激な成長と変化の渦中に身を置き、人とのご縁が加速した瞬間が最大のターニングポイントでした。 ――若手社員や薬学生に勧めたい本や映画などがあれば教えてください。 映画『国宝』と『鬼滅の刃』です。『国宝』は芸に捧げる情熱と成長の葛藤に引き込まれました。『鬼滅』は純粋に世界観が好きで、感情を激しく揺さぶられ、見終えた後にぐったりするほど没頭できる素晴らしい経験でした。 ――大切にしている「時間」の使い方について教えてください。 最近は「睡眠の質」を最も大切にしています。かつては寝る間を惜しんで活動していましたが、今は翌日のパフォーマンスのために努力して6時間は寝る。無駄な時間を削り、質の高い時間を確保するよう心掛けています。 ――社長が個人的におススメの御社のオリジナル商品(PB)を教えてください。 「Prieclat(プリエクラ)」です。私自身、洗顔、化粧水、美容液、乳液、さらにシワ改善のスペシャルケアまでセットで愛用しています。出張にも持参するほど惚れ込んでおり、自信を持ってお勧めします。 ■ 【企業情報】 スギホールディングス株式会社 本社所在地:愛知県大府市横根町新江62番地の1 設立:1982年 店舗数:2,317店舗(スギ薬局グループ 2026年1月末現在) 従業員数:11,820名(2025年2月末現在) 売上高:8,780億21百万円(2025年2月期) スギ薬局 採用・求人サイト  https://www.sugi-recruit.jp/

  • ツルハのDNAは「現場主義」と「挑戦する文化」~株式会社ツルハ 八幡政浩社長インタビュー

    ウエルシアグループとツルハホールディングスの統合によりドラッグストアチェーン企業業界ナンバーワングループが誕生したことは大きな話題となりました。ツルハグループをけん引するドラッグストアとしてさらに「成長」と「安定」を両立し、巨大チェーンを率いて走りつづけてきた株式会社ツルハの八幡政浩社長に、事業にかける熱意、求める人物像、そして若手が活躍できる環境についてお聞きしました。 NEXT VISION 2026 株式会社ツルハ 代表取締役社長 八幡政浩 地域の健康インフラとして日常に豊かさと余裕を届ける ――ツルハが目指す「未来のドラッグストア像」について教えてください 私たちツルハが目指すのは、お客様の人生に深く関わり、日々の「美」と「健康」を総合的に支え続ける「ライフストア」としての存在です。薬や日用品を提供するだけでなく、地域の方が気軽に健康相談でき、必要なサービスにつなげられる“生活の起点”となることを重視しています。 そのなかでも特に、薬剤師は健康を支える上で重要な役割を担っている職種の一つになります。人口構造が大きく変化する中、ドラッグストア、そして薬剤師には、一次予防から在宅医療、介護領域、地域連携まで一気通貫で支える存在になることが求められています。ツルハは調剤薬局の拡大、セルフケア支援・オンライン活用などの機能強化を通じて、“生活と医療の隙間を埋める存在”へと進化していきます。 「街にツルハがある安心感」を、これからも日本のあらゆる地域で実現していきます。 ――経営において、最も大切にされている理念や価値観は何ですか 「お客様の生活に豊かさと余裕を提供する」という理念です。 当社の薬剤師においても同様で、医薬品の提供だけでなく、健康相談や予防のサポートなど、生活の質に直結する場面でお客様のお役に立てること。その積み重ねこそが、理念の実現につながります。 また、その役割を担うのは現場で活躍する社員一人ひとりです。それぞれが専門性を磨き、誇りを持って働ける環境づくりに力を注ぐことで、より質の高いサービスの提供につながります。 これからも、地域の健康インフラとして、お客様の暮らしを支えながら、日常に「豊かさと余裕」を届けられる企業であり続けます。 ――貴社で働く魅力、ツルハの"DNA"とは? ツルハのDNAは「現場主義」と「挑戦する文化」です。現場の社員の気づきや提案が制度や仕組に反映され、会社のスタンダードになっていく。そして、組織の誰もが現状維持ではなく、新しい試みに挑戦できる文化がある。これは急成長した今でも変わらないツルハの原点です。 また薬剤師のキャリアの幅が広いことも魅力です。調剤薬局、OTC業務、在宅医療、店舗運営、教育、採用、専門薬剤師、管理職など、複合的に成長できる環境があります。 薬剤師は医療と生活の接点を担う“新しい専門職”へ ――「薬剤師」の役割は、今後どのように進化していくとお考えですか 薬剤師の役割は、「調剤室の外に広がっていく」と同時に地域の中でより重要な存在になっていくと考えています。医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、薬剤師には治療だけでなく予防や健康維持にまで踏み込んだ支援が求められています。 ドラッグストアは、お客様が気軽に立ち寄れる生活に密着した場所です。その強みを生かし、日常の“ちょっとした不調”を支える存在へと進化していきます。また、オンライン服薬指導やデータ活用が進む中で、薬剤師は事務的な作業から解放され、より専門性を発揮し、お客様一人ひとりに向き合う時間が増えていくと考えています。 さらに、地域医療との連携も一段と重要になります。医療機関や行政と協力しながら、在宅医療の支援や健康イベントの開催など、地域全体の健康づくりに取り組むハブとしての役割も期待しています。 これからの薬剤師は、医療と生活の接点を担う“新しい専門職”です。お客様に最も近い医療人として、日常に安心と豊かさを届けられる存在へと進化していきます。それが、ツルハが描く薬剤師の未来像です。 ――人材採用で「これは絶対に重視している」というポイントは何ですか 私は 「人に向き合う力」 を圧倒的に重視しています。 ツルハは“人”の健康と生活を支える会社です。どれだけ知識があっても、どれだけ優秀でも、目の前のお客様の気持ちを受け止められなければ、この仕事の本当の価値は発揮できません。 私たちが求めているのは、「困っている人を見つけたら自然と声をかけられる人」「相手の話を丁寧に聞き、寄り添おうとする姿勢を持てる人」「地域の方々に必要とされることに喜びを感じられる人」です。こうした“人としての温かさ”や“真剣に向き合おうとする姿勢”を重視します。ツルハは地域に根ざした企業であり、お客様との距離も近いです。だからこそ、「この人に相談したい」「この人がいてくれて良かった」と思っていただけるかどうかが、何よりも重要です。 そしてもうひとつ大切なのは、成長したいという意欲です。ドラッグストアの役割は、調剤から在宅、健康サポートまで大きく広がっています。変化が大きい時代だからこそ、挑戦する姿勢を持っている人が、これからのツルハを支えてくれると信じています。 学力よりも、心の強さ、あたたかさ、そして前へ進み続ける気持ち。それが、ツルハが何より大切にしている採用基準です。 ★八幡社長にプライベートについてお聞きしました★ ――座右の銘、または最も大切にしている言葉は何ですか? 「知・好・楽」…仕事で知識持っていることは素晴らしいことだが、好きだと思って仕事をしている人には敵わない。好きだと思って仕事をしている人でも楽しいと思って仕事をしている人には敵わない。(中国の論語に由来する) 仕事との向き合い方を考えさせられた言葉です。 ――ご自身の人生で、最も大きな転機になった出来事は何ですか? 東日本大震災です。 当時宮城県、福島県の店舗運営部長でした。大地震、津波や原発問題などを経験し、物資の滞る中で従業員と共に地域住民の皆さんのために店舗を開店させた経験から、ドラッグストアが地域になくてはならない生活インフラであり、ツルハが在ること自体が「お客様の生活に豊かさと余裕を提供する」という経営理念を具現化できることを改めて理解しました。 ――若手社員や薬学生に勧めたい本や映画などがあれば教えてください。 ハンス・ロスリング他 著『FACTFULNESS』 バイアスや思い込みは誰にでもありますが、本当の事実は何か、行動に移す際、間違った方向に行かぬよう事実・現実・本質を理解することの重要性を知ることが出来る一冊です。 ――大切にしている「時間」の使い方について教えてください。 ランニングです。年に数回マラソン大会に出場しています。自分自身の力だけでどこまで出来るかが判り、また完走することで達成感を味わう事ができます。 ――社長が個人的におススメの御社のオリジナル商品(PB)を教えてください。 「サンファイバー」を体調管理のため愛用しています。「霊芝」も毎日飲んでいます。 ■ 【企業情報】 株式会社ツルハ 本社所在地:北海道札幌市東区北24条東20丁目1-21 設立:1975年 店舗数:1,503店舗(2026年2月時点) 従業員数:5,424名(正社員数 2026年2月時点) 株式会社ツルハホールディングス 従業員数:28,337名(正社員数 2026年2月時点) 売上高:2兆3,124億円(2026年2月時点) ツルハドラッグリクルートサイト  https://tsuruha-recruit.jp/

  • 【同窓生集まれ!】愛知学院大学~先輩から後輩へのメッセージのコピー

    一歩先に社会に出た先輩たちが、就職活動のポイントや仕事への向き合い方などを伝える「誌上OB訪問」のコーナーです。 今回は愛知学院大学薬学部卒業生の皆さんです。 加藤優那さん 2022年卒業 クオール薬局 薬局事業第六本部 私は、僻地医療に興味があり、僻地にも店舗があることや研修制度・福利厚生が充実している点に魅力を感じ、クオール薬局に入社を決めました。そして昨年、念願だった僻地医療に携われる店舗へ異動となりました。現在は在宅医療や施設への往診に同行し、患者さま一人ひとりにとって、より良い治療につながるよう、医師やケアマネと連携をとっています。また、地域住民の方々にとって身近な薬局になれるよう、地域のイベントにも積極的に参加しています。今後は、地域住民の方々が真っ先に相談したいと思える薬剤師を目指し、地域医療に貢献していきたいです。クオール薬局は患者さまだけでなく、社員にも寄り添ってくれる会社です。クオール薬局の魅力や雰囲気をもっとお伝えできると思いますので、ぜひ採用イベントや店舗見学に参加してみてください。 【愛知学院大学のここが好き!】 医療系学部が同じキャンパスに集まっているため、学部を超えて多くの友人と出会えるところ。 渥美綾菜さん 2020年卒業 マツモトキヨシ 関東エリア(株式会社マツキヨココカラ&カンパニー) 私は現在、「チャレンジ薬局長」として、地域の健康を支えています。 「チャレンジ薬局長」制度は、女性活躍推進の一環として、トレーナー薬局長からマンツーマンで店舗運営や後輩育成など薬局長に必要なスキルや知識を教えてもらう制度です。座学研修に加え、トレーナー薬局長による実践的なOJTを通じて、薬局長に必要なスキルをしっかりと磨くことができます。店舗の管理者として、円滑な運営のために試行錯誤することもありますが、毎日が非常に充実しています。今後は薬局長として一人前に成長し、これまで先輩方に教わったことを次世代へ繋いでいけるよう、将来は、後輩育成にも力を注ぎたいと考えています。 当社は研修や制度が充実しており、一人ひとりに合わせた成長をサポートしてくれる環境です。少しでも興味を持たれた方は、ぜひイベントにお越しください! 【学生時代の思い出!】 研究室のみんなとの日常です。勉強は大変でしたが研究室の仲間は卒業後もご飯などに行くくらい仲良しです。 小林千乃さん 2024年卒 スギ薬局 毛受店 私は、医療に特化しているドラッグストアでトータルヘルス戦略を掲げているスギ薬局なら、「どんな健康状態の方でも頼りになれる薬剤師」として活躍できると考えました。また、社員の雰囲気や挑戦できる制度が整っている風通しのよさもスギ薬局に入社した決め手です。 普段から患者様一人ひとりに合わせた対応を心がけています。入社後は在宅訪問の経験も積み、患者様の生活環境を踏まえた関わりを大切にしています。患者様に感謝の言葉をいただけたり名前を覚えてくださる場面もありとてもやりがいを感じてます。今後も様々な経験を積み、地域に寄り添った薬剤師になりたいと考えています。 スギ薬局には、語りきれないほど素敵な制度、魅力があります!スギ薬局のことや業界のこれからについて知れる、交流できるイベントをたくさんご用意しますので是非お越しください! 【愛知学院大学のここが好き!】 どんな時も寄り添ってくれる仲間と、悩んでいる時にアドバイスをくださる先生達がいることです! > 愛知学院大学

  • 千葉大学とトリプルアイズが包括連携協定を締結 ― AI教育と地域DXの推進を加速

    千葉大学と株式会社トリプルアイズは、AI教育および地域社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を目的とした包括連携協定を締結した。協定により、千葉大学はトリプルアイズが保有する高度なAIテクノロジーと実装ノウハウを導入し、デザイン・情報・AIを横断した実践的な教育体制を構築することを目指す。 連携の経緯とねらい 両者の連携は、2025年10月から開始された「ASCENT-6E(アセント・シックスイー)」プログラムにおける中高生向けの教育支援に端を発する。そこでの実績と、2026年1月に同社からなされた包括連携の提案を受け、教育・研究・人材育成の各分野で一層の協力関係を構築する運びとなった。 2026年度からは、生成AI時代に対応した普遍教育の新科目として「AI共創とデジタルデザイン基礎演習」を開講し、産学連携による高度なデジタル人材の育成を本格化させる。 新設科目の概要 講義は、デザイン思考によるUI/UXの設計から、生成AIを活用したアプリ実装までを網羅する全15回の演習形式で行われる。 対象学生: 1年生〜4年生(全学部対象) 開講期間: 2026年度 前期第1ターム(毎週金曜日 4限・5限) 講義の計画と担当講師 期間 担当講師 講義内容 第1回〜第8回 近藤 祐爾 氏(トリプルアイズ DXソリューション開発部副部長) ビジュアル表現とUI/UX演習:タイポグラフィ、色彩、レイアウト手法、プロトタイピング演習 第9回〜第15回 片渕 博哉 氏(トリプルアイズ 代表取締役CEO) AI実装演習:生成AIを用いたコード作成、ハルシネーション対策、デバッグ、アプリ実装 講義の4つの目標 デザイン思考の実践: 社会課題の解決策をデジタルプロダクトとして具現化する。 AI活用と制御: 生成AIの特性(ハルシネーション等)を理解し、プロンプトスキルによって適切に制御する。 論理的デバッグ能力: AIが生成したコードの誤りを発見・修正し、プログラミングの本質を学ぶ。 アジャイル開発の体得: 設計と実装のサイクルを回し、独自のアプリを完成させる。

  • クオールとローソン、協業50店舗を達成――「薬局×コンビニ」が地域インフラの次なる基準へ

    クオールホールディングス株式会社と株式会社ローソンは、2026年4月13日、神奈川県大和市に「ローソンクオール中央林間二丁目店」をオープンした。この出店により、両社が推進してきた協業店舗は全国で節目となる50店舗に到達した。2010年の1号店誕生から16年、生活利便性と医療機能を融合させた独自のモデルが、全国的なネットワークとして確固たる存在感を示すこととなった。 16年の歩みが結実した「地域ヘルスケア拠点」 コンビニの中には薬局も併設され、5月1日に開局予定                    ※写真はナチュラルローソンクオール薬局城山トラストタワー店 今回の50店舗達成は、昨年創業50周年を迎えたローソンと、クオールが長年築き上げてきた信頼関係の成果といえる。 両社の協業は、2010年にオープンした「ナチュラルローソンクオール薬局城山トラストタワー店」から始まった。当初はビジネスパーソンの利便性向上に主眼を置いていたが、現在ではその役割を大きく広げている。処方箋調剤を待つ間に日用品を買い揃える、あるいは買い物ついでに健康相談を行うといったシームレスな体験は、忙しい就業者から高齢者まで、幅広い層の生活スタイルに合致した。 単なる「コンビニに薬局が併設されている」状態を超え、「地域医療を支える薬局」と「生活インフラとしてのコンビニ」が一体化したヘルスケア拠点として社会に定着したことが、今回の節目につながっている。 協業モデルの進化―2026年度以降の展望 50店舗到達を「通過点」とし、両社は今後さらなるステージへと進む構えだ。2026年度以降は、蓄積されたノウハウとネットワークを最大限に活用し、四つの柱を軸とした取り組みを強化していく。 まず、より身近な健康支援の拡充として、健康相談や服薬フォローの体制を一層強化する。また、高齢化社会への対応として、在宅医療や地域支援機能の充実を図る方針だ。さらに、デジタル技術の活用により、処方箋送信の円滑化や待ち時間の短縮といった利便性の向上を推進する。加えて、災害時や緊急時の拠点機能を高めることで、地域の安全を守る役割を担っていく。 新たな価値創造への挑戦 「ローソンクオール中央林間二丁目店」のオープン前日には、ローソンのキャラクターである「ポンタ」も駆けつけ、両社による華やかなテープカットが執り行われた。同店内の薬局は5月1日の開局を予定しており、地域の新たな健康の守り手としての期待がかかる。 クオールとローソンは、これからも「薬局×コンビニ」という先駆的モデルを深化させ、変化し続ける社会課題に応えながら、地域の生活に新たな価値を提供し続けるだろう。

  • 医薬品流通の最前線を知る――。薬学生実務実習で見える「卸薬剤師」の真価―ケーエスケーの取り組み

    実習の様子(ケーエスケー提供) 「後世に良い薬剤師を残したい。その一助になればと、積極的に支援することを会社として決めた」。そう語るのは、株式会社ケーエスケーの執行役員であり、薬事統括部長を務める杉本豊志氏だ。同社は、薬学教育が6年制へと移行し実務実習がスタートした2010年、医薬品卸としてどこよりも先駆けて学生の受け入れを開始した。あれから15年余り。同社の取り組みは、今や近畿圏の薬学教育における「不可欠なインフラ」となっている。 「オール薬剤師」で学生を支えるという決断 実務実習の幕開けは、文部科学省の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」に、「流通機構に関わる人々の仕事を学び、薬剤師業務と関連付けて説明できること」という項目が盛り込まれたことがきっかけだった。当時、現場を指揮していたメンバーの思いは極めて純粋だ。「後生の医療を担う一員として、医薬品卸の薬剤師も、オール薬剤師の立場から何か支援できないか」。この信念に基づき、同社は日本薬剤師会や文部科学省、近畿圏の14大学、府県薬剤師会へ丁寧な打診を行い、独自のカリキュラムを構築していった。結果、初年度の2010年には1,205人という膨大な数の学生を受け入れ、業界に大きな衝撃を与えた。当時は医薬分業がより良い形で進展することを切望していた時期。同社は、社会貢献に加え、得意先である薬局との信頼を深めるという二面性の目的を持って取り組んできたという。 卸勤務の薬剤師は「情報の質を支える」教育者 現在、同社が提供する1日完結の実習プログラムは、薬局内では完結しにくい「流通の深部」と、そこで働く薬剤師の多角的な職能を学ぶ場だ。 【主な学習プログラム】 ・災害時医療:地震や災害時、いかにして生命線を守るか ・医療安全とトレーサビリティ:偽造医薬品の混入を防ぐ追跡管理(回収を含む)の仕組み ・麻薬の譲渡譲受:卸の現場における厳格な記録と管理の実際 ・GDP(適正流通ガイドライン):国際基準に基づく厳格な品質管理 同社は、実習において「なぜ薬剤師でないとダメなのか、その必要性を理解してもらうこと」を最も重視しているという。その象徴的な役割が、日々医療機関を訪問するMS(医薬品卸の営業職)へのバックアップだ。 卸薬剤師は、MSが医療現場へ届ける学術資材の作成や研修を担当し、彼らが提供する情報に誤りがないか、薬機法などの法規に抵触していないかを専門的な視点で精査している。同社は、こうした「MSが医療現場へ届ける情報が適正であるかを監督すること」こそが、卸における薬剤師の重要な役割の一つだと考えている。 実習に訪れる学生の中には、医薬品流通の仕組みそのものを初めて知る者も少なくない。「医薬品の卸の毛細血管型の流通網によって、効率よくかつ迅速に届けられることを知った」と驚く学生に対し、営業の最前線を知識で支え、情報の信頼性を担保する卸勤務の薬剤師の姿を見せる。それは、学生たちが自身の専門性の生かし方を見いだす貴重な契機となっている。 実習の様子(ケーエスケー提供) 現場を知ることで変わる「プロ同士の信頼関係」 医薬品流通の裏側を知ることは、将来のチーム医療の質を直結して変える。杉本氏は、かつてある病院の新人薬剤師をケーエスケーの支店体験に受け入れた際のエピソードを披露してくれた。その若手薬剤師は、支店での営業の流れを体験する中で、偶然にも勤務先の病院から「大至急、薬を持ってきてほしい」という電話が入る場面に遭遇する。MSがセンターへ走り、奔走する姿を横で見ていたその薬剤師は、後の手紙にこう綴ったという。「病院の中から『急ぎで』と当たり前のように電話をしていましたが、その裏側でこれほど多くの人が動いているとは知りませんでした。病院での医薬品の自己管理の重要性にあらためて気づきました」 流通の根幹を知れば、臨床現場に出た際、卸側へのリスペクトが生まれ、コミュニケーションの質が変わる。それが結果として、患者へのスムーズな薬の提供につながるのだ。 薬学生へのメッセージ 昨今の採用市場は内々定時期が早まり、学生が将来をじっくり考える時間が削られている。しかし、同社が実習を継続するのは、あくまで学生が広い視野を持ち、自らの足元を固めるための「教育支援」だ。 「大学に所属しながら、フラットな視点でさまざまな企業を見られるのは今の特権。病院、薬局だけでなく、卸という世界もある。早い時期に就職先を決めてしまうのではなく、いろんな世界を自分の目で見て、じっくり吟味してほしい」。 同社の実習は2025年度も年間合計1,038人の学生を受け入れている。京都薬科大学や大阪医科薬科大学、神戸薬科大学をはじめ、近畿一円の学生たちが、今日もここで「流通のプロ」の視点を養っている。 「我々の実習は、参加した学生に『楽しく、かつ有意義だった』と思ってもらえることを常に心がけている」と杉本氏。医薬品流通を薬剤師の専門性で支える。その真価を知ることは、将来どの道に進むにせよ、あなたの薬剤師人生をより深く、誇り高いものにしてくれるだろう。

  • 愛知学院大薬学部、プラスエイチと連携協定を締結

    低学年からの体験型キャリア教育で「未来を創造できる薬剤師」を育成 愛知学院大学薬学部と株式会社プラスエイチは、「未来を創造できる薬剤師養成プログラム」および3つの専門コース教育に関するキャリア教育の強化と共同推進を目的として、連携・協力に関する基本協定を締結した。 協定締結の背景と狙い 近年、薬剤師には創薬や臨床研究、データ・AIの活用、国際的な視点、地域医療への貢献など、多様かつ高度な役割が求められている。こうした社会のニーズに応えるため、同大学薬学部では学生が自らの将来を主体的にデザインできる教育環境づくりを進めてきた。今回の協定では、薬学生のキャリアデザイン支援を全国で展開する株式会社プラスエイチと連携することで、学生が早期から自らのキャリアの軸を育てられるサポート体制をさらに強化する。 具体的な協力内容 協定に基づき、両者は講義や演習、研修などを通じて学生の進路形成を総合的にサポートしていく。プラスエイチが持つ体験型キャリア教育のノウハウを導入し、アクティブラーニングの手法を取り入れることで、学生に多面的な学びの機会を提供する。また、学びとキャリアが結びつくカリキュラムを双方で連携しながら開発していく予定である。 3つの専門コースにおける連携 特に「リサーチ・ファーマシスト(RP)」「データ・ファーマシスト(DP)」「グローカル・ファーマシスト(GP)」の3つの専門コースにおいて重点的な支援を行う。 RPコースでは、研究志向の薬剤師や創薬に関わる職種への理解を深める支援を行う。DPコースでは、医療データやDXの基礎から応用までの教育を通じて、論理的なデータ解析に基づき医療を支える薬剤師の養成を目指す。GPコースでは、地域医療や国際医療など幅広い分野で活躍できる薬剤師のキャリアデザインについて学ぶ機会を提供する。 この取り組みを通じて、学生のキャリア形成を体系的かつ多面的に支援できる教育体制を確立し、プログラムでの学びと将来のキャリアを強固に結びつける仕組みを構築する。体験型学習による職業理解の深化や、社会ニーズを踏まえた実践的な薬剤師教育の充実を図ることで、多様な薬剤師像を育む教育環境の実現が期待されている。

  • 令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰式が開催―新技術立国の実現へ、計749名が栄誉に輝く―

    文部科学省は2026年4月15日、同省3階の講堂において「令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」の表彰式を執り行った。同表彰は1959年に発足して以来、科学技術に携わる者の意欲向上とわが国の科学技術水準の向上を目的として、毎年顕著な成果をあげた者を顕彰しているものである。 第7期基本計画を柱とした新技術立国の実現を強調 福田氏 式典冒頭、松本洋平文部科学大臣の式辞が、出席した福田かおる文部科学大臣政務官によって代読された。式辞の中では、昨年の坂口志文氏・北川進氏によるノーベル生理学・医学賞、ノーベル化学賞の受賞に触れ、歴代のノーベル賞受賞者を輩出してきた同表彰が科学技術の発展に重要な貢献を果たしていることを強調した。また、今年度から始動する「第7期科学技術イノベーション基本計画」などを踏まえ、科学の力を通じた「新技術立国」の実現に向け、省として全力を尽くす決意を表明した。 薬学分野を含む若手科学者賞の授与 表彰式の様子 本年度は、科学技術賞、若手科学者賞、研究支援賞などを合わせて749人が受賞した。 特に、独創的な視点に立った研究業績を挙げた若手研究者に贈られる「若手科学者賞」には101人が選出された。薬学関連では、大澤昂志氏(大阪大学大学院薬学研究科講師)、小川亜希子氏(東北大学大学院薬学研究科准教授・熊本大学大学院生命科学研究部客員講師)、久我奈穂子氏(東北大学学際科学フロンティア研究所・大学院薬学研究科助教)、外山侑樹氏(東京大学大学院薬学研究科特任助教)、松田研一氏(北海道大学大学院薬学研究院准教授)が名を連ねた。 式典では、各部門の代表者に対し、福田大臣政務官から表彰状が手渡された。 科学技術賞 開発部門 :川筋 孝氏(HIV インテグラーゼ阻害剤ドルテグラビルの開発) 科学技術賞 研究部門 :佐藤いまり氏(光応答特性に基づく三次元層構造と内部状態推定の研究) 科学技術賞 技術部門 :和田貴志氏(2次元マトリックス型自動ドアセンサーの開発) 科学技術賞 理解増進部門 :青山潤氏(被災地に希望を育む文理融合アプローチによる海の理解増進) 若手科学者賞 :小川亜希子氏(エピトランスクリプトームによる生体代謝研究) 研究支援賞 研究開発マネジメント部門 :村木倫子氏(URA活動とIR活動の融合による研究力強化への貢献) 研究支援賞 高度技術支援部門 :豊岡公徳氏(生体超微構造観察に資する電子顕微鏡技術開発と支援への貢献) 受賞者を代表して挨拶した川筋氏 受賞者を代表して挨拶に立った川筋氏は、周囲の支えに対する感謝とともに、「デジタル技術が進歩する一方で、社会の安心・安全を支える科学技術への期待はこれまで以上に大きくなっている」と言及した 。また、自身の医薬品研究の経験を糧に、今後も学び続けながら社会に貢献していく決意を述べた。

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