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- 薬学から世界へ羽ばたく創薬研究者:城西大学大学院・幸村友菜さんの挑戦
薬学部の学びをいかに自分のキャリアへつなげ、進路のヒントを探している薬学生に向け、城西大学大学院薬学研究科の博士課程4年に在籍する幸村友菜さんの歩みを紹介する。学部生から博士課程への進学、研究とアルバイトを両立する大学院生活、「トビタテ!留学JAPAN」への応募エピソード、ロンドン大学(UCL)への留学、そしてアメリカでのポスドク(博士研究員)挑戦へと続く道のりは、将来の選択肢を広げる大きなインスピレーションとなるはずだ。 卒業研究をきっかけに見いだした博士課程への道 もともと「がん」という疾患に興味があり、専門的な知識と将来につながる資格の両方を取得できるという理由で薬学部へ入学した幸村さん。当初は病院薬剤師を志望していたが、転機となったのは5年次に本格化した卒業研究だった。 自分で仮説を立てて実験を行い、結果が見えてくるプロセスに魅力を感じ、「もう少し研究を続けてみたい」と博士課程への進学を決意する。薬剤師としての専門性と、博士号を持つ研究者としての高度な能力の両方を身につけておけば、将来の選択肢を大きく広げられると考えたからだ。 研究とアルバイトを両立する大学院生活 大学院での生活は、週6日で研究室に通いながら、週3回は薬局で薬剤師としてのアルバイトに励む日々を送っている。研究では、目的とする化合物の合成がうまくいかない時期もあったが「この方法が駄目なら次を試そう」と粘り強く試行錯誤を重ねて乗り越えてきた。こうした日々の積み重ねが、自身の研究者としての強みである「粘り強さ」を育んでいる。 また、学費や生活面のサポートとして、大学院生になってから日本学生支援機構の無利子の奨学金を借りているほか、今年の12月までの業績で学校の基準を満たして推薦されれば、半額または全額の返還が免除される制度を活用している。 副作用を抑える「二段階DDS」の構築 現在取り組んでいる研究のテーマは、抗がん剤をがん細胞に選択的に届ける「DDS(Drug Delivery System:薬物送達システム)」の開発である。抗がん剤が持つ強い作用が正常な細胞まで攻撃してしまう課題に対し、以下の「二段階」の安全装置を設計している。 がん細胞の表面に多く存在するCD44分子を目印にして薬を届ける。 細胞内に取り込まれた後、がん細胞内に多く存在するグルタチオンに反応して抗がん剤が作用する。 この技術により、抗がん剤の治療効果を維持しつつ正常組織への影響を抑え、副作用の少ないがん治療の実現を目指している。 また、こうした研究成果で日本薬剤学会第41年会の学生主催シンポジウムで「SNPEE奨励賞」を受賞した。正確な審査理由は分からないとしつつも、発表の場では専門分野以外の人にも研究の意義が伝わるよう細心の注意を払った。単に新しい物質の合成結果を並べるのではなく「現在のがん治療にどのような課題があるのか」「それを解決するために、なぜこの分子を設計したのか」「実際にどのような結果が得られたのか」という一つのストーリーとして構成し、分かりやすく伝えることを強く意識したという。 「トビタテ!」への応募とロンドン大学(UCL)での4カ月 イギリスでは現地の薬局も訪問 幸村さんが文部科学省の留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」の存在を知ったのは、指導教員からの紹介だった。さらに、指導教員の同期である城西大学の別研究室の先生が1期生として採択されていたという縁もあり、このプログラムを強く意識するようになる。 もともと学生のうちに海外で学びたいという強い思いがあり、英語が全く話せない状態だったものの、万が一不採用であっても自力で1カ月程度留学できるよう、薬剤師のアルバイトでお金を貯めて準備を進めていた。 もともとはアメリカへの研究留学を予定していたが、ビザの関係でイギリスに変更。自身の薬剤師免許も生かし、イギリスの薬局を訪問して薬剤師にインタビューを行い、日本との違いをまとめる計画を立案した。語学力だけではなく、自ら描き出す留学計画や人物本位のプレゼンが評価されるこの制度のもと、見事に採択を勝ち取る。 こうして臨んだロンドン大学(UCL)での4カ月間は、言語の壁や日本とは異なる手続き・研究の進め方に直面し、日本での3〜4倍ほどのエネルギーを消耗する苦労の連続だった。一方で、多様なバックグラウンドを持つ海外の研究者たちと日常を共にし、日本国内の常識にとどまらない広い視野を獲得する。この経験は、「もっと長期間、海外の環境で研究してみたい」という幸村さんの新たな意欲を強く後押しする大きな契機となった。 ロンドン大学の指導教員と研究メンバー アメリカでのポスドク挑戦へ 博士課程修了後は、アメリカ・ニューヨークの医科大学で、給与を受け取りながら研究に専念するポスドク(博士研究員)として勤務する予定である。海外でポスドクとして働く選択をした背景には、日本と比べて給料が良い点だけでなく、研究の技術だけでなくその国の文化や語学力など「一石三鳥」とも言える得難い経験ができると考えたからだ。 アメリカでの受け入れ先が決まったのは、学会メールで届いたアメリカの大学からの募集・公募がきっかけだった。幸村さんが取り組んでいるDDSの技術や専門性がちょうど相手側の求める即戦力と合致しており、さらに大学院時代に質の高いジャーナルへ筆頭論文が掲載されていたことや、自分の研究成果を評価してもらったことで面談が進んだ。相手の先生から「まさにこういうのがやりたかったんだよね」と声をかけてもらい、「ここしかない」と即座に連絡を取ってアメリカ行きが決定した。 今後はこれまでのDDSや薬学の知見に、がん研究やChemical Biologyを融合させた領域へと専門性をさらに広げていく。将来的には、薬剤師としての臨床的な視点と高度な研究者としての知見を生かし、新しい治療法につながる創薬研究に取り組むことが目標である。自らが関わった技術や医薬品を実際の医療へと届け、患者の治療の選択肢を増やすため、地道な挑戦を続けている。 一歩踏み出すことで、想像していなかった未来が開ける 最初から明確なゴールや海外留学への道筋が決まっていたわけではないという幸村さん。卒業研究が面白そうだからと博士課程に進み、一歩ずつ挑戦を重ねる中で新しい選択肢が見えてきたと振り返る。 「語学力などを理由に最初から可能性を狭めず、少しでも興味を持ったことにはまず飛び込んでみてほしい。『トビタテ!留学JAPAN』についても、まだ制度や募集が続いているうちに、後輩たちにぜひ積極的に挑戦してほしいと思います。最初から明確なゴールが決まっていなくても、興味を持ったことに一つずつ挑戦していくことで、自分が本当にやりたいことや、思ってもいなかった新しい選択肢が見えてくるはずです」
- 薬剤師の古謝氏が初当選、沖縄県知事選挙で42万票余を獲得
2026年9月13日に投開票が行われた沖縄県知事選挙は、同日深夜1時10分に開票が確定した。県全体の有効投票数は712,120票、投票者数は717,704人となった。 当選を果たした古謝げんた氏は、東京大学薬学部を卒業した薬剤師であり、元総務官僚や長崎県財政課長、民間企業勤務などを経て、前那覇市副市長および沖縄県薬剤師会副会長を務めた経歴を持つ。 各候補者の得票数および結果は以下の通りである。 古謝げんた: 423,124票 玉城デニー: 276,060票 カネシマシュン: 4,657票 ヒガタカシ: 3,542票 良朝助: 2,467票 すえよしまさひろ: 2,270票 今回の選挙では、那覇市(有効投票数148,830票)や沖縄市(有効投票数67,451票)、うるま市(有効投票数58,076票)などの主要市部をはじめ、県内各地の自治体で開票作業が進められ、深夜帯にすべての開票が完了した。
- 次世代の薬学教育を切り拓くAI対話学習基盤:東京薬科大学とトランスコスモスが共同開発を始動
薬学教育における課題とAI学習基盤のねらい 2040年に向けて薬剤師への対人業務の一層のシフトが求められるなか、実務実習前の臨床能力の養成や、現場での複雑な症例・インシデントへの対応力強化が急務となっている。 こうした背景から、東京薬科大学が持つ教育知見と、トランスコスモス株式会社がコンタクトセンター運営で培ってきた顧客応対品質管理やフィードバック設計の知見を融合させることになった。この基盤によって、患者の年齢や性格、病歴まで柔軟に設定できるロールプレイや、モデル・コア・カリキュラム準拠のシナリオを通じた反復練習が可能になる。 さらに、AIによる即時フィードバックや学修状況の可視化に加え、将来的には法令改正などの最新情報を提供する機能も順次実装され、基礎学修から卒後教育までを総合的にサポートする。 両代表が語る取り組みへの展望と意気込み 今回の取り組みに関して、トランスコスモスの上席執行役員である高山智司氏は「両者の知見を掛け合わせることで薬学教育の現場に即した学習支援のあり方を具体化し、人手ではカバーしきれない学習機会やノウハウを教育現場に落とし込んでその高度化に貢献したい」と述べている。 また、東京薬科大学の学長である三巻祥浩氏は「実務実習や就職後の困難事例への対応から最新法令の継続的修得までを一つの基盤で支えていくことは学修機会の拡張において大きな意義があり、実務家教員監修のシナリオとAIによる自動評価を通じて臨床実践に即した学びを具体化していきたい」と意欲を示している。 確かな導入実績と今後の教育環境づくり トランスコスモス社内のコンタクトセンター業務における「trans-AI Tutor」の導入実績では、研修中のオペレーターあたりのロープレ回数が約7倍に増加し、管理者工数換算で2,945時間相当の研修工数を代替したほか、研修期間の50%短縮や生産性の129%向上といった大きな成果が確認されている。両者はこうした実績ある仕組みを薬学教育に展開することで、学生個々が必要な練習量を確保できるようにし、教員は個別指導や教材設計などの教育効果の高い指導へ注力しやすい環境を整えていく方針である。
- がん治療における「通院間の空白」をデジタルで解消 ― カケハシ、AMED採択の大規模実証「PRO-MISE Trial」を始動
株式会社カケハシは、日本医療研究開発機構(AMED)の令和7年度委託事業※1に採択され、がん患者の外来治療中における体調や副作用をスマートフォン等を通じて継続的に把握する大規模検証プロジェクト「PRO-MISE Trial」を開始した。 従来、外来治療への移行が進む一方で、通院日と通院日の間(通院間の空白)は医療従事者の目が届きにくい期間となっていた。この空白期間における体調変化の把握不足や不安感は、症状の重篤化や予定外入院、自己判断による服薬中断を招くリスクとなっている。 本事業では、病院・薬局・患者をデジタルでつなぐことで、この課題の解決を目指す。主な特徴は以下の通りである。 国内有数の規模:約900症例を対象とし、日本や地域のがん治療を支える約50病院が参画する。 長期的なモニタリング:患者一人ひとりの状況に応じ、24週間(約半年間)にわたって継続的に見守る。 負担の少ない自動送信システム:患者のスマートフォン(LINEアプリ等)に週1回、自動で質問 (ePRO※2 )が送付され、医療従事者の業務負担を増やさずに早期発見・早期介入を実現する。 情報連携は、カケハシの患者フォローシステム「Pocket Musubi」の技術基盤を高度化して採用し、以下の4ステップで実施される。 Step.1(利用同意と回答):患者がスマートフォンに届いた副作用や症状変化に関する質問に回答する。 Step.2(モニタリング):薬剤師がシステム上で患者の状態を確認する。 Step.3(フォローアップ):気になる副作用や症状がある場合、電話やメッセージでフォローを行う。 Step.4(HRQoL※3向上・連携活性化):健康や生活の質の改善および、病院・薬局間の連携強化につなげる。 今後のスケジュールとしては、2026年6月から患者登録が開始され、2027年2月までの期間(約8〜10カ月)で約900症例の登録を目指す。最終的な結果とりまとめは2028年上半期(2028年3月頃)を予定している。 ※1 令和7年度「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(ヘルスケアサービス実用化研究事業)」 ※2 ePRO(electronic Patient Reported Outcome):患者がスマートフォン等を使って、自宅での体調や副作用を直接デジタル入力・報告する仕組みのこと。 ※3 HRQoL(Health-related Quality of Life):健康関連のQOL(生活の質)のこと。病気やその治療が、患者さんの「体」「心」「日々の生活」にどのような影響を与えているかを、患者さん自身の視点から評価する指標。
- 【ユースキン製薬】3期連続で過去最高益を更新──「ストレス手荒れ」と新提案「手のひらパレット」
創業70年の歩みと3期連続過去最高益の達成 ユースキン製薬株式会社は、都内で製品発表会を開催した。 発表会の冒頭では代表取締役社長の野渡毅之氏が挨拶を行い、1955年の創業から70年の歩みや主力商品「ユースキン」の誕生背景について言及した。野渡氏は、2014年に発売した「ユースキンhana」が香りのラインナップ拡充やパッケージの見直しを経て年間出荷本数300万本を超えるブランドに成長したことや、主力商品のリブランディングを経て2025年7月期に売上50億円を達成したことを報告した。さらに、直近の2026年7月期においても前年を上回る好業績を記録し、3期連続で過去最高益を更新したことが発表された。 ユースキンhanaミッフィーデザイン 現代人を襲う「ストレス手荒れ」のメカニズムと実態 続いて登壇した済生会川口総合病院皮膚科主任部長の高山かおる氏は、精神的ストレスがアトピー性皮膚炎などのかゆみを誘発・悪化させる因子であることや、手荒れ自体が中等度から重度のQOL障害や不安を引き起こす「ストレス手荒れ」のメカニズムについて講演を行った。また、現代手荒れの要因として長期間のエアコン使用による低湿度の環境、スマートフォンの長時間の利用や金属接触、およびコロナ禍以降に定着した頻繁な手洗いが挙げられると解説された。 予防意識は高い一方で、年間を通じたケアに課題 同社より、直近1年間に自らハンドクリームを購入・使用している全国の20歳から69歳の男女1,000人を対象に、同年7月25日に実施されたハンドクリームの使用実態調査の結果が報告された。 調査の結果、ハンドクリームの使用目的の約6割が乾燥や手荒れの予防であることが示され、推奨量である「1FTU(指先から第一関節まで)」以上を塗っている人は約3人に2人(65%)に上る一方で、指の間などの細部へ十分に塗布できている割合や夏場の利用率には課題があることが明らかになった。また、現在何らかの手荒れを自覚している人は約7割(62.9%)に及んだが、年間を通じた継続的なケアの習慣化にはまだ課題があることが示された。 ケアがストレスになる理由と、基材・適量「1FTU」の重要性 こうした手荒れに悩む人が多い一方で、日々のハンドクリームを塗るケア自体が「面倒くさい」「ベタついて不快」といった負担やストレスになっているという声もある。高山氏は、そうしたケアの負担感をなくし、自らを癒すような習慣として心地よく続けることが大切であると指摘している。日中に塗るものであればベタつかない基剤のものを選ぶことや、荒れた肌にもしみない低刺激なものを選ぶことで、不快感や負担を減らして無理なく使い続けることができる。また、しっかりと保湿を行うためには皮膚に十分な量を塗ることが重要であり、「1FTU」が目安となる。患者が「塗っているのに治らない」と悩む原因の多くは塗る量が足りていないことにあるため、この十分量を守って乾燥を感じたときにこまめに塗り直すことが求められる。 新香調「ミモザの香り」と新提案「手のひらパレット」 「手のひらパレット特設サイト」より こうした課題に対応するため、日常のケアを心地よい習慣にする新しい提案が行われた。8月に新たに登場した「ユースキンhana ミモザの香り」は、春の訪れを告げる幸せの花をイメージしたすっきりとリフレッシュできてほのかな甘みも感じられる香りであり、ミニフィットデザインなども展開されている。 また、2つの異なる香りのハンドクリームを手のひらで混ぜ合わせることで新しい香りや変化を楽しむ「手のひらパレット」が紹介され、ミモザとラベンダーを混ぜてストレートティー風にするなど香料会社の調教師と検証して作成された多彩な香りレシピが特設サイトで公開されていることが紹介された。 手のひらパレット特設サイト:https://palette.yuskin.co.jp/
- 【日本OTC医薬品協会】東京都大田区の小学校で「健康とくすり教室」を開催:児童のヘルスリテラシー向上へ
健康を維持するための正しい知識や行動習慣を身に付けるには、幼少期からの健康教育を通じて主体的に健康を管理する力であるヘルスリテラシーを育むことが重要である。日本OTC医薬品協会は、長年にわたり子供たちへのくすり教育を推進してきた。 こうした活動をさらに充実させるため、日本OTC医薬品協会は東京都医師会および東京都薬剤師会の助言を受け、2024年12月にプロジェクトを立ち上げた。本プロジェクトでは、小学校高学年を対象としたオリジナル教材を作成し、普及のための啓発活動を展開している。 2025年12月から2026年3月にかけて、大田区立小学校8校の5年生と6年生約850人を対象に健康とくすり教室が実施された。授業では派遣された薬剤師が講師を務め、講義と実験を組み合わせたプログラムが行われた。 授業後のアンケートでは、実験や質問を多く取り入れたことが分かりやすかったという評価につながった。また、教員からは参加型の授業で児童の理解が深まったという意見が寄せられている。 2025年12月~2026年3月『健康とくすり教室』児童アンケート結果(N=592) 日本OTC医薬品協会調べ 日本OTC医薬品協会は、医療関係者や学校関係者と連携しながら、ヘルスリテラシー向上を目指した活動に継続的に取り組む方針である。
- シミックグループが新卒採用でESを廃止、AIアバターとの対話による選考を導入
1992年に国内初のCRO(医薬品開発支援)事業を開始し、医薬品の開発から製造、販売までを総合支援するシミックホールディングス株式会社とグループ主要3社は2026年9月9日、2028年4月入社の新卒採用において、従来のエントリーシート(ES)提出を廃止すると発表した。これに代わり、AIアバターとの対話を活用した「トークエントリー選考」を導入する。 「書く」から「話す」選考への移行 従来の文字数制限があるESでは伝えきれなかった経験の背景や個人の価値観をより深くくみ取るため、選考軸を「書く」から「話す」へと転換する。 本選考には株式会社Preferred Networksが提供する採用・育成支援HRサービス「タレスカ」を活用する。学生は「学生時代に力を入れたこと」や自己PR、志望動機などをAIアバターに向けて自らの言葉で語る。対話内容は採用担当者が確認したうえで書類選考を行い、AIによる自動評価は実施しない方針である。 実施体制 今回の取り組みは、シミックホールディングス、シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社、シミックファーマサイエンス株式会社、シミックCMO株式会社のグループ4社にて導入される。 同社は学生に向け、整った文章表現にとらわれず、何を考えどのように行動したのかを自分らしい言葉で語ってほしいと呼びかけている。日々進化する医療・ヘルスケア分野において、入社後も前向きに学び続け、チームで課題解決に挑戦できる人物像を求めており、文章の巧緻さに左右されない人物本位の選考を通じ、多様な個性を持つ人材との出会いを目指していく。
- 元厚労省事務次官の大島一博氏が日本医薬品登録販売者会の理事に就任
2026年9月7日、一般社団法人日本医薬品登録販売者会は、元厚生労働省事務次官の大島一博氏が同日付で理事に就任したことを発表した。 行政の中枢で医療・健康政策に長年携わってきたキーパーソンの参加は、OTC医薬品市場および地域医療における登録販売者の立ち位置に大きな変化をもたらす可能性がある。 元厚労省トップの理事就任とその経歴 日本医薬品登録販売者会は、セルフメディケーションの推進体制強化を目的として、元厚生労働省事務次官の大島氏を新理事として迎えた。 同会はこれまでも、登録販売者が地域における身近な健康相談窓口として適切な情報提供を行えるよう、研修などの教育充実に努めてきた。今後は大島氏の豊富な行政経験と知見を取り入れ、人材育成や普及啓発活動の高度化、ならびに法人運営の透明性・適正性の向上を図る方針である。 新理事に就任した大島氏は東京大学法学部を卒業後、1987年に厚生省に入省した経歴を持つ。厚生労働省老健局長、大臣官房長、政策統括官(総合政策担当)などの要職を歴任したのち、2022年に厚生労働事務次官へ就任し、2024年に退職している。 セルフメディケーション推進と登録販売者の資質向上 厚生労働事務次官とは、厚生労働省における事務方(官僚)の最高峰の役職である。国家の医療・介護・社会保障政策を取り仕切ってきたトップ行政官が登録販売者団体の理事に就任したことには、重要な意義が存在する。 まず、国家的な課題である医療費適正化やセルフケアの普及に向けて、行政ノウハウや政策決定プロセスに精通した人材が参画することで、同会による政策提言や事業展開の実効性がより一層高まる。 次に、登録販売者の研修制度や教育カリキュラムの高度化が進み、店舗における医薬品適正使用の相談体制の質が引き上げられることが期待される。 さらに、生活者が主体的に健康管理を行うための「適切な相談体制」を構築するにあたり、職能団体としての組織運営の透明性や適正性が一段と強化されることになる。 薬剤師と登録販売者の役割分担・協働のゆくえ 現在、薬局やドラッグストアの現場では、薬剤師と登録販売者の適切な役割分担と協働が重要なテーマとなっている。 登録販売者が一般用医薬品(主に第2類・第3類)の販売・相談やセルフケア支援を高い専門性を持って担うことで、薬剤師は医療用医薬品の調剤・服薬指導、要指導医薬品・第1類医薬品の対応、高度な臨床判断、在宅医療、医療機関との連携にリソースを集中させることが可能になる。 実習や将来の勤務先としてドラッグストアや薬局を検討している薬学生は、薬剤師の業務範囲だけでなく、共に働く登録販売者の資質向上や業界全体の動向にも視野を広げておくとよい。
- 私立大薬学部で270名の大幅定員減、令和9年度学則変更で判明した現実
文部科学省が発表した令和9年度(2027年度)の私立大学等の収容定員変更予定一覧において、私立大学薬学部(薬学科)の急激な規模縮小が判明した。今回の発表で薬学部の学則変更を届け出た6大学全てが入学定員の削減または募集停止を選択しており、私立薬学部全体で合計270人(約37.5%)の募集枠が削られる結果となった。増員を行う大学は1校も存在しない。 各大学の変更内容を見ると、地域や規模を問わず縮小の波が押し寄せていることが分かる。福島県の医療創生大学は、令和8年度の定員40人から令和9年度は0人とし、令和9年4月からの学生募集停止と薬学科の廃止を決定した。東京都の昭和医科大学は、定員を200人から140人へと60人減らし、今回の発表の中で単一学科として最大の削減幅を記録した。 さらに地方の医療系・薬科大学でも削減が相次ぐ。広島国際大学は120人から70人へ50人減、九州医療科学大学は100人から60人へ40人減、鈴鹿医療科学大学は100人から90人へ10人減とする変更を行った。また、130人から90人へ40人削減する新潟薬科大学に対しては、文部科学省より「薬学部薬学科の収容定員未充足の是正に努めること」という厳しい遵守事項が明記された。 大学名 所在地 令和8年度定員 令和9年度定員 定員増減 届出内容・遵守事項 医療創生大学 福島県いわき市 40名 0名 ▲40名 薬学部薬学科廃止(令和9年4月募集停止) 昭和医科大学 東京都品川区 他 200名 140名 ▲60名 定員削減 新潟薬科大学 新潟県新潟市 130名 90名 ▲40名 定員削減(定員未充足の是正が遵守事項) 鈴鹿医療科学大学 三重県鈴鹿市 100名 90名 ▲10名 定員削減 広島国際大学 広島県呉市 120名 70名 ▲50名 定員削減 九州医療科学大学 宮崎県延岡市 100名 60名 ▲40名 定員削減
- 問 糖尿病合併妊娠において血糖コントロールに用いられるのはどれか。【国試探検隊】
問62 糖尿病合併妊娠において血糖コントロールに用いられるのはどれか。1つ選べ。 ❶ スルホニル尿素薬 ❷ チアゾリジン薬 ❸ ビグアナイド薬 ❹ グリニド薬 ❺ インスリン製剤 (第111回薬剤師国家試験より) *** 蔵之介です。必須問題から糖尿病合併妊娠に関する設問です。妊娠糖尿病にインスリン注射を使うことを知っていれば、簡単に解ける問題です。胎児は胎盤から酸素や栄養分を受け取りますが、母体血と胎児血は完全に隔てられています。母体と胎児の間には「血液胎盤関門」があり、薬物は受動拡散により移行します。分子量が300~600の薬は通過できますが、1,000以上の薬は通過できません。経口糖尿病薬は分子量が小さく容易に通過しますが、分子量の大きいインスリン製剤は通過できません。そのため妊婦への投与が可能です【正解は5】。代表的な薬物の分子量と妊婦への影響をまとめます。インスリン製剤(商品名:ヒューマリンR)は、分子量5,808。胎児に移行しません。スルホニル尿素薬のグリメピリド(商品名:アマリール錠)は、分子量491。新生児低血糖や巨大児のリスクがあります。スルホニル尿素薬は、膵β細胞を刺激してインスリン分泌を促し、血糖値を下げます。胎盤を通過した薬は、胎児の膵臓を刺激します。過剰に分泌されたインスリンの働きで、糖が細胞内に取り込まれて脂肪として蓄えられます。その結果、4,000gを超える巨大児になるリスクが高まります。出生後もすぐにインスリン分泌が止まらないので、新生児が低血糖に陥るおそれがあります。チアゾリジン薬のピオグリタゾン塩酸塩(商品名:アクトス錠)は分子量393で、動物実験で胎児毒性。ビグアナイド薬のメトホルミン塩酸塩(商品名:メトグルコ錠)は分子量166で、動物実験で催奇形作用。グリニド薬のレパグリニド(シュアポスト錠)は分子量704.91、動物実験で胎児通過性が報告されています。 そのほか「PMDAからの医薬品適正使用のお願い」として、2023年に2度目となるレニン-アンジオテンシン系薬(ACE阻害薬、ARB等)の妊婦禁忌が発出されました。また、2024年には、β遮断薬のビソプロロールフマル酸塩とカルベジロールの妊婦禁忌が解除されました。 出題予想 妊婦に投与禁忌の外用薬:にきび治療薬のアダパレンゲルやケトプロフェンテープ(妊娠後期)など ■解説 蔵之介(アポクリート株式会社)
- 薬学生は参加無料 第21回薬局管理栄養士研究会年次大会開催
薬局管理栄養士研究会は毎年恒例の年次大会を、今年は11月14日にオンラインで開催を予定しており、参加者を募集している。 同研究会は、セルフメディケーションの最前線である薬局・ドラッグストアで活躍する管理栄養士が、情報交換と相互の連携を図ることを目的として発足した組織である。近年特に薬局でも管理栄養士が薬剤師をはじめとする専門職と連携して、薬物治療と併せた栄養指導や健康サポートを行う活動シーンが増えてきており、年会でも様々な現場での事例報告や情報交換が行われている。 年次大会には薬学部の学生も無料で参加することができる。 概要と申し込みは下記の通り。 第21回薬局管理栄養士研究会年次大会 日時:2026年11月14日(土)13時30分~17時30分 開催方法:オンライン(ZOOM) 【テーマ】薬局管理栄養士の価値を高めるICT活用 【プログラム】総会、事例共有(ICTの活用)、グループディスカッション、口頭発表 参加資格:薬局・ドラッグストアに勤務する管理栄養士・栄養士・薬剤師・事業管理者 管理栄養士・栄養士専攻の教員・学生等 参加定員:200名(うち学生40名)※定員に達した時点で参加申込受付終了 参加費:会員・学生 無料 非会員:3,500円 ※新たに研究会に入会される場合は、参加費無料(年会費3,000円) 参加申込:10月31日(土)締切 主催:薬局管理栄養士研究会 ※詳細と参加申込みはこちらから https://gkb.jp/visitor/seminar/677 お問い合わせ:薬局管理栄養士研究会事務局 メール: pharmacy.registered.dietitian@gmail.com
- 10兆円市場を突破したドラッグストア業界の現在地
塚本氏 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、9月1日に記者会見を実施した。会見では、業界の最新推計データや現場が抱える課題、今後の出店動向や薬剤師像について幹部陣から深い言及がなされた。 10兆円市場の達成と調剤業務の急速な拡大 会見では、JACDSが取りまとめた「2025年度版業界推計 日本のドラッグストア実態調査(確定版)」が発表された。全国のドラッグストア総店舗数は2万4,536店舗(前年比813店舗増)、全国総売上高は10兆6,427億円(前年比106.1%)に達し、悲願であった10兆円産業の仲間入りを果たしたことが報告された。 部門別の売上構成比を見ると、「調剤・ヘルスケア」が3兆5,583億円(構成比33.4%)で最大となった。次いで「フーズ」が3兆487億円(28.7%)、「ホームケア」が2兆1,086億円(19.8%)、「ビューティケア」が1兆9,271億円(18.1%)と続いている。 カテゴリー名称 主な取扱商品・機能 調剤・ヘルスケア 処方箋調剤、OTC医薬品、介護用品、ベビー用品、健康食品等 フーズ 一般食品、生鮮食品、菓子、飲料、酒類、冷凍食品等 ホームケア 日用消耗品、家庭用品、ペット用品等 ビューティケア 化粧品、ビューティ小物、トイレタリー等 さらに、ドラッグストアにおける調剤高は1兆6,785億円(併設店のみの推計値)に達し、ドラッグストア売上高の15.8%、ヘルスケア調剤の47.2%を占めるなど成長が著しい。伸び率は9.1%を記録し、全国の調剤医療費総額(2024年度と同額の8兆4,008億円と仮置きした暫定値)に占めるシェアは19.7%と2割に迫る規模へ拡大した。ドラッグストア調剤の10年間の推移を見ると、2015年度は7,158億円(シェア9.1%)、2020年度は1兆0,693億円(シェア14.2%)、2025年度には1兆6,586億円(シェア19.7%)へと拡大している。 なお、このデータは併設店のみの数値であり、買収などで増えている単独店や専門店も含めると、業界加盟企業の調剤売上はさらに上積みされる。調剤報酬改定(ベースアップ評価料等の算定影響など)や在宅医療への対応が進む中、最寄りストアとしての利便性やワンストップショッピングの強みが評価され、処方箋獲得へと結びついている。 店舗数は今後も増加傾向が続く 一部で「ドラッグストア店舗は飽和している」との指摘がある点について、会長の塚本厚志氏は「ドラッグストアはフォーマットの刷新や商品構成(アソートメント)の進化を続けており、データとして店舗数が純増している事実を捉えるべきだ」と主張した。今後数年間は店舗数の増加傾向が続くという見通しを示している。 覆面調査結果の検証と現場の課題 厚生労働省の覆面調査結果に対して、塚本氏は指定乱用防止医薬品などの対応においてチェーン店が一定の成果を上げたことを評価した。一方で、OTC医薬品販売への関与や問いかけに対するスコアに落ち込みが見られた点を反省材料として挙げた。薬剤師に対して、調剤業務の忙しさがあるものの、スイッチOTCを含むOTC医薬品への造詣を深め、説明責任を果たすなど、調剤室だけに閉じこもらない専門家としての職能発揮を呼びかけた。また、質の高い登録販売者の育成支援も協会を挙げて進める方針だ。 かかりつけ薬剤師と未来の薬剤師像 関口氏 かかりつけ薬剤師制度の認知度向上に向け、JACDSでは「勤務薬剤師委員会」と「薬局機能向上委員会」を中心に資質向上に取り組んでいる。「薬局機能の向上」と「薬剤師の資質向上」の両立を図り、地域の特性や患者個々のニーズに応じたフォローアップができる人材育成を進めている。 今後の薬剤師の役割について塚本氏は、2030年の13兆円目標に向けて、従来の「処方箋に基づく調剤」にとどまらず、最寄りの相談窓口としてOTC医薬品の適正使用やセルフメディケーションを支え、地域医療・介護・予防とシームレスにつながることが期待されていると述べた。また、単に処方箋を受け取る枚数を増やすことだけを目指すのではなく、セルフメディケーションを普及させて人々の健康維持に貢献し、医療機関を受診する前の予防や健康相談に応える場としての役割を果たしていく姿勢を強調した。 続いて副会長の関口周吉氏は「患者のための薬局ビジョン」の遂行が患者からの評価につながると指摘した。生活動線上の立地という強みに加え、重複投与や相互作用防止など一元管理を求める社会ニーズに応える重要性を強調した。さらに、セルフメディケーションの先には在宅医療やACP(人生会議)が存在するとし、その過程において薬剤師が「ALP(アドバンス・ライフ・プランニング)」とも言える生活設計支援を担っていくべきだという独自の考えを示した。セルフメディケーションからACPに至る手前でALPを実践していく姿勢こそが、今後も社会からの支持を得続ける鍵となると提言した。 第26回JAPANドラッグストアショーの取り組み 薬科大学生クイズ大会の様子 会見と併せて、JAPANドラッグストアショーの成果も報告された。今回は「セルフメディケーションによるドラッグストアの未来像 〜NEXT25〜」をテーマに、過去最大の1,367小間(386社)が出展し、11万2,989人が来場した。 特に今回は、次世代を担う薬学生や研究者との連携を深める取り組みが大きな注目を集めた。 初開催となった「アカデミックフォーラム」では、大学や研究機関など16団体から全29演題のポスター展示・発表が行われた。実店舗におけるセルフメディケーション推進の取り組みや地域医療連携、ドラッグストア現場での実践的研究成果について、研究者や実務者の間で活発な議論が交わされた。 また、「薬科大学生クイズ大会」では、神戸薬科大学、城西大学、城西国際大学、帝京大学、東京薬科大学、星薬科大学の各薬学生が現場のドラッグストア薬剤師とチームを組み、OTC医薬品やセルフメディケーションに関する専門知識を競い合った。大学とドラッグストア企業の産学連携・交流を促進する体験型企画として、大きな盛り上がりを見せた。 展示会全体を通じて、セルフメディケーションの普及促進のみならず、将来の医療を担う薬学生や若手薬剤師の育成に向けた大きな実効性を上げる開催となった。











