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- DX・多職種連携・フェムケアで激変するドラッグストアの未来像──第26回JAPANドラッグストアショー JACDSパネルディスカッション
「第26回 JAPANドラッグストアショー 2026」において、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)主催のパネルディスカッションが開催された。業界を牽引するトップ経営陣が集結し、これからのドラッグストアが果たすべき役割について熱い議論を展開。薬学生の皆さんが将来活躍するフィールドがどう進化しようとしているのか、5つのテーマから最新動向を読み解く。 調剤・医療連携・介護領域:患者の「生活圏」で自然につながる仕組みづくり 杉浦氏 初めに、医療機関・介護施設・薬局が分断されることなく、患者の「生活圏」で自然に手を取り合う環境づくりが議論された。 一方で、医療機関や介護施設と過度に近づきすぎることに対して「門前薬局等立地依存減算」や「経済上の利益の提供による誘引の禁止」といった制度上の懸念が生じる点も共有された。これに対し、スギホールディングス株式会社代表取締役副社長の杉浦伸哉氏は「制度上の独立性や透明性を両立させつつ、判断軸を『患者負担の軽減』『アクセス改善』『アウトカムのエビデンス』において、健全な連携モデルを育てていく」と表明。同社が進める「ハブ&スポーク構想」では、ケアプランセンターや訪問看護ステーション、福祉用具レンタルを備えたハブ店舗を中心に、周辺の店舗(スポーク)と連携して患者の生活空間までシームレスな支援を届ける体制を構築している。 株式会社ツルハホールディングス代表取締役社長の鶴羽順氏は「日常的な接点が最も多いドラッグストアにはプライマリケア機能が求められている。薬剤師が処方箋を渡すだけでなく、登録販売者、管理栄養士、ビューティースタッフ、介護スタッフが一体となったチーム連携が重要だ」と多職種連携の必要性を強調。 JACDS会長の塚本厚志氏も「薬剤師の業務負荷が増すなか、DXやIT、AIを活用して業務を効率化し、患者さんとのカウンセリングに集中できる時間を確保することが不可欠だ」と語り、テクノロジーを活用した現場対話の重要性を訴えた。 予防・未病領域:DX×専門職で実現する「攻めの予防医療」 水田氏 角谷氏 続いて、受診前の段階で適切な判断を行い、必要な医療へつなぐトリアージ機能と、食事面からのアプローチが紹介された。 株式会社新生堂薬局代表取締役社長の水田怜氏は、処方箋がなくても気軽に相談できる場を「ヘルスケアステーション」と定義。独自開発した特許システム「健康台帳®」を活用したトリアージエンジンを紹介した。全相談件数41,362件のうち、医療機関受診が必要なレベル(Red Flag)を0.6%検出するなど高い精度を実証。知識不足による不要な受診勧奨を防ぎ、根拠を持った受診提案やOTC医薬品の推奨を実現することで、客単価上昇や顧客離脱率の改善というビジネス成果も挙げている。「質の高い対話と適切なトリアージが、社会保障費の抑制と企業収益の両立を可能にする」と手応えを示した。さらにJACDSとしても「受診勧奨ガイドライン」を作成し、全国の店舗を「健康生活拠点」として標準化していく構想が語られた。 株式会社トモズ代表取締役社長の角谷真司氏は、スーパー「サミット」等と共同展開する健康相談コーナー「けんコミ」の事例を発表。1店舗に管理栄養士2人を常駐させ、1日平均で測定312回、カウンセリング27回といった高い利用実績を挙げている。さらにアプリによるデータ管理と栄養アドバイスを連携させ、専門性を生かした売り場づくりとリピート率向上を両立させている。 また、角谷氏はJACDS管理栄養士委員会委員長として、ドラッグストアにおける管理栄養士のさらなる活躍に向けて「ドラッグストアにおける管理栄養士の実態調査」を実施。企業側へのアンケート調査と管理栄養士本人へのヒアリング調査の両面から現場の課題を抽出しており、認知度向上策や教育、好事例の収集などを通じて、業界全体での「ドラッグストアにおけるあるべき管理栄養士像」の確立と環境整備を進めていることが報告された。 コンビニエンス(利便性)の追求:生活に溶け込む身近な存在へ 日常の生活導線上にあるドラッグストアだからこそ提供できる、「食」も含めたワンストップな利便性の追求が語られた。 塚本氏は、ドラッグストアの成長軸として「簡便性(利便性)」「コストパフォーマンス(ディスカウント性)」「ヘルス(健康・美容)」の3要素を提示。「単に便利なだけでなく、顔を見て名前で呼び合えるような心理的な近さと信頼関係を築き、真っ先に選ばれる存在であり続けることが重要だ」と述べた。 これを受け、杉浦氏は「地域住民や高齢者がワンストップで生活を完結できるよう、中食・総菜分野の強化を進めている」と説明。現在、セントラルキッチンで作られた惣菜・お弁当の店舗導入を拡大(中部34店舗・関西14店舗の計48店舗)しており、今後は協業している株式会社トライアルホールディングスからの商品提供を受けながら、供給エリア(関東・中部・関西)や商品ラインナップを大きく拡大し、日常の「食」と「健康」の提案をより身近に広げていく姿勢を示した。 サクセスフルエイジングとライフステージへの寄り添い:人生に寄り添う「ライフストア」へ 鶴羽氏 年齢を重ねることを前向きに捉える「サクセスフルエイジング」の概念と、顧客の生涯にわたって関わり続ける店舗づくりが提示された。 塚本氏は「サクセスフルエイジングの基盤は日々の健康生活にある。食事や運動、セルフメディケーションを通じて個々が体調を整える努力をする社会を目指すことが、持続可能な社会保障制度を支える」と力説した。 また、ウエルシアホールディングス株式会社との統合を進める株式会社ツルハホールディングスの鶴羽氏は「私たちが目指すのは『ライフストア』というビジョンだ。特定の店舗形態を指すのではなく、乳幼児のおむつから介護・終末期まで、お客様の人生のあらゆる変化に地域密着で寄り添う存在でありたい」と力強く語った。 女性の健康とビューティー:フェムケアで広がる新たな専門性 初鹿氏 ヘルスケアとビューティーの両面から女性の健康をサポートする「フェムケア」の最前線について、より踏み込んだ発表が行われた。 マツキヨココカラ&カンパニーグループ・株式会社MCCマネジメント執行役員の初鹿妙子氏は、思春期・成熟期・更年期・老年期と変化するライフステージにおいて、女性ホルモン「エストロゲン」が心身の健やかさをつなぐ重要な鍵であることを解説。エストロゲンは、肌のハリ・弾力や豊かな髪といった「外面の美しさ」だけでなく、自律神経の調和・質の高い睡眠・血管の柔軟性や骨密度の維持といった「内面の健やかさ」にも深く関わっている。 初鹿氏は「女性のサクセスフルエイジングには美と健康の両面を捉えることが不可欠だが、『相談してもいいと気づいていない』『どこで相談できるか分からない』『自分に合った商品に辿り着けない』女性が非常に多い」と問題意識を指摘。 同社ではその解決策として、薬剤師・医薬品登録販売者・管理栄養士・ビューティースペシャリスト等を対象とした社内認定制度「フェムケアスペシャリスト」を育成・配置し、ドラッグストアを誰もが気軽に相談・解決できる場へと変革している。さらに、自社女性従業員向けに「プレコンセプションケア支援(20〜40歳代の葉酸含有サプリ購入補助)」や「更年期ケア支援(40歳以上のエクオール含有サプリ購入補助)」といった健康支援プログラムを展開。「スタッフ自身が実体験を通して理解を深めることで、店頭でのリアルで説得力のある提案へと繋がる。『あのとき知っていればよかった』という後悔をなくす取り組みを広げたい」と締めくくった。 ドラッグストアで描くこれからのキャリア 今回のパネルディスカッションを通して見えてきたのは、単に「薬を渡す場所」を超えて、DX技術を活用した高精度なトリアージ、管理栄養士や他職種とのチーム医療、フェムケアなどの専門的アプローチ、そして人生のあらゆる場面に寄り添う「ライフストア」へと進化するドラッグストアの姿だ。 これからのドラッグストア薬剤師には、調剤スキルはもちろんのこと、患者さんの生活空間全体を捉える視点や、多職種と連携して「予防〜医療〜介護」をシームレスにつなぐリーダーシップが求められている。就職活動や実習の場でも、ぜひ「これからのドラッグストアが果たす地域役割」に注目してみてほしい。
- クオールHDが「UMU」のAIワークショップを導入! 育成担当者がAIエージェント構築までを実践
ユームテクノロジージャパン株式会社は2026年8月4日、実践型AIリテラシー学習プログラム「UMU AILIT」のハンズオンワークショップを、クオールホールディングス株式会社(以下、クオールHD)へ提供したことを発表した。当日はクオールHDおよびグループ各社の教育担当者から役員層まで計24人が参加し、生成AIの基礎から実務に即したAIエージェントの構築までを体系的に学んだ。 導入の背景と決め手 多くの企業で生成AIが「導入されて終わり」となり現場に定着しない課題がある中、研修や人材育成の現場でも指導人員や時間の不足が深刻化している。こうした課題に対し、調剤薬局事業を軸に展開するクオールHDは、育成担当者自身がAIを使いこなして研修作成を効率化するアプローチを選択した。 クオールHDでは、すでに学習プラットフォーム「UMU」をグループ内で約8,500アカウント利用している実績があった。さらに今回は、200本以上の学術論文に基づいた信頼性の高いコンテンツや、AIからその場でフィードバックを受けながら試行錯誤できる実践的な学習設計が高く評価され、導入へと至った。 ワークショップの内容と成果 全2回にわたり対面で実施されたプログラムの初日には、参加者はAIリテラシーの基礎を修得し、独自フレームワーク「RSTCC」を使ったプロンプト設計とAIによる即時フィードバック付きの対話演習を行った。2日目には効果的な研修設計の考え方を学んだうえで、自社の業務に合わせた専用のAIエージェントを実際に構築した。 実施後のアンケートでは、参加者の95%が「今後もAIツールを業務で活用したい」と回答し、84%が自社業務向けAIエージェントの構築を達成する大きな成果が得られた。 受講者からは実務に直結した内容でやり方を見直すきっかけになったという声や、応用場面の広さを実感したという反響が寄せられた。また、クオールHDの常務取締役である長沼未加氏も、今回のワークショップを通じて育成や研修業務の可能性が大きく広がる手応えを得られたとしたうえで、今後は学んだ内容を現場業務で生かし、グループ全体の人材育成をさらに進化させていきたいと期待を寄せている。
- 【城西大学薬学部】がん患者と家族のためのレシピサイト「cojimiru」を開設
城西大学薬学部は、がん患者とその家族に向けたメニューサイト「cojimiru」を公開した。 同サイトは、2018年から継続されている「がん患者さんのためのメニュー開発」プロジェクトの成果をまとめたアーカイブサイトである。当初は医療栄養学科の取り組みとしてスタートしたものの、現在では薬学科、薬科学科、医療栄養学科の3学科が連携する多職種連携教育プログラムへと発展を遂げている。 患者の身体と家族の食卓によりそう工夫 サイトに掲載されているレシピは、実際に闘病中のがん患者の症例をもとに開発されたものである。がん化学療法に伴う味覚障害や口内炎、食欲不振、吐き気といった副作用や体調の変化に対応しており、苦味や金属味を感じるときでも食べやすい工夫や、食欲がないときに少量で効率よくエネルギーを補給できる工夫が凝らされている。 さらに、薬剤師や管理栄養士の視点から、抗がん薬と食品の相互作用にも十分な配慮がなされている。患者本人の食べやすさや栄養面を追求するだけでなく、同じ食卓を囲む家族も一緒においしく食べられるメニューとなっている点が大きな特徴である。 閲覧者は自身の体調や好みに合わせてスムーズにレシピを検索できる構成となっており、「味覚変化」「吐き気」「食欲不振」といった症状や悩みからの検索に加え「主食」「主菜」「副菜」といったメニュー種別からの検索にも対応している。 3学科混成のグループにて検討、試作を行う 3学科の専門性と強みを生かした多職種連携 同プロジェクトの核となっているのが、薬学部の持つ3学科の専門性を融合させた教育体制である。それぞれの学科が果たす役割と専門性は以下の通りである。 医療栄養学科(管理栄養士養成) 食と栄養の専門家として、患者の症状や食べやすさ、嗜好に配慮した栄養バランスの良い献立を作成する。さらに実際の調理や栄養価計算、試作検討を担当している。 薬学科(6年制・薬剤師養成) 医療薬学の専門知識を生かし、がん化学療法による副作用の発生メカニズムや症状を詳細に調査する。使用食材と処方薬(抗がん薬など)の飲み合わせに問題がないか、薬学的視点から確認を行う。 薬科学科(4年制・創薬および生命科学研究) 創薬科学や生命科学の知見に基づき、食品成分と医薬品の相互作用について科学的根拠を調査・検証し、レシピの安全性と有効性を裏付ける。 学問の垣根を越えたチームによる開発工程 14回目を迎えた今回のレシピ開発では、薬学科4年生と薬科学科・医療栄養学科の1〜4年生が学科横断の混成グループを結成。学生たちは症例に応じた1日分の献立を考案し、以下のプロセスを経てレシピを作り上げた。 副作用・症状の調査: がん化学療法による副作用を調査し、食事面での課題を抽出する。 メニュー考案・栄養計算: 医療栄養学科が中心となり、栄養バランスと食べやすさを両立した献立を作成する。 相互作用・エビデンス確認: 薬学科および薬科学科が、食材と医薬品の飲み合わせや科学的根拠をチェックする。 試作・試食検討会: 実際の調理を行い、味付け、彩り、硬さや温度などの食べやすさを学生と教員で評価・改良する。 レシピ公開: 管理栄養士資格を持つ大学院生や、薬剤師・管理栄養士の資格を持つ教員による最終確認を経てサイトへ掲載する。 また、同プロジェクトには那覇市立病院の管理栄養士や、みよの台薬局の薬剤師・管理栄養士など、実際の医療現場で活躍する専門家も協力しており、教育現場と臨床現場の知見を融合させることで、きわめて実践的で信頼性の高い内容が担保されている。 医療の未来を担う人材育成と今後の展開 超高齢社会や医療技術の高度化に伴い、医療現場では単一の専門性だけでなく、異なる職種と協働して課題を解決する「多職種連携」の力が強く求められている。同プロジェクトは、食、薬、生活という多面的な視点から患者の健康を支える力を養う教育プログラムとして、人生100年時代を支える医療人材の育成に寄与している。 同サイトでは、今後も学生たちが情熱を傾けて開発した新たなレシピを順次追加し、更新していく方針である。 関連リンク: がん患者とその家族のためのメニューサイト『cojimiru』
- 第26回JAPANドラッグストアショー 来場者数速報
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会主催による「第26回JAPANドラッグストアショー」が、2026年7月31日から8月2日までの3日間にわたり、東京ビッグサイトにて開催された。「セルフメディケーションによるドラッグストアの未来像 ~NEXT25~」をテーマに掲げた今回の開催では、連日多くの来場者が詰めかけた。 会期3日間の総来場者数は112,989人を記録し、前年度実績(99,510人)を13,479人上回る結果となった。 日別の来場者数および前年度実績との比較は以下の通りである。 7月31日(金・商談日) 来場者数:29,841人(前年度実績:26,969人) 8月1日(土・商談日/一般公開日) 来場者数:38,643人(前年度実績:31,418人) 8月2日(日・商談日/一般公開日) 来場者数:44,505人(前年度実績:41,123人) 全ての日程において前年度の動員実績を上回り、ドラッグストア業界およびセルフメディケーションに対する関心の高さを印象づける開催となった。
- 第26回JAPANドラッグストアショーが開幕
2026年7月31日、東京ビッグサイトにて「第26回JAPANドラッグストアショー」のオープニングセレモニーが挙行された。会場には朝から多くの業界関係者や来場者が集まり、熱気であふれていた。 主催者を代表して登壇した日本チェーンドラッグストア協会会長の塚本厚志氏は、冒頭で直前に発生した熊本地震の犠牲者へ悼みの意を示し、被災者へのお見舞いを述べた。その上で「ドラッグストア業界は2030年に13兆円の売上高が期待されている。我々は『NEXT25』を見据え、世界中の人々のウェルビーイングに貢献する産業を目指して挑戦を続けていく」と力強く宣言。さらに「実りある3日間を通じ、出展者の皆様が『出展してよかった』と思えるような会にすることをお約束する」と熱い意気込みを語った。 続いて登壇した実行委員長の尾池勇紀氏は、今回のテーマ「セルフメディケーションによるドラッグストアの未来像~NEXT25~」に込めた思いを語った。自身が38歳であることに触れ「2050年には62歳。自分事としてこのテーマを考えている。次の25年はAIの普及により、ビジネスも生活環境も一変する」と変化のスピードを強調。その一方で人口減少や少子高齢化といった社会課題に言及し「人にまつわる課題はテクノロジーだけでは解決できない。しかし、この業界が持つポテンシャルを発揮できれば、1歩ずつ解決できる。誇張ではなく、ここにいる全員が力を合わせれば『世界を変えられる』と信じている」と、業界の未来に向けた並々ならぬ情熱を露わにした。 防災啓発と被災地への募金活動を展開 セレモニー後のパネルディスカッション前には、同協会防犯・有事委員会委員長の石田岳彦氏が登壇し、令和8年熊本地震に対する支援体制と防災活動について報告を行った。 石田氏は「健康に尽くし、生活の糧になることが我々の大きな使命である」と語り、すでにドラッグストア各社から現地へ熱中症対策商品などの支援物資が出荷されている現状に言及した。さらに、熊本県や国(経済産業省)からの支援要請に基づき、JACDSとしても今後同様の支援をしっかり行っていくことが理事会でも確認されていると明かした。 あわせて、東日本大震災から10年以上の節目としてリニューアルされた「備蓄啓発パンフレット」の周知を図るとともに、日本赤十字社を通じた被災地支援の募金活動を開始したことを発表。会場内の協会ブースやレセプション会場に募金箱が設置されるほか、加盟各社でも8月末を目途に募金活動が展開される予定である。
- 大阪医科薬科大学病院が「令和8年熊本地震」の被災地へDMATを派遣
大阪医科薬科大学は2026年7月31日、7月28日に発生した「令和8年熊本地震」の被災者支援に向け、大阪医科薬科大学病院の災害派遣医療チーム(DMAT)を現地に派遣すると発表した。今回の派遣は、厚生労働省DMAT事務局から大阪府を経由した要請に応じるものである。 派遣隊員は医師2人、看護師2人、調整員2人の計6人で構成される。派遣にあたっては、8月1日、12時30分より出発式が行われる予定である。 隊員の活動期間は8月2日から5日までとなっている。熊本県南活動拠点本部(熊本労災病院内)に参集し、現地での医療救護活動などに従事する見込みである。
- 新薬が日本に届かなくなる?製薬協が語る「イノベーション評価」と「日本の薬価・市場の課題」
宮柱氏 日本製薬工業協会(製薬協)は2026年7月30日、都内で会長会見を開催し、今般閣議決定された「骨太の方針2026」および「日本成長戦略会議」の決定事項に対する同協会の見解と今後のビジョンを発表した。 骨太の方針2026:新薬のイノベーション評価と薬価制度の課題 7月21日に閣議決定された「骨太の方針2026」について、会長の宮柱明日香氏は「国民の健康と命を守り、日本経済の成長と競争力に貢献するための内容が幅広く反映された」と高く評価した。 特に同方針には、米国における「最恵国待遇(MFN)価格政策(※他国で取引されている最も安い薬価と同等まで自国の薬価を引き下げようとする政策傾向や議論)」をはじめとする諸外国の動きを踏まえ、革新的な医薬品が日本で迅速に発売(上市)される環境整備を進めることが明記された。さらに、初収載時における適切な価値評価や、特許期間中の薬価の在り方(売上が伸びた薬の価格を下げる『市場拡大再算定』や『持続可能性特例価格調整』の見直しなど)、費用対効果評価制度の再検討を通じて、新薬のイノベーションを正当に評価する方向性が示された。 宮柱氏は、今後の薬価改定や制度改革に向けて「革新的な新薬の価値を十分に評価できる制度設計について、さらに議論を深めていきたい」と語った。 日本成長戦略会議:官民投資64.1兆円規模のロードマップ 日本成長戦略会議のワーキンググループに構成員として参加した宮柱氏は「医薬品産業は国民の生命と健康、経済成長、安全保障を支える国家の基盤である」との認識を一貫して訴えてきた。今回の会議で取りまとめられた「官民投資ロードマップ」では、「創薬・先端医療」および「合成生物学・バイオ」の2領域において、2040年までに累計約64.1兆円の官民投資規模が掲げられた。これは全17の戦略領域の中で、AI・半導体に次ぐ2番目の規模となる。 製薬協の試算によると、諸外国の薬価抑制リスクに対して「薬価制度の見直しや成長投資、MFN等の制度変化への適切な対応」を行った場合、何もしなかった場合と比べて2040年時点で年間12.8兆円の経済価値(粗付加価値)が生み出され、106万人の雇用創出が見込まれるという。また、乳がん・認知症・メンタルヘルスの3疾患を対象とした健康増進による生産性向上効果も、2.7兆円に上ると推計されている。 事業戦略本部長の榊原由紀子氏は、この「12.8兆円の経済効果」の内訳について補足説明を行った。制度改革や成長投資を行わず、海外の薬価抑制リスクを放置して新薬の60%が日本に入ってこなくなった場合、日本の製薬市場は「マイナス4.2兆円」の打撃を受ける。一方で、適切な対応を取って日本市場の魅力を高め、順調に市場が拡大した場合は「プラス8.6兆円」となる。両者の差額を計算すると、実に「12.8兆円分」もの大きな成果(価値の底上げ)を生み出すことになるという。 国際的な薬価リスクへの対応と「市場の魅力度」の本質 海外の薬価引き下げ政策に伴うリスクへの対応について、事業戦略本部MFN TFリーダーの赤名正臣氏は「単なる一産業の薬価の問題ではなく、これまで米国が過度に負担していた創薬イノベーションのコストを、各国の経済力に応じて相応に負担し合おうという議論である」と解説した。 背景には、膨大な新薬開発費の多くを薬価の高い米国市場が実質的に支えてきたグローバル構造がある。米国が「他国並みに薬価を下げる(MFN政策)」と主張し始めたことで、日本をはじめとする先進国も自国の経済力に応じた相応の価格(イノベーションのコスト)を負担し、世界全体で創薬を支え合う姿勢が求められている。赤名氏は、海外動向の把握や厚生労働省などの関係省庁との連携を進め、日本の患者に革新的な新薬を迅速に届ける体制の維持を目指すと述べた。 また、製薬企業が投資先を選ぶ指標となる「市場の魅力度」の定義について問われた宮柱氏は「日本の一番の強みは、国民皆保険制度のもとでのアクセス(患者が必要な医療にかかれることや、公的保険の適用によって新薬がすばやく使える環境)」であると強調した。単に薬価の水準(価格の高さ)のみを指すのではなく、優れた新薬が患者に届きやすい医療環境全体が、日本市場の魅力度を形成しているとの見解を示した。 持続可能な社会に向けた今後の取り組み 宮柱氏は最後に「誰もが必要な医療にアクセスできる持続可能な社会の実現を目指し、研究開発投資の継続、国内製造基盤・人材育成・医療DXの強化に取り組む」と強調した。今回示された方向性を具体的な政策・制度へと落とし込み、実行に移すべく、今後も官民一体となった協議を継続していく姿勢を示した。
- ツルハ×ウエルシア統合シナジーを発信!第26回JAPANドラッグストアショーで管理栄養士・PB商品をアピール
ツルハホールディングスは、2026年7月31日から8月2日まで東京ビッグサイトで開催される「第26回JAPANドラッグストアショー」への出展を発表した。 本出展は、ウエルシアホールディングスとの経営統合後、初となる。両グループが培ってきた専門性やノウハウを融合させ、「健康」「美容」「セルフメディケーション」の領域における新たな統合シナジーとグループ価値を発信する狙いがある。 主な出展内容 今回の出展では、専門人材による提案や体験型コンテンツを通じ、来場者の健康と豊かな暮らしをサポートする以下の企画が用意されている。 管理栄養士による健康提案セミナー ツルハグループ・ウエルシアグループ双方の管理栄養士が登壇する。日常生活に取り入れやすい健康習慣や栄養管理について、専門的な視点から実践的な情報を分かりやすく解説する。 ビューティーセミナー ビューティアドバイザーがスキンケアや季節に応じたケア方法などを紹介し、美と健康の両面からアプローチする。 PB(プライベートブランド)展示 ツルハグループのPB商品を展示する。商品開発におけるこだわりや品質への取り組みを直接確認できる機会となる。 来場者参加型イベント 楽しみながら健康やセルフケアへの理解を深められる体験コンテンツを提供する。 開催概要 項目 詳細内容 展示会名 第26回JAPANドラッグストアショー 会期 2026年7月31日(金)~8月2日(日)10:00~17:00 ※7月31日は商談日のため一般入場不可 会場 東京ビッグサイト 東展示棟 ブース位置 東3ホール ヘルスケアゾーン 主催 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS) 経営統合を経た両社は、専門人材の連携やヘルスケア提案力の強化、商品開発力の向上を進めている。本展示会を通じてその取り組みを広く伝え、地域社会の健康と生活を支える企業グループとしてのさらなる成長を目指す方針である。
- 【熊本大学】地震発生に伴い採用担当者へ配慮を要請——書類締切の延長やオンライン面接への切り替えなど求める
熊本大学は令和8年7月30日、地震の発生を受けて、企業の採用担当者に対し同大学の学生に対する就職・採用活動上の配慮を求める文書を発表した。 地震の影響を受け、同大学では不測の事態に鑑みて現在全学休校の措置を講じている。学生の中には避難や交通網の断絶、通信障害などにより、通常の就職活動を行うことが困難な状況が生じている。 企業へ提示された配慮の具体的な要望内容 大学側はまず、避難や交通麻痺等によって書類提出が遅れる場合に対し、期日の猶予や個別対応といった柔軟な措置をとるよう求めている。 また、予定されていた面接や選考試験への参加が困難な学生に対しては、日程の変更やオンライン面接への切り替え等を検討することを依頼している。 あわせて、災害の影響によって連絡や手続きに遅れが生じたとしても、それによって学生が不利益を被ることがないよう配慮を強く呼びかけている。 現在、熊本大学ではキャリア相談を含めた学内業務を一時停止または限定運用としている。そのため、企業からの問い合わせに対する回答には時間を要する場合があるとして、理解を求めている。 【問い合わせ先】 熊本大学学生支援部就職支援課 〒860-8555 熊本市中央区黒髪2丁目40番1号 TEL:096-342-2119 E-mail:gas-syuki※jimu.kumamoto-u.ac.jp(※を@に変更)
- 小さな“科学者”たちが身近な不思議に挑戦!京都薬科大学で夏恒例の理科実験講座「身近な夏の不思議体験 2026 イン山科」を開催
京都薬科大学は2026年7月26日、地域の小学生95人を対象に理科実験講座「身近な夏の不思議体験 2026 イン山科」を開催した。 今年で15回目を迎えた同講座は、地域の市民組織「山科区『はぐくみ』ネットワーク実行委員会」がボランティアで運営に参画しており、子供たちが理科に興味を持つきっかけづくりや、地域社会とのコミュニケーション・つながりを育むことを目的として毎年実施されている。今年度は4月に供用が開始されたばかりの新校舎「飛翔館」の実習室で行われ、募集定員を超える多くの参加者が集まる夏休みの恒例イベントとなっている。 科学者気分を味わう本格的な実験体験 参加した山科区内の小学4〜6年生は白衣を着用し、大学の実習室という高度な設備環境の中で約90分間の実験に臨んだ。 今年度は「普段不思議に感じることを、身近なものを使って調べる」をテーマに、「ヨウ素デンプン反応」に着目した2つの実験が展開された。 1. デンプンをうがい薬で調べよう 「もち米」と「うるち米」の構造の違い(アミロースとアミロペクチン)を、ヨウ素を含むうがい薬を用いたヨウ素デンプン反応によって観察・確認した。また、ポテトチップスなど身近なお菓子や食品にもデンプンが含まれているかを調べ、「なぜ色が変わるのか」「食品によって反応が違うのはなぜか」を自ら予想しながら科学的な視点に触れた。 2. 電気の力で紙に字を書こう デンプンとヨウ化カリウムを含んだ水溶液を浸み込ませた紙に電気ペンでなぞり、電気分解で生じたヨウ素とデンプンが反応して文字や絵が浮かび上がる仕組みを体験した。最初はその現象を不思議がっていた子供たちも、前半で学んだヨウ素デンプン反応の応用であることを知ると驚きを見せ、理科や科学の面白さを深く実感する機会となった。 同講座を通して、身近な題材から「学び」そのものへの関心を高めるとともに、子供たちと地域の大人があたたかく交流する豊かな時間が創出された。
- 【サノフィ】医療現場の「言語・文化の壁」を考える高生・大学生向けサマープログラムを開催―2026年8月21日実施
サノフィ株式会社が、医療や製薬業界に関心を持つ高校生および大学生を対象とした夏休み特別授業「医療の未来を考える高校生・大学生サマープログラム― 外国人患者の言葉と文化の課題。患者を支える仕事を学ぼう ―」を2026年8月21日に開催する。 400万人を超えた在留外国人――医療現場で直面する「言葉と心のギャップ」 出入国在留管理庁の発表によると、2025年末時点の在留外国人数は412万5,395人に達し、前年末から9.5%増加して初めて400万人を突破した。この急激な社会の変化に伴い、医療現場における言語や文化の違いによるコミュニケーション上の課題が深刻化している。 日本語を母語としない患者にとって、医療専門用語や日本語特有のオノマトペによる痛み・症状の表現を理解し、正確に伝えることは容易ではない。さらに、宗教や生活習慣、医療に対する価値観の違いが、医療者との間に認識のずれを生じさせ、最適な医療の提供を阻む要因となるケースも存在する。 同プログラムは、こうした日常で気づきにくい社会課題にスポットをあて、受講者が将来ヘルスケアに携わる立場として何ができるかを深く考案する機会を提供する。 主なプログラム構成 当日は講義やパネルディスカッション、ワークショップを通じて多角的な視点から学びを深める構成となっている。 パネルディスカッション 医療×「やさしい日本語」研究会の武田裕子氏、全国医療通訳者協会NAMIの森田直美氏に加え、サノフィの外国籍社員や多言語資材制作担当者が登壇。現場で起きている課題や当事者視点での工夫について議論を交わす。 ワークショップ 武田氏およびイ・ティンザ・キン氏の指導のもと、言語マイノリティが直面する壁を体験・理解し、伝わる表現(やさしい日本語)や解決に向けたアイデアを考える。 ジョブアドベンチャー(仕事紹介) サノフィ現役社員が、新薬の研究開発から承認、発売、患者への情報提供に至る一連の業務を紹介する。製薬企業の役割や多様なキャリアパスへの理解を深める内容となっている。 開催概要・応募方法 項目 詳細 イベント名称 医療の未来を考える 高校生・大学生サマープログラム ― 外国人患者の言葉と文化の課題。患者を支える仕事を学ぼう ― 日時 2026年8月21日(金) 13:30~15:45 会場 サノフィ株式会社(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー47階) 対象・定員 高校生および大学(学部)在籍生 30人(参加費無料・応募多数の場合は抽選) 応募期間 2026年7月30日(木) 10:00 ~ 8月9日(日) 23:59まで 当選連絡 2026年8月11日(火)頃までにメールにて通知 応募フォーム 申し込み専用フォーム 問い合わせ先 サノフィ株式会社 サマースクール事務局(WeVolunteerJapan@sanofi.com) サノフィの取り組みと理念 サノフィは、医療アクセスの格差解消を目指す世界的イニシアチブ「A Million Conversations(AMC)」を推進しており、歴史的に支援が届きにくかった人々へのインクルーシブなヘルスケア環境の構築に注力している。また、同社の持続可能なCSR活動は高く評価されており、2024年には中高生向け特別授業等の取り組みが第10回企業ボランティア・アワードで「大賞」を受賞した。 ヘルスケアの未来や製薬企業の社会的役割に触れ、現場のリアルな課題と向き合う同プログラムは、医療分野を志す学生にとって貴重な学びの場となるに違いない。
- 薬学生の健康と学びを支える「100円朝食・低価格メニュー」の現状と展開
イメージです 近年の物価高騰や生活費負担が増す中、全国の大学で「100円朝食」をはじめとする低価格メニューの提供が行われている。ここでは、薬学部に焦点を当て、その実施状況や導入効果などについて紹介する。 低価格メニューが提供される背景と目的 薬学部における講義や実習、実験、国家試験対策といった多忙な日常を乗り切るためには、朝食を通じた脳の活性化と生活リズムの定着が不可欠である。一人暮らしの学生を中心に懸念される朝食抜きの欠食傾向を防ぎ、偏りがちな食生活の栄養バランスを整えるとともに、食材費や生活費が高騰する中で格安の食事を提供して学生の経済的負担を緩和することが、低価格メニュー導入の主な目的となっている。 薬学部設置校における実施状況 薬学部(全78校)の実施状況を集計したところ、私立大学(60校中42校/70.0%)、国公立大学(18校中12校/66.7%)ともに高い割合を示し、全体として約7割にあたる54校で100円朝食をはじめとする低価格メニューや限定的な無料提供などの実績が確認された(過去に実施していた大学も含む)。この結果からも、薬学生の食生活や健康面を支える施策が全国の大学で広く定着していることがうかがえる。 実証されている導入効果と「学生の声」 100円朝食等の導入効果については、九州共立大学や立命館大学などの事例において「遅刻の減少」や「単位修得率の向上・退学防止」への寄与が統計的・客観的に実証されている。 こうしたエビデンスに加え、アンケート調査等を通じて寄せられる「学生の声」からも、生活面や精神面における具体的かつ高い導入効果が浮き彫りとなっている。 例えば、欠食率の低減に関しては「一人暮らしを始めてから朝食を抜きがちだったが、100円で食べられるようになって毎日食べる習慣がついた」といったような声が見られた。 また、出席率やモチベーションの向上については「朝食を食べるために自然と早く起きるようになり、1時限目の授業に遅刻せず出席できるようになった」といった意識の変化がうかがえた。 さらに、キャンパス生活への定着という点でも「朝から友人と食堂で顔を合わせることで規則正しいリズムが作れ、モチベーションを維持して講義や研究に臨めている」という意見が寄せられている。食を通じた学生同士の交流や生活リズムの調整が、学業への意欲向上に確実に結びついていることが理解できる。 各大学における特徴的な取り組みと支援主体の枠組み 単なる朝食提供にとどまらず、現場では各大学のニーズに応じた独自の工夫が展開されている。 例えば東京薬科大学では、後援会の助成金などを活用した支援が定着しており、近年の物価高騰に対しては価格を150円(応援朝食)に改定するなど、取り組みを途絶えさせず持続させる柔軟な運用が見られる。 また、神戸学院大学では教育後援会と大学の助成により、朝食のみならず「200円夕食(ナイトメニュー)」の提供実績もある。遅くまで研究室での実験や国家試験対策を行う薬学生にとって、夜間の手頃な食事支援は非常に重宝されている。 こうした低価格メニューの運営費は、大学予算のみならず多様な団体のバックアップによって成り立っている。薬学部以外における事例として、埼玉大学などで見られる「企業協賛型モデル」では、地元企業からの協賛金によって安価な食事を提供すると同時に、朝食時に企業のPRや業界研究の機会を設けるという、相互にメリットのある仕組みが構築されている。 おわりに 薬学部における「100円朝食・低価格メニュー」は、過密なカリキュラムや研究に励む薬学生の健康維持と学業定着を促す、極めて実効性の高いインフラとなっている。 物価高騰という厳しい環境下にあっても、大学・生協・保護者・卒業生・企業が一体となって持続可能な支援体制を維持していくことが、未来の医療や薬学を担う学生たちの学びを支える鍵となるだろう。











