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6年制薬学部の危機:全国平均で定員未達

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入学定員充足率89.9%の現実

文部科学省の「薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果」は、薬剤師養成を担う高等教育機関の厳しい現実を突きつけている。かつて人気を誇った薬学部だが、その基幹である6年制学科のデータは、全国レベルでの需要の冷え込みを明確に示した。

2025年度の6年制薬学部の入学状況は、危機的な数値を記録した。入学定員11,627人に対し、入学者数は10,560人に留まり、充足率は89.9%となった。これにより、全国の6年制薬学部の合計では定員未達の状態にあることが判明した。実質入試倍率も2.1倍であり、競争が激しい一部の学部を除けば、多くの大学で入学の門戸が広がりすぎている状況を示している。このデータは、受験生が特定の競争力の高い大学に集中する一方で、多くの薬学部が学生確保に苦しんでいる「二極化」の現実を裏付けている。


入学後の試練:卒業率67.7%が示す「出口管理」

薬学教育の厳格さは、入学後の修学状況データに明確に示されている。入学競争が緩和された状況とは裏腹に、大学側は厳格な「出口管理」を徹底している実態がある。2019年度入学生の6年次までのストレート卒業率(6年制学科合計)は67.7%に留まり、入学した学生のうち約3人に1人が規定の年数で卒業できていないことを意味する。この「卒業の厳しさ」は、特に学生確保に苦しむ大学にとって、生き残りのための不可欠な戦略となっている。厳しい進級・卒業基準を維持することで、学力に満たない学生をふるい落とし、教育の質を保証しようとする大学の強い意志の表れである。


競争の軸足は「合格保証」へ:ストレート合格率58.8%

この厳しい選抜を経て卒業した学生の成果は、最も厳格な指標である「ストレート合格率」に集約される。2019年度に入学した学生が、6年で卒業し、かつ国家試験に合格できた割合(ストレート合格率)は、58.8%という厳しい数値となった。この数字は、入学時点では約4割の学生が薬剤師になれない現実を意味する。

しかし、この厳格な選抜プロセスこそが、大学が「出口の質」を維持するための武器となっている。卒業率の低さ(67.7%)は、新卒の合格率を高めることを目的とした裏返しであり、その結果、2025年(第110回)国家試験の新卒者における受験者ベースの合格率は85.0%という高い水準を記録している。このことから、薬学部の競争の軸足は、もはや「どう入学させるか」から、「卒業させて国家試験に合格させるか」という出口管理の基準に大きく移行していると言える。





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