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  • 地域医療の未来をひらく! 日本薬剤師会とファルモが仕掛ける薬局DXの新基盤「N-Bridge」

    公益社団法人日本薬剤師会(日薬)と株式会社ファルモは、全国の薬局・薬剤師のDX推進と、地域医療提供体制の強化を目指し、新たなデジタル基盤サービス「N-Bridge(エヌ・ブリッジ)」および医療機関設置型処方箋情報送信端末「NB Station」の開発・提供に向けた連携を開始した。 高齢化と人材不足が深刻化する中、地域医療における薬局と薬剤師の役割は増す一方だ。日薬は、薬剤師が専門性を最大限に発揮できる環境整備を急務と捉えており、今回のファルモとの連携は、そのデジタル基盤整備の「中核となる解決策」として位置づけられている。 薬局業務を革新するオールインワンDXパッケージ「N-Bridge」 「N-Bridge」は、薬局DXに不可欠な機能をワンパッケージに集約した基盤サービスである。 主要機能として、複数の経路からの処方箋情報を一元管理する「処方箋ポータル」、採用薬情報共有、電子お薬手帳、オンライン服薬指導などを搭載。さらに、医薬品発注など業務効率化に繋がる機能はオプションとして選択可能だ。 特に注目すべきは、「処方箋ポータル」の連携力の高さである。自社開発の「NB Station」に加え、日薬の「eお薬手帳3.0」、楽天ヘルスケア「ヨヤクスリ」、エムティーアイの「ルナルナ お薬手帳」「CARADAお薬手帳」など、多様な外部サービスとの連携を予定・調整中であり、これにより薬局はバラバラに届いていた処方箋情報を統合的に受け取ることができ、業務負担の大幅な軽減と迅速な医療サービス提供が実現する。 次世代の処方箋情報送信端末「NB Station」 医療機関に設置される「NB Station」は、電子処方箋の普及を見据えた、処方箋情報送信端末だ。 これは、従来のFAX送信機が抱えていた「管理の手間」や「電子処方箋への未対応」といった課題を解消するために開発された。東邦薬品が長年培ってきたFAX送信システムの技術を基盤とし、地域での処方箋データ連携のデジタル化を強力に推進する。 今後の展開:国民の健康を守る専門家へ 日薬とファルモは、「N-Bridge」と「NB Station」の提供を通じて、薬局・薬剤師のDXをさらに加速させ、地域医療提供体制の強化を担う。 このデジタル基盤は、薬剤師が単なる調剤業務に留まらず、「国民の健康を守る専門家」として、その能力を最大限に発揮できる環境づくりに大きく貢献するものと期待されている。日本の医療を支える重要な一歩として、今後の展開から目が離せない。

  • 失敗を恐れず、自ら道を拓く一薬剤師の挑戦

    株式会社メタルファーマンー代表取締役・薬剤師 川野義光 京都府を中心に薬局を展開する川野義光氏。薬局を独立した転機は先行きが不透明な店舗の再建だった。その後、黒字化のタイミングで独立し、現在は7店舗の薬局を運営するほか、在宅で過ごす患者さんの食の課題を解消するため、弁当製造事業を立ち上げている。また、地域の薬局と業務提携を結び、中小薬局でも一定の研修が受けられる体制を整備したり、自身が出資しYouTubeチャンネルを立ち上げ、薬剤師が活躍する姿を発信したりするなど、薬局業界に新風を吹き込んでいる。ここでは川野氏に地域医療や薬剤師に対する思いを聞いた。   ――大学ではどんな生活を送っていましたか。 大学では2つのことに取り組みました。1つがバンド活勃、もう1つがパチンコ。パチスロです。特にパチンコ・パチスロは、私の人生を大きく左右するものとなりました。パチンコ・パチスロは9割くらいのユーザーが負けるといわれています。残りの1割の人は、コンビニや書店で売っているパチンコ情報誌をもとに機種の研究・分析をして勝ち抜いています。ほとんどのユーザーは、情報誌が唯―の情報源であることを知っているにもかかわらず、それを活用しない、だから負けるのです。逆に言えば研究すればするほど、勝つ可能性が高まるのです。パチンコ・パチスロに限らず、やるべきことをしっかりやれば成功できるんだということを学びました。   ――成長する人って行動力がありますよね。逆に成長しない人はできない理由を探すみたいな。 そんな考えを持っていたので、就職先も企業で選ぶのではなく、そこで自分が何をしたいのかということを考えていました。 就職した薬局は、当時(2010年)から在宅医療に積極的に取り組んでいたこともあり、主に介護施設の薬剤管理を担当していました。施設の看護師とコミュニケーションを取るのは面白かったですね。看護師ってクセの強い人が多いんです。例えば処方箋を送ってくるタイミングは、薬局の閉店時間間際に送ってくるとか…、そういう人たちをいかに懐柔するかということを個人的な課題としてもっていました。課題を克服するために、看護師とたくさんコミュニケーションをとって自分の存在を知ってもらい、いい関係を築いていくことに力を注ぎましたね。その結果、働く環境もよくなっていきました。 その後、妻の出産などで何社か転職しましたが、最初に勤務していた会社の方から声がかかり、独立するという条件で、元にいた会社に戻りました。しばらく管理薬剤師として働き、その間、京都の西京極薬剤師会会長を1年間務めました。薬剤師会の会長として地域ケア会議などに参加した時、自分の考えが変わる出来事がありました。どの会議でも一人暮らしの高齢者のコミュニティーづくりが話題になっていたのですが、自宅で困っている高齢者がたくさんいることを知らせられたのです。それをきっかけに、個人の在宅に注力したいと思うようになり、社長にそのことを伝えたのですが、会社としては効率を考えたら、施設を優先させたいという回答でした。企業としては正解だし、それを否定する気はありませんが、私としては自分が思った課題に対して取り組みたいと思っていました。   ――独立の思いが強くなったのですね。 そんな話をしているうちに、たまたまM&Aした店舗を任されることになりました。会社からは1年半で黒字化したら譲渡するという条件を提示されましたが、応需先の病院が移転を機に売り出された薬局だったため、先行きが不透明な状況でした。最初の月は赤字でしたが、たまたま近隣にある眼科に行ったら院外処方にするという話をいただいたり、個人の在宅を積極的に受けたりして1年で黒字にすることができました。   ――独立したのはいつなのですか。 2017年です。黒字化が見えた時に、卸から薬局のM&A案件を紹介されたのですが、完全に独立するよで、その店舗は友人の薬剤師に任せ、独立してからその店舗をM&Aしたので最初は2店舗からのスタートでした。   ――薬局では珍しく弁当製造事業をはじめていますが、なにかきっかけがあったのですか。 週に4回くらい呼ばれる手のかかる患者さんとの出会いがきっかけでした。ごみが散乱した部屋を見渡すと、毎回同じ菓子パンの袋があり、よく見たら患者さんの口の周りにチョコンートが!患者さんは足も悪く、筋力も低下。食生活が悪いからこんな状態になったのだと思いました。初めのうちは、タンパク質をとっていただくため、コンビニ弁当を買っていましたが、できることなら、人が作ったものを食べさせてあげたいという思いが募ったのです。でも私は料理ができなかったので、いろいろ思いを巡らせていました。そうこうしているうちに患者さんの容態が悪くなり、施設に入ることになりました。 その患者さんとの関係はいったん終わったのですが、栄養状態の悪い患者さんはまだまだ地域の中にいるはず。そういった方たちを見つけて、サポートするにはどうしたらいいのか。その答えが弁当屋だったのです。   ――未知の分野に飛び込むのにためらいはありませんでしたか。 ゼロからのスタートでしたが、高齢者の栄養状態をよくしたいという思いが強かったですね。まずは管理栄養士を雇いました。そして私の弟が滋賀県で和食居酒屋を経営していたので、店長候補に研修に行ってもらいました。これでいけると思ったのですが、現実は厳しかったです。管理栄養士のンシピをもとに弁当を作るのですが、1度に50人分の料理を作ると、味が全然安定しないのです。でも試行錯誤をして何とか形にすることができました。これでオープンできるなと思っていたところ、料理人が腰のヘノレニアでリタイアしたのです。オープンまであと2週間の時のことでした。 ここで大きな決断を迫られました。私は大きい決断をする際は、進むか、とどまるか、戻るかの三択をします。やめることは考えていませんでしたし、料理人が復帰する可能性もありませんでしたので、自分でやろうと決めました。まずは、営業日を年中無休から週5日とし、メニューも日替わりではなく、例えば月曜日はカレ/― というように5種類に絞りました。そこから弁当屋に泊まり込んでYouhibeの料理チャンネノレ′ど見ながら料理の技術を磨き、何とかオープンにこぎつけることができました。オープンしたのは2021年3月です。   ――心が折れることはありませんでしたか。 新しいことをしたら大なり小なり失敗します。弁当屋は失敗続きだったのですが、目的が明確化されていたので、閉店することは頭の中にはまったくありませんでした。黒字化するのに1年半かかりました。 弁当屋をはじめて、あらためて薬局のビジネスモデルは強いなと痛感しました。弁当屋は薬局と違い、お客さんに選んでもらわないといけません。そして味を気に入ってもらってリーピートしてもらう。広告にもお金をかけましたし、味の改良、接客にも力を入れました。オープン前は独居の高齢者か、そのご家族をターゲットにしていましたが、地域の中には私たちを必要としている層があることが分かりました。それが小学生くらいのお子さんがいるお母さんです。地域のお母さんたちが集まるイベントに呼ばれた際に、「働きながら子供に食事をつくるのは難しい。でも子供には健康なもの食べさせてあげたい」という声を多く聞きました。 最初の半年は、私自身が弁当屋の環境を整備し、その後はスタッフに任せています。2023年10月に2店舗目をオープンする予定です。   ――地域の薬局と業務連携し研修体制(在籍型出向研修「マワレ」)を構築しているそうですが、その内容をお教えください。 さど調剤グノレープ(新潟県佐渡市)の薬剤師。光谷良太さんと、けやき薬局(福島県会津若松市)の馬場祐樹さんと連携して、それぞれの社員を出向させて、研修するというものです。出向期間は1~ 3週間、対象は薬剤師と医療事務です。相互で研修することでスタッフの視野が広がりますし、互いの企業のノIクハIンをシェアすることもできます。2023年2月からトライアノンを開始し、2024年4月に本格運用します。 このアイデアはいろいろな企業が考えていたと思うのですが、実現しているところはありません。ネックになるのがスタッフの引き抜きなんですね。だから連携できる企業は互いが尊敬していることが条件になります。そういう思いがあれば、仮に出向先にとどまりたいたいという申し出があっても、「頑張って行って来い」と送り出すことができるのです。   ――YouTubeチャンネルを立ち上げたそうですが、どんな番組ですか? 「あしたの薬局」 という名前で2023年に立ち上げました。「マネーの虎」と「情熱大陸」を掛け合わせたような番組です。番組の出資は私がやっています。番組のスタイブレとしては、薬局の社長たちの前で、若い薬剤師が自分の夢ややりたいことをプレゼンします。社長たちは出資をしないのですが、プレゼンを聞いて応援するかどうかをジャッジします。マッチングが成立したら、応援する社長が薬剤師に対して、夢をかなえるためのミッションを与えます。そして、そのミッションを乗り越える薬剤師の姿を1カ月間カメラで追い続けます。 このチャンネノレを通じて、薬剤師の価値の向上、挑戦することをためらっている薬剤師への後押し、みんなからあこがれられる薬剤師の輩出― に寄与したいと思っています。我こそはと思う方は公式ライン( https:/lin.ee/i0O78js )に応募してください。   ――今後の展望について教えてください。 海外事業をやっていきたいですね。JICA(国際協力機構)のプロジェクトでキノレギスに行っていた薬剤師に「キブレギスに来ないか」と誘われたのがきっかけで、現地を訪問したときのこと。キノレギスの保健省の人や業界最大手の薬局の副社長、国立大学の薬学部長と話をして、キノレギスの薬局の現状を聞いたところ、服薬指導やフォローアッ プという概念がなく、ただ付箋に書いてある処方薬についてジェネリックにするかどうかを聞いて渡すだけというものでした。私が日本の薬局や薬剤師の役割について話すと、ぜひキノレギスに持ち込んでほしいと依頼されました。現在JICAに申請中ですが、採択されれば、2024年から現地の薬局とコラボして日本式の薬局をつくり、試験運用する予定です。   ――最後に薬学生に対してメッセージをお願いします。 世の中には学ぶことはたくさんあります。意味がないと思えるような授業、ただこなすだけのバイト、見方を変えれば学びはたくさん転がっています。「○○ガチャ」という言葉をよく聞きますが、与えられた環境に不満を漏らすのではなく、学ぶ姿勢は失わないでください。きっと人生が豊かになるはずです。 川野義光(かわの・よしみつ) 大阪薬科大学卒業後、チェーン薬局等で薬局薬剤師として勤務。2017年に株式会社メタルファーマシーを設立し、現在は京都を中心に薬局7店舗、弁当製造販売店1店舗を経営している。また、地域の薬局と業務提携を結び、在籍型出向研修「マワレ」を立ち上げ、新たに研修体制を整備したり、夢に向かって挑戦する薬剤師の姿を紹介するドキュメンタリー番組「あしたの薬局」をYouTubeチャンネルで立ち上げたりしている。京都府薬剤師会理事。趣味はデスメタル、パチンコ・パチスロ。

  • 【次世代薬局EXPOセミナー】マイライフが示す「オール薬局」の戦略

    2025年10月1日、幕張メッセで開催された「メディカル ジャパン 東京」内の次世代薬局EXPOにおいて、マイライフ株式会社 代表取締役 糸賀 誠氏が「2040年の薬局がベールを脱ぐ: オール薬局の仕組みを全公開」と題した講演を行った。 糸賀氏は、2040年に向けて高齢化が加速し、地域社会で薬剤師にプライマリケア対応力が求められる中、薬局は「医薬品を提供するだけの場所」から「地域を支えるコミュニティ」へと進化すべきであると主張した。同社は、過去3年間でこのビジョンに基づき業務改善を実践し、ロイヤルカスタマーの確保、在宅、オンラインの3つを柱とした「オール薬局」の戦略を構築した経緯を説明した。 3つの戦略の柱:コミュニティ、プライバシー、そしてDX オール薬局の戦略は、以下の3つの柱で成り立っている。 1. 薬局起点のコミュニティ創造(オールファーマシータウン) 薬局の価値向上を目指し、生活習慣病の予防から治療・改善までをワンストップで提供するヘルスケア複合施設「オールファーマシータウン」を展開している。これは「医療を通じたまちづくり」をコンセプトとし、単に処方箋応需施設ではない、地域に必要な医療と健康サービスを提供する拠点であると述べた。 具体的には、オールラボ(栄養相談)において、管理栄養士による本格的な栄養相談を、薬局からの相互送客で実施し、日本に不足している「管理栄養士に相談できるインフラ」の構築を目指している。この取り組みにより、患者の健康行動変容を促し、結果的に薬を減らすことにも成功していると報告した。また、眠りの窓口では睡眠センサーを活用し、無呼吸のスクリーニングや睡眠薬の過剰投与の抑制・減薬を実現しており、在宅においては、睡眠データを医師や看護師と共有することで、薬局が在宅医療の中心となる仕組みを証明した。さらに、かかりつけ薬局カードを配布し、契約患者を確保することで、全処方箋患者の約42%(目標50%)が同意するまでにエンゲージメントが向上したと示した。 2. 患者プライバシーの徹底的な確保 創業以来追求してきたプライバシーの確保について、完全個室での服薬指導が患者の悩みの打ち明けやすさにつながり、真のプライバシー保護を実現したと強調した。これにより、地域体制加算の取得や、処方箋応需枚数の増加といった具体的な成果が得られており、今後、新規店舗は全て完全個室での出店とすると表明した。 3. 業務改善とDXの融合 「薬剤師は薬を触らない、薬歴を打たない」を目標に、3年間で業務改善プロジェクトを推進した。具体的には、自動受付とセルフ会計を導入(2025年内完成予定)し、対物業務(調剤・薬歴入力)にかかる時間を削減した。また、音声入力電子薬歴「コルテ」を開発し、薬歴入力の手間を大幅に削減したと述べた。 さらに、遠隔服薬指導システムとして遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」を導入し、クラウド薬歴、音声入力コルテ、監査システムと連携させた。この完璧な仕組みにより、1時間に10〜15人の遠隔服薬指導が可能となり、現場のピークタイムを外部の薬剤師が支援できるようになったと強調した。これにより、全店舗で薬剤師1人分の削減を可能にし、現場薬剤師を対人業務に集中させる環境を整備したと示した。 薬剤師の地位向上と未来の教育 最後に、薬局の価値向上と薬剤師の地位向上のための取り組みとして、「スーパー薬剤師構想」を紹介した。これは、総合診療医である藤田医科大学の大杉泰弘氏と連携し、総合診療医のカリキュラムを薬剤師に提供する計画で、2026年4月から開始する予定である。糸賀氏は、「人間を見る」コミュニティ薬剤師の育成を通じて、薬局と薬剤師の地位向上を目指すとした。 糸賀氏は、「マイライフは地域の健康プラットフォーム企業として進化する」「薬局をお薬を渡す場所から健康を作る拠点へ変える」と締めくくり、2040年に向けた薬局の具体的な変革と挑戦を示した。

  • 名古屋市立大学薬学部と中日販売株式会社が連携「みんなの薬局」を考案・具現化!

    名古屋市立大学薬学部は、地元企業の中日販売株式会社と連携し、薬学部4年生が考案・設計した「みんなの薬局」(支える、つながる、地域の薬局)を同社のショールームで公開する。 高齢者も若者も集う「夢の薬局」を地元企業と具現化 このプロジェクトは、2024年9月から12月にかけて連携授業として実施された。薬学部生3人は、大学教員や中日販売株式会社の社員と徹底的に議論を重ね、すべての世代が集う地域の薬局をコンセプトに、自由な発想で調剤スペースや患者待合室の設計を行った。 学生のアイデアとデザインに基づき、中日販売株式会社のショールーム内には、「みんなの薬局」の空間がリアルに再現された。 地域貢献度全国No.1大学発!社会を変える実践型学習 本連携授業は、「大学の地域貢献度に関する全国調査 2023(日本経済新聞)」で全国No.1を獲得した名古屋市立大学と地元企業が共同で立ち上げた、名古屋市発の実践型アクティブラーニングである。 特に、薬学部学生が薬局を考案・設計し、それを実際に具現化するこの取り組みは全国初だ。この画期的な授業は、薬学生の薬局経営・運営に対するモチベーションを飛躍的に高め、社会のニーズに応える薬局のあり方を考える力を育成するものとして注目されている。 学生が情熱を込めて設計した「みんなの薬局」は、中日販売株式会社のショールームにて、2025年10月1日から一般公開されている。未来の薬局の姿が、今、名古屋から発信される。

  • 薬局DX推進コンソーシアム:調剤業務の一部外部委託が業界変革の鍵となる

    2025年10月1日から3日間にわたり、幕張メッセで開催されたメディカルジャパン東京において、一般社団法人 薬局DX推進コンソーシアムがブースにて活動成果を発表した。本発表薬剤師不足や対人業務の強化といった喫緊の課題を抱える薬局業界に対し、調剤業務の一部外部委託が抜本的な解決策となり得ることを示唆するものであった。 外部委託が注目される三つの背景 調剤業務の一部外部委託が今、業界の注目を集めるのには、以下の三つの要因がある。 制度面の変化:2025年5月に薬機法が改正され、外部委託が正式に認められることになった。施行は2027年春頃を予定しており、現在は特区限定の実証が進んでいる。今後の運用に関する議論や制度設計は、この改正に基づいて進められることとなる。 現場・経営環境の変化:現在の調剤報酬制度は、服薬指導や在宅医療といった対人業務を重視している。しかし、薬剤師不足の常態化、対物業務の非効率性、そして薬価改定による経営環境の厳しさから、多くの薬局が限界を迎えている。外部委託は、対物業務を効率化し、対人業務に資源を集中させるための必須の手段である。 連携の拡大:単独の薬局では、経営や患者対応に限界が生じている。これに対応するため、地域連携、個人薬局間、チェーン・ドラッグストア間など、新しい協力モデルが動き出している。2030年には、連携の標準化が進み、薬局業界全体の構造が変化する可能性が高い。ICT化の流れも相まって、外部委託は業界の変革期における核心的なニーズとなっている。 コンソーシアムの役割と今後の展望 このような背景を受け、薬局DX推進コンソーシアムは2023年に大阪市と大阪府の共同提案により発足し、2025年に一般社団法人化された。 同コンソーシアムは、外部委託の安全性、有効性、経済性の検証を進め、その実証事業の成果は2025年の薬機法改正に繋がった。すなわち、現場の声を政策に繋ぐ役割を果たしたのである。さらに、委託・受託間の情報共有に不可欠な標準仕様CSデータを策定するなど、現場の運用に必要なピースを自ら構築してきた。 今後の活動として、大阪特区での実証をさらに深め、受託薬局からの直送方法の検討・実施、有効性や経済性のデータ収集を行う。また、CSデータの拡張や在庫管理の標準化に向けた仕様案の策定も進め、2027年春頃の法律施行に向けて実効性のある提言を行うことを目指している。 現在、大手の薬局から中小薬局、機器メーカー、システムベンダー、異業種企業まで59社が参画し、新しい価値を共創している。参画企業は、外部委託のノウハウ取得、新しいサービス形成への関与、会員ネットワークの活用、そして制度の波に乗り遅れないという大きなメリットを得られる。 DX推進に貢献する主要ソリューション ブースでは、外部委託の実現と薬局DXを加速させるための具体的なソリューションが多数紹介された。 特に注目されたのが、一包化散薬監査支援装置「コナミル」を開発した株式会社ウィズレイである。同社の森山 圭 代表取締役(薬学博士)は、かつて就実大学薬学部で教鞭を執っていたが、現在は大学を退職し、ベンチャー企業の代表として活躍している。コナミルは、近赤外分光法を用いることで、袋を開封せずに散薬の化学組成を識別・監査できる。将来的に散薬の外部委託が認められる時代を見 越して、監査結果をクラウド共有できる仕組みを既に備えている点が特筆される。 薬局DX推進コンソーシアムは、これらの先端技術と連携を通じて、薬剤師が本来の専門性を発揮できる社会の実現に貢献していくとしている。 森山氏

  • 【スタートアップ】フリーランス薬剤師としての軌跡と未来

    フリーランス薬剤師 木村 応(きむら・あたる) フリーランス薬剤師の木村応さんが薬剤師を目指すきっかけとなったのは、小学校5年生の時の経験だった。重度の喘息発作でICUに入院した彼は、当時11歳でありながら、毎日8種類もの薬を服用していた。「どうしてあの粉を飲めば体が楽になるのか、煙を吸うだけで呼吸が楽になるのか」と、幼いながらも薬の不思議さに興味を抱いたことが、薬剤師という職業に惹かれた原点となった。 高校では得意だった理科を生かせる進路として薬学部を選択。薬剤師になるという目標は、高校3年生になって本格的に進路を考える中で固まっていったという。 大学生活はサークルには入っていなかったが、仲の良い友人たちとよく遊び、旅行や釣りを満喫した。また、もつ鍋屋でのアルバイトに熱中した経験が、現在の薬剤師としての働き方に大きく影響していると振り返る。「処方箋が同時に何枚も来ることがありますが、その場で優先順位を考えて、一番効率よく仕事できるようにする。その瞬時の判断は、やはりバイト時代の経験が今に生きています」と語る。 木村さんの就職は、一般的な就職活動とは少し違っていた。私立大学に通っていた木村さんは、国からの奨学金に加えて、地元の薬局が提供する薬剤師育成奨学金制度を利用した。これは「薬局で薬剤師として一定期間働くことで、返済を免除する」という制度で、木村さんは大学2年生の終わりにはすでに、地元島根県の薬局で働くことが決まっていた。 卒業後、島根の薬局で4年ほど勤務した。地域で唯一の無菌調剤室がある薬局で、木村さんは積極的に在宅医療に関わった。特に、麻薬の調製といった終末期医療に携わった経験は貴重なものだった。 当時、薬局では退院時カンファレンスへの参加は一般的ではなかったが、木村さんは自ら病院に出向き、薬局の強みをアピール。「待っていても何も始まらない」という信念のもと、自ら動くことで、医療関係者からの信頼を得て、自然と在宅の依頼が来るようになった。 しかし、充実した経験を積む一方で、木村さんは組織に対する不満を感じていた。自ら積極的に動いているにもかかわらず、それが正当に評価されないこと、そして「動きづらくなった」ことが独立を考えるきっかけとなった。「自分ならもっとこうできるのに」という思いが募り、奨学金の返済義務がなくなる4年目を迎えたタイミングで、フリーランスへの転身を決意した。 フリーランスとして働く場所を東京に決めたのは、「働く場所が一番多い」ことが最大の理由だった。転職や独立という選択肢の中で、木村さんはあえてフリーランスという働き方を選んだ。その理由は二つある。 一つは、「とことん働く」ためだ。前職は残業がほとんどなく、時間に余裕があった。人生で一番元気な今こそ、徹底的に働くべきだと考えたという。フリーランスであれば、組織に縛られずに、働きたいだけ働くことができるからだ。二つ目は、「いろいろな薬局を見ることができる」というメリットだ。さまざまな薬局で働くことで、将来独立して薬局を作る際に、より良いものを作るための知識や経験を積むことができると考えた。 木村さんは東京に引っ越してきてから、わずか3日目で薬局で仕事を始めた。「引っ越しの片付けとか全部終わっていなかったですからね」と笑うが、その行動力は周りを驚かせたという。 玉川上水 現在の目標は、数年以内の薬局開業だ。「遅くても5年以内、早ければ2、3年以内」と具体的なビジョンを持っている。 木村さんの思い描く薬局は、単なる調剤を行う場所ではない。「処方箋に縛られない薬局」であり、OTC医薬品の販売だけでなく、地域の患者の健康をサポートできるような体制を整えたいという。そして、最も重要なコンセプトは「この薬剤師だからここに行こう」と思ってもらえる薬局にすることだ。「病院を選ぶときにドクターを見ることは多いですよね。でも、薬局を選ぶときに薬剤師を見ることってあまりないと思うのですが、それができれば良いかなと思います」と語る。 最後に、これから社会に出る学生へ向け、「待っていても何も始まらない。とにかくやってみることが大切だ」とエールを送る。そして「考えすぎは良くない」とし、リスクを恐れず、実際に行動を起こすことの重要性を強調した。木村さんの行動は、口先だけでなく、自らが有言実行することで示している。木村さんの言葉と行動からは、薬剤師として、そして経営者として、未来を切り開く強い意志が感じられる。 取材後記 木村さんの行動力には日々驚かされます。目標に向かって前進するというのは言葉では簡単に見えますが、行動に移すことは難しいです。これからの木村さんを応援していますし、独立開業に向けたサポートもさせていただく予定です。(薬学ステップ 寺本)

  • 【一日一笑】コロナ禍が問う日本の医療リテラシー

    医薬情報研究所 株式会社 エス・アイ・シー 公園前薬局(東京都八王子市) 堀 正隆 自分の既往歴は才能という強い武器の一つ! 私自身も既往歴は、いくつかあるが最も近いものでいうと昨年は胃潰瘍になった。痛みがどう変化していったか、どんな検査をどこでしたか、どんな治療をしたか、リスクファクターについてなど自分自身の経験、そして最悪な様態まで考えが行く不安。 胃潰潰瘍の患者さんと話をするとき、経験から患者さんの気持ちや症状もある程度理解でき、自身のために調べた知識も豊富である。親身にかつ丁寧に説明を行い患者さんに寄り添う姿勢をとることができる。皆様も多かれ少なかれ悩んだ経験や既往歴などいろいろあると思う。同じ症状の患者さんがいらっしゃったら職場の誰よりも自分が一番寄り添えると自信を持って!! 薬剤師という職業は、その経験や既往歴を長所にすることができる仕事。自分自身が悩んできたこと、既往歴をどうか誇りに持ち、少しでも目の前の患者さんの気持ちに寄り添える薬剤師になって欲しい。あなたのその経験は才能。ナラティブベーストメディスン、ま、同病相哀れむだね!!! コロナ、未知なる感染症が広がりでも見えたお任せ医療と医療の乱用! 武漢での報道、後にクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の報道が出始めた。なんだか、遠い存在に感じていた、どこか現実味を帯びない感覚だったものが限りなく身近に感じ始めたことを覚えている。その後、この感染症への恐怖が一気に広がった。最初はマスク不足から薬局の戦いは始まった。毎日何人もの方がマスクの購入希望で来局されていたが、在庫状況を伝えるたびに心苦しい思いをした。その後、ある程度確保できるようになるとその頃には感染のピークを迎えていた。処方内容としては、調剤にさほど時間のかかるものではなかったが、あまりの件数に薬局の待ち時間も増え、患者さんの苛立ちもあり、心無い言葉をかけられることも少なからずあった。肉体疲労はもちろん、精神的疲労も多かったように感じる。そんな中で、私たちが支えてもらったのもまた患者さんの笑顔や温かい言葉だったように思う。マスクを二重、ガウン、手袋にゴーグルを着用し、細心の注意を払っての対応。涼しい時期はまだよかったものの、この格好で夏には炎天下の中走り回って対応に追われたものだ。このいかつい姿で近隣のコロナ陽性患者の隔離室へ薬を届けたとき。そこには不安に押しつぶされそうで涙ぐまれていた患者さん。「どうしたらいいのか分からなくて、不安だったけど対応してもらえて、薬も届けてくれて本当にありがとう」「薬剤師さん、コロナで不安だったけど説明も受けて、笑顔で質問にも対応してくれて元気をもらえた」などの言葉や、完治後に笑顔で挨拶に来てくれた方。そんな、一つひとつがとても身に沁み医療従事者としてのやりがいを感じた。 また、今回の件で考えさせられたこととして、クルーズ船へ派遣された私の友人からの話では、海外の乗客は自身の服用している薬剤を把握していたが、日本人のほとんどが把握できていなかったというものだった。日本の医療においてヘルスリテラシーの低さを目の当たりにし、衝撃を受けた。日本では皆保険制度の恩恵から、一人ひとりの医療費負担が低く、能動的ではなく受動的に医療を受けている日本人の感覚からきていることは間違いないが、せめて、自身で覚えられないものに対してはしっかりとお薬手帳を持つことへの重要性を再確認することの大切さ。そもそもお薬手帳の始まりは、皆さんも学んだであろう、1993年に起こった、別々の病院から抗ウイルス薬と抗がん薬が出され、1カ月のうちに23人の方が併用し、15人の方が亡くなられた「ソリブジン事件」をきっかけとして導入され、2年後の1995年の「阪神・淡路大震災」の時に、服用薬剤の把握を行うために活用され、災害においての備えの意味でも認知され、急速に普及するようになった。さらに、2011年「東日本大震災」においても、災害時においてのお薬手帳の必要性が再認識された。しかし、まだまだ手帳の重要性を理解できていない患者さんはいらっしゃる。 マイナポータルは、とても大切だ。でも、医療関係者は服用歴だけが分かればいい?もちろん最低限必要な情報。だけど、お薬手帳には服用中の薬剤はもちろん、薬剤服用中の体調変化、使っているサプリメント、体質についてなど多くの情報が記載されたこの手帳が医療従事者にとって患者さんの状況把握には、とても重要なもの。現場からできるだけ多くの方から患者さんに伝えてほしいと願っている。

  • 日韓薬学生コラボ企画 スタッフインタビュー

    日韓薬学生コラボ企画が2025年8月8日~9日の2日間にわたって開催され、韓国から32人の薬学生が日本を訪れました。(一社)日本薬学生連盟の2025年度交換留学委員長であり、イベントの運営として参加した佐藤凪紗さん(明治薬科大学4年生)にお話を伺いました。 (執筆: 東京薬科大学3年 庄司春菜) イベント内容について 将来薬剤師になる日本と韓国の学生同士が交流して関わりを持つこと、その関わりを深めていくことを目的として開催されました。 1日目:「Culture Night」 薬学について・お互いの文化に触れるクイズ(K-POPやJ-POPなど)を通して交流し、楽しい時間を過ごしました。 2日目:「日韓の薬剤師から学ぶ! スポーツ・在宅医療の最前線」 在宅医療に携わる薬剤師・スポーツファーマシストの講演を聞き、グループディスカッションを行いました。両国の医療制度を学ぶことができました。 ―2日目の企画について、詳しく教えてください。 韓国からはスポーツファーマシストでありYouTuberとしても活動している薬剤師が来ました。全員で講演を聞いたあとにグループに分かれ、ディスカッションをしました。私は在宅医療のグループで在宅医療の現状や互いの国の法案設立状況の違いについて学びました。 ―学生同士のコミュニケーションはどのように取りましたか。 基本的には英語での会話でしたが、韓国の学生の中に日本語を話せる方、その中にレベルの高い方もおり驚きました。韓国では日本語の授業のあるところも少なくないそうです。英語よりも日本語が得意という方もいて、英語・日本語・韓国語の3カ国語を使いながら話しました。各グループに韓国人の中で日本語を話せる方が配置されていたため、サポートしてくれました。 ―イベントを通して、印象に残ったことはありましたか。 2日目のディスカッションでは、基本的に全員が英語で意見を述べ、最後には発表を行いました。しかし、中には英語を使わず、日本語と韓国語の両方で発表するグループもありました。発表内容を日本語で話した直後に、同じ内容を韓国語で繰り返すスタイルです。この形式は、母国語を使うことで理解度や親近感が高まりやすいという特性を生かしており、2カ国の参加者のみで交流した今回のイベントならではのものでした。日本に住んでいて韓国語を聞く機会はほとんどないため、とても印象的でした。 ―韓国の学生と交流して、日本と似ているところ、一緒だと感じたところはありましたか。 薬学生として学ぶ内容はどの国でも似通っている部分がありますが、特に韓国の学生たちの学び方や考え方には共感できる部分が多く、印象に残りました。さらに、イベントの後に食事をした際には、まるで日本人同士で話しているかのような自然な雰囲気で交流でき、とても楽しかったです。 ―運営かつ参加者として関わったうえで、良かったことやうれしかったことはありましたか。 運営に関して、イベントが終わったあとに「凪紗のおかげで運営できたよ」と言われたときは一生懸命頑張って良かったと思いました。企画をしているときも、私を頼って相談してくれたことがうれしかったです。 参加に関して、オンライン企画でなく対面で開催されたことが良かったと思います。参加者の反応を見ると、イベント後も続くような関係になりそうだと感じました。今回は日本だけでなく韓国にもスタッフがおり、互いが運営側と参加者側の両方で関わったことで、より関係が深まりました。 ―大変だったことはありましたか。 日本と韓国では言語や文化が異なるため、細かいニュアンスが通じなかったところです。互いに母国語が英語ではないため、英語での質問を何度か繰り返すことでようやく話の内容を理解できることが少なからずありました。 ―今後もこのようなイベントがあったら続けたいですか。今後の展望はありますか。 続けられたら良いですね。私自身も楽しく、参加者も楽しそうに話しているのを見ることができたからです。改善点としては、日本で開催されたイベントであったので日本人参加者をもう少し増やしたいです。今回初めて日本薬学生連盟の企画に参加してくれた方もおり、また韓国が好きな方が多い印象も受けました。さらに複数の国でなく2カ国間での開催であったため、参加するハードルも低かったと考えます。 ―イベントに参加したい気持ちがあっても、一歩踏み出せない方に向けてのメッセージをお願いします。 自分の中で気になったら参加するべきだと思います。「国際交流」という単語を聞くとハードルが高く感じますが、実際に行ってみると想像していたよりも高くありません。頭の中だけでいろいろと想像をする前に、行動に移すことが大事です。

  • 【薬局・ドラッグストアで活躍する管理栄養士】薬局・ドラッグ管理栄養士の部会設立に向けて

    札幌保健医療大学大学院教授・管理栄養士(医学博士)川口 美喜子 地域における管理栄養士の貢献 全国でリーダーシップをとり活躍している薬局・ドラッグストアの管理栄養士の皆さんが、本誌に活動内容の事例紹介として2023年から3年間報告してきました。地域の栄養支援を担う管理栄養士としての現実と今後をまとめました。 皆さんは、地域の栄養支援の体制確立に奮闘中です。都市部と地方では人々の暮らしはそれぞれ住んでいる地域特性に大きく影響を受け、その地位の成り立ちや文化などにも暮らしは左右されます。そのため、専門的な知識と経験の獲得によって、薬局内の活動に留まらず外に視野を広げ、変化にいち早く気づき順応しています。地域の方々が気軽に食事や運動の相談をでき「住み慣れた場所でより良い暮らしをする」ことが信念です。栄養支援の事業内容は多岐に多面的に実践され、店舗内だけでなく積極的に地域事業にも参加します。地域活動は、薬局・ドラッグストアに勤務している管理栄養士だからできることであり、使命の一つと考えます。店舗内の栄養相談、生活習慣病予防、重症化予防、また患者と家族の気持ちに関わってがんの患者の相談も実施します。店舗業務外では、特定保健指導、在宅栄養相談、薬剤師との同行訪問、介護予防、ヘルパーや地域住民向けの健康講座、さまざまな事業やイベントを開催し、地域の健康コミュニティーを支援します。皆さんが実践できている背景には、薬局管理栄養士の強みを感じ、薬剤師との連携によって成長し、薬剤師と協働することでさまざまなケースに食支援が効果的に実践できていることが根底にあります。また、地域住民の豊かで健康的な生活を支えるために、医療機関、行政や介護事業所など多職種と連携が不可欠であり、地域ケア会議への参加、多職種と協働した在宅療養患者の日常生活支援総合事業などの支援も実践しています。 皆さんの展望は、地域包括ケアシステムの中で管理栄養士が当たり前に存在する状況です。地方では高齢化、過疎化、若年層の減少が着実に進んでおり、在宅療養の充実や、依然として低い健康診断の受診率など、生活習慣病の予防さらに、重症化予防にも重点を置き医療関係や行政ともさらなる連携強化をし、地域全体の健康増進に取り組んでいくことです。 展望と課題 在宅栄養支援で活動している在宅訪問管理栄養士は、訪問看護師約10万人に対して1,500人(実働は約800人程度)と不足している状況です。今後急速な増加は望めません。地域には常駐の管理栄養士が少なく、栄養指導は訪問看護師の役割となっています。限りある管理栄養士を有効に活用するためには、薬局・ドラッグストアの管理栄養士が、栄養リテラシーを高めるため地域住民に信頼できる情報を正しく発信し、予防的栄養支援による認知症やサルコペニア対策、早期受診勧奨、そして入退院時の重症化予防によって地域全体の健康増進に貢献することが最も重要になります。 課題は、質の高い栄養サポートを提供するため、管理栄養士のスキルの向上が重要であり、その体制を整えること。またICTを活用し、患者と管理栄養士が食事や体重のデーターを確認できる環境を整える、遠隔による栄養支援など質の高い栄養サポートを提供できる体制を整え、地域に根差した支援をより充実させることです。 管理栄養士部会の設立に向けて 今後は、課題解決に向けて薬局・ドラッグストア管理栄養士の部会の設立を計画しました。薬局・ドラッグストアで実践する専門性の実績データーを分析し、実践内容を見える化して専門性を多職種や地域に啓発すること、人材育成のために共通の教育体制を整えること、など、多くの課題解決に向けて歩み始めるようと計画が動き始めています。

  • 高知県と京都薬科大学、地域貢献へ連携協定を締結

    高知県と京都薬科大学は、地域医療の未来を確かなものとするため、相互の人的・知的資源の交流及び活用を図る連携協定を2025年9月24日に締結した。この協定は、地域社会に深く貢献できる薬剤師などの人材を育成するとともに、高知県の活性化と地域課題の根本的な解決に資する教育・研究を推進し、相互の発展に寄与することを目的とする。 地域社会への貢献と人材確保に向けた強力な支援 両者はこの連携を通じて、特に喫緊の課題である高知県内の薬剤師確保を強力に推進する。具体的には、学生および卒業生に対する高知県内への就職支援を展開するほか、将来の薬剤師に関心を抱く高校生が京都薬科大学へ安心して進学できるよう就学支援に取り組む。 また、高知県薬剤師会との連携を深め、地域医療の質向上に直結する共同研究支援など、教育研究活動における密度の高い人的交流を促進していく方針である。 連携・協力による新たな価値創造 この協定が定める具体的な連携・協力事項は、地域と大学が一体となって持続可能な未来を創造するための重要な柱となる。 学生および卒業生の高知県内への就職支援に関すること 薬剤師に関心を抱く高校生の大学就学支援に関すること 教育、研究及び社会貢献に関すること その他、双方が協議して必要と認める事項に関すること

  • 全国110大学で学生支援イベント「Giving Campaign 2025」が同時開催 帝京大学も参加

    学生による資金調達イベント 「Giving Campaign 2025」 が、文部科学省の後援のもと、全国110の国公私立大学で2025年10月10日から19日まで同時開催される。同イベントは、学生の研究活動や課外活動を支援することを目的としており、帝京大学も学生の研究活動や課外活動の応援・支援を目的に参加する。 誰でも参加可能!スマートフォンで応援 「Giving Campaign」は、誰でも気軽に学生を応援できる点が特徴だ。従来のクラウドファンディングと異なり、「応援票」を送ることで学生支援につながる。特設サイトを通じて、スマートフォンから1大学につき1団体に無料で投票できる。 応援票を獲得した学生団体は、パートナー企業から活動資金を受け取るチャンスが増える。さらに、投票後に団体へ直接寄付することも可能で、寄付は1,000円から、クレジットカード、Apple Pay、PayPay、銀行振込の4つの決済手段が利用できる。 参加大学一覧 北海道/東北エリア 秋田大学、岩手大学、小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学、国際教養大学、東北大学、東北工業大学、東北芸術工科大学、函館大学、弘前大学、福島大学、北海道大学、北海道教育大学、宮城大学、宮城教育大学、室蘭工業大学、山形大学 関東エリア 青山学院大学、茨城大学、宇都宮大学、桜美林大学、大妻女子大学、神奈川大学、群馬大学、駒澤大学、埼玉大学、芝浦工業大学、実践女子大学、成蹊大学、聖マリアンナ医科大学、帝京大学、電気通信大学、東京大学、東京科学大学、東京学芸大学、東京藝術大学、東洋大学、日本工業大学、明治大学、横浜市立大学 中部エリア 愛知大学、愛知学院大学、金沢大学、岐阜大学、公立諏訪東京理科大学、三条市立大学、静岡大学、信州大学、富山大学、豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学、長野大学、長野県立大学、長野保健医療大学、名古屋音楽大学、名古屋工業大学、新潟大学、浜松医科大学、松本歯科大学、三重大学、山梨大学 近畿エリア 大阪教育大学、大阪公立大学、関西大学、京都大学、京都教育大学、京都工芸繊維大学、京都府立医科大学、近畿大学、神戸学院大学、神戸市外国語大学・神戸女子短期大学、滋賀医科大学、滋賀大学、滋賀県立大学、びわこ成蹊スポーツ大学、奈良学園大学、立命館大学、龍谷大学 中国/四国エリア 叡啓大学、愛媛大学、岡山大学、高知大学、公立鳥取環境大学、山陽小野田市立山口東京理科大学、島根大学、徳島大学、鳥取大学、鳴門教育大学、広島大学、山口県立大学、山口大学 九州/沖縄エリア 大分大学、鹿児島大学、鹿屋体育大学、北九州市立大学、九州共立大学、九州工業大学、九州産業大学、熊本学園大学、熊本県立大学、熊本大学、佐賀大学、第一工科大学、長崎大学、福岡教育大学、別府大学、宮崎大学、琉球大学 開催期間:  2025年10月10日(金)9:00 〜 10月19日(日)21:00 特設サイト:   https://www.giving-campaign.jp/

  • 地域医療と薬剤師の未来像を探る:城西大学コミュニティーファーマシーインターンシップ

    城西大学薬学部では、毎年夏期休暇中に選択科目として「コミュニティーファーマシーインターンシップ」を実施している。これは、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の協力を得て、4年生がドラッグストアでの体験研修を通じて、地域医療における薬剤師の役割と働き方を深く学ぶことを目的としている。期間は7月下旬から9月上旬までのうち4日間であり、学生は実務実習では体験できないドラッグストアの業務に触れた。 事前講義でテーマを設定してから研修に臨む 左から、中嶋さん、上田氏、村田氏 インターンシップは、学生が高い目的意識を持って臨む体系的なプログラムである。研修に先立つ6月の事前講義では、JACDS副会長である関口周吉氏(株式会社龍生堂本店代表取締役社長)が講師を務め、ドラッグストア業界の現状や社会における役割について解説した。学生たちは、この講義を通じてドラッグストアの機能を認識し、「登録販売者との役割分担」「在宅医療」「地域との繋がり」といったテーマを設定してから現場に向かった。 研修期間中の2025年9月11日には、関口氏に加え、城西大学薬学部教授の上田秀雄氏と同薬学部助教の村田勇氏が、研修先の一つである龍生堂薬局ふじみ野店を訪問し、インターンシップの進捗状況を確認した。 上田氏は、このプログラムの意義について、「意識の高い学生が参加している。実務実習では病院と薬局について知ることはできるが、ドラッグストアでのOTC医薬品販売を含めた店舗販売の全体像を経験できる機会はない。この機会にドラッグストアの役割について理解し、進路の一助にしたいという考えを持った学生も少なくないようだ」と述べ、本プログラムの教育的価値を強調した。 学生が得た現場のリアル 研修の様子 インターンシップに参加した学生の一人、中嶋美涼(みすず)さんは、龍生堂本店での研修を通じて地域医療への深い洞察を得た。幼い頃の薬嫌いの経験から薬剤師を志した中嶋さんは、特に栄養学の知識を生かした薬剤師を目指している。 中嶋さんは、龍生堂本店が「地域密着型」として、顧客の属性やニーズを深く分析し、店舗運営に反映させていることに気づきを得た。「お店は『この地域はこういうお客さんが多いから、こっちの商品を多めに取り揃えておこう』という考えのもとに成り立っている」と語り、ドラッグストアの多岐にわたる機能と、地域の生活に不可欠な存在であることを強く感じたという。また、OTC医薬品販売の現場でのコミュニケーション能力を身につけること、本部研修で見た在宅医療の動画から患者の背景に合わせた臨機応変な対応の必要性を学ぶことが、自身の将来の選択肢を広げると述べた。 薬剤師の未来と機能強化への提言 振り返り講義の様子 振り返り講義で学生と話す関口氏 2025年9月17日に行われた振り返り講義では、学生たちが設定したテーマに基づき、活発なディスカッションが行われ、その様子はオンラインで協力企業にも配信された。 学生からは、高齢者が多い地域での介護用品や食品の充実、子供連れが多い地域での通路確保や小児用医薬品の相談対応、外国人利用者が多い地域での多言語表示など、地域特性に応じた薬局の機能についての詳細な報告があった。さらに、薬剤師には、OTC医薬品販売時における「症状、状態を知る」ための「聞き上手」なコミュニケーション力と、併用注意や受診勧奨を行うための幅広い知識が必要であるという共通認識が示された。 関口氏は、学生たちの鋭い質問や目的意識が、受け入れ企業である現場の職員に刺激を与えていると評価しつつ、薬剤師の未来像についても言及した。 薬剤師が担うべき対人業務の強化とセルフメディケーション推進について、関口氏は「国は、薬剤師がヘルスケア領域、すなわちOTC医薬品についてもっともっとやってくれと言っている」と指摘した。これはすなわち、対人業務の強化であり、セルフメディケーションの推進に繋がるものであり、ドラッグストア薬剤師の役割が国の政策と直結していることを示した。 さらに、薬局業界全体が構造的な変化を迎えている現状に触れ、全国で薬局が淘汰され、機能を持つ薬局が求められる時代が来ていると警鐘を鳴らした。関口氏は「生き残る薬局ってどういうとこなんだろうね、生き残る薬剤師ってどういう薬剤師なんだろうね」という問いを学生たちに投げかけ、薬局の機能強化の必要性と、学生自身が薬剤師として生き残るための意識を持つよう訴えた。 一方、上田教授は「大切なのは知識を得てくることではなくて、経験を積んでくること」であり、現場の経験から自分に必要な知識を優先度をつけて習得していく姿勢の重要性を強調した。 受け入れ企業一覧 ・ウエルシア薬局(株) ・(株)ウエルパーク ・(株)カワチ薬品 ・(株)スギ薬品 ・(株)セキ薬品 ・(株)マツモトキヨシ ・(株)龍生堂本店

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