調剤報酬の不公平な評価にJACDSが警鐘!
- toso132
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更新日:3 日前
薬局の「機能無視」を批判、令和8年度調剤報酬改定で公平な評価を要求


一般社団法人 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は2025年12月5日、令和8年度(2026年度)調剤報酬改定に向けた要望事項を公表し、特定の薬局グループの規模や形態のみに基づく不当な報酬区分の撤廃を強く求めた。特に、300店舗以上のグループ薬局に対する調剤基本料の「足切り」的な減算措置と、敷地内薬局を有するグループ全体への「連座制」導入の動きに対し、「企業努力を否定し、健全な業界発展を阻害する」と危機感を表明した。
会見には、JACDS調剤推進委員会委員長の関口周吉氏(龍生堂本店 社長)、副委員長の山口義之氏(トモズ 薬剤部シニアマネージャー)、そして委員である秋山洋一氏(ウエルシア薬局調剤運営本部 調剤企画部長)が出席した。
規模による基本料減算に「公平性を欠く」
JACDSが最も問題視するのは、令和4年度改定で導入された300店舗以上のグループ薬局に対する調剤基本料の区分である。同一の機能・サービスを提供していても、規模が大きいという理由だけで著しく低い点数が適用されており、「明確に公平性を欠く」と批判している。

山口氏は「企業努力をした結果として収益率が良くなったとしても、それは努力が実った結果であります。そうした企業努力を否定するような報酬の仕組みは、ぜひ避けていただきたい」と述べ、技術やサービスに対する対価として公平に評価すべきであると強調した。
この区分の影響は、データにも深刻に現れており、中央社会保険医療協議会の医療経済実態調査でも300店舗以上グループの損益率は低下していることが指摘されている。JACDS加盟企業の独自集計では、その損益率が直近で1.5%まで落ち込んでいるという。
業態特性を生かした医療貢献の深化
関口氏は、委員会の役割と今後の方向性について、以下のように決意を表明した。
「当委員会では、ドラッグストア事業体ならではの医療貢献のあり方を追求しています。具体的には、医療計画に則した事業運営を前提としつつ、ドラッグストアとしてその役割をどこまで拡大し、地域医療へ貢献できるかを重点的に検討しています」とし、業態のポテンシャルを最大限に引き出し、新たな医療貢献の領域を確立することが課題であるとした。
敷地内薬局の「連座制」導入に強い反対
改定議論で再度焦点となっているのが、大規模病院の敷地内薬局をグループ内に持つ薬局全てに対し、調剤基本料を一律に引き下げる「連座制」の適用検討である。
JACDSはこれに対し、「行政の裁量の逸脱」であると強く反対した。敷地内薬局はすでに特別調剤基本料が適用され、著しく低い点数に設定されている。同協会の調査では、敷地内薬局の損益率はマイナス10.8%に達しており、すでに赤字経営の状態である。
このような状況下で連座制を導入することは、グループ全体に多大な経済的負担を強いる「懲罰的な報酬」であり、薬局の運営撤退を迫ることに他ならないと主張。その結果、高齢者や車椅子利用者など、敷地内薬局の利便性に頼る患者の利益を損なうことになると警鐘を鳴らした。
地域加算と「かかりつけ」要件の課題
その他の要望事項として、以下の点が挙げられた。
地域支援体制加算の見直し:グループの規模や都市部・地方といった立地条件によって報酬に差をつけるべきではないとし、薬局が提供する技術やサービスの実績に応じて公平に評価するよう要望した。
かかりつけ薬剤師指導料:業務遂行に必要な「1年以上在籍」要件について、学術的根拠が示されていないこと、また医療DXの進展を踏まえても必要性が認められないとして、在籍年数要件の延長に反対している。
JACDSは、薬局の規模や形態にかかわらず、全ての薬局が国民の健康を支える力を最大限に発揮できるような、健全で持続可能な制度設計の実現に向け、今後も政府や関係団体に対し強く働きかけていく構えである。






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