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  • 【武蔵野大学薬学部】大塚製薬・西東京市らと連携し、「摩耶祭」で薬と健康を学ぶ体験型企画を実施

    武蔵野大学薬学部、大塚製薬株式会社、西東京市らは、2002年に締結された武蔵野大学と西東京市の協定や、2020年に締結された大塚製薬と西東京市による「健康応援連携協定」などの強固な産官学連携を背景に、学生や地域住民が集まる大学祭の機会を活用した健康啓発の取り組みを企画した。若い世代を中心に「プレコンセプションケア」の重要性を知ってもらい、薬や健康をより身近に考えてもらうことを目的としている。 これを受け、武蔵野大学薬学部は、2026年10月10日に武蔵野キャンパスで開催される大学祭「摩耶祭」において、大塚製薬株式会社、西東京市健康課、一般社団法人西東京市薬剤師会、佐々総合病院等と連携し、「薬や健康」をテーマとした体験型企画を実施する。当日は学生が主体となり、入場無料・予約不要でどなたでも参加できる多彩なプログラムを展開する。 開催概要 日時: 2026年10月10日(土)10:00~17:00 場所: 武蔵野キャンパス 8号館(東京都西東京市新町1-1-20) アクセス: 三鷹駅・武蔵境駅からバス約10分、吉祥寺駅からバス約15分「武蔵野大学」下車。田無駅からバス約5分「至誠学舎東京前」下車徒歩5分(※ご来場の際は公共交通機関をご利用ください) 参加費: 無料(予約不要・どなたでも参加可能) 主な体験・啓発企画 プレコンセプションケアの啓発(大塚製薬協力):若い男女が将来のライフプランを考え、日々の生活や健康と向き合うきっかけづくりを行う。 調剤体験:分包機を使用した本格的なお薬の調剤体験を実施する。 健康・医療体験:西東京市健康課による乳がん触診モデル体験、西東京市薬剤師会によるおくすり相談を設置する。 救急車展示:佐々総合病院による救急車の展示を行う。

  • テクノロジーと人の力が創る未来:アイングループが描く「次世代薬局モデル」とは

    アイン薬局 横浜南店 医療のデジタル化や少子高齢化が進む中、薬局の在り方は大きな転換期を迎えている。これまでの「対物業務」中心のスタイルから、患者と深く向き合う「対人業務」中心のモデルへ――。株式会社アインホールディングスのグループ会社である株式会社アインファーマシーズが「アイン薬局 横浜南店」を実証店舗としてスタートさせた最先端の「次世代薬局モデル」の全貌と、これからの薬剤師に求められる姿に迫る。 次世代薬局モデル導入の背景と狙い 従来の薬局運営では、処方箋の入力や調剤、監査といった対物業務に多くの時間と労力が割かれていた。しかし、地域包括ケアシステムの推進や在宅医療の需要増加、服薬フォローアップなど、薬剤師にはより高度な「対人業務」が求められている。 株式会社アインホールディングス 医薬運営統括本部 運営企画部 次世代薬局推進課 西澤寿広氏は、今後の薬局業界の現状について「これまでの業務の延長線上のやり方だけでは、将来的に対応が追いつかなくなるという課題感があった」と語る。そのうえで、これからの薬局が目指すべき姿について「患者様一人ひとりとしっかりと向き合い、服薬フォローアップや地域連携を重視した医療を届けることが大前提にある」と強調する。 同社は、この課題を解決するため「最先端の技術」と「人の力」を融合させた新しい薬局モデルに挑戦した。単に人を機械に置き換えるのではなく、システムによって生まれた時間を、患者との対話や地域連携といった本質的な価値へ転換することを目指している。 横浜南店に導入された革新的なシステムと空間設計 横浜南店は既存店舗からこのたび移転開局した店舗であり、ハード・ソフトの両面から業務効率化と患者満足度の向上を追求している。店舗選定の理由について西澤氏は、都市部でありながら地域密着型であること、多様な患者層に対応できること、そして複数のシステムを統合するための十分な規模や柔軟性を備えていたことなどを挙げている。具体的には以下のようなシステムや設備が導入されている。 セルフ受付とOCRスキャナー:アプリによる事前送信に加え、薬局内のセルフ受付機で患者自身が処方箋を読み取ることで、シームレスな受付とレセコンへの迅速な反映を実現している。 遠隔入力支援のトライアル検証と機械化による調剤効率化:遠隔入力支援については現地以外のスタッフが複数店舗の入力を行う仕組みの構築を進めているほか、包装単位の調剤に機械を活用し、少ない人数でも安全かつ効率的な調剤体制を構築している。 AI薬歴とプライバシーに配慮した個室型服薬指導ブース:音声入力に対応したAI薬歴を採用することで、従来の記載に比べて作業時間を約3割削減している。また、周囲を気にせず健康相談ができる個室型服薬指導ブースや、車椅子にも対応した昇降式の投薬カウンターを設置している。さらに、薬剤師側のカウンターも作業スペースを広く設計し、効率化と安全性の向上を図っている。 アイン薬局 横浜南店の外観 これらの取り組みにより、待ち時間が約20パーセント短縮されるなどの成果が出ている。西澤氏はスタッフからの反響について「システム化によって業務が非常にスムーズになったという声が一番多く上がっている」と評価しているほか、効率化によって現場の焦りやプレッシャーが軽減され、気持ちに余裕が生まれることで「しっかりと患者様に向き合ったり、もっと良くするためにはどうすればよいかという前向きな思考につながる」と、働き方の変化についても言及している。 標準化とグループ展開へのロードマップ 横浜南店での検証結果をもとに、同社では約2年後にグループ全体の標準モデルを確立し、既存店へ本格的に普及させていくロードマップを描いている。 西澤氏は「2年後には、このモデルをグループ全体の標準的な形として定着させたいと考えている」と述べており、今後は得られたデータを基にさらなるブラッシュアップを重ね、少子高齢化による労働人口の低下に対応しながら、質の高い医療を持続的に提供できる体制を整えていく方針である。 これからの時代に求められる薬剤師像とは テクノロジーの進化により、情報処理や確認作業などの対物業務はますます自動化が進んでいく。西澤氏は、今後の薬剤師の職能について次のように見解を示している。 「従来は、間違いなく薬を渡すことや、服薬方法・副作用を正確に説明することが重視されてきた。しかし今後は、患者様一人ひとりの状態やライフスタイルに寄り添い、適切な医療を提案することがより重要になってくる」 今後は、単なる正確な調剤にとどまらず、患者の言葉に耳を傾け、信頼関係を築きながら潜在的なニーズをくみ取る「共感力」こそが、薬剤師の価値を決定づける重要な要素となる。 西澤氏は、技術の進化によって対人業務に費やせる時間が増えることについて、「患者様一人ひとりに向き合い、その人の人生に寄り添った提案ができる薬剤師や、地域社会と強固な信頼関係を築いて医療の最前線で活躍する薬剤師になるチャンスが、まさにこれからの時代にはある」と期待を込める。 変化の波をチャンスに変え、テクノロジーを活用しながら患者の人生に深く寄り添う。これからの時代を切りひらく薬剤師として、未来を担う薬学生の皆さんにはぜひ自分のキャリアを描いていってほしい。

  • 鶴岡を舞台に慶應義塾大学×企業で共創するイノベーションと挑戦 ~ Keio TSURUOKA Innovation Forum 2026

    9月15日、慶應義塾大学矢上キャンパス(神奈川県横浜市)を会場に、同大学が山形県鶴岡市で展開している企業連携活動を報告するフォーラムが開催された。 庄内地域に大学を誘致するプロジェクトにより、鶴岡市に慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパスと先端生命科学研究所(以下:先端研)が設立されてから25年。豊かな水田が広がる米どころである庄内平野に大学を中核として世界有数のバイオテクノロジー研究を基盤にしたスタートアップ企業も数多く参集し、鶴岡サイエンスパークを形成している。 フォーラムでは鶴岡タウンキャンパスおよび先端研の概要とさまざまなプロジェクトと成果が紹介され、鶴岡に進出した企業4社によりイノベーション創出に向けた事例の発表が行われた。 【イベント概要】 ■慶應義塾×鶴岡 共創フィールドへの招待 Keio TSURUOKA Innovation Forum 2026 ■会期: 2026年9月15日 ■会場:慶應義塾大学 矢上キャンパス YAGAMI INNOVATION LABORATORY(通称YIL) 鶴岡サイエンスパークにおける革新的人材育成と地方創生の軌跡 講演:慶應義塾大学先端生命科学研究所 所長 荒川和晴 先端研は2001年の開設以来、地方における最先端の研究拠点および人材育成の場として25年の歩みを重ねてきた。市と県からの手厚い支援を背景に、大学と地域が一体となってゼロから産業を生み出し、人口減少が進む地域において地方創生を強力に体現している。 先端研の強みは、あらゆる生命現象をコンピュータ上で理解する「システム生物学」を軸に、細胞内の化合物を一斉に測定する独自の「メタボローム解析技術」を確立したことにある。この最先端の基礎科学をベースに、小惑星探査機「りゅうぐう」のサンプル分析といった実績や、大学発ベンチャーの創出など、世界的な成果を数多く上げている。これまでに生まれた10数社のベンチャー企業は、若い研究者や学生たちの自発的な挑戦によって形作られ、地域に良質な雇用を生み出し、山形県内の高給与企業ランキングで上位に名を連ねるなど、地域の経済と人口動態の好循環にも大きく貢献していると言える。 こうした成果を生み出す原動力となっているのが、独自の教育・人材育成アプローチである。鶴岡キャンパスでは、あらかじめ明確なテーマや答えを与えるのではなく、自ら問題を発見・設定させる「放牧」の精神を重視している。日々の研究や周囲の熱量の高いコミュニティに身を置き、何に挑むべきかを深く悩むプロセスを通じて「集中」ではなく「熱中」状態を生み出し、既存の枠組みを突破するイノベーション力を身につけていく。 また、こうした育成の思想は大学内にとどまらない。高校生を早期に受け入れて主体的な研究活動を支援するプログラムや、全国から高校生が集まり研究成果を競い合う「高校生バイオサミットin鶴岡」の開催など、次世代の科学者を育てる裾野を広げている。さらに、大企業から若手人材を受け入れてイノベーションを担うリーダーを育てる「革新的人材育成プロジェクト」や、新たな試みであるインターンシップ制度など、組織の枠を超えた取り組みも展開されている。 短期的な成果(=花)ばかりを求めるのではなく、長期的な視点で若者や地域を育てる「根を養う」教育と挑戦の生態系が、鶴岡サイエンスパークには息づいている。ここで育った人材や生み出された技術は、鶴岡の地から日本全体の未来を切り拓く持続的な原動力となっている。 鶴岡サイエンスパークにおける企業の人材育成と研究実践事例 続いて、4社の企業の発表者が登壇。それぞれの企業が慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパス、鶴岡サイエンスパークでおこなっている人材開発やイノベーション創出プログラムについての事例発表を行なった。 事例①損保ジャパンの取り組み 損保ジャパンは、1838年の創業時における江戸の「火消し」の精神を現代に再解釈し、自然災害などの社会課題解決や誰もが安心して暮らす社会の実現を目指している。 鶴岡サイエンスパークとは2018年に包括連携協定を締結し、先端技術の社会実装やイノベーティブな人材育成を目的として中堅社員を派遣した。派遣された社員は、地域のレジリエンス向上やコミュニティ強化に資する活動を展開した。直近の卒業生は、山形大学などと連携し、動物園の動物の糞を昆虫(アメリカミズアブの幼虫)に処理させて堆肥化し、それを用いた環境教育イベントを横浜の動物園等で実施するなど、地域と都市を繋ぐ循環経済の取り組みを実現した。同社はこうした活動を通じて、地域のレジリエンス向上に寄与できる持続可能な人材の育成を引き続き目指している。 (発表者:総合保険ジャパン株式会社 加藤拓氏) 事例②資生堂の取り組み 資生堂は、1872年の創業以来「人々のを幸せにする」という原点を受け継ぎながら、大企業が陥りがちな組織の硬直化やリスク回避といった「大企業病」を打破し、ベンチャースピリットを持つ人材を育成することを目指している。 こうした背景から、同社は社員の個人の思いを100%費やして活動する「冨田イノベーターファーム」(先端研の初代所長・冨田勝氏に由来。通称:トミーファーム)を設置し、鶴岡サイエンスパークへ社員を派遣している。社内ではネガティブに捉えられがちな挑戦も、鶴岡の熱量の高いコミュニティや地元企業のバックアップのもとでは、新たな仲間を得て実証実験や事業化へと進みやすい。同社はこうした鶴岡での活動を通じて、イノベーションを創出する人材の育成と、社内の文化変革を同時に推し進めている。 (発表者:株式会社資生堂 鴛渕考太氏) 事例③三井住友信託銀行の取り組み 三井住友信託銀行は、従来の融資業務にとどまらず、資産運用やプライベートエクイティ、インフラファンドへの投資など、幅広い機能を活かして環境や社会課題の解決につながる分野への資金供給に注力している。 発表者の堤氏は、先端研の包括連携プログラムを活用し、ピロリ菌感染と胃がん発生メカニズム(ヒットアンドラン型発がん)や、若年層の女性に多く見られるスキルス胃がんに関する研究に携わっている。実験を通じて次々と生まれる問いに向き合い、仮説検証と再現性を追求する研究の世界に身を置くことで、事業開発や投資判断とは異なる論理的思考力を培っている。同社はこうした異分野での深い経験を通じて、異なる領域の知見を組み合わせ、新たな価値や事業を生み出せる人材の育成に挑戦している。 (発表者:三井住友信託銀行株式会社 堤健昭氏) 事例④博報堂DYホールディングスの取組み 博報堂DYホールディングスは、「生活者発想」をフィロソフィーに掲げ、最大の資産である「人」のクリエイティビティを発揮するための人材育成に取り組んでいる。先端研とは2024年にソーシャルイノベーションの創出及び人材育成に関する包括連携協定を締結した。 人材開発室では協定に基づく最初の取り組みとして、生活者発想とサービス開発を組み合わせたアイデアソン研修を現地で実施した。さらに、グループ会社等と連携し、鶴岡の地で空気を感じながら視野を広げる合宿型研修や、社員と地元高校生が協働するプログラムなどを通じて、組織や地域の垣根を越えた越境学習の機会を創出している。 博報堂の社員と中高生が総勢50名規模で参加したワークショップも開催。多様な職種の社員と地域の高校生が対話し、正解のない問いに向き合うプロセスを通じて、次世代の探究学習や自己肯定感を高めるサポートを行っている。 元々広告クリエイティブ業務に従事しながら鶴岡に派遣された社員の有本さんの試行錯誤の体験談も語られた。あえて明確なミッションを持たずに現地に入り、理系分野に馴染みがなかったものの、バイオベンチャーでの実験や様々なスタートアップとの対話を通じて、これまでの広告業務とは異なる視点を獲得。世界的な食糧危機や代替タンパク質の課題に対し、日本に根付く「納豆菌」の食文化に着目し、商品の共同開発などを通じて実践的な事業プロモーションに貢献している。 同社はこうした鶴岡での濃密な体験を通じて、自ら問いを発見し、新たな価値を切り拓くイノベーターの育成を進めている。 (発表者:株式会社博報堂DYホールディングス 黒沢梨恵氏 豊嶋帆奈美氏 有本直征氏) 鶴岡サイエンスパークと矢上イノベーションラボ(YIL)の融合と人材育成 フォーラムの会場となった矢上キャンパス内の”YIL” フォーラムの締めくくりとして、先端研所長の荒川和晴氏と、慶應義塾大学矢上キャンパスYAGAMI INNOVATION LABORATORY(YIL)のディレクターである多田宗弘氏による対談が行われた。 多田氏は、自身がNECでの半導体研究やスタートアップ共同創業、資金繰りの苦労といった多様な経験を経て現職に至る経緯を紹介。YILの活動として、企業パートナーとのネットワーキングや共同研究を促進する3階建ての構想(パブリックイベント、アライアンスパートナーによる協創、個別の共同研究)を説明し、大学と企業の壁を低くして気軽に足を運んでほしいと語った。 一方の荒川氏は、鶴岡キャンパスを慶應義塾全体の保養施設やゼミ・学会の合宿地として自由に活用してほしいと提案した。東京とは異なる時間が流れる環境や美味しい食事が、日常の枠を超えた自由な発想やイノベーションを生み出すと強調した。 また、鶴岡での研修に参加した学生や企業人からも、地方ならではのフラットなネットワークや、壮大な夢に向かう圧倒的な熱量が刺激になったという意見が寄せられた。 参加者を交えた議論の中では、ディープテックの実装における「若さ・ワクワク感」と「ビジネス視点・基礎学力」のバランスについても意見が交わされた。起業や社会実装を見据える際には、高い熱量だけでなく、エクイティファイナンスや事業計画といった経営の知見を理解する重要性が指摘された。 最後に、矢上キャンパスと鶴岡キャンパスはそれぞれ異なる強みや文化を持っており、それぞれの場所の良さを活かしながら、自らの意思で環境を変えて新しい人と出会うことの重要性が語られ、今後のさらなる産学連携と人材育成への期待を込めて対談は締めくくられた。 講演終了後に開かれた交流会では、玉こんにゃくやぶどう、つや姫玄米茶なども振舞われ、新たな食文化の創造を掲げる「鶴岡ガストロノミックイノベーション計画」が始動した鶴岡の豊かな名産を味わう機会となった。 >慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパス >鶴岡サイエンスパーク >慶應義塾大学 矢上キャンパス YAGAMI INNOVATION LABORATORY(YIL)

  • 地域薬局が担う「がん患者の「自分らしさ」を取り戻す場所」――総合メディカルグループが取り組むアピアランスケアの新展開

    総合メディカルグループ株式会社は、地域で暮らすがん患者の生活の質(QOL)向上と社会復帰を支えるため、がんなどの高度な薬学管理を行う「専門医療機関連携薬局」を拠点としたアピアランスケア(外見の変化に対する支援)の本格展開を2026年10月6日より開始した。 医療の進歩が生んだ新たな課題と「正しく頼れる情報」の不足 がんの新規罹患者数が毎年約100万人で推移し、5年相対生存率が約65%に達するなか*¹、治療を続けながら社会生活を送る人々は着実に増えている。しかし、抗がん剤などの治療に伴う脱毛や皮膚の変色、爪の障害といった外見の変化は、患者の心に大きな負担をかけている。実際に外見の変化を経験した患者の58.1%に上り、そのうち40%を超える人々が「人と会うのが億劫になる」といった心理的・日常生活への影響を受け、休職や退職に追い込まれるケースも少なくない*²。また、乳がん患者の苦痛度の高い症状上位20項目のうち約6割が外見に関連する症状であることも報告されている*³。 一方で、インターネット上にあふれる外見ケア情報の約4割は正確性に欠けるという指摘もあり*⁵、医療者側も患者が抱える悩みを拾いきれていないのが現状である。こうした「情報の空白」を埋めるべく、国の第4期がん対策推進基本計画においてもサバイバーシップ支援の一環としてアピアランスケアの体制整備が求められている*⁴。 「病院」と「自宅」をつなぐ第三の居場所として機能する薬局へ 同社は、医療機関と患者の自宅の中間に位置する「第三の居場所」として薬局を位置づけ、治療中から治療後にかけて患者の気持ちに寄り添う環境を整えていく。取り組みは「そうごう薬局」の4店舗(伊勢原店・天神中央店・塩原店・久留米医大前店)から先行してスタートし、来期にはグループ内の全ての専門医療機関連携薬局へ、将来的には全薬局へと段階的に拡大させていく計画である。 専門性と温もりで患者の毎日に寄り添う「3つの包括的支援」 対象となる店舗では、医療的な視点と生活者の視点を融合させた手厚いサポート体制を構築する。 まず一つ目は、専門研修(国立がん研究センター中央病院主催のe-learning研修やファンケル連携研修)を受けた薬剤師や薬局事務による質の高いサポートと、ファンケルなどの企業が培ってきた製品知見の融合である。専門の知識を持つスタッフが副作用マネジメントを行うとともに、敏感肌研究に基づくスキンケアの提案や、総合情報サイト「Nagomi time」を活用した信頼性の高い情報提供を行う。 二つ目は、行政手続きや助成金制度へスムーズにつなぐハブとしての役割である。プライバシーが確保された個室相談スペースで悩みを聞き取り、医療用ウィッグや補整具購入に関する自治体の助成金制度やがん相談支援センターへの橋渡しを行うことで、患者の経済的・精神的負担を軽減する。 三つ目は、患者同士が温かい対話を交わすコミュニティの場づくりと地域への啓発活動である。「がん対話カフェ」などのイベントを通じて孤立防ぐ空間を提供するほか、店舗でのスキンケア・ベースメイク体験会(天神中央店ではファンケル共催)などを通じて地域社会全体でがん患者を支える機運を高めていく。 さらに同グループでは、未病・予防段階から地域住民の健康を支えるため、ファンケルの社内教育機関「ファンケル大学」と連携した「健康アドバイザー養成研修」を2025年6月より開始し、これまでに16人を認定・育成している。病気になったときだけでなく日常の健康管理からサバイバーシップ支援まで、生涯を通じて頼れる持続可能な地域インフラとしての薬局の進化を目指している。 参考文献 *¹ 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」および「院内がん登録(2014-2015年5年生存率集計)」P.28 *² Nozawa K. et al., Glob Health Med., 2023, 5(1):54–61. *³ 厚生労働省「がんと共生の在り方に関する検討会」資料(2019年10月23日)国立がん研究センター「がん治療に伴う患者の外見変化とその支援について」P.3 *⁴ 厚生労働省「がん対策推進基本計画(令和5年3月)」P.44 *⁵ 高橋 恵理子ら、がん看護、2016、21巻6号、629-634.

  • トビタテ!留学JAPAN第2ステージが2028年度まで1年延長!大学生向け「新・日本代表プログラム(第19期)」の募集開始

    文部科学省と日本学生支援機構が実施する「トビタテ!留学JAPAN」の第2ステージについて、実施期間が1年間延長され、2028年度までとなることが発表された。このプログラムには高校生等対象と大学生等対象のコースが用意されており、日本の若者の海外留学への気運を醸成する官民協働の留学促進キャンペーンとして、民間企業等からの寄附を基に経済的支援を中心とした留学機会の創出が行われている。ここでは、大学生等を対象とした「新・日本代表プログラム(第19期)」の派遣留学生(250人)の募集について紹介する。 実際に「トビタテ!留学JAPAN」を活用してロンドン大学(UCL)への留学やアメリカでのポスドク挑戦など、将来の選択肢を大きく広げた学生の体験談や応募エピソードなどもMILオンラインで紹介しており、先輩たちのリアルな挑戦も参考にしてほしい。 大学生向け「新・日本代表プログラム(第19期)」の概要 将来「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダー」の育成を目的としており、大学生等を対象とした第19期では以下の3つの募集コースが設けられている。 イノベーターコース:新たな価値を創造しようとする(ゼロをイチにするような)挑戦的な留学計画(50人) STEAMコース:技術革新や新産業創出に貢献するSTEAM領域における留学計画(100人、※高等専門学校生を1割程度採用予定) ダイバーシティコース:スポーツ、芸術、総合知領域等の多様な領域の留学計画(100人) ※新大学1年生についても募集の対象となる。 募集・留学スケジュール 募集要項公開:2026年10月1日(木) 在籍校から機構への申請期間:2026年12月上旬(予定)~2027年2月25日(木)17時まで(※新大学1年生は2027年4月1日(木)~2027年4月22日(木)17時まで) 留学期間:留学先における活動期間が28日以上1年以内の計画が対象(3カ月以上を推奨) 留学開始時期:2027年8月1日(日)~2028年3月31日(金) 充実した支援内容 経済的な支援として、以下の奨学金や手当が支給される。 月額奨学金:留学先の国・地域により、120,000円または160,000円(家計基準を超える場合は60,000円) 留学準備金:アジア地域は150,000円、その他の地域は250,000円 ※円安や物価高騰を考慮し、上記に加えてアジア地域は60,000円、その他の地域は100,000円が増額される。 授業料:諸外国等の大学等における授業料として、一律300,000円が支援される。 詳細な募集要項や説明会の日程については、「トビタテ!留学JAPAN」の公式ホームページ内にある新・日本代表プログラム紹介ページを確認してほしい。

  • 未来の科学者、集合!理化学研究所 和光地区一般公開 2026 が11月3日に開催決定!

    年に一度、数千人の来場者を迎える理化学研究所(理研)和光地区の一般公開が、2026年11月3日(火・祝)に開催される。普段は立ち入ることができない最先端の研究室や実験室の扉が開き、科学の面白さを肌で体感できる特別な1日である。 今年のテーマは「未来の科学者、集合!」。研究者とともに、高校生コミュニケーターが展示の解説や実演を行い、フレッシュな熱量でイベントを盛り上げる。 開催概要 日時:2026年11月3日(火・祝) 10:00〜16:00(最終受付 15:30) 会場:理化学研究所 和光地区(埼玉県和光市広沢2-1) 定員:4,500人(先着順・事前申込必須) 対象:一般、小学生、中学生、高校生、大学生などどなたでも 参加費:無料 電子版パンフレット: 公式サイトにて公開中 参加にあたっての重要な注意点 イベントは完全事前申込制であり、当日受付は行われない。来場を希望する場合は、必ず事前に公式の入場申し込みフォームより手続きを行う必要がある。 「和光地区一般公開2026」入場申し込みフォーム(事前申込必須) 定員に達し次第、申込を締め切ります。 アクセスについて 無料シャトルバスの運行はない。 和光市駅南口から徒歩(約15分)、または路線バスを利用すること。 自転車・バイクの駐輪場は利用可能。 車での来場はできない。 送迎のための停車スペースや西門付近での乗降も安全上お断りしている(お身体の不自由な方は、西門エリアの駐車場を利用できる)。 受付は「西門」のみ。南門は開放されないため注意。 事前予約が必要な注目イベント 全63の多彩な出展や講演会のほか、一部のプログラムでは事前抽選制の予約を受け付けている。 予約期間:9月30日(水)10:00 〜 10月16日(金)12:00 ※参加には、事前の「一般公開入場申し込み」が必須となる。 ※先着順ではなく抽選となり、当選者には10月23日(金)までにメールで連絡される。 主なプログラム 「フラーレンを作ろう」 内容:ナノカーボン(フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン)の仲間であるフラーレンの分子模型作りを体験できる。 対象:小学生、中学生、高校生 定員:各回14組 「皮膚・脳・筋肉の不思議体験」 内容:自分の筋電位を体感し、その電気信号でロボットアームを動かしたり、脳にある「からだの地図」を観察したりできる。 対象:小学生、中学生、高校生 定員:各回25人 最新情報・お問い合わせ 最新情報は、理研和光X(@riken_wako)でも随時更新されている。 問い合わせ:理化学研究所 和光地区 一般公開事務局(Email: wod-jimu@riken.jp)

  • トライアルとスギ薬局が連合体を形成 リテールメディアの規格統一と大型化へ

    株式会社トライアルホールディングスと株式会社スギ薬局は、小売企業の垣根を越えた広告ネットワークの構築を目指し、「TOKYO Retail Media Federation(東京リテールメディア研究会)」を立ち上げた。本取り組みには、トライアル傘下の西友も参画する。 個社ごとに分断されたメディアの共通規格化 店舗での購買直前にアプローチできるリテールメディアは急速に普及しているものの、企業ごとに配信枠や効果の測定基準が異なり、出稿側(メーカー等)にとって比較や一括買い付けがしにくい構造的な問題を抱えていた。 両社はこれまで首都圏エリアでデジタルサイネージや店内放送を連動させる実証実験を重ねてきた。その結果、複数チェーンを束ねた広域配信の有効性が確認されたため、本格的な研究会の発足に至った。単なる「店舗ごとの販促ツール」を脱し、グループ売上高計2.3兆円規模の広範な購買データを背景とした「本格的な広告メディア」への刷新を推進する。 事前検証の知見:併用率2%未満が示す高いリーチ補完性 2026年5月の約1か月間、一都三県の401店舗(スギ薬局・西友・トライアル)で実施された実証実験では、以下の実績とそこから見えた気づきが得られている。 重複を除いた接触可能人数:GPSデータを基にした推計で、4週間で約685万人のユニーク来店客へリーチ可能と試算された。 相互利用の少なさ:ドラッグストア(スギ)とディスカウントストア・スーパー(トライアル・西友)の顧客併用率は約2.1%(スギと西友間では約1.8%)にとどまった。 この結果は、競合せず客層が綺麗に分かれている店舗同士を連携させることで、無駄な重複を抑えながら首都圏の生活者へ広範囲にアプローチできる利点を示している。 主な研究課題:TVCMにおける「GRP」のような標準指標の策定 本研究会では、主に次の3点について具現化を進める。 広域ネットワークの基盤整備 各社の得意エリアやメディア特性を統合した配信基盤を整備する。 多角的な費用対効果(ROI)の可視化 認知率だけでなく、新規購入率、リピート率、顧客あたりの購買頻度など、購買行動に直結するデータを指標化する。 業界標準となる統一指標の提示 テレビ広告のGRP(延べ視聴率)に相当する、リテールメディア共通の基準を定義する。 アプリ連携と他社の参画呼びかけ 今後は共通指標を用いた効果測定の知見を順次公表するほか、スギ薬局の公式アプリと連動した検証も予定している。参画企業にはunerry、東芝テック、SalesPlusなどのテクノロジーパートナーが名を連ねており、今後は他の小売企業の参画も募りながら首都圏を皮切りにネットワークの拡大を図る構えだ。

  • 広島国際大学と医療法人徳洲会が包括連携協定を締結 — 実践教育と修学支援を強化し地域医療を担う人材を育成

    東上理事長(左)と清水学長                締結式の出席者 医療法人徳洲会と広島国際大学は、健康・医療分野における人材育成を目的に包括連携協定を締結した。この協定により、学生の実践的教育や修学支援、就業支援を強化し、地域医療に貢献できる医療専門職の育成を推進する。 この連携では、現場力を取り入れた教育環境を整えて地域医療を支える医療専門職を育成することや、現場と教育機関の強みを融合させて健康・医療分野における研究活動・技術指導を推進することを目指している。さらに、学生への修学支援および奨学助成を充実させ、より学びやすい体制を構築していく。 広島国際大学は、これまでも実践力を重視した教育と医療現場との連携を通じ、多くの専門職人材を輩出してきた。一方、徳洲会は救命救急医療をはじめ予防医療や慢性医療、先進医療まで幅広い事業を展開している。 両者の協定における最初のステップとして、まずは同大学のリハビリテーション分野の学生に対する教育・修学・就業支援を実施する。あわせて、徳洲会のリハビリテーションスタッフに対する卒後教育へ大学教員を派遣するなど、相互の教育力と現場力を結集していく。 今後は、学生の教育や実践力育成、修学支援や就業支援をはじめ、共同研究や講義を通じた情報交換を進めていく。また、双方の強みを生かした技術交流や研究推進、卒後教育への講師派遣など、双方が必要と認める事項について多角的な連携が展開される。 両者の資源や蓄積された知見を活用することで、地域社会に寄り添う優秀な医療人材の育成と、医療現場の更なる質の向上が期待される。

  • 現場から未来をつかむ!城西大学・薬学部生が挑んだ「コミュニティファーマシーインターンシップ」

    地域医療を支える現場で、学生たちは何を学び、何を感じたのか――。城西大学薬学部では、夏季休暇中に選択科目として「コミュニティファーマシーインターンシップ」を実施している。 このプログラムは、業界団体である日本チェーンドラッグストア協会(以下、JACDS)の全面的な協力を得て行われるものであり、19人の4年生が参加した。学生たちはドラッグストアでの体験研修を通じて、地域医療における薬剤師の役割と働き方を深く学んでいる。 事前準備から現場研修への歩み 事前講義では、JACDS副会長である関口周吉氏(株式会社龍生堂本店代表取締役社長)が講師を務め、業界の現状や社会における役割について解説を行った。学生たちはそこで得た知識をもとに自らテーマを設定し、埼玉県内のウエルシア薬局、スギ薬局、セキ薬品、富士薬品、マツモトキヨシ、龍生堂本店などの協力のもと現場へと臨んだ。 研修期間中には、JACDS勤務薬剤師委員会副委員長の関颯伎氏(株式会社セキ薬品常務取締役 調剤本部本部長)が店舗を訪れ、学生たちの進捗状況温かく見守り手厚くサポートした。 学生たちの議論・気づきと、関口氏による解説 学生たちの活発な議論を温かく見守る村田氏(右奥) 研修後に行われた振り返り講義では、村田氏の進行のもと活発なディスカッションが行われ、その様子はオンラインを通じて協力企業にも配信された。 学生たちの発表では、企業や店舗によって狙う年齢層が異なり、高齢者向け店舗では通路が広く取られている一方、若者向け店舗では栄養相談の時間を長くするなどの工夫が報告された。また、薬剤師がレジ業務や一般用医薬品(OTC)の相談対応に加わることで、地域住民と日常的なコミュニケーションを深めている実態が挙げられた。さらに、花粉症の主訴に対して内服薬ではなく点眼薬や点鼻薬を勧めるケースも共有され、相互作用への懸念や患者が抱える心理的負担に配慮し、あえて外用薬を優先的に提案する現場の判断が示された。 こうした学生たちの議論を受け、関口氏は「対物から対人へ」という言葉の本質について、「服薬指導の充実のみならず、非調剤時の対人業務を充実させることこそが重要である」と解説し、OTCや雑貨の販売、アフターフォローにおけるコミュニケーションの価値を説いた。 学生の議論を受け、ドラッグストアの機能や法規制などについて解説する関口氏(左) また、一つの建物の中に薬局と一般的な物品販売などの店舗が同居し、それぞれの営業時間が異なる点に関する質問が寄せられた。これに対し関口氏は、限られた薬剤師の人員の中で調剤室を開けない時間帯や曜日であっても物販スペース側だけを営業し続けたいという現場のニーズから「分離申請」を行うケースが多い一方で、管理薬剤師が他の店舗や業務に携わることが法律で厳しく禁じられている点を指摘した。その結果、分離申請した店舗において、管理薬剤師が薬局の外に行って店舗側の顧客から風邪薬の相談を受けた場合、それが「薬事行為」とみなされて法律違反に問われかねないという構造的なジレンマが存在し、わずかな対応であっても行政指導の対象になり得るという現場の利便性と法規定の乖離について解説した。 さらに、介護分野に関心を持つ学生の意見に対して、成人用おむつの販売についても言及した。おむつフィッターといった専門資格の存在に加え、メーカーからサンプル提供を受けて実際に着用し、製品ごとのはきやすさや厚みの違いを肌で知ることの意義を示し「まずは自ら疑問を持ち、自ら経験することが最も大切である」と学生たちを激励した。 その他にも、登録販売者、ビューティーアドバイザー、管理栄養士など他職種との連携や、AIを活用した薬歴入力による業務効率化などが共有された一方で、「地域包括ケアシステムにおいて在宅医療を展開している店舗がまだ限られており、その実態をさらに深く学びたい」という今後の課題も提示された。 キャリア形成への期待と未来へ向けて グループワークでの活発な意見交換に寄り添い、学生の主体的な成長を見守る上田氏(左) 続いて、科目の責任者である上田氏は、「人から教わること以上に、自ら抱いた疑問に対して主体的に知識を深めていくプロセスこそが重要である」と実体験を伴う学びの価値を強調した。 今年度の学生たちが設定したテーマに沿って深く議論し、適切にまとめていた点を高く評価し、来年に控える薬局や病院での実務実習に向けて、「今回の経験を確かな土台として、自身のキャリア形成へとつなげていってほしい」と期待を寄せた。学生たちは今回の現場経験を通じて、これからの医療人に求められる実践的なコミュニケーション能力や課題解決力を着実に培っている。

  • 【神戸学院大学】感染症対策をテーマにした土曜公開講座を10月3日に開催

    神戸学院大学は、2026年10月3日にポートアイランド第1キャンパスにて、第92回土曜公開講座を開催する。大学創立60周年記念事業の一環として行われる今回は、「私たちのくらしと文化」をテーマに掲げている。 講座概要 今回の講座では、『感染症から身を守るために―正しく知って、正しく怖がる―』を主題に掲げ、身近な感染症に対する正しい知識や、日常生活で留意すべきポイントが分かりやすく解説される。 日時:10月3日(土) 13:00~14:30 場所:神戸学院大学 ポートアイランド第1キャンパス D号館1階 D101講義室 講師:薬学部 薬学科 教授 徳山 尚吾 参加対象:地域住民をはじめ、誰でも参加可能 受講料:無料 申込方法:事前申込み不要(当日直接会場へ) 同大学の土曜公開講座は、研究教育の成果を地域社会へ還元することを目的に1976年から開講されている歴史ある取り組みである。2026年度は創立60周年記念事業として、各学部の教員が専門的な視点から今日的な課題を取り上げる。 問い合わせ先 神戸学院大学 社会連携グループ 土曜公開講座係 TEL:078-974-4569(平日9:30~11:30、13:00~17:00) メール:renkei_info@j.kobegakuin.ac.jp

  • 博士の知が未来をひらく――「未来の博士フェス2026」開催

    2026年9月25日、東京国際フォーラムにて公開フォーラム「未来の博士フェス2026 ~博士と拓く、知が活きる社会~」が開催された。文部科学省主催、経済産業省および科学技術振興機構(JST)が共催する本フェスは、今年で4回目の節目を迎えた。現地およびオンライン配信のハイブリッド形式で行われた。会場にはアカデミアのみならず産業界や行政から約400人以上の参加者が集結した。高度な専門性と課題解決能力を備えた博士人材が、多様なフィールドで活躍するための新たな一歩を踏み出す一日となった。 産官学が手を取り合う 開会にあたり、主催者・来賓の双方が登壇し、博士人材への強い期待と手厚い支援の継続を力説した。文部科学省文部科学副大臣の中田宏氏は「博士人材は高度な専門性に加えて、何よりも自ら課題を発見・発掘して、他者と協調しながら新たな価値を創造できる人材である」と語り、社会課題の複雑化に応えるポテンシャルを評価した。続いて共催の経済産業省から、イノベーション政策統括調整官の福地真美氏が登壇し「新技術立国の実現を支える中心的な存在が博士人材だ。研究を通じて培われた課題設定力、分析力などの多様な能力にも目を向けてほしい」と企業側へのメッセージを投げかけた。 また、JST理事長の橋本和仁氏は「社会全体が知の社会になり、高い知識と経験を持った方をあらゆる現場が求めている。世の中を知るためにジョブ型インターンシップなどの制度を積極的に活用してほしい」と熱意を込めて呼びかけた。 さらに国会からの強い後押しとして、衆議院議員で元文部科学大臣の渡海紀三朗氏と参議院議員の有村治子氏も登壇した。渡海氏は「博士人材の皆様が持つ高度な専門性と探求心は、これからの社会や産業を牽引する強力な原動力である。イノベーションの創造と社会課題の解決に向け、研究の場にとどまらず、企業や行政といった多様なフィールドでその力を存分に発揮できるよう、国としても支援の拡充と環境整備に全力で取り組んでまいりたい」と力強く語った。続いて有村氏は「博士号を持っている方は、知のトレーニングができ、サイエンスで人を説得することができる証左だ。自らの専門性と倫理観と責任感を持って社会を変えていく力になってほしい」と熱いエールを送った。 熱意と知性が交差する――若手博士学生のプレゼンテーション 続くショートプレゼンテーションでは、先端領域で活躍する博士後期課程の学生6人が登壇し、自らの研究成果と未来へのビジョンを熱っぽく語った。 まず登壇した大阪大学薬学研究科博士後期課程1年の朝野怜氏は、iPS細胞から作製した「肝臓オルガノイド」とゲノム編集技術を組み合わせ、個々の体質に対応した薬物動態や肝毒性を評価する高精度な予測系の開発について発表した。新薬開発における最大の阻害要因である肝毒性を細胞段階で早期に予測することで、より安全かつ安価な医薬品を迅速に患者へ届けることを目指している。朝野氏はキャリア形成にも触れ、研究室配属から進路選択までの約2年間という短い期間で学生に研究を「面白い」と感じさせることが重要だと述べ、外部の学会や展示会で自らの研究価値を客観的に認識できる機会を学生に積極的に与えてほしいと訴えた。 続いて、金沢大学自然科学研究科博士後期課程2年の松島啓介氏は、脳の記憶形成において重要な役割を果たすタンパク質「CaMKII(カムケーツー)」の構造解明に関する研究を報告した。松島氏は、ナノスケールの分子の動きをリアルタイムで観察できる「高速原子間力顕微鏡(高速AFM)」を活用し、長年未解明であった「α型とβ型が混ざり合った12量体構造」を世界で初めて動画として捉えることに成功した。誰も見ることができなかった現象を最初に目撃する醍醐味を語った松島氏は、自ら解析手法を立ち上げたプロセスの力を生かし、将来的にタンパク質から個体レベルまで一貫して脳を解明し疾患治療に貢献したいと力強く展望した。 筑波大学理工情報生命学術院博士後期課程2年の多田遥香氏は、協調学習においてグループ内の感情的多様性に着目した感情推定AI支援システムの研究と、自身の起業活動を紹介した。カメラ映像から感情を推定しその差分をスコア提示することで、学習者同士が互いの感情差に気づき、発話や関わり方を調整できるように支援する実証実験をつくば市内の中学校で実施している。また、株式会社Griteenの代表として女子小中学生向けプログラミングスクールを運営する多田氏は「誰もが自分の『やってみたい』に挑戦できる教育を自分の手で作っていきたい。研究と起業の往復を続けながら、研究成果が社会で使われ続ける仕組みへ育てていく」と宣言した。 名古屋大学医学系研究科博士後期課程2年の布施絢史郎氏は、医師としての臨床経験を原点に、アルツハイマー型より重症とされる「レビー小体型認知症」の発症前段階を解明する研究を発表した。症状が出現する5〜10年前から脳の機能低下が始まっていることに着目し、健康診断データや初期の自覚症状(便秘や睡眠異常など)を追跡。機械学習(AI)を用いて多角的な検査データとの関連性を解析している。布施氏は「日本において1分に1人が認知症と診断されている」という現状に触れ、認知症が発症する前に治癒する社会の実現を目指し、1分も無駄にすることなく研究を進めたいと意気込みを語った。 奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科博士後期課程2年の山本富也氏は、情報科学(AI)を活用して半導体や電池などの新材料を効率的に設計する「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」の研究や、シンガポール南洋理工大学への留学経験を発表した。物理学者ファインマンの「作れなければ理解したことにならない」という言葉を引き合いに出し、AIで提案・設計された未知の材料から新しい物理法則を見つけ出したいと野心を示した。専門領域の転換や国内外での挑戦を経て実感した「一人ひとりが協力して作り上げる共創のインパクト」を大切にしたいと述べた。 最後に登壇した山形大学理工学研究科博士後期課程1年の小松芙羽氏は、カーボンニュートラル実現に向けたCO₂分離膜の研究開発について明かした。小松氏はナノ粒子表面に高分子を被覆する「粒子共存重合法(PwP法)」を用いて、界面欠損や凝集のない高機能なCO₂分離複合膜(MMM)を開発しており、スタートアップ支援プログラムへの挑戦も進めている。「ただ良い材料を作るだけでなく、どこで、誰に、どのように使われるかまで考えられる研究者になりたい」と語り、研究シーズを社会実装へつなげ、現場のフィードバックを再び研究へと還元していく持続的な循環を作りたいと意欲を見せた。 未来への展望 全ての発表を終え、コメンテーターを代表して早稲田大学理工学術院教授・SPRING/BOOST委員長の笠原博徳氏が総括を行った。笠原氏は登壇した学生たちの挑戦を絶賛し、「好きなことに打ち込んで目標達成に向け努力を重ねる姿は、世界トップに登り詰めた研究者たちと全く同じだ。皆様が将来、世界のトップと同等に活躍する姿が目に浮かぶ」と語った。さらに、JSTの各種スタートアップ支援施策やエコシステムを最大限に活用し、世界のベンチャーへと成長してほしいと激励の言葉を贈った。 午後に開催されたポスターセッションでは、学生同士だけでなく、多様な業界から集まった企業関係者との対話が交わされた。異分野とのチームアップや知見の共有を通じて、博士の専門性が社会へ還元される未来を確信させる、活気あふれるフェスとなった。

  • 広報部×薬学総合委員会「薬師のことのは」コラボイベント

    (一社)日本薬学生連盟広報部と薬学総合委員会は、2026年8月19日、「薬師のことのは」のしほ先生とのコラボイベントをオンラインで開催しました。当日は、しほ先生に作成していただいた講義動画をもとに、参加者同士で意見を交流しました。対話を通して、薬剤師としてのキャリアや仕事と子育ての両立、将来の働き方などについて考えを深める機会となりました。 (執筆:東京薬科大学4年生 庄司春菜、日本大学2年生 森下結衣) 当日の流れ 今回の講義では、事前に寄せられた7つの質問について、しほ先生に講義動画の中でお答えいただきました。 参加者は一つのテーマを視聴するごとに、講義内容に関する質問について「自分ならどのように考えるか」をチャットで答えました。その後、投稿された意見を全員で共有することでほかの参加者の考えにも触れながら、それぞれのテーマについて理解を深めました。 講義について  講義では、しほ先生に以下の7つの質問にお答えいただきました。 ・小児薬物療法認定薬剤師を取得した経緯は何ですか? ・小児薬物療法認定薬剤師の資格の研修はe-ラーニングのみですか? ・ワークライフバランスをどのように調整していますか? ・薬剤師をしながら子育てをする苦悩や生活面で変わったことはありますか? ・育児をしながらどのように資格取得していますか? ・学生のうちに取得した方が良い資格はありますか? ・この先のキャリアプランはどのように考えていますか? イベントの様子 例えば、「薬剤師をしながら子育てをする苦悩や生活面で変わったことはありますか?」という質問に関連して、今回参加者には「結婚や子育てなどで生活が変化したら、どのような働き方を選びたいですか?」「仕事と家庭を両立するために、職場にどのような制度や雰囲気を求めますか?」といったことについて考えてもらいました。 参加者からは、「休みを取りやすい雰囲気が欲しい!」「男性も育児休業を取得しやすい職場であってほしい」「職場に保育園を設置してほしい!」といった意見があがりました。その後、それぞれの意見をもとに、仕事と家庭を両立しやすい職場環境について全員で考えを深めました。 参加者の感想 ・女性薬剤師としてのキャリアと私生活の両立を、具体的に想像することができて、よかったです! ・出産や育児を経験されたしほさんから、実体験に基づくお話を伺うことができ、すてきな時間となりました。 ・しほさんが子育てと勉強の両方に取り組む姿を知り、私も好きなことを見つけ、それに全力で取り組めるすてきな社会人になりたいと思いました。 ・交流会に参加できて、とても楽しかったです。加えて皆さんがキャリアに真剣に向き合っていることが分かり、今回触れることのできたみなさんの考えや思いについて、今後のキャリア形成の参考にしたいと思いました。 運営者の感想 ・しほさんが、事前に寄せられた薬学生の質問に丁寧に向き合い、講義を作ってくださいました。参加者同士で意見を共有することで、多様な考え方に触れられる貴重な機会となりました。(広報統括理事) ・しほさんの講義の視聴とチャット 上での講義に関する質問への回答を交互に行ったことで、参加者の思い描いている将来像や考えを気軽に共有できる場となり、とても有意義な時間でした。(薬学総合委員長) しほ先生、このたびは貴重な講義をしていただき、ありがとうございました!

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