「DE&Iは風ではない。」誰もが違いを認め合う社会づくりを模索するフォーラム開催 スギ薬局グループの取り組み事例も紹介
- ito397
- 19 時間前
- 読了時間: 3分
「DE&I」とはダイバーシティDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)を指し、多様な人々が公平な機会のもとでそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境を指す。
人種、性別、宗教、性的指向、社会経済的背景、および民族性など、さまざまな違いを持った「個」が、互いに違いを認め合う社会を目指して発足した「京都大学コミュニケーションデザインとDE&Iコンソーシアム」は11月27日に立命館東京キャンパスを会場にフォーラムを開催した。
公平な社会づくりに向けて企業が取り組むべきこと

コンソーシアムの共同代表を務める、劇団の演出家であり京都大学経営管理委大学院の蓮行特定准教授は、フォーラムの冒頭でSDGsの理念として提唱されている「誰ひとり取り残さない」は「基本的人権の尊重」に言い換えられるとして、このことを建前で終わらせないことを訴え、「DE&Iは風ではなく、人類の数千年の知恵と価値観であり、どんな風が吹いていようが、これをやめない」と宣言した。
基調講演では長野県上田市に本社を置く株式会社バリューブックスの代表取締役であり一般社団法人B Market Builder Japanの共同代表を務める鳥居希氏が登壇。社会や環境に配慮した経営を認証する国際制度「Bコーポレーション(B Corp)」の推進者として、企業におけるDE&Iのあり方について語った。
鳥居氏は、自社でのジェンダーギャップ解消に向けた組織刷新を行った経験と、その過程で感じた問題点について述べ、構造的な不平等を解消するためには、企業が「意図的に」DE&Iを推進する行動を起こさなければ、何も変わらないと強調した。
DE&I推進に向けたスギ薬局グループの思い

コンソーシアムの会員法人による事例紹介ではスギホールディングス株式会社の杉浦伸哉副社長も登壇した。来年50周年を迎える同社は、ドラッグストア、調剤、介護など多岐にわたる事業を全国規模で展開しており、多様な人材が働く企業となっている。この多様な職場環境の中でDE&Iを実現することへの課題認識のもと、社内にDE&I推進課を立ち上げて取り組みをスタートしたばかりだが、現状二つの大きな課題を感じている。
一つ目は、管理職におけるジェンダー公平性。会社が成長し続ける一方で、女性管理職の比率が上がってきておらず、経営層の多様化を進めなければならないこと。二つ目として部門間の公平性の確保をあげる。システム開発部門のようにリモートワークが可能で成果主義が適用しやすい職種がある一方で、ドラッグストアの店頭部門のように営業時間など業務の制約があり、働き方の自由度が低い職種も存在する。この部門間の違いがあるため、労働時間や年齢に左右されない公平な評価基準を求める声もあり、全社的にどう適用するかという「全体最適」を図る難しさがあるという。
杉浦副社長は現在、社員の声を積極的に聞き取って課題解決の糸口を探っているとして、部門ごとの専門的な問題を解決するために外部の知恵も借りながら、多様な働き方を包摂できる、変化に強い企業構造を構築していきたいと展望を述べた。

フォーラム会場で行われたポスターセッションでは、スギ薬局グループをはじめ、DE&Iコンソーシアムに参加する法人などの取組みが紹介され、活発な意見交換が行われる機会となっていた。
■京都大学コミュニケーションデザインとDE&Iコンソーシアム


