富山大学が挑むチューリップ活用:未利用資源から革新的な化粧品開発へ
- toso132
- 5 日前
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2026年1月14日(水)~16日(金)に東京ビッグサイトで開催された「第16回 化粧品開発展【東京】」。そのアカデミックフォーラムにおいて、富山大学学術研究部薬学・和漢系 臨床薬剤学研究室の加藤敦氏と伊藤菜々羽氏によるチューリップを活用した化粧品素材の研究発表が、多くの来場者の関心を引いた。富山県の伝統産業と薬学的なアプローチを組み合わせた、地域密着型のイノベーションだ。
廃棄されるチューリップに新たな価値を
富山県は大正時代から続く日本有数のチューリップ産地だが、球根を育成する過程で咲いた花は切り取られ、その多くが廃棄されるという課題があった。加藤氏らは、この未利用資源を化粧品成分として有効活用することで、SDGsの達成と地域産業の活性化を目指している。研究チームは、品種ごとに異なる「香り」に着目した。富山県で最も多く生産される「黄小町」を中心に、品種ごとの香気成分や抽出エキスの効能を、薬学的観点から検証している。
科学的エビデンスに基づいた美肌作用
植物エキスを含む化粧品は科学的根拠が乏しいものも多い中、本研究では詳細な効能評価が行われている。まず保湿・バリア機能維持については、肌の潤いに欠かせないセラミドを分解する酵素「セラミダーゼ」を阻害する活性を確認した。また、ハリ・弾力維持に関しては、真皮構造を破壊する「コラゲナーゼ」の働きを抑える阻害活性が認められている。さらに、品種による差異を検証した結果、香り成分の含有量や種類が品種ごとに異なるため、肌に対する効果も品種によって違いがあることが明らかになった。
大学の研究を「社会実装」へ
「大学内での研究にとどまらず、企業と連携して社会実装を目指したい」と伊藤氏は意気込む。研究開始から約3年、現在は抽出エキスの効果評価の段階にあり、実際の製品化に向けたパートナー企業を募っている。
伊藤氏は、自身の研究の歩みを振り返り、「天然物を扱うため、エキスを入手できるのは花が咲く春先に限られます。時期が限られる苦労はありますが、品種ごとに異なる香りの評価を並行して行えたことは大きな強みになりました」と語る。また、薬学部としてのこだわりについて、「医療現場で使われるマイクロニードル技術(皮膚から効率的に有効成分を吸収させるドラッグデリバリーシステム)が美容に応用されているように、医薬品と化粧品は決して遠い分野ではありません。自分たちの研究が社会でどう評価され、何が足りないのかをこうした展示会の場で直接伺うことで、独りよがりではない『社会の欲しいもの』との距離を埋め、一緒に形にしていける繋がりを築きたい」と、実用化への強い意欲を示した。
伝統ある富山のチューリップが、科学の力で新しい美の形へと生まれ変わろうとしている。







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