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【オーガホールディングス】ヒーローマーケティングが切り開く新時代

  • toso132
  • 15 時間前
  • 読了時間: 3分
オーガマン オーガホールディングス

ドラッグストア業界の活性化と製・配・販の緊密な連携を目的とするドラッグストアMD研究会(DMS)。発足から30年以上の歴史を誇り、ウエルシアホールディングス株式会社の石田岳彦氏が会長を務める同研究会は、加盟企業が共に学び、情報を共有することで業界全体の進化を牽引してきた。

2026年1月30日に開催された第201回DMS定例会「新春政策セミナー」では、激変する世界情勢や加速する業界再編を背景に、次世代の経営戦略が語られた。その中でも、株式会社オーガホールディングス代表取締役社長の大賀崇浩氏による講演は、既存の薬局・ドラッグストアの概念を覆す革新的な内容であった。


逆境からの出発と「変身」への情熱

2008年、異業種の商社から家業に入社した大賀氏は、大手チェーンの九州進出による売上低迷と、年間50人規模にのぼる薬剤師の大量離脱という深刻な経営危機に直面した。2017年に社長に就任した同氏が導き出した打開策は、自らがヒーローとなり「エンターテインメントと医療を掛け合わせる」という前代未聞の挑戦であった。


「薬剤戦師オーガマン」の誕生とバズの連鎖

2019年、飲み残しの薬を減らす「残薬問題の解消」を大義に掲げたヒーロー「薬剤戦師オーガマン」が登場した。SNSで拡散された「薬飲んで、寝ろ。」というあまりにストレートなメッセージは、従来の薬局の堅苦しいイメージを劇的に塗り替えることとなった。オーガマンの公式X(旧Twitter)フォロワー数は、現在4.9万人にまで達している。

また、九州のローカルヒーローを集結させた特撮番組『ドゲンジャーズ』を自社主導で制作し、SNSで全国トレンド1位を獲得した。現在は第7シーズンの撮影を控えるほどの長寿コンテンツに成長している。さらにオーガマンによる「やくいくプロジェクト」を通じて、2022年から2025年の3年間で351園、延べ3万7,934人の園児に手洗いや服薬の大切さを伝え、子供から親へ健康を促す独自の行動変容モデルを構築した。


社会的価値と収益を両立する「CSV経営」への転換

オーガホールディングスが実践しているのは、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)経営である。これは、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは異なり、本業のビジネスを通じて社会課題を解決することで、「社会的価値」と「経済的価値」を同時に実現する経営モデルを指す。

この戦略は、単なる話題作りを超えた実利をもたらしている。採用面では九州の薬学生の約6割がエントリーするようになり、志望動機が「面白そうな会社」へと激変した。ビジネスモデルとしても、広告代理店の事業会社を設立し、120社以上のパートナー企業を獲得することで収益化に成功している。現在はホールディングス化を推進し、動物病院と連携する動物専門調剤「ANIMAL PHARMACY」の開設など、人の健康だけでなく動物や環境の健全性までを一体として捉える「One Health」の視点から、ヘルスケアの枠を広げた新領域への進出も加速させている。


ストーリーが行動変容を起こす

大賀氏は、論理的な説明よりも物語(ストーリー)として伝える方が「22倍記憶に残る」という脳科学の知見を引用し、「人はエンタメでしか行動変容を起こせない」と断言した。今後は健診施設との連携モデルなどを通じ、「数値」を実際の「行動」へ移す取り組みを強化していく方針である。

AIが台頭する時代だからこそ、ワクワクする体験を通じて人々の感情を揺さぶり、子供たちに誇れる企業文化を作ること。オーガホールディングスの挑戦は、ドラッグストアが地域社会において「健康を守るヒーロー」へと進化するための重要な示唆であった。

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