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「八王子やくぜん麻辣湯」給食提供へ──東京薬科大学×八王子市学校給食 コラボメニュー初試作会を開催

21 時間前
読了時間: 5分
東京薬科大学薬学部 漢方資源応用学教室の皆さん
東京薬科大学薬学部 漢方資源応用学教室の皆さん

東京薬科大学と八王子市が包括連携協定のもと実施する「食育事業」の一環として、市立小・中・義務教育学校の給食メニュー「八王子やくぜん麻辣湯」の共同開発が本格始動した。2026年10月6日には、学校給食センター南大沢にて初の試作会が開催された。

今回のプロジェクトには、東京薬科大学薬学部・漢方資源応用学教室の4年生5人が参加している。学生たちは大学で日々学んでいる漢方や生薬の専門知識を生かし、レシピ案や食材の提案を行った。


「体を作る食材に興味を持ってほしい」──薬学生の思いとメニューの工夫

事前のヒアリング・打ち合わせを経て、学生たちの食材案をもとに学校栄養士が再現レシピを作成し、試作会では実際の調理と試食が行われた。開発にあたっては、「子供たちの食べやすさ」と「薬膳らしさ」の両立が目指された。

麺には子供たちに親しみやすく満足感のある「中華麺」を採用している。スープは鶏白湯や清湯をベースに、体を温め胃腸を助ける生姜や、セサミンを含み老化防止などが期待される白ごまを合わせ、麻辣湯らしい辛味をほんのり加えた優しい味わいに仕上げられた。

厳選された11種類の推し食材には、タンパク質とビタミンB1が豊富な豚肉、八王子の「8」と足の数「8」をかけたタコのほか、ホタテ、小松菜、れんこん、崩れにくく味が染みやすい高野豆腐などが並ぶ。さらに、生姜や白ごま、キクラゲなどを通じて、「普段の食事で使う食材にも生薬の仲間があり、体に良い効果がある」ことを子供たちに身近に感じてもらう狙いもある。


身近な食材が生薬であることを伝えたい──学びを生かした薬学生のこだわり

参加した学生たちは、小学生の舌に合う味付けと自分たちの好みのギャップを考慮することに難しさや面白さを感じつつ、「普段の生活では生薬というと薬のイメージが強いが、身近に食べられている食材も実は生薬であり、薬にも使われているということを小学生に知ってもらえたらうれしい」と語っている。

また、子供たちに向けて「食べたものは毎日元気に過ごすためのエネルギーになる。自分の体をつくる食材に興味を持ちながら、バランスよく食べて健康で楽しい一日を過ごしてほしい」との思いを寄せている。


試作会での実践と、学生たちが実感した「給食の裏側」

意見交換の様子
意見交換の様子

10月6日の試作会で学生たちはエプロン姿でテーブルを囲み、学校栄養士が再現した2種類のスープ案(味噌・豆乳仕立ての清湯ベース、醤油・塩味の白湯ベース)や具材を実際に味わいながら、一連のレシピ検証に参加した。

試食中、学生たちからは「清湯スープの方が味噌のコクや生姜の風味がよく効いていておいしい」「高野豆腐にスープの味がすごく染み込んでいておいしい」といった率直なリアクションが上がった。

また、試作会の中で「薬膳としての推し食材ベスト3」を尋ねられると、学生たちは「体が温まる生姜や、生薬に通じるゴマ、キクラゲ」を『これぞ薬膳』という上位の食材として回答した。さらに、「生姜はすりおろすより刻んで入れた方が、風味がより引き立つのではないか」「低学年の子供には少し辛すぎるかもしれないので豆板醤を調整した方が良さそう」といった意見を出したほか、調達コストや数の問題でタコの使用が難しいという説明を受けて、「それならイカやエビなどの海鮮を入れるのはどうか」と代替の食材案を提案するなど、子供の食べやすさや現場の制約にも配慮しながら活発に意見を交わした。

実際に味や食材を細かく検証しながら栄養士と向き合った学生たちからは、プロジェクトに関われた喜びや手応えとして、「実際に話を聞いたときはこんな大きなことになるとは思っていなかったので驚いた」「自分たちが選んだ食材や小学生に食べてほしいと願ったアイデアが形になり、一つのプロジェクトに関わることができて本当にうれしい」といった声が聞かれた。また、「子供たちもきっと気に入ってくれるはず」という力強い期待も寄せられている。

さらに、試作会を通じて学校給食の裏側を知る貴重な経験となり、「小学生の頃は何げなく当たり前のように食べていたが、学校の栄養士の方々がこんなふうに試行錯誤してメニューをつくってくださっていることを知れて非常に良い経験になった」と感謝を口にしていた。


試作会で用意された「八王子やくぜん麻辣湯」
試作会で用意された「八王子やくぜん麻辣湯」

食育・キャリア教育への広がりを見せるプロジェクト

八王子市教育委員会学校教育部学校給食課の安齊祥江氏は、今回の取り組みについて次のように語っている。

「学生さんたちが自ら学んだ食材のパワーや知識を、子供たちに伝えてほしいという思いから企画しました。今回の取り組みは単に『麻辣湯を提供する』ことにとどまりません。麻辣湯はお店で好きな具材を選んで食べる料理ですが、今回は薬学生の知恵を借りることで『今日は疲れ気味だから疲労回復に役立つ食材にしよう』というように、自分の体調に合わせて食材を選ぶ考え方(食育)を子供たちに届けたいと考えています。さらに、地元の大学で薬学を学ぶお兄さん・お姉さんの姿を通して将来の目標や仕事について考える『キャリア教育』や、八王子ならではの取り組みを通じた地域愛の醸成など、多様な学びにつなげていきたいです」


全校提供に向けた歩みと、ご当地グルメとしての未来

市内の全市立小・中・義務教育学校107校での給食提供は、2027年1月が予定されている。提供当日に向けて食育メモや、学生たちのメッセージを盛り込んだ掲示用パワーポイント資料の作成が進められるほか、開発に携わった薬学生が実際に学校を訪問し、児童・生徒と交流給食を行う計画も進められている。

さらに今後は学校給食にとどまらず、市内の飲食店やイベント等での「八王子麻辣湯」としての市販化・ご当地グルメ展開も視野に入れた取り組みが進められていく。




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