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10兆円市場を突破したドラッグストア業界の現在地

  • toso132
  • 4 時間前
  • 読了時間: 5分
塚本氏
塚本氏

一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、9月1日に記者会見を実施した。会見では、業界の最新推計データや現場が抱える課題、今後の出店動向や薬剤師像について幹部陣から深い言及がなされた。 

 

10兆円市場の達成と調剤業務の急速な拡大

会見では、JACDSが取りまとめた「2025年度版業界推計 日本のドラッグストア実態調査(確定版)」が発表された。全国のドラッグストア総店舗数は2万4,536店舗(前年比813店舗増)、全国総売上高は10兆6,427億円(前年比106.1%)に達し、悲願であった10兆円産業の仲間入りを果たしたことが報告された。  

部門別の売上構成比を見ると、「調剤・ヘルスケア」が3兆5,583億円(構成比33.4%)で最大となった。次いで「フーズ」が3兆487億円(28.7%)、「ホームケア」が2兆1,086億円(19.8%)、「ビューティケア」が1兆9,271億円(18.1%)と続いている。  

カテゴリー名称

主な取扱商品・機能

調剤・ヘルスケア

処方箋調剤、OTC医薬品、介護用品、ベビー用品、健康食品等

フーズ

一般食品、生鮮食品、菓子、飲料、酒類、冷凍食品等

ホームケア

日用消耗品、家庭用品、ペット用品等

ビューティケア

化粧品、ビューティ小物、トイレタリー等

さらに、ドラッグストアにおける調剤高は1兆6,785億円(併設店のみの推計値)に達し、ドラッグストア売上高の15.8%、ヘルスケア調剤の47.2%を占めるなど成長が著しい。伸び率は9.1%を記録し、全国の調剤医療費総額(2024年度と同額の8兆4,008億円と仮置きした暫定値)に占めるシェアは19.7%と2割に迫る規模へ拡大した。ドラッグストア調剤の10年間の推移を見ると、2015年度は7,158億円(シェア9.1%)、2020年度は1兆0,693億円(シェア14.2%)、2025年度には1兆6,586億円(シェア19.7%)へと拡大している。  

なお、このデータは併設店のみの数値であり、買収などで増えている単独店や専門店も含めると、業界加盟企業の調剤売上はさらに上積みされる。調剤報酬改定(ベースアップ評価料等の算定影響など)や在宅医療への対応が進む中、最寄りストアとしての利便性やワンストップショッピングの強みが評価され、処方箋獲得へと結びついている。

  

店舗数は今後も増加傾向が続く

一部で「ドラッグストア店舗は飽和している」との指摘がある点について、会長の塚本厚志氏は「ドラッグストアはフォーマットの刷新や商品構成(アソートメント)の進化を続けており、データとして店舗数が純増している事実を捉えるべきだ」と主張した。今後数年間は店舗数の増加傾向が続くという見通しを示している。  


覆面調査結果の検証と現場の課題

厚生労働省の覆面調査結果に対して、塚本氏は指定乱用防止医薬品などの対応においてチェーン店が一定の成果を上げたことを評価した。一方で、OTC医薬品販売への関与や問いかけに対するスコアに落ち込みが見られた点を反省材料として挙げた。薬剤師に対して、調剤業務の忙しさがあるものの、スイッチOTCを含むOTC医薬品への造詣を深め、説明責任を果たすなど、調剤室だけに閉じこもらない専門家としての職能発揮を呼びかけた。また、質の高い登録販売者の育成支援も協会を挙げて進める方針だ。

  

かかりつけ薬剤師と未来の薬剤師像

関口氏
関口氏

かかりつけ薬剤師制度の認知度向上に向け、JACDSでは「勤務薬剤師委員会」と「薬局機能向上委員会」を中心に資質向上に取り組んでいる。「薬局機能の向上」と「薬剤師の資質向上」の両立を図り、地域の特性や患者個々のニーズに応じたフォローアップができる人材育成を進めている。  

今後の薬剤師の役割について塚本氏は、2030年の13兆円目標に向けて、従来の「処方箋に基づく調剤」にとどまらず、最寄りの相談窓口としてOTC医薬品の適正使用やセルフメディケーションを支え、地域医療・介護・予防とシームレスにつながることが期待されていると述べた。また、単に処方箋を受け取る枚数を増やすことだけを目指すのではなく、セルフメディケーションを普及させて人々の健康維持に貢献し、医療機関を受診する前の予防や健康相談に応える場としての役割を果たしていく姿勢を強調した。  

続いて副会長の関口周吉氏は「患者のための薬局ビジョン」の遂行が患者からの評価につながると指摘した。生活動線上の立地という強みに加え、重複投与や相互作用防止など一元管理を求める社会ニーズに応える重要性を強調した。さらに、セルフメディケーションの先には在宅医療やACP(人生会議)が存在するとし、その過程において薬剤師が「ALP(アドバンス・ライフ・プランニング)」とも言える生活設計支援を担っていくべきだという独自の考えを示した。セルフメディケーションからACPに至る手前でALPを実践していく姿勢こそが、今後も社会からの支持を得続ける鍵となると提言した。

  

第26回JAPANドラッグストアショーの取り組み

薬科大学生クイズ大会の様子
薬科大学生クイズ大会の様子

会見と併せて、JAPANドラッグストアショーの成果も報告された。今回は「セルフメディケーションによるドラッグストアの未来像 〜NEXT25〜」をテーマに、過去最大の1,367小間(386社)が出展し、11万2,989人が来場した。  

特に今回は、次世代を担う薬学生や研究者との連携を深める取り組みが大きな注目を集めた。  

初開催となった「アカデミックフォーラム」では、大学や研究機関など16団体から全29演題のポスター展示・発表が行われた。実店舗におけるセルフメディケーション推進の取り組みや地域医療連携、ドラッグストア現場での実践的研究成果について、研究者や実務者の間で活発な議論が交わされた。  

また、「薬科大学生クイズ大会」では、神戸薬科大学、城西大学、城西国際大学、帝京大学、東京薬科大学、星薬科大学の各薬学生が現場のドラッグストア薬剤師とチームを組み、OTC医薬品やセルフメディケーションに関する専門知識を競い合った。大学とドラッグストア企業の産学連携・交流を促進する体験型企画として、大きな盛り上がりを見せた。  

展示会全体を通じて、セルフメディケーションの普及促進のみならず、将来の医療を担う薬学生や若手薬剤師の育成に向けた大きな実効性を上げる開催となった。


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