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【一日一笑】あなたの常識は、私の非常識!!

医薬情報研究所 株式会社 エス・アイ・シー

公園前薬局(東京都八王子市)

堀 正隆



人それぞれ。

薬局薬剤師の業務において、重要な仕事の服薬指導。

服薬指導には、店頭、訪問在宅、オンライン(テレビ電話を用いたもの)で行うものがあり、その中でも訪問在宅で行う服薬指導というのは、実際に患者宅に伺い行うものである。

どのような生活をしている?薬の管理状況は?どんな場所で寝ている?などなど、生活環境を見ることができ、患者さん自身も自宅であるためリラックスしており、普段の店頭での服薬指導と比べ、会話内容が増えることで、得られる情報量も多く、患者さんとの関係性も築きやすくなっていく。

そんな、訪問在宅を行っているとさまざまな場面が訪れることがある。実際に起こったエピソードを2個ほど紹介する。


入り口が玄関じゃない??

初回訪問の前に電話確認で本人と少しやり取りをしてから訪問するのだが、本人から「家に着いたら裏に回って、窓をノックして?そうしたら鍵を開けるから窓から入ってきてちょうだい」との説明があった。

ん?窓から??一体どういう状況なのだろう。窓ってどんなサイズ?そんなに小柄ではないけど大丈夫?初回の時は少しドキドキするが、今回のドキドキはなんだかいつもと違う気が…。

おうちに到着し確認すると一応、テラスに出られる大きな窓ではあったので一安心。

ノックをして実際におうちに入った。中から見てびっくり。物がとても多く、玄関には積み上げられた物の山。テレビでもたまに取り上げられているようなおうち。正直、少し整理を…なんて思い。恐る恐る、本人に確認してみるとあの時あの人と食べたお菓子の箱だから…。これは初めて〇〇した思い出の物なの…。人によってはただのごみかもしれない。それでも、本人にとっては大切な宝物。外にも出ていない。生ごみがあるわけでもない。外観はとてもきれいに整備されており、近隣に迷惑をかけているわけでもない。かたくなな姿勢に他職種とも話し合ったものの、介入できるすべはなし。全員が窓からの入室在宅の開始。少しでも良好な生活環境保持のため、念のため換気を促し良しとするか。それ以降、目に映る空き箱の思い出話を聞きながら服薬指導を行った。


重度認知症の患者さんのおうち

目の前に薬があると全て飲んでしまう患者さん。ケースを用意し南京錠で鍵をかけて保管。看護師やヘルパーと連携をし、毎日の配薬を行う。少しずつ処方薬にも変化もあり、毎日同じ人が出入りできるわけではないので、配薬においては、薬剤情報提供書いわゆる薬情(写真と効能、服用量が記載された書類)がとても大切。

本人に、「これは大切だから捨てないでね?看護師やヘルパーに見えるようにここに置いておくよ?」そう伝えると、「大切だから捨てちゃ駄目。分かった」復唱してくれたことにも安心感を得て帰宅。

翌日、看護師の方から薬情が見つからず、本人に聞いても分からないと連絡が入り、慌てて再度訪問。本人に確認してもやはり分からない。ピンと来たので「昨日の大切なものどこにしまいました?」本人に確認するとスイスイと仏壇の前へ。そして、仏壇から出てくる薬情…。

「大切と言われたからしまっておいたわよ?家宝にするの」

私の伝え方が悪かったかな?大切ではあったが、そこまでではなかった…。

その場にいる本人も含めた全員で大笑い。その後、薬の保管ケースを変え、薬情と薬を同じ場所に置けるように変えたのは言うまでもない。

 

以上のことから、私が学んだことは、人それぞれ何を大切にしているのか、どのように言葉を受け取るのか、物事の考え方や価値観。さまざまな違いがあるということ。

それなら常識って何?

わざわざ伝えなくても良いか…。

これは当たり前だし言う事でもないか…。

私たちの当たり前は、時に患者さんの当たり前ではないことがある。「坐薬は座って飲むのよね?」「食間は食事中に飲むのよね?」医療従事者からすると、衝撃を受ける回答はまれに起こる。私たちは、大学生活を経て、病院や薬局などで働く。周囲の環境から医療関係者との会話ばかりが増えている。いつの間にか知っていて当たり前とする常識の基準は上がっている。近年、インターネットやメディアから多くのことを知ってくれている患者さんも少しずつ増えてはいるものの、あくまでも少数ではある。ふとしたときに…伝えるほどのことかな?さすがに当たり前だよね?そんな内容の確認も念のために会話の中で伝えてみてね?

あなたの常識は、私の非常識!!

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