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DX・多職種連携・フェムケアで激変するドラッグストアの未来像──第26回JAPANドラッグストアショー JACDSパネルディスカッション

  • toso132
  • 9 時間前
  • 読了時間: 7分


「第26回 JAPANドラッグストアショー 2026」において、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)主催のパネルディスカッションが開催された。業界を牽引するトップ経営陣が集結し、これからのドラッグストアが果たすべき役割について熱い議論を展開。薬学生の皆さんが将来活躍するフィールドがどう進化しようとしているのか、5つのテーマから最新動向を読み解く。

  

調剤・医療連携・介護領域:患者の「生活圏」で自然につながる仕組みづくり

杉浦氏
杉浦氏

初めに、医療機関・介護施設・薬局が分断されることなく、患者の「生活圏」で自然に手を取り合う環境づくりが議論された。

一方で、医療機関や介護施設と過度に近づきすぎることに対して「門前薬局等立地依存減算」や「経済上の利益の提供による誘引の禁止」といった制度上の懸念が生じる点も共有された。これに対し、スギホールディングス株式会社代表取締役副社長の杉浦伸哉氏は「制度上の独立性や透明性を両立させつつ、判断軸を『患者負担の軽減』『アクセス改善』『アウトカムのエビデンス』において、健全な連携モデルを育てていく」と表明。同社が進める「ハブ&スポーク構想」では、ケアプランセンターや訪問看護ステーション、福祉用具レンタルを備えたハブ店舗を中心に、周辺の店舗(スポーク)と連携して患者の生活空間までシームレスな支援を届ける体制を構築している。

株式会社ツルハホールディングス代表取締役社長の鶴羽順氏は「日常的な接点が最も多いドラッグストアにはプライマリケア機能が求められている。薬剤師が処方箋を渡すだけでなく、登録販売者、管理栄養士、ビューティースタッフ、介護スタッフが一体となったチーム連携が重要だ」と多職種連携の必要性を強調。

JACDS会長の塚本厚志氏も「薬剤師の業務負荷が増すなか、DXやIT、AIを活用して業務を効率化し、患者さんとのカウンセリングに集中できる時間を確保することが不可欠だ」と語り、テクノロジーを活用した現場対話の重要性を訴えた。


予防・未病領域:DX×専門職で実現する「攻めの予防医療」

水田氏
水田氏
角谷氏
角谷氏

続いて、受診前の段階で適切な判断を行い、必要な医療へつなぐトリアージ機能と、食事面からのアプローチが紹介された。

株式会社新生堂薬局代表取締役社長の水田怜氏は、処方箋がなくても気軽に相談できる場を「ヘルスケアステーション」と定義。独自開発した特許システム「健康台帳®」を活用したトリアージエンジンを紹介した。全相談件数41,362件のうち、医療機関受診が必要なレベル(Red Flag)を0.6%検出するなど高い精度を実証。知識不足による不要な受診勧奨を防ぎ、根拠を持った受診提案やOTC医薬品の推奨を実現することで、客単価上昇や顧客離脱率の改善というビジネス成果も挙げている。「質の高い対話と適切なトリアージが、社会保障費の抑制と企業収益の両立を可能にする」と手応えを示した。さらにJACDSとしても「受診勧奨ガイドライン」を作成し、全国の店舗を「健康生活拠点」として標準化していく構想が語られた。

株式会社トモズ代表取締役社長の角谷真司氏は、スーパー「サミット」等と共同展開する健康相談コーナー「けんコミ」の事例を発表。1店舗に管理栄養士2人を常駐させ、1日平均で測定312回、カウンセリング27回といった高い利用実績を挙げている。さらにアプリによるデータ管理と栄養アドバイスを連携させ、専門性を生かした売り場づくりとリピート率向上を両立させている。

また、角谷氏はJACDS管理栄養士委員会委員長として、ドラッグストアにおける管理栄養士のさらなる活躍に向けて「ドラッグストアにおける管理栄養士の実態調査」を実施。企業側へのアンケート調査と管理栄養士本人へのヒアリング調査の両面から現場の課題を抽出しており、認知度向上策や教育、好事例の収集などを通じて、業界全体での「ドラッグストアにおけるあるべき管理栄養士像」の確立と環境整備を進めていることが報告された。


コンビニエンス(利便性)の追求:生活に溶け込む身近な存在へ

日常の生活導線上にあるドラッグストアだからこそ提供できる、「食」も含めたワンストップな利便性の追求が語られた。

塚本氏は、ドラッグストアの成長軸として「簡便性(利便性)」「コストパフォーマンス(ディスカウント性)」「ヘルス(健康・美容)」の3要素を提示。「単に便利なだけでなく、顔を見て名前で呼び合えるような心理的な近さと信頼関係を築き、真っ先に選ばれる存在であり続けることが重要だ」と述べた。

これを受け、杉浦氏は「地域住民や高齢者がワンストップで生活を完結できるよう、中食・総菜分野の強化を進めている」と説明。現在、セントラルキッチンで作られた惣菜・お弁当の店舗導入を拡大(中部34店舗・関西14店舗の計48店舗)しており、今後は協業している株式会社トライアルホールディングスからの商品提供を受けながら、供給エリア(関東・中部・関西)や商品ラインナップを大きく拡大し、日常の「食」と「健康」の提案をより身近に広げていく姿勢を示した。


サクセスフルエイジングとライフステージへの寄り添い:人生に寄り添う「ライフストア」へ

鶴羽氏
鶴羽氏

年齢を重ねることを前向きに捉える「サクセスフルエイジング」の概念と、顧客の生涯にわたって関わり続ける店舗づくりが提示された。

塚本氏は「サクセスフルエイジングの基盤は日々の健康生活にある。食事や運動、セルフメディケーションを通じて個々が体調を整える努力をする社会を目指すことが、持続可能な社会保障制度を支える」と力説した。

また、ウエルシアホールディングス株式会社との統合を進める株式会社ツルハホールディングスの鶴羽氏は「私たちが目指すのは『ライフストア』というビジョンだ。特定の店舗形態を指すのではなく、乳幼児のおむつから介護・終末期まで、お客様の人生のあらゆる変化に地域密着で寄り添う存在でありたい」と力強く語った。


女性の健康とビューティー:フェムケアで広がる新たな専門性

初鹿氏
初鹿氏

ヘルスケアとビューティーの両面から女性の健康をサポートする「フェムケア」の最前線について、より踏み込んだ発表が行われた。

マツキヨココカラ&カンパニーグループ・株式会社MCCマネジメント執行役員の初鹿妙子氏は、思春期・成熟期・更年期・老年期と変化するライフステージにおいて、女性ホルモン「エストロゲン」が心身の健やかさをつなぐ重要な鍵であることを解説。エストロゲンは、肌のハリ・弾力や豊かな髪といった「外面の美しさ」だけでなく、自律神経の調和・質の高い睡眠・血管の柔軟性や骨密度の維持といった「内面の健やかさ」にも深く関わっている。

初鹿氏は「女性のサクセスフルエイジングには美と健康の両面を捉えることが不可欠だが、『相談してもいいと気づいていない』『どこで相談できるか分からない』『自分に合った商品に辿り着けない』女性が非常に多い」と問題意識を指摘。

同社ではその解決策として、薬剤師・医薬品登録販売者・管理栄養士・ビューティースペシャリスト等を対象とした社内認定制度「フェムケアスペシャリスト」を育成・配置し、ドラッグストアを誰もが気軽に相談・解決できる場へと変革している。さらに、自社女性従業員向けに「プレコンセプションケア支援(20〜40歳代の葉酸含有サプリ購入補助)」や「更年期ケア支援(40歳以上のエクオール含有サプリ購入補助)」といった健康支援プログラムを展開。「スタッフ自身が実体験を通して理解を深めることで、店頭でのリアルで説得力のある提案へと繋がる。『あのとき知っていればよかった』という後悔をなくす取り組みを広げたい」と締めくくった。


ドラッグストアで描くこれからのキャリア

今回のパネルディスカッションを通して見えてきたのは、単に「薬を渡す場所」を超えて、DX技術を活用した高精度なトリアージ、管理栄養士や他職種とのチーム医療、フェムケアなどの専門的アプローチ、そして人生のあらゆる場面に寄り添う「ライフストア」へと進化するドラッグストアの姿だ。

これからのドラッグストア薬剤師には、調剤スキルはもちろんのこと、患者さんの生活空間全体を捉える視点や、多職種と連携して「予防〜医療〜介護」をシームレスにつなぐリーダーシップが求められている。就職活動や実習の場でも、ぜひ「これからのドラッグストアが果たす地域役割」に注目してみてほしい。

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