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【くすりの適正使用協議会】患者向け情報の一元化と信頼の基盤強化に向けた新中期計画を報告

  • toso132
  • 5 時間前
  • 読了時間: 5分

一般社団法人くすりの適正使用協議会は2026年6月9日、都内で「2026年協議会講演会」を開催した。講演会では、同協議会理事長の俵木登美子氏より、この1年の主な活動や「くすりのしおり」、ならびに「ミルシル」を核とした患者向け資材の連携状況、今後の展望についての報告が行われた。

  

2026~2028年度の新中期活動計画が始動

同協議会は3年ごとに中期活動計画を策定しており、2020年から2022年は「信頼できる情報を届ける基盤づくり」、2023年から2025年は「基盤強化と情報の充実」をテーマに据え、患者向け資材を集約するプラットフォームの構築と拡充を進めてきた。そして今年度からは、2026年から2028年を対象とする新たな中期活動計画が始動している。新計画では「信頼できる情報」のさらなる充実を図り、必要とする人々へ効果的な発信ルートを通じて届けることを目指している。

  

専門委員会による多角的な取り組み

各委員会における活動成果も多岐にわたる。くすりのしおりコンコーダンス委員会では、患者により分かりやすい情報を提供するため、優しい日本語化の推進やピクトグラムの活用検討を行っている。また、製薬企業で初めて「くすりのしおり」の制作に携わる担当者に向けた、作成実務の手引き(マニュアル)を新たに策定したほか、ケアマネジャーなどの介護関係者や薬剤師を対象としたアンケート調査の結果を学会で発表している。  

くすり教育と啓発については、協議会の極めて重要な継続活動として位置づけられており、さまざまな学会へのブース出展を通じて現場の教師や医師との意見交換を行っている。さらに、薬物乱用防止教室と融合したショート動画の掲載、大学での出前研修、養護教諭らを対象としたオンライン講座の開催、社会問題となっているオーバードーズ(OD)問題に関するシンポジウムの開催など、多角的な啓発を実施した。一般向けにも、市販後の副作用収集への協力を呼びかける動画や、薬の基本的なルールを伝える動画を公開している。  

また、高齢者の日常生活を支える介護職へ向けた啓発として、4コママンガを作成しているほか、介護現場での困り事に関するアンケート結果を日本薬剤師学術大会で発表した。先進医療製品適正使用推進委員会の取り組みでは、バイオ医薬品に関する動画の作成や普及、薬剤師向けのeラーニング資材の提供を行っている。さらに、薬学部での活用を目的として、数年前から47学部81教員に薬学生向けコンテンツを提供するなどのアカデミア支援も進められている。

  

最新モダリティへの対応と薬剤疫学の新たな共同研究

新中期活動計画における新たな挑戦として、これまでのバイオ医薬品に留まらず、核酸医薬品、放射性医薬品、再生医療等製品といった新しいモダリティの認知向上と基礎知識の啓発活動が開始された。俵木氏は、始まったばかりのこの活動への会員会社(製薬企業)の積極的な参加を呼びかけた。  

薬剤疫学委員会においては、毎年実施している各種セミナーに加え、今年3月の薬剤疫学セミナーからは日本薬剤疫学会による後援を取り入れ、受講生に「認定薬剤疫学家」の更新ポイントが付与される仕組みを構築した。

データベースを用いた共同研究では、妊娠と薬情報センターのデータを活用した研究成果が、昨年5月に英文誌『Drug Safety』へ掲載されるという高い評価を得た。現在は別のデータベースを用いた論文の投稿準備を進めるとともに、リアルワールドデータの利活用推進を目的とした新しいデータベース研究の立ち上げというスタート地点に立っている。

  

デジタル化が進む医療現場と「ミルシル・プラットフォーム」の展望

同協議会は、今年度もお薬手帳を25万5000部配布したほか、健康・医療情報を見極めるための資材「情報の鵜呑み禁止!」や、オーバードーズ、ポリファーマシーに関する資材の活用を進めている。  

2022年4月に開始され4年が経過した「ミルシル」サイトは、2026年5月時点で月間PV数が408万を数える規模へと成長している。一般生活者を対象としたインターネット調査によると、医療用医薬品について調べる際に「インターネットで調べる」と答えた割合が、医師や薬剤師に聞く割合を優位に上回っており、スマホの急速な普及に伴う情報収集行動の変化が顕著に現れている。  

現在、ミルシルサイトへの患者向け資材の掲載には80社が協力しており、製薬企業が作成する公式な医薬品情報をもとに、薬の効能や副作用、服用時の注意点などを簡潔にまとめた「くすりのしおり」3500件に対して、2000弱の資材が紐付いている。また、医薬品リスク管理計画(RMP)に基づき、患者向けに副作用の初期症状や特に注意すべき点などを分かりやすく解説した「患者向けRMP資材」の掲載も進んでおり、現場の医療関係者からも高い評価を得ている。特に医療現場では、吸入器や注入器といった「デバイスの使い方を解説した動画や資材」の利用が多く、服薬指導の実務において高く重宝されている。

サイトの利用者調査では、一般の約3割、医療関係者の約7割がリピーターであり、資材を見た一般の80.3%、医療関係者の86.4%が「参考になった」と回答した。さらに、一般ユーザーの約半数が「この情報を見て医療関係者に相談しようと思った」と答えており、情報提供がコミュニケーションのきっかけとして機能している状況が伺える。 

将来的には、チャットやオンラインによる電子的・デジタルな服薬指導や服薬フォローアップが急速に増加することが予想される。同協議会は、この変化に対応して「ミルシル・プラットフォーム」への情報一元化をさらに推し進め、医療関係者が店頭やデジタルツールを介してすぐに最適な服薬指導を行える環境を整備する方針である 。  

俵木氏は最後に、厚生労働省で検討が進められている「患者向け医薬品ガイド」の全面見直しと新しいガイドの誕生に触れ、これらを皆様が作成する資材とともに確実に患者へ届けるため、このプラットフォームを大事に育てていきたいとし、参加者への継続的な支援と協力を求めて報告を締めくくった。 

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