スギホールディングス副社長・杉浦伸哉氏、薬学博士号を取得。地域包括ケアの未来を拓く「文武両道」の経営者へ
- toso132
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2026年3月25日、公益財団法人日本ヘルスケア協会において、スギホールディングス株式会社代表取締役副社長であり、同協会評議員を務める杉浦伸哉氏の「薬学博士取得報告会 兼 祝賀会」が開催された。本会は、開催決定から1カ月に満たない急な呼びかけであったにもかかわらず、業界関係者ら50人を超える出席者が詰めかける盛況ぶりを見せ、経営と学術の両面で新たな一歩を踏み出した杉浦氏を祝福した。
故・宗像守氏の遺志を継ぐ「文武両道」の体現

今回の博士号取得の背景には、同協会会長の今西信幸氏と、今は亡き日本チェーンドラッグストア協会初代事務総長の宗像守氏との間に交わされた「約束」があった。かつて宗像氏は、ドラッグストア業界が持続的に成長するためには、現場の実行力である「武」のみならず、学術的知見や経営理論という「文」を兼ね備えたリーダーの育成が不可欠であると説いていた。
この遺志を受けた今西氏は、次世代のリーダー候補として杉浦氏を推薦した。杉浦氏は、上場企業の経営者として阪神調剤やセキ薬品のM&Aを指揮する多忙な極みにありながら、帝京平成大学大学院に入学した。4年間にわたり、継続的に指導教員との連携を図りながら研究に取り組み、見事に学位を授与されたのである。今西氏は、本会が故・宗像氏へ「約束を果たした」と報告する場でもあると、その歩みを感慨深く振り返った。
社会薬学の視点から描く「ヘルスケア・ハブ」への進化
報告会において杉浦氏は、自身の論文テーマ「地域包括ケアシステムにおける薬局の役割に関する探索的研究」に基づき、これからの薬局・ドラッグストアの展望を語った。この研究は、薬物の作用機序や有効性・安全性の解明を中心とする基礎薬学とは異なり、薬局が社会の中でいかに機能すべきかを問い直す「社会薬学」の視点から構築されている。
杉浦氏は、薬局を単なる処方箋の受け皿(医療の終点)ではなく、生活と医療をつなぐ「起点」としての「中間支援拠点」に再定義すべきだと主張した。処方箋の有無にかかわらず住民が立ち寄り、免疫、栄養、睡眠、介護といった暮らしに関わる悩みを専門職が受け止め、適切な選択肢を提案できる場所への進化を目指すものである。
3つの研究が示す「生活の異変」への介入
杉浦氏は、自身の論文を構成する3つの調査研究の詳細を解説した。まず、東京都中野区の住民調査を分析し、孤独感を感じている層ほど医療機関や薬局の利用頻度が低い実態を新規に示した。この結果は、孤独感が医療アクセス行動と関連している可能性を示すものであり、薬局を含む身近な医療関連資源との接点を持ちにくい住民が存在することを示唆したと説いた。次に、高齢患者の服薬状況を嚥下内視鏡で可視化した結果、服薬補助ゼリー等を使用しても完全には飲み込めずに吐き出してしまう可能性を動画で示した。これは、単に商品を提供するだけでなく、個々の嚥下機能を評価する専門性の必要性を示唆している。さらに、現場の薬剤師向けアンケート調査では、地域の孤独・孤立対策への関与意識に関して、8割以上が積極的に関わるべきと回答した。これらの知見から、杉浦氏は受療前段階における生活上の小さな予兆や異変を早期に把握し、重症化する前に医療や介護のネットワークへつなぐ実践力の重要性を強調した。
「実務家博士」の困難と価値

杉浦氏を4年間指導した帝京平成大学大学院薬学研究科教授の小原道子氏は、杉浦氏が成し遂げたことの意義を高く評価した。実務家が博士号を目指す際、最も高い壁となるのは、自身の経験という「主観」をデータに基づいた「客観」へと昇華させることであるが、杉浦氏は一度も弱音を吐かず、徹底して現場のエビデンスを積み上げ、学術的な論理構築をやり遂げた。
小原氏は、この研究が薬局の役割を点から線へ、医療から生活へと広げていく出発点となる提案であり、薬剤師という職能の未来を問うものであると述べ、その研鑽のプロセスを称賛した。
標準化と制度化を目指す「具現化」への決意
最後に杉浦氏は、今後の展望として「中間支援機能」の社会実装を掲げた。個人が重要性を説くだけでは意味がなく、思いを共にする方々と共にこの機能を備えた薬局・ドラッグストアを増やし、DXを活用した密な情報共有を通じて、その役割を標準化・制度化していくことが次の一手であると締めくくった。
ドラッグストアが単なる「物を売る場」から、真に「地域の健康を支える社会インフラ」へと進化を遂げる中で、経営の第一線に立つ杉浦氏が学術的根拠という武器を手にしたことは、業界全体にとって極めて大きな意味を持つ 。



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