知的能力だけではない!約60年の東大データが証明する「体力」と「将来の年収」の意外な相関関係
- toso132
- 3 時間前
- 読了時間: 5分
受験や就職活動、あるいは日々の仕事において、私たちはどうしても知識や思考力を鍛える「知的能力」ばかりに目を向けがちである。しかし、「勉強や仕事において重要なのは知的能力だけなのか」という問いに対し、非常に興味深いデータが明らかになった。
東京大学で約60年にわたり実施されてきた体力調査の追跡データ(UTFS)によると、学生時代に体力が高い学生ほど、卒業後の活動量が多く、精神的な不調が少ないだけでなく、驚くことに「卒業後の年収も高い傾向」にあることが確認されている。
現代の若者に迫る「運動機能の低下」という危機
東京大学では、実技授業の一環として入学時(4月)と1年終了時(12月)に「垂直跳び」「反復横跳び」「腕立て伏せ」「踏み台昇降」「身長」「体重」の測定を行っている 。
その約60年分のデータ(2026年時点)を紐解くと、体格(身長・体重)そのものに大きな変化は見られないものの、男女ともに「身体を動かす基礎能力」である跳ぶ力、支える力、持久力が低下していることが分かった 。
・男子の傾向:1980年代後半以降、垂直跳びや腕立て伏せが低下傾向にある。
・女子の傾向:男子と同様の低下傾向にあり、特に「腕立て伏せ」の能力が2025年に大幅に落ち込んでいる。

生活の利便性向上や屋外で身体を使う機会の減少といった生活様式の変化に加え、近年のコロナ禍の影響も重なり、若い世代の運動機能が全般的に弱くなっている可能性が懸念されている。実際、大正製薬株式会社が2026年4月に18〜29歳の男女1,000人を対象に行った調査では、「運動をまったくしていない」と答えた人が44.6%と最多を占めており、若者の深刻な運動不足が浮き彫りになっている。

監修:東京大学名誉教授の八田秀雄氏
なぜ「体力」があると仕事のパフォーマンスや年収が上がるのか?
勉強や仕事で安定して高いパフォーマンスを発揮し続ける人は、健康な身体と体力を持ち合わせていることが多い。
運動によって脳への血流が促進されれば、集中力や思考力の維持につながる。さらに、適度な運動は自律神経のバランスを整え、ストレス軽減や睡眠の質を向上させるため、心身の状態を整えることができる。つまり、体力がある人は忙しさや負荷がかかる過酷な状況でも気力や集中力を保ちやすく、困難な場面でも粘り強く取り組みやすいと考えられるのである。体力づくりは「空いた時間に行うもの」と後回しにされがちだが、実際には学びや仕事を支える土台であり、知的能力と同じくらい重要な要素に他ならない。
無理なく続ける運動のコツと、知っておくべき「栄養知識」
体力を高めるために、最初から長時間あるいは高強度の運動を行う必要はない。運動の効果は「強度」と「休息」のバランスが重要であり、過度な負荷はかえって継続を難しくすることもある。従来運動習慣がなかった人にとっては、「週1回」の運動でも継続すれば十分に意味があり、日常生活の中で「歩く時間を増やす」「階段を使う」といった小さな活動量を増やすことから始めることが大切である。
また、運動の効果を引き出し、無理なく継続するためには「食事と栄養」の管理も欠かせない。大正製薬の意識調査では、運動時に「水」や「お茶・無糖飲料」「スポーツドリンク」などの水分補給、あるいは「プロテイン飲料」を意識する人は上位を占めているものの、その他の重要な栄養素への意識や知識はまだ浸透していない現状が見て取れる。
無理なく運動習慣を続けるために、以下の栄養素を日々の食事(主食・主菜・副菜のバランスが基本)にプラスして意識することが推奨される。
・タウリン:魚介類に多く含まれ、体内環境を整える働きがある。運動前の摂取でランニングパフォーマンスが向上したという研究報告もあり、運動後の疲れをできるだけ残したくない人にもおすすめの栄養素である。
・糖質:運動時における重要なエネルギー源である。主食を極端に減らすと力が出ないだけでなく、集中力低下や疲れやすさにつながる。
・たんぱく質:筋肉や血液、酵素などの材料であり、運動によって負荷がかかった身体の修復・回復を支える。軽い運動であっても、習慣として続けるための身体機能を保つ基礎として大切である。
・鉄:ヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ役割を担う。不足すると疲れやすさや持久力の低下を招くため、特に月経や食事制限で不足しやすい若年女性は意識したい栄養素である。
・ビタミンB群:糖質やたんぱく質、脂質をエネルギーに変換する際に不可欠な栄養素である。どれだけエネルギー源をとっていても、ビタミンB群が不足するとうまく使えず、だるさや集中力低下につながる。

未来の自分への投資:学生時代から築く最強の資本
日々の勉強やレポート、アルバイト、そして将来の就職活動など、目前のタスクに追われていると、どうしても運動や食事は後回しになりがちである。しかし、提示されたデータが示す通り、学生時代に培う体力や健康な身体は、将来社会に出てから自分らしく、そして粘り強く活躍し続けるための「最強の資本(土台)」となる。
UTFSによると、学生時代に体力が高かった人ほど、卒業後も活動量が多く、精神的不調で医療機関にかかる人が少ない傾向がみられている。さらに、社会的活動にもより前向きで、年収も高い傾向が確認されている。これは、体力が日々の生活や仕事を支える基礎的な力として働いている可能性を示している。体力がある人は、忙しさや負荷がかかる状況でも気力や集中力を保ちやすく、困難な場面でも粘り強く取り組みやすいと考えられる。
学生時代の運動経験も重要であるが、それ以上に大切なのは、生涯を通じて身体を動かす習慣を持ち続けることである。青年期に運動をしていてもその後にやめてしまうより、成人後も運動習慣を維持することのほうが大きな意義がある。より良い生活を送るためには、どのようなタイミングから始めても決して遅すぎるということはない。過去の運動歴にとらわれず、まずは「エレベーターではなく階段を使ってみる」「歩く時間を少し増やしてみる」といった、日常生活における無理のない範囲から少しずつでも身体を動かし続けることが重要である。しっかりとバランスの良い食事をとり、未来への投資として運動習慣を始めることが、将来の可能性をどこまでも広げてくれるはずである。



コメント