第57回日本薬剤師会学術大会 薬学生シンポジウム開催~災害医療について学ぶ
- ito397
- 4月29日
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『MIL』vol.101(2024Autumn)より

9月22日、23日、第57回日本薬剤師会学術大会が埼玉県で開催され、23日には日本薬学生連盟が企画した「薬学生シンポジウム」が行われた。テーマは「災害医療から考える薬剤師のあり方」である。最初に同連盟に在籍する薬学生が作成した「避難所サバイバル」というカードゲームを使って、災害時の避難所生活を乗り切る知恵を学んだ。

このカードはトランプと同じ54枚のカードを使い、2~5人で遊ぶゲームである。新聞紙やポリ袋などの日用品のカードと、寒い、吐いたなど避難所で起こるイベントが書かれたカードを使う。プレイヤーはテーブルに裏返しに並べられているイベントカードを引いて、出てきたイベントに手持ちの日用品のカードで対処できるかで加点や減点がされ、勝負を競う。薬学生と、薬剤師や社会人が楽しみながらカードゲームを行った。
続いて、同連盟が災害関連死についての話題を提供した。災害では、災害で直接亡くなる災害直接死と、発災時には生存していたものの、その後の生活で亡くなる災害関連死がある。災害関連死は、災害での負傷の悪化や、避難所生活の負担によるもので、医療者が適切に介入していれば、避けられたケースも少なくない。熊本地震のデータによれば、災害関連死は災害直接死に比べ5倍の数に上ったという。また、内閣府が作成したデータによると、災害関連死の要因として、避難所生活での肉体的負荷、精神的不安によるものが過半数を占めていた。厚生労働省がまとめた「避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン」や東京都が作成した「防災ブック」などには避難所生活を乗り切る方法が記載されているので、ぜひそれらを活用してほしいと呼びかけた。
後半のセッションでは、「災害関連死や防ぎえた災害死を未然に防ぐために薬剤師はどのような過程で被災者の方々に対応することができるか?」というテーマで、薬学生と薬剤師がディスカッションをした。発災から2~3週間、時期は秋から冬、時間帯は昼頃、ライフラインは電気だけ通っているという設定で、避難所生活を描いたイラストを見て、災害医療チームの一員として派遣された薬剤師の立場で、どう被災者をサポートするかを考えた。そして最後にそれぞれのグループでまとめた意見を発表した。
最後に今回の企画の担当者が「避難所生活は時期や状況によって対処法が異なるため、1人では解決できないことも少なくありません。臨機応変に対応するために、みんなで問題を共有し、最適な選択を導き出すことがこれからの薬剤師には必要だと感じました」と指摘し、会を締めくくった。


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