市販薬のオーバードーズ対策へ、くすりの適正使用協議会が学習指導要領の改訂を要望

一般社団法人くすりの適正使用協議会は、文部科学省が実施している「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」に関するパブリック・コメントに対し、医薬品の適正使用に関する教育の一層の充実を求める意見を提出した。近年深刻化している若年層のオーバードーズ(薬物乱用)問題を踏まえ、実態に即した教育体制の早急な見直しが求められている。
背景にある深刻なオーバードーズ問題
現在、小学生を含む若年層の間で、市販薬などを過剰摂取する「オーバードーズ」が社会問題となっている。精神科で治療を受けた10代患者に関する調査では、市販薬を主たる薬物とする患者が急増し、2024年には71.5%に達している。この割合は大麻や覚せい剤などの違法薬物を大きく上回っており、処方薬の乱用や小学生を含む低年齢化も大きな懸念材料となっている。
しかし、現行の学習指導要領における「薬物乱用」の項目では、有機溶剤(シンナー)や覚せい剤などが中心に扱われており、医薬品は対象に含まれていない。同協議会は、この現状が時代の変化を十分に反映していないと指摘している。
協議会が提出した2つの主な要望
同協議会は、児童生徒が発達段階に応じて医薬品の適正使用と乱用防止を学べるよう、次期学習指導要領に対して以下の2点を求めている。
「薬物乱用」に関する内容への明記 小・中・高等学校の学習指導要領における「薬物乱用」の項目に、医薬品の乱用に関する記載を明記すること。医薬品も目的外に不適切に使用すれば健康を損なうという認識を共有する必要がある。
小学校段階からの基礎的な内容の追加 小学校の学習指導要領に、医薬品の役割と正しい使い方に関する基礎的内容を追加すること。
適正使用の理解と「切れ目ない教育」の必要性
単に「医薬品の乱用」を教えるだけでは、子供たちが違法薬物と医薬品を混同し、医薬品を過度に恐れて治療や予防の機会を失うおそれがある。医薬品は本来、正しく使うことで健康な生活や病気の治療・予防を支える重要な存在である。
そのため、用法の遵守や他人に譲渡しないことといった「適正使用の基礎」を乱用防止教育の前に学ぶことが不可欠である。さらに、こうした教育の実施にあたっては、学校薬剤師と教員が連携し、専門的知見を生かした発達段階に応じた実践的な学びにつなげることが重要視されている。
同協議会は、規制や対策の強化にとどまらず、子供たちが医薬品を正しく理解し、自ら適切に判断できる力を育むことこそが根本的な解決につながるとして、次期学習指導要領の改訂に大きな期待を寄せている。



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