【薬局・ドラッグストアで活躍する管理栄養士】薬局・ドラッグ管理栄養士の部会設立―栄養支援で暮らしを支える可能性を見据えて
札幌保健医療大学大学院教授・管理栄養士(医学博士)
栄養ケア・イノベーション研究会 紡ぎ部会(日本ヘルスケア協会)
部会長 川口 美喜子

2026年4月1日。薬局とドラッグストアに勤務する管理栄養士(薬局・ドラッグストア(DS)管理栄養士)と共に「栄養ケア・イノベーション研究会 紡ぎ部会」を設置しました。公益財団法人日本ヘルスケア協会の活動である日本ヘルスケア産業協議会・部会活動の一環に部会を置き、薬局・DS管理栄養士の未来の姿を描いていきます。
本部会の目的は、「薬局・ドラッグストアに勤務する栄養士・管理栄養士が、多職種と連携しながら地域、教育、臨床及び政策の各分野において専門性を発揮し、地域住民の健康増進、疾病予防及び栄養ケアの充実に寄与することを目的とする。」としています。活動は、「目的を達成するため、次の活動を目指す。(1)薬局やドラッグストアの栄養士・管理栄養士のコミュニティ形成を促進し、連携と協働を強化することによって、地域における栄養支援の範囲と質を向上させる。(2)薬局やドラッグストアの栄養士・管理栄養士が、健康管理に積極的に関与できる環境を整え、地域包括ケアシステムへ積極的に参画できる栄養ケア支援体制の構築を目指す。(3)薬局やドラッグストアの栄養士・管理栄養士の人材育成及び教育体制を整備し、専門知識及び技術の標準化を図ることにより、持続可能な地域栄養ケア体制の構築に貢献する。」ことにあります。
医療・介護制度の隙間を埋める「薬局・DS管理栄養士」 — 予防医療の新たな拠点へ
医療や介護の公的制度においては、主に病気を発症した後の治療や要介護状態に対するケアが中心となりやすく、発症前の「未病」や生活習慣改善による予防段階に対する手厚いサポートには限界があります。こうした制度上のすき間を補い、地域住民の日常的な健康維持・増進を支える存在が、薬局・DS管理栄養士です。
専門性発揮を阻む壁構造的課題
課題の項目 | 現状と弊害 |
業務の兼務による制約 | レジ打ち、品出し、調剤事務サポート等の店舗運営業務との兼務が常態化しており、専門業務(栄養指導・相談)に割く時間が構造的に圧迫されている。 |
教育・スキルの格差 | 企業ごとの教育体制に依存しており、統一的な研修体系が不足している。これにより、特に臨床栄養管理におけるリスク管理や支援の質にバラつきが生じている。 |
精神的孤立 | 店舗あたりの配置人数が少なく、他企業や多職種とのネットワークが希薄なため、専門職としてのキャリア形成や業務上の悩みを相談できず、孤立しやすい。 |
これらの構造的課題を向き合い、企業間の垣根を越えて管理栄養士の職能を標準化するために新たな組織を立ち上げたいと模索してきました。本部会のミッションは、企業を超えたネットワークの構築と、教育研修の標準化です。これにより、現場の管理栄養士が質の高い臨床スキルを共有し、どの店舗においても高度な栄養ケアを提供できる環境の整備を目指しています。
将来展望:医療・地域経済と地域住民への社会的貢献
住民にとって「最も身近な医療者」として健康維持と重症化予防に寄与し、日本の医療経済を支える存在としての未来像を描いています。住民にとって「最も身近な医療者」として健康維持、生活習慣病の予防から、退院後の重症化予防、そして看取りを見据えた在宅療養までを、食と栄養の側面から支えることは、地域包括ケアシステムにおいて不可欠なピースです。暮らしの中で、生活の状況や思いは常に変化があり、揺れ動いています。その暮らしに寄り添う最も身近な医療の場として存在し、個々に向き合う関係性を築く可能性をもっています。そして、「再入院率の低減」や「在宅療養の維持」は、高額な入院医療費の適正化を推進することになると考えます。
「紡ぎ部会」による薬局・DS管理栄養士の教育とネットワーク化が進むことで、管理栄養士が「地域住民の生命を守る社会インフラ」へとより発展することを目指します。科学的根拠に基づいた栄養サポートが当たり前となる未来に向け、今、新たな歩みが始まっています。
共に未来を「紡ぐ」ために
ご紹介した部会の活動は、個々の企業の薬局・DS管理栄養士の努力だけでは困難と感じています。横断的な連携によって目標を成し遂げられると思います。
「紡ぎ部会」は、専門職の知見と企業の経済力を紡ぎ合わせ、誰もが健康に暮らせる社会の実現に向け、共に未来を創造していきます。
「栄養ケア・イノベーション研究会 紡ぎ部会」正会員・賛助会員のお願いとご案内 日本ヘルスケア協会所定の入会手続:まずは協会本体への入会をお願いいたします。 「紡ぎ部会」所属の申し込み:「栄養ケア・イノベーション研究会 紡ぎ部会」への所属を正式に申請していただきます。 組織委員会の承認:事務局による所定の審査を経て、正式な会員として活動を開始いただけます。 また、未来の地域医療インフラを共に構築する志を持つ企業の皆様の参画をお願いいたします。 賛助会員:本部会の目的達成のための事業を賛助するために入会する個人または団体 私たちは、志を共にするパートナーとして、共に歩みを進めていくことを約束いたします。 |
公益財団法人日本ヘルスケア協会 「栄養ケア・イノベーション研究会 紡ぎ部会」 https://jahi.jp/sectional_meeting/sec11017/



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