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【ウィズレイ】経済産業省「Go-Tech事業」に採択——錠剤粉砕の自動化で薬剤師の負担軽減と安全性向上へ



株式会社ウィズレイは、経済産業省の「令和8年度成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」において、同社が参画する共同研究開発計画が採択されたことを発表した。本プロジェクトは、調剤現場における「錠剤粉砕」の自動化技術および対応包材の開発を通じて、薬剤師の対物業務の軽減と作業安全性の向上を目指すものである。

ウィズレイは、岡山県岡山市に本社を置く大学発のベンチャー企業である。同社の代表取締役を務める森山 圭氏は薬学博士であり、かつて就実大学薬学部で教鞭を執っていた経歴を持つ。現在は大学を退職し、同社の代表として事業を牽引している。同社は分光分析(光の波長解析)によって非破壊で薬剤の成分を判別するコア技術を有しており、一包化散薬鑑査装置「コナミル」シリーズの開発・販売を通じて、調剤現場における医療事故の防止や鑑査業務の効率化に取り組んできた。


採択された研究開発計画の概要

本事業は「令和8年度成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」の通常枠であり、研究開発計画名は「薬剤師の作業量軽減と安全性確保を両立させるベルト搬送式錠剤粉砕機構とこれに資する分包フィルムの開発」である。株式会社山和エンヂニアリングを主たる研究機関とし、従たる研究機関としてウィズレイおよび高崎健康福祉大学が参画する。また、事業管理機関を公益財団法人群馬県産業支援機構が務め、共同印刷株式会社、株式会社ネストブルー、ならびに複数の病院や薬局などがアドバイザーとして協力・連携する。

なお、令和8年度のGo-Tech事業(通常枠)において、関東経済産業局管内では109件の申請に対し34件が採択された。全国規模では271件の申請に対して117件が採択されている。


研究開発の背景と課題

超高齢社会を迎えた日本において、高齢者や小児など嚥下(えんげ)困難な患者に対する錠剤粉砕投薬の必要性は年々高まっている。しかし、従来の手作業による錠剤粉砕工程には多くの深刻な課題が存在していた。具体的には、調剤作業自体に多くの時間と手間がかかるうえ、粉砕・篩過(しか)・分包の各工程で薬剤の損失が生じやすい。さらに、洗浄不良に伴う他薬剤の混入リスクや粉砕後の薬剤識別が困難であるといった鑑査性の低さも懸念されている。加えて、薬剤粉末の飛散により作業者である薬剤師が粉末を吸入・接触する曝露(ばくろ)リスクも大きな問題となっていた。


錠剤粉砕に関する薬剤師アンケート結果(ウィズレイ実施)
錠剤粉砕に関する薬剤師アンケート結果(ウィズレイ実施)

開発技術の特徴と目指す姿

本研究開発では、「ベルト搬送式錠剤粉砕機構」と「高耐久分包フィルム」の一体的な開発を進める。具体的には、錠剤を分包フィルムに封入した状態のままベルト搬送し、内部の錠剤に圧力を加えて連続的に粉砕する機構を構築する。錠剤を密封したまま粉砕することで、粉末飛散による薬剤師の曝露を防ぎ、薬剤ロスや他薬剤の混入リスクを最小限に抑える設計となっている。


開発する錠剤粉砕機のイメージ
開発する錠剤粉砕機のイメージ

ウィズレイの狙いと展望

森山氏は、多くの現場で薬剤師が粉砕業務とその曝露リスクに疲弊している現状を指摘し、「『コナミル』で成分識別を行う前に、錠剤粉砕業務そのものを変革する必要があると考えていた。本事業で開発する装置とフィルムを届けることで、薬剤師の作業負担と曝露リスクを解消し、より対人業務に集中できる環境を創出したい」と述べている。

また、本技術の実用化は単なる作業効率化にとどまらず、多角的な効果と市場の広がりが期待されている。服用直前に粉砕することで薬剤の物理化学的変化を最小限に抑える「用時粉砕」の実現や、法制度化された「調剤の一部外部委託」における粉砕業務の安全な外部化の推進に寄与する。さらに、病院や薬局だけでなく、介護施設、訪問介護、動物用医薬品業界、さらには錠剤投薬が主流である海外市場への展開も見込まれている。ウィズレイは本事業を、自社の「コナミル」シリーズに続く第2の成長エンジンと位置づけ、技術の実用化に向けて共同研究機関とともに開発を加速させていく構えである。


次世代の薬剤師を目指す学生たちへ

今回のウィズレイによる研究開発は、将来の薬剤師のあり方に重要な示唆を与えている。現在、薬学教育では臨床知識が重視される一方で、現場の調剤業務においては「対物業務」に多くの時間とリソースが割かれているのが実情だ。今回のプロジェクトは、こうした現場の課題を技術で解消し、薬剤師が本来の価値を発揮できる「対人業務」へシフトするための重要な一歩となる。

これから医療現場へ出る薬学生にとって、自身の専門知識を生かすためには、現場のワークフローや課題を深く理解し、必要に応じて新たなテクノロジーを活用する視点が不可欠である。専門知識と開発技術が融合することで現場の風景が変わる今回の事例は、未来の薬剤師が自身の職能を最大化するために、どのような環境を創造すべきかという問いを投げかけている。広い視野を持ち、技術と医療の接点に立つ意識を持つことが、これからの薬剤師に求められるキャリアの選択肢の一つと言えるだろう。

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