日本フレイル予防サービス振興会が設立1周年報告会を開催、会員企業は34社に拡大。産業界からフレイル予防の社会実装を加速へ
- toso132
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一般社団法人日本フレイル予防サービス振興会は2026年6月19日、設立1周年を迎えての事業報告会を東京都内で開催した。2025年5月の設立時に10社だった会員企業は34社へと大幅に拡大しており、超高齢社会という巨大な国家課題に対し、業界や業態の垣根を越えて産業界が本格的に結集し、フレイル予防の社会実装を推進する決意が示された。報告会には、理事長である久木邦彦氏のほか、理事の矢島鉄也氏、理事の神谷哲朗氏が登壇した。
設立1年で会員企業が3倍超に、産業界が主導する意義
冒頭に登壇した久木氏は、この1年間の歩みと意義について語った。久木氏は、「当法人は2025年5月23日、産業界としてフレイル予防推進に積極的に関与・貢献するという強い決意の下、有志企業わずか10社で設立されました」と経緯を振り返った。それから1年が経過した2026年6月1日時点で会員企業は34社にまで拡大し、内訳はイオンやキユーピーをはじめとする正会員が10社、食品・保健サービスなど多岐にわたる業種からなる一般会員が21社、活動を支える賛助会員が3社という構成になっている。
加齢に伴い心身の活力が低下する「フレイル」は、健康と要介護の中間に位置する状態であるが、適切な介入によって健康な状態へ回復できる科学的にも極めて重要な局面である。その予防には栄養、身体活動、社会参加という3つの柱を複合的に実践することが不可欠とされる。久木氏は、行政の啓発活動や大学研究室の理論だけでは生活者の日常に深く浸透させることは容易ではないと指摘した。「生活者が毎日足を運ぶ店舗を持ち、日々手にする商品やサービスを生み出している産業界が手を取り合い、日常の暮らしの中に自然とフレイル予防を溶け込ませていくことこそが、34社まで拡大した私たちの果たすべき使命である」と、産業界が主導する意義を強調した。
草の根の啓発イベントと「地域連携」の二面展開
この1年間でスタートさせた具体的な取り組みとして、大きく4つの実績が紹介された。
1つ目は、地域に根差した草の根の啓発活動である。同会はこの1年間で多くの自治体や地域の関係者と効果的に連携し、普及・啓発イベントを計15回開催した。具体的には、横浜市保土ヶ谷消防署主催の救急セミナーへの出展や柏市主催の健康イベント、イオンモール大垣、岐阜県・安八温泉など、地域の住民が日常的に集まる場所でのイベントを実施し、1年間で約3,000人の生活者にフレイル予防を訴求した。
そのうち約500人にはフレイル測定を体験してもらったが、測定の結果、約4割の参加者に何らかの「フレイルの兆候(プレフレイルまたはフレイル)」が見られるなど、自覚症状のない層へのアプローチとして大きな意味を持つデータが得られた。この測定体験を通じて、買い物のついでに楽しみながらも自身の体の変化を知り、食事改善や運動の必要性へリアルに気づく機会を創出している。
こうした地方や中小都市での広がりについて、神谷氏は、今後の高齢化の背景を交えて方針を補足した。団塊の世代が2035年に85歳を迎えることで介護認定率が現在の数字で約6〜7割に達するという厳しい試算に触れ「最も大変な課題になってくるのは人口が集中する大都市部。大都市圏における大きな通いの場の利用や大手の店舗会場を活用して自治体と取り組む課題解決を『一丁目一番地』として先決事項に進める」とした。
一方で、大企業が少ない地方や中山間地域への今後の展開については、「地域連携を中心に進める」と言及した。「地方においては、地域の商店街や郵便局、道の駅といった周辺のさまざまな事業者、そして自治体が横に連携し、行政とともにイベントや事業を組み立てていく地域連携を中心軸に据える」とのことで、これは全国の自治体が参画するプラットフォームである「フレイル予防推進会議」の構成自治体とも話を重ねながら、今後の展開に向けた準備を進めているという。
この「フレイル予防推進会議」とは、フレイル予防に向けて自治体・産業界・学術界が三位一体となって連携し、普及啓発活動を行う産官学連携のプラットフォームである。2024年7月24日の設立以来、地域の特性に応じた予防事業を推進する基盤となっており、同会もこの枠組みを生かしながら、地方自治体や事業者と連携したアプローチを今後さらに本格化させていく方針だ。
店頭での「コラボレシピ」展開と「自主認証ガイドライン」の展望
2つ目の取り組みは、フレイル予防の啓発活動と企業の販売活動を、適切かつ健全に連動させるためのガイドライン整備である。生活者が店頭で迷うことなく、安心してフレイル予防の商品やサービスを選べる未来を目指し、現在は第1弾として食の提案に関するガイドラインの作成と、それを認証する自主認証制度の検討に注力している。
これと連動する3つ目の取り組みが、具体的な食の提案である。同会は「食べて元気にフレイル予防」をテーマに、高齢期に特に重要となる適切なエネルギーとたんぱく質の摂取、あるいは食品多様性の確保を意識したレシピを作成した。2026年2月にイオン大垣店で実施したイベントを皮切りに、6月中旬からはイオンリテール南関東・中部カンパニー全店の店頭において売り場と連動した大々的な訴求を開始しており、関連商品を同じ売り場で陳列することで気づきから購買までをつなげる導線を広げている。
このガイドラインの進捗状況について、矢島氏は「このガイドラインは、まさに業界の実証・認証制度に向けたものである」とした上で、エネルギーとたんぱく質をテーマとした会員企業のコラボレシピのような進め方で認証ができるかについて、事前に厚生労働省や消費者庁の担当部局とも意見交換をしながら準備を進めている現状を明かした。
今後のスケジュールについては、「有識者委員の先生方にも中身を見てもらいながら専門的な指導を仰ぎ、今年度(2026年度)中に作業を進めて、来年度のなるべく早い時期までに制度を構築できるよう進めていく」方針を示した。さらに「今年の秋頃には認証の実証に向けたさまざまな取り組みを少しずつ行っていきたい」と語り、制度化へ向けた具体的な見通しを明らかにした。

人材育成と2年目の展望
4つ目の取り組みは、最前線でサービスを届ける人材の育成である。この1年間で有識者や外部専門家によるセミナーを3回実施したほか、同会のホームページ内に動画コンテンツやeラーニングシステムを整備した。同会の有識者理事である辻哲夫氏(東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター客員研究員)による講演をはじめ、フレイル予防の基礎知識をいつでも継続的に学べる環境を整え、会員企業の社員教育をバックアップしている。
最後に、同会が見据える2年目の本格的な進化として、3つの展望が共有された。
第一に、前述したフレイル予防推進会議の参画自治体との連携をさらに強化し、全国の自治体と34社の持つノウハウやアセットを掛け合わせることで、地域に密着したフレイル予防の取り組みを全国へスケールアップさせていく。第二に、現在進めている自主認証制度を早期に構築し、信頼性の高い認証制度を確立させることで、生活者へ確かな安心を届ける準備を進める。第三に、会員企業が持つ商品、サービス、 流通、そして人材といったリソースを、自治体が抱える健康・長寿社会づくりへの課題解決へダイレクトに注ぎ込み、自治体におけるフレイル予防事業への支援を本格化させていく。
久木氏は「まだ始まったばかりの挑戦ではあるが、一人ひとりが自分らしく、よりよく生きていける明るい高齢社会と、健やかな人生100年の実現に向け、私たちは2年目も全力で活動していく」と締めくくり、今後の活動への温かい支援と注目を呼びかけた。




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