【大木ヘルスケアHD】2026秋冬商談会を開催ー「75歳まで働かなければならない社会」を見据えた店頭提案と、これからのドラッグストア・薬局の役割
- toso132
- 4 日前
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大木ヘルスケアホールディングス株式会社は、2026年6月16日から17日の2日間にわたり、TRC東京流通センターにて「2026 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」を開催した。同社はこれに伴い記者会見を執り行い、代表取締役社長の松井秀正氏が、深刻化する少子高齢化や労働人口減少に立ち向かうための新たな流通・店頭戦略について説明した。
社会課題の深掘りと「一貫した価値観」
同社は「新しい売り上げ、新しいお客様を作る」というテーマを一貫して掲げており、今回は前回のキーワードでもあった「75歳まで働かなければならない社会」という現実をさらに深掘りした提案を行った。
日本の現状として、医療費の急増(2023年度は約48兆円、60歳から75歳にかけて医療費は約2倍に増加)、労働人口の減少(2040年には2025年比で約1,100万人の労働力が減少)、さらには人口減少に伴う需要そのものの減少という「3つの危機」に直面している※1。これに対し、高齢者が75歳まで働くことができる健康な体を維持することは、現役世代の負担を減らし、社会保障制度を維持するための「時間稼ぎ」として不可欠であると同社は指摘する。
さらに、2040年には地方を中心に多くの地域で病院の維持が困難になる「医師不足ハザードマップ」※2の現実があり、生活者が自分たちの体を自分たちで守る「セルフメディケーション」の重要性がこれまで以上に高まっている。
ドラッグストア・薬局の役割の変革

こうした背景から、店頭の役割は単に「商品を置く場所・売る場所」から「健康を提供する場所」へと進化することが求められている。提案商談会では、現役で働き続けるシニア層(65〜70歳)が抱える「5大不調」(見えづらさ、膝・腰・関節の痛み、疲労・栄養不足、胃腸の不調、睡眠悩み)に対し、OTC医薬品や医薬部外品を適切に届けるための具体的な売場設計が提案された。例えば、漢方薬を従来の専用コーナーに隔離するのではなく、「頭痛薬」や「胃腸薬」といった症状別の定番棚へ導入することで、消費者の機会損失を防ぎニーズ充足率を高める事例(大建中湯の定番棚導入による販売数伸長など)が紹介された。
また、2026年6月より栄養保持目的の医薬品(エンシュアやラコールなどの医薬品栄養剤)の保険給付が適正化(見直し)され、市販の栄養補助食品で代替可能な場合は保険対象外となる方針が進んでいる。これにより、低栄養傾向にある高齢者に対して、店頭で適切な食支援やサプリメントの提案を行う重要性が一気に加速する。
次なる成長市場「フェムケア」:薬局の売場を活性化する新たな切り札

今回の提案商談会における重要なテーマの一つとして、経済産業省も発信を強めている「フェムケア」の展開が挙げられた。女性の社会進出が進む中で、女性特有の健康悩みに寄り添う市場は非常に高いポテンシャルを秘めている。
同社は、フェムケアを単なる一時的なトレンドとして終わらせるのではなく、生活者のQOL(生活の質)向上に寄与する定番カテゴリーとして店頭に定着させるための売場提案を行った。具体的には、女性のライフステージに応じた「世代別の悩み」に焦点を当て、吸水ショーツをはじめとするデリケートゾーンケア、生理・PMS対策、そして更年期ケアまで、幅広いラインナップを分かりやすく分類・陳列する売り場作りを提示した。
特に、このフェムケアは薬局における物販活性化の切り札としても位置づけられている。多くの女性が抱えながらも声を大にしにくい「尿もれ(軽失禁)」などの隠れた悩みに対し、心理的な抵抗感を減らして手に取りやすいパッケージデザインの製品やサプリメント、温活グッズを一堂に集結。これらを薬局の定番棚へ導入し、後述する薬局の「待ち時間」を活用してアプローチしていく戦略が示された。
薬局における物販と「地域医療のハブ」への進化
特に注目すべきは、「門前薬局等立地依存減算」( 調剤基本料の「特別調剤基本料」)のルール変更に伴う、薬局のあり方の変化である。病院の門前に立地し、処方箋の受け付けだけに依存する経営スタイルは転換を迫られており、今後は薬局であってもドラッグストアのように優れた商材(特に説明のしやすい医薬部外品やエビデンスのある商品)をそろえ、患者の悩みに合わせて能動的に提案していくフローが必要とされている。
薬局内での平均待ち時間は約14分であり、そのうち約20%の患者は「店内を見て待つ」という生産行動をとっているというデータもある※3。この貴重な時間に、診療科目に合わせたフェムケア商品や季節の悩みを解決できる医薬部外品などを視覚的に分かりやすく演出することが重要となる。薬剤師やスタッフがアシストしやすい商品選定を行うことで、未病段階での早期介入を可能にし、薬局が「地域住民の健康寿命延伸に貢献する地域医療のハブ」へと進化していくことが期待されている。
激変する社会で求められる役割とは
これからの医療提供体制や社会保障の形が激変していく中で、薬学生が活躍する未来のフィールドは、単に「処方箋通りに薬を調剤して渡す」だけの場所ではなくなる。
高齢者が75歳まで元気に働き続けられる社会を支えるためには、病気になってから治療するのではなく、病気になる前の「未病・予防」の段階でいかに適切に介入できるかが鍵となる。そのためには、処方箋に書かれた医療用医薬品の知識だけでなく、OTC医薬品、漢方、栄養補助食品、さらにはフェムケアや日々の生活習慣を支えるヘルスケア商材まで、幅広い選択肢から生活者に最適な提案ができる「健康アウトカムのプロ」としての役割が薬剤師に強く求められる。
制度の改定やテクノロジーの進化、社会のニーズの変化をポジティブに捉え、リアルな店舗だからこそできる「対面での対話とケア」の強みを磨いていくことが重要である。薬学生の持つ専門知識と柔軟な提案力こそが、これからの地域住民の健康と、持続可能な社会を支える大きな原動力となるに違いない。
※1 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」および厚生労働省、総務省統計局のデータを基に算出
※2 厚生労働省の「第12回 新たな地域医療構想等に関する検討会」で提出された特別集計データ
※3 GMOヘルステック株式会社の調査データ



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