現代に蘇る「養生」の知恵! OTC医薬品イベントで示された“健康自立”への道
- toso132
- 10月8日
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2025年10月3日と4日の2日間、「OTC医薬品普及啓発イベント~よく知って、正しく使おう。OTC医薬品 今こそセルフメディケーション。さあ、実践へ」が、神田明神文化交流館とYouTube生配信のハイブリッド形式で盛大に開催された。医療費増大と超高齢社会という喫緊の課題を背景に、本イベントでは、セルフメディケーションと江戸時代から続く「養生」の知恵が、健康自立の鍵として熱く議論された。
「長寿」を支える江戸の知恵と都知事のメッセージ

開会挨拶に立った東京都知事 小池百合子氏は、高齢化が進む現代社会において、いきいきと過ごすためにはセルフメディケーションが不可欠であると強調した。小池氏は、その実践の鍵を「自分の健康を自分で守る」という市民の意識改革と、市販薬であるOTC医薬品の賢い活用にあると述べた。
さらに、セルフメディケーションの考え方は、生薬を用いた「養生」として江戸の庶民の知恵に深く根差していることを指摘。東京都がこの伝統を「東京キラリプロジェクト」として世界に発信していることに触れ、日本が世界に誇る「長寿」の秘訣は、他ならぬこの「自ら健康を守る努力」にあると力説した。
セルフケアの7つの柱:スペシャル対談から学ぶ健康自立


本イベントで最も注目を集めたのは、東京都医師会会長の尾﨑治夫氏と新橋芸者の喜美勇氏による対談「今こそ求められる養生、7つの柱」であった。尾﨑氏は、医療機関の負担軽減と健康寿命の延伸のため、全ての国民が実践すべき「セルフケアの7本柱」を提示した。
尾﨑氏は、健康リテラシーの獲得、初期症状のない病気の早期発見のための検診(検査)の定期的受診が極めて重要だと指摘。また、高血圧に次ぐ年間死亡原因第2位の禁煙の必要性をあらためて警告した。日々の生活の柱として、適切な運動・食事・睡眠を挙げ、特に65歳以上はタンパク質摂取と運動によるフレイル(虚弱)予防の重要性を強調した。これらに加え、孤立を防ぐコミュニケーションが心身の健康を支えるとした。
喜美勇氏は、芸者という多忙な仕事柄、「自分の体をすごい愛してあげる」という意識で日々のメンテナンスに努めていると語り、集中力維持のため「一番大事にしてるのは睡眠」だと強調。対談で得た「7つの柱」の情報を、座敷で接する高齢の経営者などにも伝え、世の中の健康をサポートしていきたいと意欲を見せた。
そして、これらの努力を土台に、軽い体調不良を養生やOTC医薬品で自分で手当てするセルフメディケーションが、超高齢社会の医療資源を救う唯一の道であると尾﨑氏は結論付けた。
体の状態を「見える化」する体験コーナーが大盛況


会場では、製薬企業が自社製品の特徴や活用シーンを紹介するブースに加え、参加者の行動変容を促す体験型のコーナーが数多く設けられ、大盛況となった。
地下1階に設けられた実行委員の坂口眞弓氏らが担当した検体測定室(HbA1c測定)には、300人が参加し、自身の体の状態を客観的に知る機会を提供した。他にも、認知機能、肌年齢、骨密度、血管年齢・ストレスをチェックできる健康チェックコーナーや、千葉大学による口腔内の健康状態チェックブースが設置された。これらの体験を通じ、参加者にセルフケアやセルフメディケーションの行動実践を強く呼びかけた。
製薬企業は、普段直接話す機会の少ない生活者に対し、OTC医薬品のメリットを直接訴求。また、企業のキャラクターたちが神田明神の御神殿前に集結し、イベントを盛り上げた。
自治体の挑戦:健康データで国民病に立ち向かう

2日目に行われた特別講演では、前佐賀県武雄市長の横尾俊彦氏が登壇し、自治体経営の現場から見た「健康自立」への挑戦を語った。横尾氏は、特定検診受診率向上への地道な取り組みや、フッ素洗口による子供のむし歯激減など、市民を巻き込んだ具体的な成果を報告した。特に、小中学生を対象に成人病検診項目を実施し、子供のうちから健康データを見せ、親子で健康意識を育てるというユニークな実践を共有した。
横尾氏は、自覚症状に乏しい慢性腎臓病(CKD)が20歳以上の8
人に1人を苦しめる「国民病」であることを警告し、予防の重要性を力説。検診で自己の健康状態を知り、ヘルスリテラシーを高めたうえで、セルフメディケーションを実践していくことが、健康で文化的な生活を送るための基盤になると講演を締めくくった。

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