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【次世代薬局EXPOセミナー】マイライフが示す「オール薬局」の戦略

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2025年10月1日、幕張メッセで開催された「メディカル ジャパン 東京」内の次世代薬局EXPOにおいて、マイライフ株式会社 代表取締役 糸賀 誠氏が「2040年の薬局がベールを脱ぐ: オール薬局の仕組みを全公開」と題した講演を行った。

糸賀氏は、2040年に向けて高齢化が加速し、地域社会で薬剤師にプライマリケア対応力が求められる中、薬局は「医薬品を提供するだけの場所」から「地域を支えるコミュニティ」へと進化すべきであると主張した。同社は、過去3年間でこのビジョンに基づき業務改善を実践し、ロイヤルカスタマーの確保、在宅、オンラインの3つを柱とした「オール薬局」の戦略を構築した経緯を説明した。


3つの戦略の柱:コミュニティ、プライバシー、そしてDX

オール薬局の戦略は、以下の3つの柱で成り立っている。

1. 薬局起点のコミュニティ創造(オールファーマシータウン)

薬局の価値向上を目指し、生活習慣病の予防から治療・改善までをワンストップで提供するヘルスケア複合施設「オールファーマシータウン」を展開している。これは「医療を通じたまちづくり」をコンセプトとし、単に処方箋応需施設ではない、地域に必要な医療と健康サービスを提供する拠点であると述べた。

具体的には、オールラボ(栄養相談)において、管理栄養士による本格的な栄養相談を、薬局からの相互送客で実施し、日本に不足している「管理栄養士に相談できるインフラ」の構築を目指している。この取り組みにより、患者の健康行動変容を促し、結果的に薬を減らすことにも成功していると報告した。また、眠りの窓口では睡眠センサーを活用し、無呼吸のスクリーニングや睡眠薬の過剰投与の抑制・減薬を実現しており、在宅においては、睡眠データを医師や看護師と共有することで、薬局が在宅医療の中心となる仕組みを証明した。さらに、かかりつけ薬局カードを配布し、契約患者を確保することで、全処方箋患者の約42%(目標50%)が同意するまでにエンゲージメントが向上したと示した。


2. 患者プライバシーの徹底的な確保

創業以来追求してきたプライバシーの確保について、完全個室での服薬指導が患者の悩みの打ち明けやすさにつながり、真のプライバシー保護を実現したと強調した。これにより、地域体制加算の取得や、処方箋応需枚数の増加といった具体的な成果が得られており、今後、新規店舗は全て完全個室での出店とすると表明した。


3. 業務改善とDXの融合

「薬剤師は薬を触らない、薬歴を打たない」を目標に、3年間で業務改善プロジェクトを推進した。具体的には、自動受付とセルフ会計を導入(2025年内完成予定)し、対物業務(調剤・薬歴入力)にかかる時間を削減した。また、音声入力電子薬歴「コルテ」を開発し、薬歴入力の手間を大幅に削減したと述べた。

さらに、遠隔服薬指導システムとして遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」を導入し、クラウド薬歴、音声入力コルテ、監査システムと連携させた。この完璧な仕組みにより、1時間に10〜15人の遠隔服薬指導が可能となり、現場のピークタイムを外部の薬剤師が支援できるようになったと強調した。これにより、全店舗で薬剤師1人分の削減を可能にし、現場薬剤師を対人業務に集中させる環境を整備したと示した。


薬剤師の地位向上と未来の教育

最後に、薬局の価値向上と薬剤師の地位向上のための取り組みとして、「スーパー薬剤師構想」を紹介した。これは、総合診療医である藤田医科大学の大杉泰弘氏と連携し、総合診療医のカリキュラムを薬剤師に提供する計画で、2026年4月から開始する予定である。糸賀氏は、「人間を見る」コミュニティ薬剤師の育成を通じて、薬局と薬剤師の地位向上を目指すとした。

糸賀氏は、「マイライフは地域の健康プラットフォーム企業として進化する」「薬局をお薬を渡す場所から健康を作る拠点へ変える」と締めくくり、2040年に向けた薬局の具体的な変革と挑戦を示した。

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