薬局DX推進コンソーシアム:調剤業務の一部外部委託が業界変革の鍵となる
- toso132
- 10月6日
- 読了時間: 3分

2025年10月1日から3日間にわたり、幕張メッセで開催されたメディカルジャパン東京において、一般社団法人 薬局DX推進コンソーシアムがブースにて活動成果を発表した。本発表薬剤師不足や対人業務の強化といった喫緊の課題を抱える薬局業界に対し、調剤業務の一部外部委託が抜本的な解決策となり得ることを示唆するものであった。
外部委託が注目される三つの背景
調剤業務の一部外部委託が今、業界の注目を集めるのには、以下の三つの要因がある。
制度面の変化:2025年5月に薬機法が改正され、外部委託が正式に認められることになった。施行は2027年春頃を予定しており、現在は特区限定の実証が進んでいる。今後の運用に関する議論や制度設計は、この改正に基づいて進められることとなる。
現場・経営環境の変化:現在の調剤報酬制度は、服薬指導や在宅医療といった対人業務を重視している。しかし、薬剤師不足の常態化、対物業務の非効率性、そして薬価改定による経営環境の厳しさから、多くの薬局が限界を迎えている。外部委託は、対物業務を効率化し、対人業務に資源を集中させるための必須の手段である。
連携の拡大:単独の薬局では、経営や患者対応に限界が生じている。これに対応するため、地域連携、個人薬局間、チェーン・ドラッグストア間など、新しい協力モデルが動き出している。2030年には、連携の標準化が進み、薬局業界全体の構造が変化する可能性が高い。ICT化の流れも相まって、外部委託は業界の変革期における核心的なニーズとなっている。
コンソーシアムの役割と今後の展望
このような背景を受け、薬局DX推進コンソーシアムは2023年に大阪市と大阪府の共同提案により発足し、2025年に一般社団法人化された。
同コンソーシアムは、外部委託の安全性、有効性、経済性の検証を進め、その実証事業の成果は2025年の薬機法改正に繋がった。すなわち、現場の声を政策に繋ぐ役割を果たしたのである。さらに、委託・受託間の情報共有に不可欠な標準仕様CSデータを策定するなど、現場の運用に必要なピースを自ら構築してきた。
今後の活動として、大阪特区での実証をさらに深め、受託薬局からの直送方法の検討・実施、有効性や経済性のデータ収集を行う。また、CSデータの拡張や在庫管理の標準化に向けた仕様案の策定も進め、2027年春頃の法律施行に向けて実効性のある提言を行うことを目指している。
現在、大手の薬局から中小薬局、機器メーカー、システムベンダー、異業種企業まで59社が参画し、新しい価値を共創している。参画企業は、外部委託のノウハウ取得、新しいサービス形成への関与、会員ネットワークの活用、そして制度の波に乗り遅れないという大きなメリットを得られる。
DX推進に貢献する主要ソリューション
ブースでは、外部委託の実現と薬局DXを加速させるための具体的なソリューションが多数紹介された。
特に注目されたのが、一包化散薬監査支援装置「コナミル」を開発した株式会社ウィズレイである。同社の森山 圭 代表取締役(薬学博士)は、かつて就実大学薬学部で教鞭を執っていたが、現在は大学を退職し、ベンチャー企業の代表として活躍している。コナミルは、近赤外分光法を用いることで、袋を開封せずに散薬の化学組成を識別・監査できる。将来的に散薬の外部委託が認められる時代を見
越して、監査結果をクラウド共有できる仕組みを既に備えている点が特筆される。
薬局DX推進コンソーシアムは、これらの先端技術と連携を通じて、薬剤師が本来の専門性を発揮できる社会の実現に貢献していくとしている。







コメント