「健康ハートの日2025」共同声明発表:薬局・ドラッグストアが連携し血圧管理啓発を強化
- toso132
- 2 日前
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2025年7月29日、日本循環器協会、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の4団体が共同で、「健康ハートの日2025」に関する共同声明発表会を開催した。日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会は、心臓病・脳卒中予防キャンペーンの趣旨に賛同し、薬剤師や登録販売者などの専門性を結集。血圧管理啓発を通じた健康増進活動「血圧は測ろうぜ!」において、3団体が協力・連携していくことを発表した。8月10日の「ハートの日」に合わせ、循環器病予防のための啓発活動が強化される。
日本循環器協会が牽引する「健康ハートの日」の歴史と展望
日本循環器協会代表理事の小室一成氏は、まず「健康ハートの日」の概要について説明した。同活動は、「はーと」の語呂合わせから、1985年8月10日に日本心臓財団が開始した心臓病の啓発活動で、今年で40周年を迎える。これまでは医師による健康相談や血圧測定が中心であったが、日本循環器協会が2021年から加わったことで、患者や企業、Jリーグ、薬局、自治体などとの連携を深め、活動の幅を広げてきた。
特に、サッカー選手の心臓病問題に着目し、Jリーグや人気漫画『キャプテン翼』の作者・高橋陽一氏の協力を得て、心臓病を抱えるキャラクター「三杉淳」を啓発アンバサダーに起用し、ポスター制作などを行っていることが紹介された。
小室氏は、日本循環器協会が約60ものプロジェクトを動かしていることに触れ、Jリーグと連携したサッカー試合会場での啓発活動、市民公開講座、小中学生への生活習慣啓発、8月10日の都道府県のランドマークライトアップなどを紹介。特に小中学生への啓発は、子供から親へ健康意識が波及する効果を期待しているという。
また、薬局との連携を強調し、昨年は約1万店舗の薬局が血圧測定キャンペーンに協力したと報告。1店舗あたり100人が測定すれば100万人の血圧測定に繋がり、高血圧患者4300万人のうち治療されているのが3分の1に過ぎない現状において、薬局が果たす役割の大きさを訴えた。
薬剤師会・保険薬局協会が語る薬局の役割
日本薬剤師会会長の岩月進氏は、自身の高血圧家系という個人的な体験を交えながら、自宅での継続的な血圧測定の重要性を強調。患者自身が記録を持つことで、受診勧奨の精度が向上すると述べた。また、薬局の役割として、薬剤師や登録販売者が気軽に相談できる存在となること、そして全国6万軒以上の薬局が「かかりつけ薬局」として血圧測定を含む健康相談に対応できるよう、今後も連携して取り組む意向を示した。
日本保険薬局協会会長の三木田慎也氏は、薬局が日頃から地域の住民に対して予防啓発に取り組む重要性を述べ、今回のキャンペーンに全面的に賛同すると表明。処方箋がなくても、物を買わなくても、いつでも健康相談ができる薬局の存在を国民に広く知ってもらうことが大切だと語った。日本保険薬局協会の会員薬局約2万店全てで、ポスター掲示や血圧計の準備を進め、キャンペーンに対応していく方針を示した。
チェーンドラッグストア協会の取り組みとAED普及
日本チェーンドラッグストア協会会長の塚本厚志氏は、ドラッグストアがこれまで「物を販売する場」という側面が強かったとし、今回のキャンペーンを通じて、血圧に関する相談体制を強化していく考えを述べた。薬剤師や登録販売者だけでなく、資格を持たない従業員も適切なアドバイスができるよう、内部体制を整備する方針だ。
今回のキャンペーンには、ドラッグストア単独で約3000店舗が積極的に参加するとし、将来的には全国2万3000店舗の半分以上で血圧相談ができる体制を目指すと語った。塚本氏は、ドラッグストアが身近な存在として、高血圧に気づいていない生活者への啓発や、家庭に血圧計がない人が気軽に測定できる場所となることを期待した。また、ドラッグストアが7000〜8000カ所でAEDを設置していることにも触れ、地域における予防と緊急対応の拠点としての役割を強調した。
予防啓発の重要性と今後の展望

小室氏は循環器病が日本の死因の上位を占め、特に高齢化社会において患者数が増加している現状を指摘。病院での治療だけでは追いつかないため、予防啓発が極めて重要であると強調した。国が定める「脳卒中・循環器病対策基本法」においても、予防啓発が3つの柱の第一に掲げられていることを挙げ、医師だけでなく、看護師、薬剤師、理学療法士など多様な職種が連携し、病気になる前の段階での予防に取り組む必要性を訴えた。
さらに、多くの国民に正しい知識を伝えるための取り組みとして、eラーニングで循環器疾患について学習し、認定試験に合格した「アドバイザー」制度を紹介。昨年から1万7000人がアドバイザーとなり、その知識を家族や友人に伝えることで、広範な啓発効果を狙っていると述べた。
循環器病はがんとともに二大疾患であり、特に女性の死因トップは循環器疾患であることを強調。生活習慣の改善によって予防や再発防止が可能であるため、一人でも多くの人に病気と予防法を伝える活動を続けていくと締めくくった。
■3団体共同の取り組み概要
健康ハートの日2025 薬局・ドラッグストア活動企画「血圧を測ろうぜ!」
実施期間:2025年7月1日~8月31日
内容:啓発ポスター掲示、血圧測定コーナー設置、各種イベント開催、リーフレットを活用した健康相談等
活動地域:全国
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