【一日一笑】人に寄り添うということ、本当の優しさとは
- toso132
- 6月13日
- 読了時間: 4分
更新日:7月8日
医薬情報研究所 株式会社 エス・アイ・シー
公園前薬局(東京都八王子市)
堀 正隆

人に寄り添うとは?本当の優しさって?
腹痛があるため、OTCの鎮痛鎮痙薬を購入希望の患者さん。この方が初めて来局された際、数年前に病院でもらったことがあり、鎮痛鎮痙薬の購入を希望されていた。この方の記録は薬局になかったため、お薬手帳の確認と聞き取りにより医療用医薬品の副作用や相互作用など併用薬等に問題がないと判断し販売をした。
10日程度たった頃、また鎮痛鎮痙薬を購入したいと再び来局。あまりにも早い来局に状況を確認したところ、1回服用すると1日程度症状は治まるため様子をみていたが、手持ちが昨日でなくなり今朝、少し痛みが出てきてしまったとのこと。当初、販売を断ったが、当日はどうしても病院に行けないため、本日使う分だけでもどうしても必要で、明日も症状が出たら必ず病院に行くのであと1回だけ販売してほしいと訴えた。「イレウスなどを起こすといけない」と何度も説明を行い、本当に今回が最後である旨を伝え、2回目の販売を行った。
そこからは、数日たってもいらっしゃらなかったので、その後は痛みが治まったのか。
病院に行って処方箋が出たが口うるさく注意したため、違う薬局に行ってしまったのか…。
私は、当時薬局薬剤師として仕事を開始して2年目だった頃の出来事でこの行動に対して自信も無く、強く言いすぎてしまったかもしれない。もっと違う説明方法、何かできることがあったのではないかなど、自責の念に苛まれていた。
その後、半年程度たった頃のある日の夕方、笑顔で来局され、第一声が「お久しぶりです。イレウスで入院してしまい今朝退院してきました」だった。どうやら、その後も他の薬局で鎮痛鎮痙薬の購入を続けており、結局イレウスを起こし、緊急入院したという。
本人曰く、「いつでも快く販売してくれて、深く詮索してこない薬局が良い薬局だと思っていたが、今回の件でしっかり私のことを思ってくれていた良い薬局はここだったと気付かされた」とのことだった。
その言葉は、寄り添うためには優しく肯定するだけではなく、指摘すべき時にはしっかりと指摘することが本当に大切であると実感させてくれるものだった。
それ以降、この方は利用している薬局を全て当薬局に変更し、私の勤務する店舗が変わってしまっても、その方が在宅訪問になってもこの付き合いは続き、最期までの7年間を一緒に過ごした。
久しぶりに来局されたあの日の、夕日に照らされたその笑顔を今でもふと思い出しながら、今日もまた口うるさく服薬指導を行っている。私の思いが誰かに伝わると信じて。
共感の姿勢とは!?
学生時代、共感の姿勢として「おつらいですね」と添えるようにと習った。この言葉には少し苦い思い出がある。私自身、6年制の3期生としてまだまだ、OSCEの練習なども探り探り行われている状況だった。校内で行われた、練習時の患者さん役として外部からいらっしゃっている方に症状を確認し、その言葉を口にした際、「おい、若造お前に俺の何が分かる」と指摘され、「患者は、おつらいですねなんて言葉が欲しいわけじゃないからな」と患者役の方に指摘を受けた。
その後、その方と練習を行った友人たちに聞いても「おつらいですね」と言ったら「そうなんですよ」と言って症状の説明を始めてくれたと聞き、なぜ私だけ指摘された?と疑問に思って過ごしたのを覚えている。
朝から学生何十人から言われ続け、たまたま言いたくなったところもあったのかもしれない。もしくは、私の納得できない言葉を言わされている状況が態度に出てしまっていたのかもしれない。真相は闇の中だが、非常に良い経験だった。
目の前の方が、自分の家族、自分の大切な人だったら、どんな言葉をかけてあげる?どんな言葉で伝えたい? そう考えた時に出てきた素直な言葉を伝えることが共感につながると思っている。ありきたりな言葉だっていい、極端な話「めちゃくちゃ痛そう!」「想像しただけで、ゾッとする!」などでもいいと思っている。その時には最早、言葉遣いよりも純粋に自分の身近な人やもしくは、自分に置き換えたとき瞬時に出た感覚を伝えることのほうが私は重要だと感じている。もちろん、患者さんの待っている時の雰囲気、会話し始めたときの感覚などによって距離感を使い分ける必要はあるが…。
飾らない素直な言葉を大切にしたほうが私はいいと思っている。

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