【薬局・ドラッグストアで活躍する管理栄養士】「地域」を支える薬局管理栄養士の新たな役割を目指して
- toso132
- 5月8日
- 読了時間: 4分
更新日:7月8日
札幌保健医療大学大学院教授・管理栄養士(医学博士)川口 美喜子

地域を「栄養・食事」で支える。今後の薬局管理栄養士が目指す課題であり、一つの目標だと考えています。
昨年4月に東京から北海道札幌市内の大学に赴任しました。大学が中心にあり、周囲は宅地化された団地と田畑や農地です。大学にはバス通勤のため、バス停から大学までの半径605mを中心にこの地域を見つめました。交通手段は本数の少ないバスか自家用車です。医科、歯科などの診療施設はなく、コンビニは大学内のみ、スーパーやドッラグストアはありません。地域の方々にインタビューを行いました。この地の自然や助け合いの生活への満足感はありますが、健康や買い物の不安や不便があります。この地域住民の方々が望む健康な暮らしは、住民の方と共に予防をして、地域力をアップしていくことにあると思います。その役割の担い手として、薬局の管理栄養士は人材不足の問題、管理栄養士の役割を広く周知するための啓発活動も必要ですが、地域の方々が自発的に栄養・食事から予防を意識できるように、地域の活動に積極的に関わっていくことが望まれます。
今回の実践報告は、北海道十勝地方帯広市を拠点として、地域に根差した活動を行っている株式会社まつもと薬局 栄養部部長一色 恵さんから、「これからの保険薬局は、地域の健康サポート薬局として、医療・介護・福祉・保健等様々な分野での機能性が求められている。薬剤師と共に管理栄養士が高い専門性を発揮し、地域住民のサポートを多方面から行い、最期まで地域で生活できる栄養ケアが必要とされる」この考えに基づいた活動報告です。
事例紹介
栄養計画を立案し、透析患者の食事摂取量不足を改善
株式会社まつもと薬局栄養部部長
一色 恵

株式会社まつもと薬局は、北海道十勝地方帯広市を拠点に、6つの薬局と2カ所の機能訓練特化型デイサービスを運営しています。十勝地方は約32万人が暮らす地域で、当社は「薬」「栄養」「運動」を融合させることで、「健康」「医療」「福祉」に貢献し、地域住民の豊かで健康的な生活を支えることを理念としています。
薬局管理栄養士のこれまでと現在
当社では28年前の1996年より薬局に管理栄養士を配置し、医療食販売や栄養相談を行ってきました。中でも腎臓病の食事療法は難しく、コロナ禍になるまでは腎臓病食の調理実習を年2回計46回続けてきました。コロナ禍を機に情報ツールの活用が進み、患者様の管理栄養士へのニーズが変化していると感じます。薬局内での活動に留まらず外に視野を広げ、変化にいち早く気づき順応していため、より専門的な知識の獲得と、経験、実績の重要性を感じています。管理栄養士全員のスキルアップを図るため、在宅訪問管理栄養士認定や腎臓病療養指導士認定の取得、保健指導のスキルアップ研修などに積極的に参加しています。
在宅医療における薬局管理栄養士の活躍
最近は、ケア会議参加や多職種の方々と共に在宅療養が必要な患者様の支援も行っています。ここで、透析患者Aさん(60代男性)のサポート事例を紹介します。
Aさんは、透析治療を週3回受ける独居の患者様で、既往歴には脳血管障害があり手に若干の麻痺があります。ヘルパーが週3回ほど夕食の準備と買い物をサポートしていました。Aさんの主張は「食事がおいしくない」でした。栄養アセスメント評価は、透析食の知識不足による食事摂取量の不足と判断しました。栄養計画は、検査値の見方や、カリウム・リンの働き、塩分・水分管理の必要性の資料を用いた確認と同時にヘルパーに透析食の調理ポイントについて実践を交えて伝えしました。その結果、適度な味付けとなり、彩りも良くなったことでAさんの食が進むようになりました。また自分で買い物に行きたいとリハビリにも取り組むようになり、検査値も安定しました。この事例はAさんの了承を得たうえで、病院の管理栄養士と情報共有を行い、地域の多職種で介入した成功事例です。
他にも薬剤師に同行し、がん治療中の患者様の食欲低下や、胃ろう後の在宅でのケアなどさまざまなケースに関わっています。
私が目指す薬局管理栄養士のこれから
厚労省が2025年を目途に構築を掲げている地域包括ケアシステムに向けて、十勝地域の包括ケアシステムの中で、管理栄養士が当たり前に存在する状況を目指しています。2019年から、日本栄養士会が運営する「認定栄養ケア・ステーション」として地域住民に栄養ケアを行う拠点として活動しています。地方では高齢化、過疎化、若年層の減少が着実に進んでおり、在宅療養の充実や、依然として低い健康診断受診率を上げる取り組みなど、生活習慣病疾患が多い地域では取り組むべき多くの課題があります。
食は、生まれたときから人生の最期まで、生活の中心にあるものです。長年、店舗での栄養相談や情報提供を行ってきた経験を生かし、保健薬局にかかせない存在となり、包括ケアシステムの中核として薬局管理栄養士が、地域で中心的な役割を担えるよう尽力していきます。
コメント