【ツムラ漢方記念館】17年ぶりにリニューアル!体験型展示で漢方を身近に
- toso132
- 5月1日
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更新日:5月9日

医療用漢方製剤で国内トップシェアを誇る株式会社ツムラは、茨城工場の敷地内にある「ツムラ漢方記念館」の展示を17年ぶりに刷新した。「漢方・生薬を学ぶ・知る・楽しむ」をコンセプトとする同館は、医療関係者を中心に年間約3,000名が訪れる、漢方に関する専門的な情報発信拠点である。歴史的に貴重な書物や100種類を超える生薬の展示、漢方製剤の製造工程や品質管理に関する展示などを通して、漢方の正しい知識を伝えてきた。
今回のリニューアルでは、「漢方薬を、ツムラを、もっと分かりやすく!」をコンセプトに、同社の品質への取り組みを幅広い世代に理解してもらい、来館者がその体験を誰かに話したくなるような魅力的な展示を目指した。体感型の展示を増やし、イラストや写真などの視覚情報を充実させることで、より感覚的に理解できるような工夫が凝らされている。特に注目されるのは、新たに設けられた「TSUMURA KAMPO LABO」である。ここでは、薬学部の実務実習生が模擬調剤を体験することができる。


また、310平方メートル、テニスコート約3面分の広さを誇る薬草見本園には約300種類もの薬用植物が植栽されており、実際に植物に触れ、香りを感じることで、漢方薬の原料となる生薬をより身近に感じることができる。薬用植物は、方剤ごとにまとめて栽培されている。例えば、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」の区画には、牡丹皮(ぼたんぴ)、牛膝(ごしつ)などが植えられている。300種類もの薬用植物が息づく空間は、まさに生きた教材であり、漢方への理解を深める貴重な機会となるだろう。


明治時代に入り、西洋医学が主流となる中で漢方医学は一時衰退したが、昭和期に入り、日本東洋医学会の設立や西洋薬の副作用問題などを背景に、再び注目を集めるようになった。1960年代には漢方薬が薬価基準に収載され、1976年には医療用漢方エキス剤が保険適用となるなど、現代医療における漢方の地位が確立されていった。2001年には医学教育モデル・コア・カリキュラムに「和漢薬を概説できる」が採録され、2002年には薬学教育モデル・コア・カリキュラムに「現代医療の中の生薬・漢方薬」が採録されている。



同館館長の吉田勝明氏は、「今後も訪れたお客様がワクワクしながら楽しく漢方を学べる施設を目指し、五感を通じて正しい情報を発信していきたい」と意気込みを語った。



リニューアルの主なポイント
TSUMURA KAMPO LABOの新設: 薬学部の実務実習生が模擬調剤を体験できる。
生薬体験コーナーの拡充: 約70種類の生薬を展示し、壁面には生薬のイラストも掲示。香りや形状を実際に楽しむことができるエリアとなった。
2階展示の刷新: 大型マルチビジョンで生薬の栽培・調達から製造・販売までの流れを動画で紹介。製造工程はイラストと実物展示を組み合わせた。
ツムラ漢方記念館
茨城県稲敷郡阿見町吉原3586
茨城工場の敷地は東京ドーム約4個分という広さを誇り、約1100名の従業員が勤務している。敷地内にはツムラ漢方記念館のほか、工場施設、研究施設がある。同館はツムラ創業100周年の記念事業として設立され、2008年度のグッドデザイン賞(公共建物空間/土木/景観)を受賞した。また、ウェブ上で漢方が学べる「バーチャル漢方記念館」を公開している。






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