【ウエルシア薬局】DgSの常識を覆す「ドラッグ&フード戦略」を本格始動!食品強化で売上130%増、イオン連携で全国展開へ
- toso132
- 10月23日
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ウエルシア薬局は、将来の成長を牽引する柱として「ドラッグ&フード戦略」を本格始動させ、2025年度中に東日本地域で合計9店舗の食品強化型店舗へのリニューアルを計画している。この戦略は、単なる食品販売の拡大に留まらず、ドラッグストア(DgS)としての既存の強みであるHBC(ヘルス&ビューティケア)や調剤の売場を一切損なうことなく、食品の品揃えを大胆に拡充することで、顧客の来店頻度と購買単価の向上を同時に実現する、革新的なシナジーモデルを確立しようとしている。
競争軸を変える「ドラッグ&フード」の戦略骨子
ウエルシア薬局の新たな成長戦略は、「フード&ドラッグ」ではなく、あえて「ドラッグ&フード」と名付けられている点に独自性がある。これは、ドラッグストア(DgS)としての核となるHBC(ヘルス&ビューティケア)の売場を一切狭めずに、食品部門を強化するという明確な方針に基づくものだ。
この戦略の骨子は、以下の3点に集約される。
・HBC売場の維持と食品の入れ替え
HBCの売場面積を維持したまま、既存の食品売場などを刷新して食品を強化している。これにより、DgSの競争力を保ちつつ、生活必需品の品揃えを充実させている。
・強力なシナジー(相乗効果)の創出
食品の品揃えを大幅に充実させることで、顧客の来店頻度を大幅に向上させている。その結果、食品目当てに来店した顧客が、ついでにHBC商品も購入するため、HBCの売り上げも連動して大きく伸長するという強力な相乗効果を狙っている。
・イオングループのアセットを最大限活用
親会社イオンのインフラとノウハウを徹底的に活用することで、効率的な運営を実現している。具体的には、イオンの食品仕入れ、物流(グローバルSCM)、トップバリュ商品、プロセスセンター(PC)などを活用している。特にデリカ(惣菜・弁当)については、店舗での調理をせず、アウトパック(外部調理)での供給を基本とすることで、大規模な厨房設備投資を抑え、オペレーションをシンプルにしている。
食品強化が生む驚異的な実績とDgSならではの提案


食品強化型店舗では、顧客が日々買い物を完結できるよう、日配品、青果、惣菜、冷凍食品の販売を大幅に拡充している。品揃えの進化として、冷凍食品(冷食・アイス)の売り場規模を約1.65倍に拡大し、食品スーパー並みのケース数を確保。トップバリュ商品を積極導入することで、低価格と品揃えの両立を図っている。デリカの品揃えを約2.6倍に拡大し、健康志向で栄養バランスを考慮した弁当・惣菜を拡充し、中食需要を取り込んでいる。日配品・グロッサリーの品揃えを約1.5倍に拡充し、単なる安売りだけでなく、オーガニックや「食べる健康」を意識した商品(例:オーガニックもやし)も導入し、DgSらしい価値を提案している。売場面積は既存店ベースの約100坪を維持し、HBCの面積は確保しつつ、食品に合わせた暖色系の照明を採用し、視認性を向上させている。

・初期実績:食品売上130%増の衝撃
2025年8月にリニューアルオープンした茨城県のつくば小茎店では、極めて良好な初期実績が確認された。客数は110%以上伸長し、食品売り上げは120%〜130%伸長、HBC売上も110%程度伸長し、全体売り上げは115%〜120%伸長した。食品の売上構成比はリニューアル前の約40%から約5%程度の上昇に留まっており、食品強化がHBCの購買を促す理想的なシナジー構造が実証された。顧客からは「他のスーパーに行かなくていい」といった声が聞かれ、生活インフラとしての地位を確立しつつある。
効率的な運営モデルと全国展開への布石
・店舗運営と投資抑制

店舗運営においては、厨房機能がないため、投資額は主に冷蔵・冷凍ケースの増加分に抑えられており、大規模な投資はかけていない。オペレーション面では、朝の品出し作業が増えるため品出し人数が1〜2人程度増加するが、食品中心のオペレーションに対応するためのマニュアル整備を進めている。健康提案として、管理栄養士が監修した弁当の展開や、「食べる健康」につながる機能性表示食品などの品揃えを強化する。
・2025年度 食品強化型店舗の設置計画

ウエルシア薬局は、東日本地域で以下の9店舗を食品強化型店舗として展開する。リニューアル済み店舗は茨城県のウエルシア稲敷釜井店(2025年8月22日)とウエルシアつくば小茎店(2025年8月29日)であり、今後設置予定の店舗はウエルシア宇都宮泉が丘店(栃木県)、ウエルシア古河総和店(茨城県)、ウエルシア新潟荻川店(新潟県)、ウエルシアさいたま原山2号店(埼玉県)、ウエルシア東海村松北(茨城県)、ウエルシア新潟秋葉通店(新潟県)、ウエルシア新潟上木戸店(新潟県)である。
・DgS連合による優位性の確立
当面は、既存のスーパーマーケットが少ないなど、食品ニーズが高いエリアを主力として出店を進める方針だ。ツルハとの経営統合を控えるなか、イオングループのインフラ(プロセスセンターや物流)を最大限に活用し、他のドラッグストアにはない競争優位性を確立し、この「ドラッグ&フード戦略」を武器に、今後の成長を拡大させる構えである。






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