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【薬局・ドラッグストアで活躍する管理栄養士】薬局・ドラッグ管理栄養士の部会設立に向けて

札幌保健医療大学大学院教授・管理栄養士(医学博士)川口 美喜子


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地域における管理栄養士の貢献

全国でリーダーシップをとり活躍している薬局・ドラッグストアの管理栄養士の皆さんが、本誌に活動内容の事例紹介として2023年から3年間報告してきました。地域の栄養支援を担う管理栄養士としての現実と今後をまとめました。

皆さんは、地域の栄養支援の体制確立に奮闘中です。都市部と地方では人々の暮らしはそれぞれ住んでいる地域特性に大きく影響を受け、その地位の成り立ちや文化などにも暮らしは左右されます。そのため、専門的な知識と経験の獲得によって、薬局内の活動に留まらず外に視野を広げ、変化にいち早く気づき順応しています。地域の方々が気軽に食事や運動の相談をでき「住み慣れた場所でより良い暮らしをする」ことが信念です。栄養支援の事業内容は多岐に多面的に実践され、店舗内だけでなく積極的に地域事業にも参加します。地域活動は、薬局・ドラッグストアに勤務している管理栄養士だからできることであり、使命の一つと考えます。店舗内の栄養相談、生活習慣病予防、重症化予防、また患者と家族の気持ちに関わってがんの患者の相談も実施します。店舗業務外では、特定保健指導、在宅栄養相談、薬剤師との同行訪問、介護予防、ヘルパーや地域住民向けの健康講座、さまざまな事業やイベントを開催し、地域の健康コミュニティーを支援します。皆さんが実践できている背景には、薬局管理栄養士の強みを感じ、薬剤師との連携によって成長し、薬剤師と協働することでさまざまなケースに食支援が効果的に実践できていることが根底にあります。また、地域住民の豊かで健康的な生活を支えるために、医療機関、行政や介護事業所など多職種と連携が不可欠であり、地域ケア会議への参加、多職種と協働した在宅療養患者の日常生活支援総合事業などの支援も実践しています。

皆さんの展望は、地域包括ケアシステムの中で管理栄養士が当たり前に存在する状況です。地方では高齢化、過疎化、若年層の減少が着実に進んでおり、在宅療養の充実や、依然として低い健康診断の受診率など、生活習慣病の予防さらに、重症化予防にも重点を置き医療関係や行政ともさらなる連携強化をし、地域全体の健康増進に取り組んでいくことです。


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展望と課題

在宅栄養支援で活動している在宅訪問管理栄養士は、訪問看護師約10万人に対して1,500人(実働は約800人程度)と不足している状況です。今後急速な増加は望めません。地域には常駐の管理栄養士が少なく、栄養指導は訪問看護師の役割となっています。限りある管理栄養士を有効に活用するためには、薬局・ドラッグストアの管理栄養士が、栄養リテラシーを高めるため地域住民に信頼できる情報を正しく発信し、予防的栄養支援による認知症やサルコペニア対策、早期受診勧奨、そして入退院時の重症化予防によって地域全体の健康増進に貢献することが最も重要になります。

課題は、質の高い栄養サポートを提供するため、管理栄養士のスキルの向上が重要であり、その体制を整えること。またICTを活用し、患者と管理栄養士が食事や体重のデーターを確認できる環境を整える、遠隔による栄養支援など質の高い栄養サポートを提供できる体制を整え、地域に根差した支援をより充実させることです。


管理栄養士部会の設立に向けて

今後は、課題解決に向けて薬局・ドラッグストア管理栄養士の部会の設立を計画しました。薬局・ドラッグストアで実践する専門性の実績データーを分析し、実践内容を見える化して専門性を多職種や地域に啓発すること、人材育成のために共通の教育体制を整えること、など、多くの課題解決に向けて歩み始めるようと計画が動き始めています。



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