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問◆エリザベス・キューブラー=ロスによって提唱された死にゆく人の心理過程で第2段階はどれか。【国試探検隊】


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問80(法規・制度・倫理)

エリザベス・キューブラー=ロスによって提唱された死にゆく人の心理過程で第2段階はどれか。1つ選べ。

❶受容

❷取り引き

❸怒り

❹否認と孤立

❺抑うつ                              

(第109回薬剤師国家試験より)


***


蔵之介です。必須問題【法規・制度・倫理】からの出題です。米国の精神科医、エリザベス・キューブラー=ロスは、1926年にスイスで生まれました。1960年代のがん治療は、有効な治療法もなく、死を待つだけの時代でした。病院での末期患者の対応にショックを受けた彼女は、当時、タブー視されていた「死」を研究テーマに選びました。シカゴの病院で200人を超える末期患者と対話し、ときにはハゲタカ呼ばわりされながらも、人はどのような心理変化を経て死んで逝くかを分析しました。そして、医学が及ばない領域とされてきたサナトロジー(死生学)の講義を始め、世界的ベストセラーとなった著書『死ぬ瞬間-死とその過程について』

(1969年)のなかで、1否認、2 怒り、3取引、4抑うつ、 5受容という「死の受容のプロセス(5段階モデル)」を提唱しました【解答は3】。がんを告知された患者は、【第1段階】『医師の診断を疑い、何かの間違いだ』、自己防衛の手段として(否認)し、現実から逃避しようと周囲と摩擦(孤立)。【第2段階】『なぜ、自分なのか?』、八つ当たり(怒り)。【第3段階】『治るなら、何でもする』、神にすがる(取り引

き)。【第4段階】『もう何もできない』、悲嘆や絶望で(抑うつ)。【第5段階】『どうにもならない』と静かに受け入れる(受容)。終末期医療の先駆者として、今日に至る緩和やホスピスのあり方に多大な影響を与えました。5段階モデルには批判もありますが、元図は単純な階段ではなく、併行して(希望)もありました。晩年、脳梗塞に倒れ、半身不随になりました。テレビ局の取材の中で、『死を受容することはできず、自分のモデルに意味はない』と自らを否定。他人の死と自分の死とは違ったようです。2004年、娘や孫に看取られて静かに旅立ちました(78歳没)。


出題予想

シシリー・ソンダースのトータルペイン(全人的苦痛)やグリーフケア(遺族のケア)など


■解説

蔵之介(アポクリート株式会社)

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