地域薬局が担う「がん患者の「自分らしさ」を取り戻す場所」――総合メディカルグループが取り組むアピアランスケアの新展開

総合メディカルグループ株式会社は、地域で暮らすがん患者の生活の質(QOL)向上と社会復帰を支えるため、がんなどの高度な薬学管理を行う「専門医療機関連携薬局」を拠点としたアピアランスケア(外見の変化に対する支援)の本格展開を2026年10月6日より開始した。
医療の進歩が生んだ新たな課題と「正しく頼れる情報」の不足
がんの新規罹患者数が毎年約100万人で推移し、5年相対生存率が約65%に達するなか*¹、治療を続けながら社会生活を送る人々は着実に増えている。しかし、抗がん剤などの治療に伴う脱毛や皮膚の変色、爪の障害といった外見の変化は、患者の心に大きな負担をかけている。実際に外見の変化を経験した患者の58.1%に上り、そのうち40%を超える人々が「人と会うのが億劫になる」といった心理的・日常生活への影響を受け、休職や退職に追い込まれるケースも少なくない*²。また、乳がん患者の苦痛度の高い症状上位20項目のうち約6割が外見に関連する症状であることも報告されている*³。
一方で、インターネット上にあふれる外見ケア情報の約4割は正確性に欠けるという指摘もあり*⁵、医療者側も患者が抱える悩みを拾いきれていないのが現状である。こうした「情報の空白」を埋めるべく、国の第4期がん対策推進基本計画においてもサバイバーシップ支援の一環としてアピアランスケアの体制整備が求められている*⁴。
「病院」と「自宅」をつなぐ第三の居場所として機能する薬局へ
同社は、医療機関と患者の自宅の中間に位置する「第三の居場所」として薬局を位置づけ、治療中から治療後にかけて患者の気持ちに寄り添う環境を整えていく。取り組みは「そうごう薬局」の4店舗(伊勢原店・天神中央店・塩原店・久留米医大前店)から先行してスタートし、来期にはグループ内の全ての専門医療機関連携薬局へ、将来的には全薬局へと段階的に拡大させていく計画である。
専門性と温もりで患者の毎日に寄り添う「3つの包括的支援」
対象となる店舗では、医療的な視点と生活者の視点を融合させた手厚いサポート体制を構築する。
まず一つ目は、専門研修(国立がん研究センター中央病院主催のe-learning研修やファンケル連携研修)を受けた薬剤師や薬局事務による質の高いサポートと、ファンケルなどの企業が培ってきた製品知見の融合である。専門の知識を持つスタッフが副作用マネジメントを行うとともに、敏感肌研究に基づくスキンケアの提案や、総合情報サイト「Nagomi time」を活用した信頼性の高い情報提供を行う。
二つ目は、行政手続きや助成金制度へスムーズにつなぐハブとしての役割である。プライバシーが確保された個室相談スペースで悩みを聞き取り、医療用ウィッグや補整具購入に関する自治体の助成金制度やがん相談支援センターへの橋渡しを行うことで、患者の経済的・精神的負担を軽減する。
三つ目は、患者同士が温かい対話を交わすコミュニティの場づくりと地域への啓発活動である。「がん対話カフェ」などのイベントを通じて孤立防ぐ空間を提供するほか、店舗でのスキンケア・ベースメイク体験会(天神中央店ではファンケル共催)などを通じて地域社会全体でがん患者を支える機運を高めていく。
さらに同グループでは、未病・予防段階から地域住民の健康を支えるため、ファンケルの社内教育機関「ファンケル大学」と連携した「健康アドバイザー養成研修」を2025年6月より開始し、これまでに16人を認定・育成している。病気になったときだけでなく日常の健康管理からサバイバーシップ支援まで、生涯を通じて頼れる持続可能な地域インフラとしての薬局の進化を目指している。
参考文献
*¹ 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」および「院内がん登録(2014-2015年5年生存率集計)」P.28
*² Nozawa K. et al., Glob Health Med., 2023, 5(1):54–61.
*³ 厚生労働省「がんと共生の在り方に関する検討会」資料(2019年10月23日)国立がん研究センター「がん治療に伴う患者の外見変化とその支援について」P.3
*⁴ 厚生労働省「がん対策推進基本計画(令和5年3月)」P.44
*⁵ 高橋 恵理子ら、がん看護、2016、21巻6号、629-634.



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