第19回OTC医薬品普及啓発イベント開催――「自分の健康は自分で守る」時代のセルフメディケーション

2026年10月2日(金)・3日(土)の2日間にわたり、神田明神文化交流館EDOCCOをメイン会場に「第19回OTC医薬品普及啓発イベント」が開催された。「今こそセルフメディケーション、さあ実践。」をテーマに掲げた本イベントは、日本一般用医薬品連合会や東京薬事協会など5団体の主催によるもの。OTC医薬品の正しい知識や役割を広く普及・啓発し、国民の健康増進に寄与することを目的に、会場展示に加えてYouTubeでの生配信も行われるハイブリッド形式で実施され、2日間で約5,800人もの来場者が訪れる大盛況となった。


オープニングセレモニーには豪華な顔ぶれが揃った。東京都知事の小池百合子氏は「人生100年時代、日本の長寿は世界に誇るべき素晴らしい宝です。江戸時代から続く『養生』の知恵と薬の適切な使用を通じ、自分の健康は自分で守るという基本をこのイベントで深めてほしい」と語りかけ、セルフケアの意識向上を力強く呼びかけた。続いて登壇した厚生労働省審議官の中井清人氏も「セルフメディケーションにはリテラシーを高めて正しく薬を使うこと、そして専門家に寄り添ってもらいながら必要に応じて医療につなぐという二つの側面があります。今後は電子カルテ共有サービスなどを通じ、地域で健康を見守る体制を後押ししていきたい」と語り、行政側からの手厚いサポートを約束した。
熱気に包まれたステージでは、東京都医師会会長の尾﨑治夫氏と、龍角散のCMでもおなじみの新橋芸者・喜美勇(きみゆう)さんによるスペシャル対談が行われた。尾﨑氏は「超高齢社会を迎える中、何でも医療機関に頼るのではなく、簡単な不調なら自分で治そうという姿勢が大切になります」と切り出し、日頃の健康管理から検査、禁煙、食事、運動、そしてOTC医薬品の適切な活用に至る「セルフケアの7本柱」をわかりやすく解説した。特にがん検診の受診率向上について触れ、「早期がんは無症状のうちに見つけるからこそ9割近く治るのです。症状が出てからでは遅いということを知ってください」と強調した。これに対し、日頃からヨガなどで体調を整えているという喜美勇さんは「症状が出ないうちに検診を受ける大切さを、私も周囲にしっかり伝えていきたいです。私は本当に元気印で、本日も風邪ひとつ引かず元気に参加できてうれしいです」と弾けるような笑顔を見せ、会場からは温かい拍手が送られた。

会場内の出展ブースも、来場者と専門家が直接触れ合う活気にあふれていた。特に注目を集めたのが、イベント実行委員でもあるみどり薬局管理薬剤師・坂口眞弓氏による「検体測定室」のコーナーだ。ブースでは1日100人、2日間で200人もの参加者が指先からの微量採血によるヘモグロビンA1c測定を受けた。坂口氏は「測定自体はわずか6分ほどで出ます。糖尿病の重要な指標となる数値をもとにその場で結果をお伝えし、適切なアドバイスや生活指導を行っています」と現場の様子を語った。さらに坂口氏は、単に測定を行うだけでなくアンケート調査も実施。過去に実施した「地域住民のセルフメディケーション支援と薬剤師への相談行動」に関するアンケート調査では、「症状が出た際に医療従事者から勧められた行動を選択した人が8割以上にのぼりました。専門家の助言は、住民の方々のセルフケアを後押しするうえで極めて大きな力を持っています」と、地域薬局が果たすべき重要な役割を力強く訴えた。

また、千葉大学のブースでは、大学院客員教授の久保田洋子氏らにより、肌水分量や自律神経のほか、口腔機能を測る「パタカラ測定」や「舌圧測定」が実施された。久保田客員教授は「日常生活ではなかなか測れないデータばかりですので、高齢社会に向けて生き生きと長生きしていただくための具体的なアドバイスをお伝えしています」と説明し、来場者の口元の健康維持をきめ細やかにサポートしていた。

日本チェーンドラッグストア協会による発信も行われ、10月6日の語呂合わせ(とう・ろく)にちなんで制定された「登録販売者の日」や、身近な薬の専門家としての登録販売者の役割、さらにはセルフメディケーション税制の活用について、体験型のクイズを交えた啓発活動が展開された。楽しみながら学べるクイズを通じて、日常の健康相談に応じる専門職の存在や税制の仕組みへの理解が深まり、訪れた来場者が熱心に耳を傾ける姿が見られた。

さらに神田明神の境内では、協賛企業のマスコットキャラクターたちが大集合し、訪れた家族連れや参拝客を巻き込んでイベントを明るく盛り上げた。
昨今、一部の薬の保険適用除外などが議論される中、尾﨑氏は「単に制度を変えるのではなく、皆さんが自分の体に向き合い、正しく知識を持ったうえで自立してOTC医薬品を選べるようになるプロセスが何より大切です」と話した。自分の体の声に耳を傾け、適切な知識と専門家のサポートを受けながら健やかに生きる――そんな新たなセルフケアのあり方を力強く発信する、充実した2日間となった。




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