現場から未来をつかむ!城西大学・薬学部生が挑んだ「コミュニティファーマシーインターンシップ」

地域医療を支える現場で、学生たちは何を学び、何を感じたのか――。城西大学薬学部では、夏季休暇中に選択科目として「コミュニティファーマシーインターンシップ」を実施している。
このプログラムは、業界団体である日本チェーンドラッグストア協会(以下、JACDS)の全面的な協力を得て行われるものであり、19人の4年生が参加した。学生たちはドラッグストアでの体験研修を通じて、地域医療における薬剤師の役割と働き方を深く学んでいる。
事前準備から現場研修への歩み
事前講義では、JACDS副会長である関口周吉氏(株式会社龍生堂本店代表取締役社長)が講師を務め、業界の現状や社会における役割について解説を行った。学生たちはそこで得た知識をもとに自らテーマを設定し、埼玉県内のウエルシア薬局、スギ薬局、セキ薬品、富士薬品、マツモトキヨシ、龍生堂本店などの協力のもと現場へと臨んだ。
研修期間中には、JACDS勤務薬剤師委員会副委員長の関颯伎氏(株式会社セキ薬品常務取締役 調剤本部本部長)が店舗を訪れ、学生たちの進捗状況温かく見守り手厚くサポートした。
学生たちの議論・気づきと、関口氏による解説

研修後に行われた振り返り講義では、村田氏の進行のもと活発なディスカッションが行われ、その様子はオンラインを通じて協力企業にも配信された。
学生たちの発表では、企業や店舗によって狙う年齢層が異なり、高齢者向け店舗では通路が広く取られている一方、若者向け店舗では栄養相談の時間を長くするなどの工夫が報告された。また、薬剤師がレジ業務や一般用医薬品(OTC)の相談対応に加わることで、地域住民と日常的なコミュニケーションを深めている実態が挙げられた。さらに、花粉症の主訴に対して内服薬ではなく点眼薬や点鼻薬を勧めるケースも共有され、相互作用への懸念や患者が抱える心理的負担に配慮し、あえて外用薬を優先的に提案する現場の判断が示された。
こうした学生たちの議論を受け、関口氏は「対物から対人へ」という言葉の本質について、「服薬指導の充実のみならず、非調剤時の対人業務を充実させることこそが重要である」と解説し、OTCや雑貨の販売、アフターフォローにおけるコミュニケーションの価値を説いた。

また、一つの建物の中に薬局と一般的な物品販売などの店舗が同居し、それぞれの営業時間が異なる点に関する質問が寄せられた。これに対し関口氏は、限られた薬剤師の人員の中で調剤室を開けない時間帯や曜日であっても物販スペース側だけを営業し続けたいという現場のニーズから「分離申請」を行うケースが多い一方で、管理薬剤師が他の店舗や業務に携わることが法律で厳しく禁じられている点を指摘した。その結果、分離申請した店舗において、管理薬剤師が薬局の外に行って店舗側の顧客から風邪薬の相談を受けた場合、それが「薬事行為」とみなされて法律違反に問われかねないという構造的なジレンマが存在し、わずかな対応であっても行政指導の対象になり得るという現場の利便性と法規定の乖離について解説した。
さらに、介護分野に関心を持つ学生の意見に対して、成人用おむつの販売についても言及した。おむつフィッターといった専門資格の存在に加え、メーカーからサンプル提供を受けて実際に着用し、製品ごとのはきやすさや厚みの違いを肌で知ることの意義を示し「まずは自ら疑問を持ち、自ら経験することが最も大切である」と学生たちを激励した。
その他にも、登録販売者、ビューティーアドバイザー、管理栄養士など他職種との連携や、AIを活用した薬歴入力による業務効率化などが共有された一方で、「地域包括ケアシステムにおいて在宅医療を展開している店舗がまだ限られており、その実態をさらに深く学びたい」という今後の課題も提示された。
キャリア形成への期待と未来へ向けて

続いて、科目の責任者である上田氏は、「人から教わること以上に、自ら抱いた疑問に対して主体的に知識を深めていくプロセスこそが重要である」と実体験を伴う学びの価値を強調した。
今年度の学生たちが設定したテーマに沿って深く議論し、適切にまとめていた点を高く評価し、来年に控える薬局や病院での実務実習に向けて、「今回の経験を確かな土台として、自身のキャリア形成へとつなげていってほしい」と期待を寄せた。学生たちは今回の現場経験を通じて、これからの医療人に求められる実践的なコミュニケーション能力や課題解決力を着実に培っている。



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