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問◆長井長義によって世界で初めて単離されたのはどれか。【国試探検隊】



問72 長井長義によって世界で初めて単離されたのはどれか。1つ選べ。

❶モルヒネ

❷エフェドリン

❸アトロピン

❹サリチル酸

❺コカイン

(第108 回薬剤師国家試験より)


***


蔵之介です。必須問題【法規・制度・倫理】からの出題です。長井長義といえば、生薬(麻黄)からエフェドリンの単離・抽出、渋谷にある長井記念館などが思い浮かびます【解答は2】。あらためて調べてみると、「日本の薬学の父」と呼ぶのにふさわしい人物です。長井長義は、幕末の頃、阿波国・徳島藩の御典医の長男として生まれました。藩命による長崎留学。勝海舟や坂本龍馬の撮影(当時は最先端のハイテク技術)で有名な写真家、上野彦馬から化学の手ほどきを受けました。明治4年、大学東校(東京大学の前身)に在学中、明治新政府の第1回官費留学生に選ばれ、ベルリンに留学。有機化学の大家、ホフマンに師事。助手に任命され13年間滞在しました。森鴎外(明治17年)や夏目漱石(明治34年)より、かなり早い時期です。帰国後は、医薬分業と薬剤師養成に尽力し、東京薬学会(現・日本薬学会)を創設して初代会頭に就任。爾来(じらい)40余年にわたり薬学会の発展に寄与しました。エフェドリンは大日本製薬によって製品化されました。今日でもヱフェドリン「ナガヰ」として販売され、局方にも収載されています。

また、テレーゼ夫人とともに女子教育に力を入れ、日本女子大学や雙葉学園の設立に貢献しました。雙葉会のシンボルである双葉葵(ふたばあおい)は植物学に精通した長井の提案とされます。テレーゼ夫人は、大正11年に来日したアインシュタイン夫妻のドイツ語通訳も勤めました。没後、長井邸は日本薬学会に寄贈され、この地に長井記念館が建設されました。エントランスに博士の胸像、地下2階には夫人の名にちなんだレストラン「テレーゼ」、8階には日本病院薬剤師会の事務局があります。


出題予想

人名が続くなら、カタリン・カリコ(mRNAワクチン)、柳沢正史(スボレキサント)、杉本八郎(ドネペジル)、フェリックス・ホフマン(アスピリン)…


■解説

蔵之介(アポクリート株式会社)

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