【スタートアップ】薬局薬剤師から薬局組織コンサルタントへ - 独立までの軌跡と成功の秘訣
- toso132
- 5月7日
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株式会社BeMore
代表取締役・薬剤師 若林雄太

病院や薬局、ドラッグストアといった臨床現場、あるいは行政や製薬企業、CROなど薬剤師が活躍できる場は幅広い。最近では、病院や薬局の経営をコンサルティングする薬剤師も増えてきた。2024年9月に薬局の組織コンサルティング会社を立ち上げた若林雄太さんもその一人だ。
若林さんが独立することを意識し始めたのは大学3年の頃。他学部に進学した高校の友人たちが有名企業に就職したことで、若林さんの心に変化が起こった。「私が社会人になった時、友人たちは社会人としてバリバリ働いています。このままいくと、生涯収入に彼らと大きな差が出てしまうのではないかという危機感を持ち、独立を意識するようになりました」と理由を説明する。
卒業後は静岡県の中小チェーン薬局に就職。「20店舗くらいの規模の薬局だったので、頑張れば社長になれるかもしれないと思い、入社を決めました」と話す。順調に仕事をしていたが、将来的に社長になることが約束された社長の娘が入社したことで、若林さんは次の道を模索し始めた。最初に選択肢に上がったのが薬局を開業すること。だが、調べていくうちに開業資金が2000万円ほど必要だということが分かり、リスクが大きいと判断。それなら自分の身一つで活動できるコンサルタントの道を考えるようになった。当時はコロナ禍で、個人で稼ぐという考えが広まったことも若林さんの考えを後押しした。この頃、若林さんは薬局で採用担当もしていたが、採用業務のやりがいを感じながら仕事していたこともあり、薬剤師新卒採用のコンサルティング会社に転職したという。
転職後は、実績を積み重ねていたものの、若林さんの中で「独立するならこの仕事ではないと感じ始めていた」という。そんな時、顧客から「採用してもすぐ辞めてしまう。打開策はないか」という相談を受けた。そのとき若林さんが所属していた会社も組織づくりをサポートする事業を推進することを打ち出し、若林さんも組織づくりについて学んだ。次に営業で多くの企業に訪問したが、なかなか思うようにいかない時期が続いた。「薬局では体験したこともないような失敗の連続でした」と当時のことを語る。ようやく1年後に一筋の光明がした。初めての契約を交わし、若林さんがコンサルティングに入ったことで、離職率の低下、売り上げの向上などに貢献したという。「クライアントから感謝されたときは、今までにない達成感を感じました」と振り返る。そこからみるみる業績を伸ばし、2024年9月に念願の独立を果たした。「独立初期が一番つらかったという経営者の話をよく耳にしますが、振り返ると私の場合は組織コンサルタントになりたての頃が1番つらかったかもしれません。まだ若造会社員だった私が経営者と同じ目線を持つことは難しく、当時はかなり苦労しました」と胸の内を明かす。
コンサルティングの契約期間は1年。1日1日が勝負だ。現在のところ、契約更新をし、継続してコンサルティングを行っているという。「3年かけて手に入る未来を、1年で手にできるようにすることが私の存在価値だと思っています」と意気込む。
独立して仕事も軌道に乗り、ようやく同級生の背中が見え始めてきた。これからも顧客の一つひとつの言葉に真摯に耳を傾け、顧客よりも顧客のゴールに向き合い、ともに成長していきたいという若林さん。最後に「独立を志している方に限って言えば、若いときは量より質とか言わずに、誰よりも働いた方がいいと思います。また、経営のノウハウを身につけるために、経営者との距離が近い会社を選ぶことをお勧めします」と薬学生にアドバスを送った。
取材後記
若林さんは前職の時から知っており、その力強さと推進力はすごいと感じていました。薬剤師としての新たな「独立」の形に期待しております。今後の活躍が楽しみです。(薬学ステップ 寺本)







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