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【一日一笑】後悔は愛した証拠。母から受け継いだ「道標」を胸に、今日も笑顔で患者さんの隣に

医薬情報研究所 株式会社 エス・アイ・シー

公園前薬局(東京都八王子市)

堀 正隆


後悔は「愛した証」——心の痛みを否定しない寄り添い

薬局で仕事をしているとどうしても、死に直面する場面が必ず訪れる。

そんな中で、患者さんのご家族からの報告。

「〇〇が、亡くなりました…」

医療従事者としては、一番聞きたくない言葉である。そんな時に、話を伺うと多くの方が、後悔していると話されている。

あの時、こうしておけば…。何であんなことをしてしまったのか…。

案外、本人は気にしていないことや他愛無いことも多い。でもね、だけどね…。

もう、直接謝れない…。もう、取り戻せない…。もう、会えない…。

この状況が、どんどん人を追い込み、喪失感に加え後悔を増幅させていく。

後悔先に立たず、覆水盆に返らず、後の祭り、時すでに遅し…などなど、普段であれば、後悔しないために前もってなんていう教訓にすべきこの言葉も、こんな時には苦しさを増強させる言葉に代わってしまう。

では、後悔しないためにはどうしたらよかった?どうしたら後悔を無くせただろうか?

24時間365日そばにいて、その人のことを考え続け、一緒に過ごす事ができていたら、後悔はしない? 多分、共に過ごした時間が増える分、それはそれでまた新たな後悔は増えていく。

だから、ここで一つ思うことがある。

後悔をできるということは、それだけその人のことを考えられた人。

後悔をできるということは、それだけその人を愛せた人。

だから、店頭で後悔していることをご家族から聞くといつも伝える。

「後悔できたなら大丈夫。それだけ大切に思えている証拠」

後悔したことで、自分を責めるのではなく、あらためて、それだけ大切に思えているということを認識してほしい。

つらいこと、悲しいことを考えずにはいられないのが人間。つらいことや、悲しいことを考えないようにしようとまた頭に浮かべて考える。

何も考えないようにするなんてことはできない。

だから、楽しいことを考えられるように、どんな良い思い出があるかを話してもらうようにしている。

そして、その中で時に一緒に大泣きしたり、一緒に笑ったり。

そんな時、薬剤師が一緒に泣いたっていいじゃないか。苦しいときに、ふらっと寄って気軽に話せて、心の拠り所になる。薬局がそんな場所の一つであってほしいと願って。

 

20年紡いだ桜の記憶——母から受け継ぐ「薬剤師の道標」

桜の季節。

今回は、私事を少々。

私は、昨年母を亡くした。薬剤師として偉大で私の道標となる大きな存在である母。

家では、お茶目でおっちょこちょいでいつも家族を笑顔にする母。

この、相反する二つの側面を持つなんとも不思議な存在。

そんな、母と春になると毎年、桜並木を1時間程度かけて二人で歩き、その1年の自分の考えたこと、次の目標などを互いに話すのが恒例行事。

私が高校生の頃、反抗期を迎え、家族や周囲の誰に対しても心を開けなかった時、自分でも何がしたいのか、どうしたら良いのかも分からず、どうしようもなくなり、2人で真剣に話す時間が欲しいと母に声をかけ、行くことになったお花見。

思っていることや将来の話、小さい頃の思い出話などさまざまな話をした。

10代であり、照れ臭さから、来年はどうしようかな…。なんて考えていたが、帰り際にぼそっと「あなたと桜をあと何回見られるかしら…」なんて寂しそうに言うもんだから、「そんな、寂しい言い方しないでくれよ、来年も行こう!」そう返答して、毎年恒例のものとなり、昨年の春にはついに20回目を迎えていた。

母は私が小さい頃から、仕事で家を空けることが多く、一緒に過ごす時間があまり無かった。そんな、私たちにとってはとても貴重な1時間。

春だよ-!桜の季節だよー!!

今年も桜は咲くのに…。恒例行事のはずなのに…。隣に母はいない…。

そう、感じるたびに胸が締め付けられる。

後悔がたくさんある私は、母のことが大切で、それだけ愛しているんだとあらためて認識した。

きっと笑って「おせぇーよ!!」って言ってくれるかな?

時に一緒に仕事ができている気にさせてくれた母。今振り返ると何周遅れの私と併走してくれていたのだろう。そう思うたび、感謝の気持ちがあふれると同時に、この文章を書く時にも苦しくはなるけれど。悲しんでばかりより、楽しい思い出、幸せをたくさんもらったことを胸に。

母が教えてくれた薬剤師のあるべき姿を大切に。

私自身がいつか、本当に母と並び、そしていつか追い越し、誰かの道標になれるその日まで…。

1人でも多くの患者さんを笑顔にできますように!

「今日も笑顔で元気よく!ファイト!!」



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